行ったことのない都市でも環境に対応し走れる自律配送車向けAIの英Wayve、約229億円調達

アレックス・ケンダルCEO(画像クレジット:Wayve)

英国の自律走行車スタートアップ「Wayve」は、同社の技術をスケールアップし、商用フリートとのパートナーシップを拡大するために、シリーズBラウンドで2億ドル(約229億円)の資金を調達した。Wayveは、ロボデリバリーや物流の分野で主要なプレイヤーとなることを目指している。

同社は、これまでに総額2億5800万ドル(約296億円)の資金を調達している。この技術は、車両の周囲に設置された汎用ビデオカメラと車載AI駆動ソフトウェアに大きく依存しており、そのため4Gや5Gネットワークへの依存度が低くなり、環境への高い応答性を実現している。

今回のラウンドは、既存投資家であるEclipse Venturesがリードした。その他に参加した投資家には、D1 Capital Partners、Baillie Gifford、Moore Strategic Ventures、Linse Capitalのほか、Microsoft(マイクロソフト)とVirgin(ヴァージン)、アーリーステージ投資家であるCompoundとBaldton Capitalが含まれている。また、戦略的投資家であるOcado Groupや、Sir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Rosemary Leith(ローズマリー・リース)氏、Linda Levinson(リンダ・レビンソン)氏、David Richter(デイビット・リクター)氏、Pieter Abbeel(ピーテル・アッベル)氏、Yann LeCun(ヤン・ルカン)氏などのエンジェル投資家も参加している。

WayveのAlex Kendall(アレックス・ケンダル)CEOによると、Wayveのテスト車両は、ロンドンだけでなく、これまでに行ったことのない都市での走行に成功したという。英国の道路は一般的に中世のレイアウトになっているため、これは並大抵のことではない。

英国のオンライン食料品会社Ocadoは、Wayveに1360万ドル(約15億6000万円)を出資して自律走行による配送実験を開始しており、英国の大手スーパーマーケットチェーンAsdaもWayveに出資している。

Wayveによると、同社のAV2.0技術はフリートオペレーター向けに特別に設計されており、カメラファーストのアプローチと、Wayveの他のパートナーフリートから提供される運転データから継続的に学習する内蔵AIを組み合わせている。これにより、交通情報や道路地図、複雑なセンサー群など、車外のデータから多くの入力を必要とするいわゆる「AV1.0」よりも、よりスケーラブルなAVプラットフォームになるとWayveは考えている。

Eclipse VenturesのパートナーであるSeth Winterroth(セス・ウィンターロス)氏は、次のように述べている。「業界が従来のロボティクスで自動運転を解決しようと奮闘している中で、AV2.0は、商業フリート事業者が自動運転をより早く導入できるような、スケーラブルなドライビングインテリジェンスを構築するための正しい道筋であることがますます明らかになってきています」。

TechCrunchの取材に対し、ケンダル氏はこう付け加えた。「今回の資金調達は、当社がコア技術の実証から、スケールアップして商業的に展開する権利を得たという市場からのシグナルだと思います。我々が事業を開始した2017年は、自律走行車のハイプサイクルのピーク時で、すでに何十億ドル(何千億円)もの投資が行われていました。誰もが1年先の話だと思っていたのです」。

「そして、何兆ドル(何百兆円)規模のテック巨人たちに対抗するために、逆張りスタートアップを作っていくことは、少しクレイジーだったかもしれません。しかし(技術を)裏づける実例のおかげで、次のレベルのスケールに移行することができました。それは、複数の都市でテストを行えるということです。ロンドンでシステムのトレーニングを行い、マンチェスター、コベントリー、リーズ、リバプールなど、英国全土で展開したことに加え、多くの商業パートナーや、すばらしい人材をチームに引きつけることができました」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)