サムスンとグーグル、GoogleアシスタントとPlayアプリの到来でWear OS提携を拡大

Google(グーグル)とSamsung(サムスン)が、圧倒的なシェアを誇るApple(アップル)に対抗するため、共同でウェアラブル製品を開発すると発表してから1年弱が経った。このような取り組みが一朝一夕に達成されるものではないことは、当初から明らかだった。2021年8月には、Galaxy Watch 4の発表の一環として「Wear OS Powered by Samsung(Samsungの新しいWear OS)」を初めて見ることができた。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

米国時間2月9日に開催されたUnpackedイベントでは、Samsungのウェアラブル製品はあまりハイライトされなかったが、同社はモビリティ分野で十分な話題を提供した。しかし、Samsungが現在開発しているTizen / Wear OSハイブリッドのウェアラブル製品については、今後の展開がもう少し見えてきた。

9日、Googleは、Samsungの最新のウェアラブルにGoogleアシスタントが「数カ月後」に搭載されることを発表した。これはおそらく、同社の「Bixby」の野望がゆっくりと悲しい終わりを迎えることを示す最新のデータポイントと言えるだろう(ただし、このアシスタントはデバイスの中で生き続けている)。しかし、率直に言って、はるかに強力でユビキタスなGoogleアシスタントを採用することは、ハードウェアメーカーであるSamsungのプラットフォーム全体で非常に理に適っている。

画像クレジット:Google

Galaxy Watch 4では「Hey Google(日本では『OK Google』)」と声をかけて音楽を再生したり、タイマーを設定したりすることができる。このアプリは、Galaxy Watch 4ではGoogle Playストア経由でアクセスできる。統合の一環として、接続されたAndroid端末にダウンロードされたPlayアプリは、Galaxy Watchにも表示されるようになる。そこからユーザーは、アプリをタップしてスマートウォッチにインストールできる。

現在、Galaxy Watch 4はオンラインでのYouTube Music Premiumに対応しているが、今回のアップデートでは、Wi-Fiおよびセルラーでの楽曲配信が可能になるため、ユーザーは携帯電話を家に置いたままでも新しい曲を聴くことができるようになる。この機能は、Galaxy Watch 4およびその他のWear OSデバイスにも搭載される予定だ(時期は未定)。

今回の統合はまだ小さな一歩であり、このカテゴリーにおけるAppleの優位性をすぐに打ち破ることはできない。しかし、GoogleとSamsungの提携、前者によるFitbit(フィットビット)の買収とWear OSのさらなる拡大計画など、ウェアラブル分野にとっておもしろい1年になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】Galaxy Watch 4 Classicは均整のとれたスマートウォッチ、サムスンとグーグルがそれぞれの強みを活かし協力

スマートウォッチ界は、Apple対世界という構造になっている。CounterPointが発表した最新の数字によると、Apple Watchが第1四半期の世界出荷台数の3分の1以上を占めている。Samsung / Tizenの市場シェアは8%で、遠く離れてはいるが、しかし立派な2位だ。GoogleのWear OSは4%弱で5位となっており、他のカテゴリーでは圧倒的な優勢を誇る両社が、競争上の優位性を求めて躍起になっていることがよくわかる。

Googleにとって、解決策は2つだった。まず、Fitbitの買収により、既存の市場が事実上2倍になったこと。そして長い間、Tizenの困難の中にいたSamsungにWear OSへの復帰を説得すること。Samsungにとって、GoogleのOSに戻ることは、開発者のアクセスとその結果としてのアプリを考えると理に適っている。また、Googleがサポートの問題を解決してくれるのであれば、それに越したことはない。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

純粋な市場シェアという点では、Samsungが明らかに優位に立っている。また、独自のTizenの開発は、世界的に注目されたわけではないが、当大手企業は2位の座を確保することができた。SamsungがGoogleに復帰するとしたら、独自の条件下で行う必要があるのは明らかだ。

画像クレジット:Brian Heater

Google I/Oで発表された、スマートウォッチ分野における両社の協力体制に続き、Samsungは先週、その成果の第一弾としてようやく「Galaxy Watch 4」を発表した。標準モデルとクラシックモデルの両方が用意されたこの新しいウェアラブル端末は「Wear OS Powered by Samsung」を搭載している。これは現実的には、SamsungがGoogleと緊密に協力して、Wear OSのカスタマイズ版-Tizenのように見え、Tizenのように泳ぎ、Tizenのように鳴くものーを構築したということだ。

これは、Samsungが何年もかけて構築してきた体験の親しみやすさを失うことなく、苦労しながらも強固なウェアラブルOSのエコシステムに向けて前進するための努力だ。正直なところ、私はこれに賛成だ。SamsungとGoogleのチームは、それぞれのエコシステムの特徴を見極め、両者の長所を活かした体験を構築するというすばらしい仕事をしている。Googleにとっては理想的な状況であり、他の大手ハードウェアメーカーを採用することで、Googleにとってもメリットがあることは間違いない。とはいえSamsungほど勢いのあるメーカーは業界にはいないのだが。

関連記事
サムスンとグーグルが次期Galaxy Watchの発売に向けウェアラブルプラットフォームをプレビュー
サムスンが2021年「Unpacked」イベントで発表した新製品まとめ

それに加え、Galaxy Watch 4は、数世代にわたるハードウェアの改良と健康機能の改善により、Appleと互角に渡り合える数少ないスマートウォッチの1つとなっている。Appleと同様に、この新しいウェアラブル端末は、Samsungのエコシステムと明確に結びついている。結局先日の発表も、どう見てもエコシステムの活動の一環だった。

画像クレジット:Brian Heater

新しいGalaxy Budsは、Samsungユーザーにとって最高のイヤフォンであることは間違いないが、同じことがSamsungの堅実な新しいスマートウォッチにも言える。Samsungは、Wear OSによって第三者にオープンになってきているが(Appleよりもその程度は低いが、正しい方向への一歩だ)、それでもこれは明らかにSamsungのスマートウォッチであり、SamsungのモバイルハードウェアやSamsung自身のアプリとの相性が最も良いのだ。これは、世界No.1のスマートフォンメーカーだからこそできるギャンブルだろう。iOS以外の残りの市場では、Huawei、Garmin、Fitbitが戦えばよい。

スマートフォンやイヤフォンと同様に、Galaxy Watchシリーズも、その仕組みは必ずしも一筋縄ではいかなかった。長年にわたり、さまざまなモデルやSKUを模索してきたが、ようやく合理的な仕組みにたどり着いたと思う。実質的には、触覚技術を用いベゼルを組み込んだ下位モデルのGalaxy Watch Activeは標準的なGalaxy Watchに、標準的なGalaxy WatchはGalaxy Watch Classicになった。

ここまで書いてきて、頭で考えていたほど簡単なことではないことがわかった。基本的には「Galaxy Watch 4 = より薄く、軽く、スポーティに」ということになる。Galaxy Watch 4 Classicは、デジタルベゼルからSamsungのトレードマークである回転式ハードウェアベゼルに変更され、少し上品な外観になっている。

画像クレジット:Brian Heater

先ほども言ったが、もう一度これを言いたい。回転ベゼルは、Samsungのエースだ。スマートウォッチ業界では、Appleに勝るとも劣らないエリアだ。Appleのクラウンもいいが、スマートウォッチのインターフェースを操作するには、現在のところベゼルが最適だ。AppleがGalaxy Watch 2でベゼルを廃止し、デジタル版を採用したときは、正直言って私は戸惑った。SamsungはGalaxy Watch 3ではそれを考え直し、復活させたのだ。

以前の私のレビューを読んだ人は、私がこれまでのSamsungの時計で一番こだわっていたのがサイズであることをご存知のことだえろう。以前のウォッチは巨大だった。私は小柄な人間ではないし、手首が異常に小さいわけでもないけれど、そんな私でも装着して歩き回るのに苦労した。大きくて不格好な時計が好きな人もいるだろうが、これらのデバイスのサイズが1つしかないというのは、最初から潜在的な利用者が大きく制限されていると言える。

関連記事:グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗

ありがたいことに、今回はいくつかの選択肢がある。Galaxy Watchには40mmと44mmのバージョンがあり(それぞれ250ドルと300ドル[約3万2840円])、Classicには42mmと46mmのバージョンがある(それぞれ350ドル[約3万8310円]と380ドル[約4万1590円])。デザインの違いだけなのに、かなりの金額が加算されていると思われることだろう。ClassicにLTEを追加すると、379ドル(約4万1480円)と429ドル(約4万6960円)になる。もちろん、これはApple Watch Series 6の399ドル(約4万3670円)という初値と比べると好意的に受け取ることができる。

私は中間に位置する42mmのGalaxy Watch Classicを選んだ。数日前からこのデバイスを装着しているが、とても良い選択をしたと思っている。デザインを考えると、46mmは私が日常的に使うには目立ちすぎる時計であることは間違いない。また、寝るときには大きすぎるだろう。

44mmバージョンの標準的なウォッチがどのようにフィットしたのかはまだ気になるところだが、回転ベゼルを選択できるのであれば、回転ベゼルを選ぶべきだ。Classicの40mmバージョンは、その機能性を求める手首の小さいユーザーにとっては良い選択肢となるだろう。Samsungが4つの異なるサイズを用意していることは正しい方向性だと言える。

画像クレジット:Brian Heater

多くの競争と同様に、Samsungはここでも健康面の機能でリードしている。パンデミックから1年半、私は運動量を増やそうと努力しているが、この時計は運動量をしっかりと検知してくれる。ウォーキングやランニングを自動検出するという点では、Apple Watchとほぼ同じだ。最近、ジムでボートを漕ぐようになったのだが、そこでもしっかりと仕事をしてくれる。ただし、朝のHIITになるとかなり難しく、ヨガはさっぱりだったので、Samsungの接続型のルーチンを使用している場合を除き、手動で開始するのがベストだ。

心臓の異常を検出するためのECGが搭載されている。心臓の不調の早期発見のために多くの医療関係者が推奨し始めている、いち早く標準化されたツールだ。体組成計は、2本の指をデバイスに当てると、骨格筋、体水分、代謝率、体脂肪率などの主要な健康指標を表示してくれる、目玉となる新機能だ。

睡眠トラッキングでは、血中酸素濃度、ライト / ディープ / レム、トータル睡眠スコア(ヒント:私の場合は低い)など、確かな情報が得られる。また、スマートフォンをそばに置いて寝ると、このアプリは夜中のいびきの時間も教えてくれる。これらの数値を総合すると、自分の睡眠パターンについて優れた実用的な知識を得られる。

画像クレジット:Brian Heater

もちろん、寝るときに時計を装着するのは、快適さの問題だけでなく、バッテリーの問題もある。Watch Classicのバッテリー寿命はまずまずで、標準的な使い方から軽めの使い方で、1日半を過ごすことができた。朝や昼に充電する時間を確保できれば、フィットネスや睡眠のトラッキングには十分だろう。ほとんどの用途には問題なく、特筆すべき点はない。

これらすべての要素が、確かなスマートウォッチ体験につながっている。Galaxy Watch 4は、Samsungユーザーにとって最高のスマートウォッチであると同時に、Android対応スマートウォッチとしても最高であると強く主張できる。

関連記事
【レビュー】より洗練されたサムスンのGalaxy Fold 3、メインストリームとは言えないが正しい方向には向かっている
【レビュー】サムスンのダークホース、Galaxy Z Flip 3は過去最高の折りたたみ式スマホだ
画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

サムスンが2021年「Unpacked」イベントで発表した新製品まとめ

最近の記憶の中では大げさな前宣伝が控えめなガジェットの発表会の1つではあったが、Samsung(サムスン)は先週米国時間8月11日の朝早くから、恒例の「Unpacked(アンパックド)」イベントで、一連の新製品を公開した。

忙しくて見られなかった人、まだ寝ていた人のために、知っておくべきことを簡潔にまとめて一挙にご紹介しよう。

Galaxy Watch 4(ギャラクシー・ウォッチ4)

画像クレジット:Brian Heater

サムスンがまた新たなスマートウォッチを発表した。ただし、今回はこれまでの製品とは少々異なる。近年は独自OS「Tizen(タイゼン)」に力を入れていたサムスンだが、この最新ウォッチではGoogle(グーグル)のOSに戻っている、というか、少なくともGoogleの「Wear OS(ウェアオーエス)」を採用している。そのソフトウェアは「Wear OS Powered by Samsung」と呼ばれ、Wear OSを核としながら、Tizenの良いところを取り入れたものになっているのだ。

サムスンは今回、健康指標の面に力を入れており、Galaxy Watch 4の発表では、血圧、血中酸素、身体組成などを継続的にモニターできる機能に焦点が当てられた。

2021年のサムスンの時計は「Galaxy Watch 4」と「Galaxy Watch 4 Classic」という2種類が用意されている。標準モデルのGalaxy Watch 4は、やや薄くて軽量で、ベゼルにタッチセンサーが搭載されており、インターフェースを操作できるようになっている。Galaxy Watch 4 Classicはやや大きくて重く、物理的に回転するベゼルを備えている。Galaxy Watch 4は40mmと44mmという2種類のサイズから選べ、米国での販売価格は249.99ドル(約2万7600円)から。Galaxy Watch 4 Classicは42mmと46mmが用意されており、価格は349.99ドル(約3万8600円)からとなっている。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

Galaxy Z Fold 3(ギャラクシーZフォールド3)

画像クレジット:Brian Heater

初期の折りたたみ式スマートフォンは、価格も高く、問題も多かったため、世界を席巻するまでには至っていない。それどころか、おそらくほとんどの人は、まだ折りたたみ式スマートフォンというものを実際に見たことがないだろう。しかし、サムスンはまだこの分野で終わっていない!

今回、同社が発表した「Galaxy Z Fold 3」は、ホットドッグスタイルの折りたたみ式携帯電話に対するサムスンの3度目のアプローチだ。価格は先代「Galaxy Z Fold2」の1999ドル(約22万円)から1799ドル(約20万円)へと少し下がっている一方で、全体的な製造品質は向上している。Galaxy Z Fold 3は、より強固なアルミニウムフレームと、耐久性が改善された折りたたみ式ディスプレイ、そしてIPX8等級の防水性能(折りたたみ式携帯電話では世界初!)を備えている(1つ注意:この「X」とは、もし誤って浴槽に沈めてしまっても大丈夫という意味だが、粉塵やゴミが内部に侵入しないように気をつける必要はある)。

Galaxy Z Fold 3は、サムスン初のアンダーディスプレイカメラを搭載したデバイスとなる。これは凄い仕掛けだが、一般的に写真の画質は犠牲になることが多い。背面には超広角、広角、望遠の3つのレンズが(隠されずに)搭載されており、それぞれ1200万画素となっている。さらにサムスンのスタイラス「Sペン」にも遂に対応した。

米国では8月26日に出荷が始まる予定。

関連記事:サムスンの最新フォルダブル「Galaxy Z Fold3」はスタイラス対応、防水仕様、アンダーディスプレイカメラ追加

Galaxy Z Flip 3(ギャラクシーZフリップ3)

画像クレジット:Brian Heater

今回発表された折りたたみ式スマートフォンで、注目を集めているのはフラッグシップモデルのFold 3だが、サムスンの相対的にエントリーレベルに位置づけられる折りたたみ式(クラムシェル!)スマートフォンも、Galaxy Z Flip 3へとアップデートされた。

Flip 3は、前述のFold 3と同じように、強固なアルミニウムフレームの採用、耐久性が増したディスプレイ、IPX8防水など、耐久性の面で多くの改良が施されている。内側には10MPのセルフィーカメラ、外側には2つの12MPカメラ(超広角と広角)を搭載。価格は999ドル(約11万円)と、先代よりも400ドル(約4万4000円)近く安くなっている。サムスンが折りたたみ式スマートフォンを初めて1000ドル以下の価格帯に引きずり込んだのだ。カバースクリーン(デバイスを折り畳んだときに表示されるスクリーン)は、前世代の1.1型に対して1.9型と大きくなっている。

今回発表された他の製品と同様、Galaxy Z Flip 3は米国では8月26日に発売される。

関連記事:値下げされ(相対的に)手を出しやすいサムスンの新フォルダブル「Galaxy Z Flip」は約11万円から

Galaxy Buds 2(ギャラクシーバッズ2)

画像クレジット:Brian Heater

サムスンは今回、エントリーレベルのワイヤレスイヤホンの新世代モデルも発表した。必要な情報はすべて次の1文に含まれる。より小さく軽くなり、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載し、8月26日に149ドル(約1万6500円)で発売される。

もっと詳しく知りたい? それならこちらの記事に書かれている

関連記事
サムスンがエントリーモデルの完全ワイヤレス「Galaxy Buds 2」にアクティブノイズキャン搭載
【レビュー】Samsungの「Galaxy Bud 2」は派手さはないが堅実なワイヤレスイヤフォン

プラスティック削減!

これは最後に少しだけ紹介されたことだが、注目に値するものだ。サムスンは、2025年までに携帯電話のパッケージから使い捨てのプラスチックをすべて排除することを約束し、同年までに携帯電話製品全般におけるリサイクル素材の使用を大幅に増やすことを計画しているという。サムスンは、地球上の他のどの企業よりも、四半期あたりの携帯電話出荷台数が多いことを考えると、これは非常に大きな意味がある。他の企業が追随することを願いたい。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungSamsung GalaxyスマートウォッチWear OS健康フォルダブルスマートフォンイヤフォンGalaxy WatchGalaxy Buds

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

Samsung(サムスン)の腕時計は、長い間、例外的な存在だった。同社は当初、巨大なGear LiveでWear OS(当時はAndroid Wear)を採用していたが、すぐにTizenに移行している。Tizenは、Samsungがウェアラブルデバイスやスマートテレビの多くに採用しているオープンソースのOSだ。

スマートウォッチ市場の重要な部分を占めることに苦労してきたGoogle(グーグル)にとって、これは一種の悩みの種だったに違いない。一方、Samsungは、独自の取り組みを進めながら自社製品で一定の成功を収めてきた。しかし、市場シェアを獲得するには、常に多くの課題があった。

サードパーティアプリは、Apple以外のすべてのスマートウォッチメーカーにとって長い間、問題となっており(これがFitbitがPebbleを買収した主な理由だ)、SamsungがGoogleとのパートナーシップを再構築するチャンスとみていたことは明らかだ。I/Oで初めて言及され、最近ではMWCでも議論されたこの提携は、新しいGalaxy Watch 4とGalaxy Watch 4 Classicで日の目を見ることになった。

画像クレジット:Brian Heater

両社はこれを「the new Wear OS Powered by Samsung(Samsungの新しいWear OS)」と呼ぶ。つまりWear OSがコードベースになっているということだ。Tizenのデザインやその他の要素も含まれている、実質的にはGoogleのウェアラブルOSをSamsungがカスタマイズして構築したものになる。

Samsungは、後者の部分を重要な点として強調している。それは、このOSは新しいペイントを施しただけでのものではないということだ。Samsungのモバイルデバイスとウェアラブルデバイス間で統一されたユーザー体験を実現するために「One UI Watch」がその上に存在している。

リリースは以下のとおりだ。

Galaxy Watch 4シリーズは、Wear OS Powered by Samsungを搭載した最初の世代のスマートウォッチであり、スマートウォッチ体験のあらゆる側面を向上させる新しいプラットフォームです。SamsungとGoogleが共同で開発したこの最先端のプラットフォームでは、GoogleマップといったGoogleの人気アプリや、Samsung Pay、SmartThings、BixbyなどのGalaxyの人気サービスを利用して、幅広いエコシステムを手首に巻くだけで活用できます。この新しいプラットフォームは、Adidas Running、Calm、Strava、Spotifyなどの主要なサードパーティ製アプリにも対応しています。

今朝のブログ記事で、Googleはパートナーシップの内容を次のように説明している。

私たちはWear OSとTizenから学んだことを活かして、スマートウォッチユーザーが必要とするものを共同で開発しています。Galaxy Watch4は、これまでのWear OSスマートウォッチと比較して、セットアップ時間が2.5倍短く、バッテリー駆動時間が最大40時間となり、パフォーマンスが最適化され、アプリの起動時間が従来よりも30%速くなり、膨大なアプリやサービスのエコシステムにアクセスできるようになりました。

また、Wear OSではより多くの機能が追加され「Googleマップ」「メッセージ」「Google Pay」の各アプリには、デザイン言語「Material You」をベースにしたより多くの機能と斬新な外観が導入され「YouTube Music」アプリもリリースされます。また、Wear OSには新しいアプリやタイルが登場し、お気に入りのアプリにすばやくアクセスできるようになります。

今回の発表では「Googleマップ」での道順案内「YouTube Music」での曲のダウンロードと視聴「Google Play」でのアプリの検索機能の改善が挙げられている。またベルギー、ブラジル、チリ、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、香港、アイルランド、ニュージーランド、ノルウェー、スロバキア、スウェーデン、台湾、ウクライナ、アラブ首長国連邦など、16カ国でWear OSのGoogle Payが利用できるようになる。

もう1つの重要な焦点は引き続き健康であり、これは現在すべてのスマートウォッチが競合している分野でもある。モニタリングは同社の「BioActive Sensor」の小型版を中心に構成されており、光学式心拍数、心電図検査(ECG)、生体電気インピーダンス分析を測定する。この3つのセンサーは、血圧、心房細動のモニタリング、血中酸素、そして今回の体組成 / BMIなど、さまざまな指標を測定する。つまり、良くも悪くも、体脂肪率(パンデミック後の不機嫌な顔の絵文字)がわかるようになっている。Samsungによると「約15秒で、時計のセンサーは2400のデータポイントを取得する」とのことだ。

画像クレジット:Brian Heater

2つのモデルの主な違いはデザインだ。Galaxy Watch 4はより薄く、より軽く、Galaxy Watch Activeに近いものとなっている。また、Classicでは物理的な回転ベゼルを採用していたが、Galaxy Watch 4ではタッチベゼルを採用している。

また、両モデルとも2つのサイズが用意されている。これは私にとって、Samsung Watchではいつもそれがネックになっていた。デバイスが大型でサイズが1種類しかない場合、顧客のかなりの部分を最初から排除していることになる。Watch 4には40mmと44mmがあり、Classicには42mmと46mmがある。価格はそれぞれ250ドル(約2万7600円)と350ドル(約3万8600円)。さらに50ドル(約5500円)を追加すると、LTE接続が可能になる。

これらのモデルは、本日より予約を開始し、8月26日から出荷が開始される。予約注文をすると、50ドルのSamsung Creditがもらえる。また、9月にはThom BrowneバージョンのClassicが限定発売されるが、こちらはほぼ確実に高価になるだろう。

関連記事
サムスンの最新フォルダブル「Galaxy Z Fold3」はスタイラス対応、防水仕様、アンダーディスプレイカメラ追加
サムスンが古いスマホに新しい命を吹き込むGalaxy Upcyclingのベータを米・韓・英で公開
サムスンのフラグシップスマホ「Galaxy S21」シリーズが日本上陸、S21+はau、S21 Ultraはドコモ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungSamsung GalaxyスマートウォッチWear OSヘルスケア

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

サムスンがウェアラブル向け5nm新プロセッサ「Exynos W920」発表、次期Galaxy Watchで採用

サムスンがウェアラブル向け5nm新プロセッサ「Exynos W920」発表、次期Galaxy Watchで採用

Jorge Duenes / Reuters

Samsung Electronicsは8月10日、ウェアラブル向けの新チップセットExynos W920を発表しました。業界では初めて、EUV(extreme ultra-violet: 極紫外線)プロセスノードで製造された5nmプロセッサで、LTEモデムを内蔵しており、ウェアラブル機器に求められるパワフルで効率的なパフォーマンスを実現したとしています。

サムスンがウェアラブル向け5nm新プロセッサ「Exynos W920」発表、次期Galaxy Watchで採用

Samsung

Exynos W920は、CPUとしてCortex-A55コアを2つ、GPUにはArm Mali-G68を搭載します。前モデルと比較して、CPU性能で約20%、グラフィック性能は10倍向上。アプリケーションの起動が早くなり、qHD(960×540)ディスプレイ上で、よりインタラクティブな3D GUIを実現できるとのこと。

また、AOD(Always-On Display)用に低消費電力のCortex-M55を搭載しており、従来のExynosと比べて、AODモード時の消費電力を削減しています。

Samsungによると、Exynos W920はGoogleと共同で構築した新しい統一ウェアラブルプラットフォームをサポートしており、まず次期Galaxy Watchで採用されるとのことです。

Samsungは8月11日(日本時間では同日23時)にUnpackedイベントを開催しますが、この中で、GalaxyWatch 4の発表が予想されています。おそらくは、これに採用される可能性が高そうです。

次期Galaxy Unpackedイベントは8月11日開催。新折りたたみ端末を発表

(Source:SamsungEngadget日本版より転載)

関連記事
グーグルがPixel 6用にカスタムチップを開発、AIとMLを自社スマホの差別化要因にする
グーグルが正式に新スマホPixel 6を公開、専用チップTnsor搭載
サムスンの次回Unpackedでは新Galaxy Noteの発表なし、Sペンは折りたたみスマホに搭載
サムスンが8月11日に新型折りたたみスマホを発表、「Unpacked」では新Galaxy Watchも登場!?
サムスンとグーグルが次期Galaxy Watchの発売に向けウェアラブルプラットフォームをプレビュー
グーグルがWear OSの大規模アップデートを発表、Fitbitの「健康」関連機能も導入
グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Wear OS(製品・サービス)ウェアラブルデバイス(用語)Google / グーグル(企業)Samsung / サムスン(企業)Samsung Galaxy(製品・サービス)スマートウォッチ(用語)

サムスンとグーグルが次期Galaxy Watchの発売に向けウェアラブルプラットフォームをプレビュー

Samsung(サムスン)のMobile World Congress(MWC)でのプレス発表は、今回もウェアラブルにフォーカスしていた。中央ヨーロッパ時間6月28日のイベントでの大きなニュースは、同社のGalaxy Watch(ギャラクシーウォッチ)シリーズの一新されたインターフェイスをこれまでで最もよく見られたことだった。

One UI Watchは、Galaxyモバイルのインターフェイスから名前を取ったもので、そのデザイン言語はGalaxyシリーズスマートフォンと共通している。このOne UI Watchは、2021年夏の終わりに開催されるUnpackedイベントで発表され、新しいUIと、SamsungとGoogle(グーグル)の共同プラットフォームが搭載される予定だ。

画像クレジット:Samsung/Google

これら2社のテック大手がウェアラブルプロジェクトで提携すると発表されたのは、2021年5月に開催されたI/Oでのことだった。しかし、実際の名称を含め、このプロジェクトについての情報はまだほとんど明かされていない。

関連記事:グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗

当初この提携は、GoogleのWear OSと、Samsungが自社のスマートウォッチに長年採用しているオープンソースOSであるTizenの両方に対応した単一のアプリケーションを開発できるようにする「統一されたプラットフォーム」として発表された。当時TechCrunchが指摘したように、Apple(アップル)のウェアラブル分野における優位性に対抗するためには、サードパーティによるアプリ開発が両社にとってかなりのハードルとなっていた。

今回の提携により、接続されているスマートフォンにウォッチ対応アプリが一旦ダウンロードされると、ウォッチにもダウンロードされるようになる。GoogleマップやYouTube MusicのようなGoogleのファーストパーティアプリに加え、(当然ながら)Spotify、Calm、Strava、Adidas Running、Sleep Cycleなどがリストに含まれている。

画像クレジット:Samsung/Google

GoogleのSVPであるSameer Samat(サミール・サマット)氏は、このニュースに関連したリリースの中でこう述べた。「SamsungとGoogleは長い協力関係の歴史があり、協力するたびに、コンシューマーエクスペリエンスは誰にとっても劇的に向上してきました。それは、Samsungの新しいGalaxy Watchで初めて提供される、この新しい統合プラットフォームにも当てはまります。Samsungとのコラボレーションにより、バッテリー駆動時間の延長、パフォーマンスの向上、そしてGoogleのアプリを含む幅広いアプリを、まったく新しいウェアラブル体験に提供できることをうれしく思います」。

このようなパートナーシップは、一見すると奇妙に思える。Samsungは以前、GoogleのウェアラブルOSを用いず、独自に大幅にカスタマイズしたTizenを採用していた。しかし最終的には、世界市場の40%前後のシェアを持つAppleという一枚岩に対抗するために2社は団結したようだ。Samsungは2位につけているが、Fitbit(フィットビット)を傘下に収めたことを計算に入れてもGoogleの道のりはまだ長い。

また、Samsungは、このプラットフォーム向けにウォッチフェイスなどを簡単に作成できるように改良された開発ツールも紹介する予定だ。

関連記事
カメラ内蔵のApple Watch用バンドを発売するWristcam、求められている「手首にカメラ」機能
グーグルがWear OSの大規模アップデートを発表、Fitbitの「健康」関連機能も導入
OnePlusがミニマルなスマートウォッチ「OnePlus Watch」発表、Wear OSは採用せず

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MWCMWC 2021SamsungGoogleウェアラブルデバイススマートウォッチWear OSTizen

画像クレジット:Samsung/Google

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがWear OSの大規模アップデートを発表、Fitbitの「健康」関連機能も導入

Wear OS(ウェアOS)はこれまで、Google(グーグル)のOSの中でもダークフォース的な存在だった。パートナーシップや投資がなかったわけではないが、何らかの理由で、Googleはそのウェアラブル用オペレーティングシステムを成功に導くことができなかった。

このカテゴリーでは、以前からApple(アップル)が圧倒的な強さを誇っている。Googleは家電業界のいくつかの大手企業から協力を得たにもかかわらず、この市場を切り崩すことにほとんど失敗してきた。Strategy Analytics(ストラテジー・アナリティクス)の表によれば、市場シェアでWear OSは「その他」に分類されている。

ここでもう一度確認しておくが、Googleの戦略とはパートナーシップによるものだ。より正確に言えば、パートナーシップと買収の組み合わせである。その「勝てなければ仲間にしてしまえ」というアプローチは、長年オープンソースのTizen(タイゼン)にこだわってきたSamsung(サムスン)にも向けられた。Samsungの戦略は奇策の1つのように見えたが、Tizenの独自バージョンを作り出すことは、このカテゴリーでアップルに次ぐ存在となったSamsungにとって、勝利の戦略であることが証明された。

過去最大のアップデートを@wearosbygoogleに施します。Googleマップのターンバイターンナビゲーションや、YouTube Musicから曲をダウンロードしてオフラインで聴くことが可能になるなど、各Googleアプリにも新機能が導入されます。もう携帯電話を置いてきても大丈夫。#GoogleIO

米国時間5月18日行われた「Google I/O」の基調講演で、GoogleはSamsungとの新たなパートナーシップを明らかにし「Wear OSとTizenの長所を組み合わせる」と発表した。これがどのように展開されるのか、我々にはまだわからないが、2つのビッグプレイヤーが力を合わせてアップルに対抗するというのはおもしろい見物になりそうだ。「You come at the king, you best not miss.(王者を目の前にしたら、見逃すべきではない)」とは、有名な人気テレビドラマの言葉である。両社にとって大きな問題となっていたのがサードパーティ製アプリの品揃えだが、このパートナーシップによって開発者は両プラットフォーム向けに共有のアプリを作成できるようになると思われる。

Wear OSのもう1つの大きな変更は、GoogleがFitbitに興味を持った理由を明らかにするものだった。確かにFitbitは、フィットネスバンドで市場を席巻したウェアラブル製品のリーダー的存在であり、最終的には(Pebble[ペブル]を買収するなどして)独自のスマートウォッチを開発しているが、ここで重要なのは「健康」である。

画像クレジット:Google

健康モニタリングは近年、ウェアラブル製品における話題の中心となっている。GoogleのFitbit買収は、何よりもその情報を統合することが目的だったようだ。「Fitbitが提供するワールドクラスのヘルス&フィットネスサービスが、このプラットフォームで利用できるようになります」と、Googleは述べている。人気が高いFitbitのフィットネストラッキング機能を追加するだけでなく、Wearの機能をGoogleのハードウェアに統合することで、両社の境界線を曖昧にしようとしている。

「健康とフィットネスのトラッキングは、ウェアラブルにとって不可欠です」と、Googleはブログに書いている。「最新のWearアップデートでは、Fitbitが長年培ってきた健康に関する専門知識を取り入れることになります。1日を通して健康状態をトラッキングしたり、達成した目標を手首の上で祝う機能などが、より健康になるための意欲を高めます」。

ユーザー体験も同様に改善される。Calm(カーム)、Sleep Cycle(スリープ・サイクル)、Flo(フロー)などのアプリには専用のタイルが用意され、どこからでもショートカットにアクセスできる。Google自身のアプリも、Google マップ、Google アシスタント、Google Payなどが刷新され、Google Payは現在の11カ国に加えて新たに26カ国で展開が始まる。2021年後半には、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)アプリのWear版もリリースされる。

以上のようなアップデートは、2021年後半から利用できるようになる予定だ。

関連記事
グーグルがAndroid 12の最新情報を公開、近年最大級のデザインアップデート、新ベータ版配信開始
Chromeに漏洩パスワードを自動的に修正する新機能、グーグルのAIテクノロジー「Duplex」を利用
事前トレーニングなしでより自然に会話できる新AI言語モデル「LaMDA」をグーグルが発表
今、Androidは30億台のアクティブデバイスに搭載されている
グーグルが「折りたたみ式」にフォーカスしたAndroidディベロッパー向けアップデートを追加
グーグルが次世代カスタムAIチップ「TPUv4」を発表、1ポッドでエクサフロップ以上の処理能力
グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗
Googleがオンラインショッピング拡大でShopifyと提携
グーグルがクロスプラットフォームUIツールキット「Flutter」をアップデート
グーグルの「Workspace」アプリが相互連携を強化し12の新機能を追加、囲い込みがさらに進む
Android TV OSの月間アクティブデバイスが8000万台に到達、新機能も発表

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021Wear OSSamsungTizenウェアラブルデバイススマートウォッチFitbit健康

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)