日本発、Oculusに視線追跡機能が搭載されたようなHMD「FOVE」が夏にも開発キット提供へ

Oculus VRに視線追跡機能を付加したようなヘッドマウントディスプレイ「FOVE」(フォーブ)が、2015年夏の開発者向けキット発売に向けた準備を進めている。7月16日には日本企業としては初めてとなるMicrosoft Ventures Londonアクセラレータープログラムに採択され、ゲーム領域でのXBox事業との連携を視野に開発を進めるという。「熱量の高いハイエンドゲーマーをターゲットにしたい」といい、来年の年明けをめどにKickstarterでの資金調達を予定。現在はエンジェル投資家と東京大学の産学連携施設「Intellectual Backyard」からプロトタイプが作れる程度の数千万円の資金を調達して開発を進めている。

FOVEを創業したCEOの小島由香さんに話を聞いたところ、「自分たちがゲーマーなので、自分が使いたいものを作っている」と言っていて、主要なターゲット市場はゲーム。それに並んで医療関係の応用も模索しているという。

Oculus VRをかぶってみたことがある人なら分かると思うが、非常にシンプルなデバイスにも関わらず高い没入感を味わえる。周囲を見回すと、そこに世界が存在しているかのように映像が映し出される。FOVEは、こうしたOculus VRのようなVR機能に加えて、視線追跡機能を追加。頬骨の辺り、斜め下45度から赤外線を眼球に照射して利用者が見ている視線のアングルを検知する。目の動きを読み取ることで、ゲームなど3次元空間におけるポインティング・デバイスとして機能させることができるという。シューティングゲームであれば射撃の照準合わせとしての応用がある。

「ユーザーがどこを見ているか」を検知できることで、たとえば奥行きのあるFPSゲームのシーンで手前のオブジェクトを見ているのか、奥のオブジェクトを見ているのかが判別可能となる。左右の視差を計測することで焦点距離を読み取れる。ポインティングに加え、人間の「焦点」が合っていない部分、たとえば背景の映像をぼかすことで、従来以上の没入感を実現できるという。

これまでの3次元ゲームではマウスを使った操作が主で、これは3次元空間を球面に投射した2次元平面をポイントするには有効であるものの、奥行きが分からないという問題があった。「自分がマウスを持って世界に入ったと想像すると、これは非常に難しい」(小島CEO)。マウスは2次元のGUIの操作のために考案されたものだから当然だ。FOVEをマウスと併用することで、照準合わせのスポードと精度が格段に上がるのだという。

FOVEプロトタイプを試用させてもらったけれど、確かにOculus VRとは違った世界観があるように感じた。ぼくが試したデモは、仮想世界の森に佇むで女性と目が合うと微笑み返して来るというもの。首だけ向けて目をそらすと微笑んでくれない。やや遅延と精度が気になったが、キャリブレーションがうまく行けば精度は良く、そういえば画面内のキャラと「目を合わせる」という感覚は、これまで1度も味わったことがないなと思った。FOVE CEOの小島さんに聞けば、こうした仕組みを使った自閉症患者の治療という応用もあるそうで、福祉関係者と話を始めているという。医療福祉領域への展開では他にも、手が不自由な障害者向けに目でコンピューターの操作できる装置の開発も、筑波大学附属桐が丘特別支援学校の協力を得て進めているという。キーボードを視線で叩くデモを見せてもらったが、すでに十分実用レベルに見えた。

ちなみに現在の精度は立体角12度程度で、これは3度ぐらいまで上げられるだろうと共同創業者でCTOのロックラン・ウィルソン氏は話している。黒目を見るか白目を見るか、眼球から反射した光を見るかどうかなどは、人種(眼の色)によって有効なアプローチも違っていて、現在最適解を模索中だそう。

ロンドンのMicrosoftのアクセラレータープログラムに採択されたことは、XBoxのゲームでの応用があり得ることを示唆している。PCにはOculusがあり、ソニーにはProject Morpheusがあるが、XBox向けHMDはシアトルでの開発の噂が漏れ聞こえてくる程度。ゲームで奥行きという軸が加わるとしても、ゲーム側が対応してくれないと意味がないが、もしXBoxとの協業があるのであれば、コンテンツのエコシステムの面での展開もあり得そうだ。また、FOVEはPCゲームやコンソールだけでなく、アーケードゲームにおける大手ゲーム会社との協業も模索中という。

販売価格は既存のHMDと同程度を見込む。2014年現在、Oculusの登場で幕を開けた感のあるHMD市場は2018年に2400万台規模の市場になると見ているそうで、HMDユーザーの5〜15%に相当するハイエンドゲーマー向けをターゲットとしていくという。

FOVEは2014年5月法人設立。小島さんはソニー・コンピューター・エンターテイメントで、サルゲッチュやトロ、グリーでは探検ドリランドのユニットリーダーなどを担当するなど、ゲームディレクターとしての道を歩んできた。共同創業者でロックラン・ウィルソンCTOは、日本語のうまいオーストラリア出身のエンジニアで、空港の監視カメラの顔認識モジュールの開発などを経験。画像処理を研究してきたという。


ウェアラブルなオモチャ「Moff」、Amazon.co.jpとTokyo Otaku Modeで予約開始

Moff取締役エンジニアの米坂元宏氏と代表取締役の高萩昭範氏

クラウドファンディングサービスKickstarterで、目標金額の約4倍にあたる7万8800ドルを集めた日本発ハードウェアスタートアップMoffのウェアラブルなオモチャ「Moff band」。これまでKickstarterでしか手に入らなかったこの商品の一般予約が始まった。国内向けにはAmazon.co.jp(送料込みで5616円)、欧米向けにはTokyo Otaku Mode(送料別で53.99ドル)でそれぞれ予約できる。国内での発売は10月15日、海外では10月後半となっている。当初製造を予定するのは数千個。その後、ブラックフライデー(感謝祭翌日の11月の第4金曜日)以降に始まるクリスマス商戦に備えて増産していく予定だ。

Moff bandは、腕時計のように腕に巻き付けて利用するオモチャだ。内蔵する加速度センサーとジャイロセンサーによって人の動きを感知。Bluetooth 4.0でiOSのデバイスと連携し、専用アプリ上で、感知した動きにあわせて音を鳴らすことができる。

現時点では、チャンバラごっこや電子銃、ギター、ドラム、ピアノ、テニス、ゴルフなど、シンプルな動作で子どもが手軽に遊べるようなテーマを用意している。僕が実際に見せてもらったデモはドラムだったのだが、これが意外とすごいのだ。手を上に向けて振る、地面と水平くらいの向きに振る、下に振るという異なる動きをすると、上向きに振ったときはシンバル、水平に振ったときはスネアドラムというように、それぞれの動きにあわせて異なる音を鳴らすことができる。

Moff代表取締役の高萩昭範氏によると、これは高さの情報を取得するようなセンサーを内蔵しているわけではなく、前述の2つのセンサーで縦に手が動いている、横に手が動いているといった動きの「種類」をとらえており、その種類にあわせて音を変えているそうだ。ドラムのデモは残念ながら含まれていないのだけれど、以下がKickstarterで公開されていたイメージ動画になる。

高萩氏がMoffを設立するに至った経緯については、「『苦痛を感じるほどの課題はあるか?』、MoffがハッカソンからHWスタートアップで起業するまで」という記事で紹介しているが、同氏はコンサルティング会社のA.T.カーニーと、メルセデス・ベンツの商品企画に携わったのち、電子書籍のスタートアップの立ち上げ準備をしていたそうだ。この電子書籍の事業に関しては前述の記事にもない話だったのだけれど、その事業を始める前に参加した大阪市主催のハッカソン「ものアプリハッカソン」をきっかけに、ウェアラブルデバイスの開発を目指すことになったそうだ。「もともとは著作権切れした書籍を読めるサービスを考えていた。だが前職を考えても、正直なところ電子書籍よりIoT(Internet of Things)、特にT(Things)のほうが得意だった」(高荻氏)

Kickstarterでの注文に関しては、現在金型を作成しており、9月末にも購入者の手元に届くという。製品の組み立ては日本で行う予定。当初は中国の工場での組み立ても検討したが、最初に小ロット生産するのであれば、コミュニケーションにかかるコストも考慮して日本で組み立てるほうが安価だと判断したそうだ。なお、Kickstarterで集めた資金でKickstarterでの注文分の生産は可能だそうだが、Amazon.co.jpやTokyo Otaku Modeでの注文に向けて、現在エンジェルからの投資、そして融資で資金を調達しているとのこと。「すでにベンチャーキャピタルから出資を受けていると思われていることもあるのだがそんなことはない。ハードウェアを作るので、集めるときには大きく集めないといけないと思っている」( 高萩氏)


日本はすでに代表が交代、米国はCEO未確定–井口氏退任に揺れるTelepathy

ウェアラブルデバイス「Telepathy One(テレパシー・ワン)」を開発中のTelepathyから、CEOの井口尊仁氏が退任するというエントリーを掲載したが、その続報をお届けする。

TechCrunch Japanでは、第1報を公開後、井口氏に替わって日本法人であるテレパシージャパン(Telepathyは米国法人が親会社であり、日本法人が子会社)の代表を務める鈴木健一氏とのアポイントを取り付けたため、東京・人形町の同社に向かった。だが同社に到着する直前で、「急な対応が必要な用件ができた」とのことで連絡もつかなくなり、当日の取材ができなくなった(同氏とは本記事公開前に連絡がついている。今後しかるべきタイミングで改めて取材を依頼したいと思っている)。だがその後、同社広報などを通じて一部の情報を確認することができた。なお井口氏自身からは「広報を通じて回答する」という旨の連絡をもらっている。

すでに日本法人の代表は交代

まず日本法人だが、前述の通りですでに4月28日をもって井口氏から鈴木氏に代表取締役が変更されている。鈴木氏はこれまで同社のCTOも務めていた人物だ。米国法人に関しては、今日時点で解散の事実はないそうだ。一部の業界関係者からは「法人自体は存在しているが、すでに人が居ない」という証言も得ていたが、同社によると「そういう状況ではない」とのこと。また井口氏が務めていた米国法人CEOついては「正式に確定していない」のだという。

こういった状況ではあるが、井口氏の進退とあわせて気になるのは、やはり井口氏がその構想を語ってくれたTelepathy Oneが登場するか否かではないだろうか。イベント「TechCrunch Tokyo 2013」で井口氏は、2014年内の発売を目指していると語っていたが、現時点での公式な回答は「開発は進んでおり、マーケティング戦略でベストタイミングを探っているので今年中かは未定」というものだった。エンジニアは今も開発を続けている。

ハードウェアスタートアップはトラブルが起こりやすい

僕はあるハードウェアスタートアップの代表と話をしていたときに、「ウェアラブルデバイスを含めてハードウェアの分野は、開発しながら提供するということもできないので時間もかかるし、利害関係者も多くなる。だから(サービスを作るより)トラブルが起こりやすいものだ」と語っていたのが忘れられない。正直なところTelepathyに関しては——デバイスの形状から資金繰り、ビジネスの方向性、協力会社との関係、果てには井口氏の性格まで。さらにここ数日は同氏の進退についても——ただの噂か真実かはさておき、ありとあらゆる話が聞こえてくる。正式なプロダクトの姿すらお披露目されていない状況にもかかわらず、ここまで多くの話が聞こえてくるスタートアップはあまりない。それだけ同社に注目が集まっていることの表れでもあるのだろう。そのうち一部の内容に関しては関係者の証言を得ることができたが、Telepathyではその内容を否定している。

井口氏はあるインタビューで「世界で勝負するにはハッタリが必要」という話をしていたが、僕もスタートアップには自分たちの現状のリソースで実現できる以上の大きなビジョン、ハッタリは必要だと思っている。新しいプロダクトを生み出すには、そりゃ当然今の常識を越えていかないといけないだろう。だからこそ、Telepathyに関してもプロダクトを早く見たいと思ってしまう。

ともかく、「代表」という意味で井口氏がTelepahtyから退任した(厳密には米国についてはCEOは未定だ)が、会社としてはプロダクトの開発を引き続き進めるという。Telepathyの「顔」だった人物が離れ、同氏を支えてきた鈴木氏やエンジニアチームは果たしてどのようなプロダクトを我々に見せてくれるのだろうか。


東北大の川島隆太教授が「Google Glassなんて3日で飽きる」と語ったワケ

5月に発表されたジェイアイエヌのメガネ型のウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズミーム)」。その機能や会見の様子はすでに当日の記事で紹介した。話を聞いてから少し時間が経過してしまったが、ここでは当日の展示会場で東北大学 加齢医学研究所の川島隆太教授に聞いた話を紹介したい。川島氏はジェイアイエヌに打診されて、4年前からJINS MEMEの開発に協力してきた。

僕はGoogle GlassやOculus Riftを初めて使ったときにやっぱり感動したし(普段メガネをつけていることもあって、正直それより重いデバイスの常時利用には慣れがな、とは必要だとは思ったけど)、もちろん川島氏の考え方だけがすべてではないと思う。ただ川島氏の声は、ウェアラブルデバイスやIoTといったテーマに注目が集まっている今、本当に必要とされ、利用されるデバイスがどんなモノなのかを考える1つのヒントになるのではないだろうか。

–最大のポイントは3点の眼電位のセンサーなのでしょうか。(眼電位は、角膜と網膜の電位差のこと。眼電位を計測することで、目の動きをモニターすることができる。これまで4点の測定が必要なセンサーば一般的だったが、JINS MEMEでは3点のセンサーを開発することで、通常の「メガネ」の形状にセンサーを収めることができた。詳細は過去記事を参考にして欲しい)

今までは眼電位センサーが4点あり、電圧の変化を計測しやすかったんです。ですが、JINS MEMEではあくまで「普通のメガネ」にどうセンサーを入れ込むかという点に技術屋は燃えました。もちろん電池もトランスミッターも一次解析装置もこの(JINS MEMEの)中に入れています。

半導体はオリジナルで設計しています。当然国内のものです。一番難しかったのは電池を小さくすることでした。電池(を取り出して)の交換は考えていません。非接触で充電できるようにします。データの吸い出しはUSBで実現しています。

まだまだ日本の技術ならいろいろ入れられると思うんです。(36グラムのJINS MEMEを持って)これでもまだまだ不満です(笑)

—2015年の発売ということですが、製品としてすでに完成形していませんか。

BtoBtoCで提供するのであれば、家電と同じで「誰でも使える」というものでないといけません。BtoBであればこのままでもいいでしょう。タクシー運転手やドライバーに使ってもらう、という姿はもう想像できます。ですが、もっともっと安定性を求めないといけません。

—あえて改善する点を挙げるとすればどこでしょうか。

もっとバッテリーが入ればいいですよね。ここ(フレームの細い部分を指して)に入ればなおいい。日本の技術に期待したいですよね。

–ジェイアイエヌから川島さんにメガネの製作に関する打診があったのは4年前ということでしたが、当時から同じような姿だったのでしょうか。

僕は脳のセンシングに関する研究をずっとやっていて、ウェアラブル領域には満足していたんですよ。ですがJINSさんがどうしてもやりたいと言っていて、だったらメガネにデバイスを入れ込もうとなりました。

最初2年はメガネで何ができるかをずっと考えていました。アイデアに費やしました。最初は(ジェイアイエヌから)「頭をよくするメガネ」というテーマを言われたのですが、陳腐なアイデアしか出なかったんですよ。そこで発想転換して、「メガネじゃなきゃだめなものはなにか」と考えるようになりました。

—会見ではGoogle Glassのカメラのように、自然に身に付けるモノではなく、あえてつけるような装置は利用しないのではないか、と語っていました。

国の方針でビッグデータ解析を医療分野にも持っていくという流れがあり、国費も投入されていいます。そこで何か人に身に付けさせようと皆さん考えるんですが、うまくいかないと思います。

(川島氏を取り囲んでいた記者に向かって)皆さんGoogle Glassをかけますか? あれは本当に好きな人しか掛けないですよ。あれをみんながかける世界が来ると信じていたらあの会社(Google)は潰れる、くらい思っていいます。

だからこそ、普段必ず使う物の中にセンサーが入っていて、自然な生活の中でセンシング情報がたまっていって、その情報を健康なり何なりに使えるということが重要です。そういう物は今までありませんでした。

その点ではメガネは日本人には合っている素材です。これをBtoBtoCに展開できれば、面白い世界が待っていると思います。1年先に販売して広がると、情報科学分野の先生たちが一気に業界に入ってきていろんなこと——情報を我々の生活からキャッチアップしていくと——少し今とは違った世界になるでしょうね。

あとは、頭の加速度センサーのほうが、商売の可能性があると思っています。スポーツをやっている人って頭の動きをすごく気にするんです。一流のアスリートは頭が動かない(ブレない)んですよ。ではそれを今までどう測っていたかというと、モーションキャプチャーで数千万円かけないといけなかったんです。

JINS MEMEが出ると、数万円で自分の頭の動き、パフォーマンスなどを知ることができます。2020年のオリンピック市場も狙っていたりするんですよ。

–通信について教えて下さい。また会見では将来は老人の見守りなどに利用したいという話もありました。

今は汎用性が高いのでBluetoothを採用しています。カーナビとも直結しますし。将来的には、同意した人の情報をBluetoothでスマートフォンに飛ばして、どこかに持っていくということもできるでしょう。ただしそこはJINSでやるのではなく、公的機関や医療サービスを提供する事業者がやるのかもしれませんが。

今、本気で考えているのは認知症の対策です。認知症の方は歩行がすごくぶれるんです。では認知症のどれくらい前からそういう症状が出るのかが分かれば、その疑いが出たときにすぐに病院で見てもらって治療する、もしかしたら予防も実現するかもしれません。

—開発パートナーについて教えて下さい。

知っていますが、名前を挙げていいか分からないんでJINSさんに聞いて下さい(笑)

—例えばJINS MEMEに震える、光るといった機能を入れることは考えていますか。

フィードバックをメガネでやるのかという話です。スマートフォンでいいのではないかと考えています。重量も増やしたくありません。

Google Glassみたいにここ(目の前)にディスプレイがあるというのは、生活に支障を与えます。不自然なことはしたくない。あくまで自然の中でデータを計測して、自然に(情報や反応を)返すことが大事だと思っています。

–価格はいくらくらいでしょうか。

そんなに馬鹿高くはならない、お小遣いで買える額にできないかとは考えています。

—Googleは、コンタクトレンズにカメラを埋め込むという試みにも挑戦するようです。

それができたら面白いですね。ただコンタクトレンズ上で電子部品を走らせるのは少し怖いところがあります。角膜は再生しません。

今お話ししながら考えたのは、センシングのためのデバイスではでなくて、コンタクトレンズにコイルか何かを入れて、アンプ機能を持たせることはありえるかもしれません。ですが、それは「あえてつける」になってしまいますよね。そうなるとつけませんよ。Google Glassだって、買ったって本当に好きな人以外は3日で飽きちゃいますよ。


PradaデザインのGoogle Glassはこんな感じ

「プラダを着た悪魔」という映画があった。その映画に思いを馳せたか、ドイツのテック系サイトであるCurved.deが、「PradaがGoogle Glassをデザインしたらどうなるか」という記事を掲載していた。ヨーロッパ人にとってみれば、そんなことを考えるのが楽しいことであるらしい。

CurvedはGoogle Glassを高く評価しているが、しかしデザイン的な工夫を凝らすことで、「テックファンにとっての聖杯」的アイテムとすることも可能だと考えているようだ。確かにそんな可能性はあるかもしれない。

Googleが世界最大のアイウェア製造業者であり、Bvlgari、Burberry、Chanel、D & G、Dolce & Gabbana、DKNY、Emporio Armani、Giorgio Armani、Miu Miu、Polo、Ralph Lauren、Paul Smith、Prada、Salvatore Ferragamo、Versaceなどにも製品を提供するLuxotticaと提携したのもそうした考えがあってにことだと思われる。

Curvedによる「想像Google Glass」は、PradaのAbsolutely Ornateという実在のサングラスをモデルとしたものだ。そこに、Pradaならこうするのではないかという想像要素を加えたものとなっている。

・メガネケースを介したワイヤレス充電
・カメラを中央に配置したシンメトリーなデザイン
・一方のみでなく、両方のテンプルへのバッテリー搭載
・画面投影にはピコプロジェクターを採用
・インタフェースのワイヤフレーム化

確かに、これはなかなか洒落た出来栄えであるように思えるが、如何だろうか。

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(翻訳:Maeda, H


ウェアラブルなんてバズワードだ、まずはモノを作って出すべき–古参ハードウェアベンチャーの提言

ウェアラブルなんてテクノロジーの進化の一部を切り取ったバズワードでしかない。ハードウェアベンチャーはまず自らプロダクトを作って世に出して、そしてのノウハウを共有していって欲しい——2008年創業で、すでに古参のハードウェアベンチャーとなったCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、イベントの壇上でこう語った。

これは、3月25日から26日にかけて開催されたイベント「Wearable Technology Expo in Tokyo 2014」での一幕。25日の午後に開催されたTelepathy CEO の井口尊仁氏と岩佐氏のセッションでの話だ。

ウェアラブルはバズワード

イベントのテーマでもあるウェアラブル。セッションの冒頭、井口氏にこの定義について尋ねられた岩佐氏は、この言葉を「あくまでバズワードに過ぎないのではないか」と語る。「NikeのFuelBandやJAWBONEのUP、Google Glassなどが出てきたということをウェアラブルと総称しているだけ。IoT(Internet of Things)もバズワードでしかない」(岩佐氏)。この流れの本質は、「モノ作りのハードルが以前に比べて下がった」ということにこそあるという。

iPhoneアプリを制作するように手軽にとはいかないが、ハードウェアの製造は5年前に比べれば格段にやりやすくなったと説明する岩佐氏。Bluetooth4.0 LEや省電力WiFiといった技術が出てくるという中で、一部の事象だけを切り取った見方が「どうやらウェアラブルが盛り上がってきた」という状況ではないかと続ける。

Cerevoが活動を始めたのは2008年。当時はまだクリス・アンダーソン氏が「MAKERS」を出版していなければ、ウェラブルデバイスも登場していない時代。岩佐氏はなぜハードウェアベンチャーを立ち上げたのか? その一番のきっかけはインターネットとの出会いだったという。

「インターネットに触れて後頭部をガーンと殴られるようなショックを受けて、世界や生活を変えたいと思った。だがもう楽天もヤフーも存在していたし、(スマホ)アプリでも、欲しいと思ったアプリは探せば見つかるような状況。でもハードウェアだとそうでもなかった。僕はネット連動の傘立てとかがあれば便利じゃないかとずっと言ってきた。雨の予報があれば青く光るとか。そんなものはまだ世の中にない。画面で完結しないことのほうがインターネットには多い」(岩佐氏)

「モノを作った人」こそが語るべき

モノ作りのハードルが下がったとはいえ、デバイスの種類によってはその難易度は異なる。たとえばTelepathyのようなアイウェアであれば、Cerevoで受託開発を請け負っても5000万円以上の規模になるという(ただしここは井口氏と岩佐氏の間で見解が違っており、井口氏は「1億円でも難しい」と語る一方で、岩佐氏は最初井口氏に構想を聞いた時点で「8000万円でできる」と語ったと主張していた)。

だがMoffやFuelBandのような、Bluetoothや簡素な液晶の組み合わせであれば、数千万円前半でも製造が可能になってきている。岩佐氏は「実際にはやらないが、仮に『今からFuel Bandのコピー品を作って欲しい』と言われた場合、千何百万円の資金と半年の期間で作れるのではないか。その金額ならエンジェルインベスターからのファイナンスだけでも実現できる」とも語る(なお、セッション後に岩佐氏に確認したところ、前述の金額はあくまで開発費であり、在庫品を抱えるコストなどは別であると付け加えられた)。

ではモノを作ればそれだけでいいのか? 井口氏は「ハードウェアは製品開発だけではなく、製造流通、販売のディストリビューションという課題がある」と指摘する。岩佐氏も、「無給でもいいからアプリ作るというスタートアップと(ハードウェアの製造が)違うのは、金型でも何でも外に出て行くお金がある。そうなるとベンチャーキャピタルやエンジェルからのファイナンスはどうしても必要。身も蓋もないが、1にお金が必要だ」と語る。

岩佐氏は、投資家から資金を獲得する際に聞かれることは、「プロダクトを作れるのか」そして「そのプロダクトは売れるのか」の2つだけだと続ける。「後者に関しては、『分かってくれ』と説得するのは無理なので、ケースバイケースで実証するしかない」と語る岩佐氏。たとえばCerevoは、その売り上げの半数以上が海外なのだが、それは自分たちしか作れないものを作っているからだという。「みんなが『売れる』と思うものものはみんなが作る」(岩佐氏)

だからこそ重要になるのは、もう1つの課題である「作れるのか」をいかに解決するかだという。どこの工場の品質が高い、どこのメーカーのチップが安価か——部品や工場、資金繰りといった泥臭いことにどこまでこだわれるかが大事だという。岩佐氏は「結局はものを作って出せた人だけが話せる。ウェアラブルはバズっている。『未来だ』とも言われるが、ちゃんと商品にして出して、手に持って語るのが大事」と語った。

ノウハウを共有してグローバルで戦え

井口氏は「正直に言うが、ログバー(のRing)だってTelepathyだって、最初に『これをやるぞ』と言ったときは誰も作れなかった。そこで事業計画を書いて、製品計画を書いて、(VCに)持ち込むのはある意味気違いざたではないか」と岩佐氏に尋ねる。

岩佐氏は「自分たちも最初はそうだった」と振り返るが、プロダクトを出した今となっては、「そのノウハウを教えるので、みんな来て欲しい」と語る。井口氏によると、岩佐氏はTelepathyを創業する際に相談した人物の1人であり「貸し借りで言うとめちゃくちゃ借りてる関係」(井口氏)とのことだが、岩佐氏はその“借り”を自分に返すのではなく、「井口さんもプロダクトを出して、プレーヤーになって欲しい」と続けた。

井口氏は、先日米テキサス州オースティンで開催されたSouth by Southwest(SXSW)でも岩佐氏と「グローバルで日本人がどう戦うのか? という点では情報を融通していくべき」と語りあったと振り返る。そしてまた、工場やチップメーカーとの接点作りの難しさにも言及。ベンチャーと彼らがつながることで、より優れた製品が生まれるとした。

早く見たいのはTelepathyのプロダクト

このセッションで一番で印象深かったのは、岩佐氏が「結局はものを作って出せた人だけが話せる」と発言したくだりだった。チップや工場の価格にまで言及した際、井口氏はセッションの趣旨に沿って会話の軌道修正をすべく「カッティングエッジなカンファレンスで、売り掛けとか工場とか資金繰りといった泥臭い話が——」と発言したが、岩佐氏はそれを遮るかたちで「(泥臭い話が)大事です」と断言し、前述の「ものを作って出せた人だけが…」という話をはじめたのだった。

正直なところ、僕はTelepathyがプロトタイプの制作にあたっていくつかのトラブルを抱えている、と複数人の業界関係者から聞いていた。直近のSXSWでのデモも非常にクローズドな形で実施されたとのことだし、今回のセッションでもプロダクトが披露されることはなかった。実はTelepathyについては、ここ最近の開発状況も、井口氏の“泥臭い”努力、苦労も聞けずじまいでいる。

周囲からの話ばかりが聞こえてくる状況だからこそ、きっちりプロダクトを完成させてみんなの前に披露してくれるのを楽しみしている。ビジョンについて語るだけでなく、日本人が手がけたウェアラブルデバイスが本当に世界を席巻するさまを見たい。2013年11月に開催された「TechCrunch Tokyo 2013」で2014年内にプロダクトを発売すると語ってくれたTelepathyの今後を追いかけていきたいと思う。もちろんCerevoも、これから登場するハードウェアベンチャーも同様だ。


Googleのスマートウォッチの仕様がリーク―LGのOEMでハードの能力はGalaxy Gear 2レベル

GoogleとNexusでもGoogleのハードウェアのパートナーを務めるLGが準備中のスマートウォッチについてさらに情報が入ってきた。

情報源は@evleaksだ。この情報源はこれまでにも未発表のデバイスについて何度も正しい情報をつかんだ実績がある。われわれがGoogleのスマートウォッチの開発が進んでいるという記事を掲載したすぐ後で@evleaksはOMEはLGで、発表はGoogleのI/Oデベロッパー・カンファレンスになるだろうとツイートした。

@evleaksによれば、ハードウェアの仕様は1.65インチ・ディスプレイ、画素は280×280、つまり240ppiで、RAMは512MB、ストレージは4GBだという。これはローエンドのスマートフォンのスペックに近い。プロセッサは不明だが、ディスプレイ解像度がやや低いものの、その他の仕様ではSamsung Galaxy Gear 2にほぼ匹敵する。

各種のリーク情報を総合するとGoogleブランドのスマートウォッチの登場は近いようだ。手首を舞台にしたウェアラブル・デバイス戦争が本格的に始まろうとしている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


日本発、音と動きでカラダを使った遊びを実現するMoffがKickstarterキャンペーンを展開中

「キュートなウェアラブル」といえばこれを指すことになるかもしれない。何の話かと言えばMoffだ。子供用の腕輪で、これをつければありふれた日用品が、様々な音を発するオモチャになる。このカワイイプロダクトを生み出したのは、もちろん日本だ。

Moffはスラップベルトで巻きつけるようになっている(つまり紐などを使って結びつける必要はない。手首に勢い良く打ち付けるようにすると、自然に手首の周りに巻き付くような形になる)。そしてMoffはiOSデバイスとBluetooth 4.0で繋がり、iOS側のアプリケーションにて、鳴らす音を選択するようになっている(Android版も現在開発中だとのこと)。

Moffには加速度センサーとジャイロセンサーが搭載されており、Moffを身につけた人の動きを感知することができ、感知した動きに応じた音を鳴らすことができる。たとえばエアギターを演奏して実際に音を出すこともできるし、魔法の杖を振っていかにもそれらしい音を出すこともできればオモチャの拳銃の発射音などを鳴らすこともできる。

動力はボタン電池で、30時間ほどのプレイタイムになるのだそうだ。電池は利用者が自分で交換することができる。

現在Kickstarterでのキャンペーン中で、目標調達額は2万ドルとなっている。これまでのところ29日を残して既に1万1000ドル以上を調達している。

SDKやMoff利用者に対するアプリケーションを販売できるアプリケーションストアの開設も検討中で、またMoffの動作検知の仕組みを他のアプリケーションと組み合わせてジェスチャー対応にすることなどにもトライしていく予定なのだそうだ。

さらにはメジャーなアニメ・キャラクターとの連携も念頭においているとのこと。Kickstarterのページには以下のように記されている。

キャラクターなどのコンテンツ(音声コンテンツ等)を持っている企業の方は、それらコンテンツをアプリケーションストアで販売していただくことができます。Moffを使って消費者に新たな魅力をアピールすることで、キャラクターなどの人気が世界中で一層高まることも期待できます。

価格を見ると、早期割引の価格でひとつ45ドルとなっており、通常価格が49ドルに設定されている。資金調達に成功した暁には、7月より出荷を始めていく予定なのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


Lumusのウェアラブル向けVRディスプレイは「レイア姫の瞬間」を実現する

Lumusはまだ消費者向け市場では有名ではない。しかし近い将来、繰り返し耳にする名前になるはずだ。

私は2年前にLumusのセールス担当のAri Grobmanからこの驚くべきテクノロジーを紹介された。これは基本的には拡張現実ディスプレイだが、通常のフレームと通常のレンズの普通の眼鏡に装着できるところが画期的だった。720pモデルはHDに近い高画質の画像を目の前の空中に浮かんだように表示した。ユーザーは近くこのテクノロジーを利用して映画を見たりゲームをプレイしたりモバイル・デバイスを操作したりできるようになると説明された。

今回Lumusは次世代のプロダクトを発表した。

システムにはフル機能のAndroidコンピュータとカメラが追加され、機能はGoogle Glassを上回るものになっている。

ジェスチャーをサポートしているので、スワイプで通知を次々に消すことができる。また目の前の地面に重ねて地図を表示することもできる。私は実際に試してみたが、作動は完璧だった。ジェスチャーで自由に操れるディスプレイが目の前に浮かんでいるところ想像してほしい。残念ながらまだビデオは無理だが、ともかくクールなシステムだ。

といってもLumusブランドの新製品がすぐに市場に出るわけではない。同社では複数の大手メーカーと提携してプロダクトを開発中だ。ウェアラブル・メーカーのMetaはLumusのテクノロジーを利用した製品を近くリリースする予定だという。

Lumusは軍用ヘッドアップディスプレイで50%のシェアを占めており、次にはウェアラブル・ディスプレイの世界のIntelになろうと努力中だ。Grobmanは「われわれは双眼視によって空中に3D動画を目の前に表示する、つまりスター・ウォーズのレイア姫を実現させることができると期待している」と」語った。

Grobmanによれば、ユーザーがテーブルに向かっている場合、テレプレゼンスの対話相手の姿を自動的にテーブルでマスクして、その向こう側に座っているように見せるデモも行われたという。“「われわれの提携先はすごいことをやっている。ただし市場に出るのはまだ少し先になる」そうだ。

ゲームのメーカーも3Dで完全没入型のゲーム開発を試みているそうだ。しかしLumus Insideのログ付きデバイスが発売される時期はまだわからない。

Grobmanは「Glassは顔に装着するウェアラブル・デバイスに人々を慣らすためのGoogle’なりの入門デバイスだろう。次のステップは双眼視が可能で、装着しても不自然でないファッショナブルなデバイスだ。そこまでの道のりは長いが、近くわれわれはそこに行き着く」と語った。

Lumusの写真ギャラリーは原文参照。下は関連動画:MetaのVRヘッドセット

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Motorola、新型スマートウォッチを開発中である旨を発表

MotorolaがMobile World Congressにて、あまり注目されない中でプレスカンファレンスを開催した。記者たちも大きな情報を期待していたわけではなかったが、SVPであるRick Osterlohの発表はなかなかの驚きを持って迎えられた。Motorolaはスマートウォッチの開発を継続しており、間もなく新しいデバイスを発表できる見込みだというのだ。

もちろんMotorolaは当初よりスマートウォッチに興味を示してきた企業ではある。順調な活動を繰り広げていた2011年、MotoactivというGPS機能およびフィットネス管理機能を備えた腕時計型デバイスをリリースしている。無骨なデザインで、iPad nanoをリストバンドに取り付けたような感じだった。それでもフィットネス用デバイスに興味を持つ人々に向けて、単なるフィットネスを超えたスマートなデバイスを提供したのだった。どれくらい「スマート」だったかといえば、このデバイスでAngry Birdsをプレイすることもできた。しかし2013年に製造中止となっていた。

プレスカンファレンスの内容からだけでは、Motorolaの新スマートウォッチが2014年内にリリースされるのか(2014年がターゲットであるという話にはなっている)どうか、正確なところはわからない。Motorola MobilityのLenovoへの売却が完全に完了してから、Lenovoブランドで世に出すことになるのかどうかも不明だ。いずれにせよウェアラブルデバイスのシェア争いを見ていく中で、重要なポジションを占めることにはなりそうだ。

ウェアラブルはテックプロダクトの主戦場となりそうな気配で、Pebble Steel、Samsung Gear、なども続々と「スマートデバイス」を投入してきており、さらにフィットネス専用デバイスを進化させつつあるFitbitなども存在感を示しているところだ。

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(翻訳:Maeda, H


ウェアラブルに新しい波―The Dashはヘルス・センサーを組み込んだBluetoothヘッドフォン

ウェアラブル・テクノロジーもついに実用的な応用が始まったようだ。新しいKickstarterプロジェクトのThe Dashはこのトレンドの優れた例だろう。

これはBluetooth接続の耳道内装着タイプのヘッドフォンでありながらヘルス・センサー、パッシブ・ノイズキャンセル、マイクを内蔵している。パッシブ・ノイズキャンセル機能はオン、オフできるため、必要なときは外界の音もよく聞き取ることができる。マイクは骨伝導タイプで運動中などノイズの多い環境にも強い。誰もがヘッドフォンを(少なくともある時間は)使うのだから、持ち歩く必要のあるデバイスの数を減らすのにも貢献する。

The Dashは完全にワイヤレスなのでコードにわずらわされることがない。独立した2個のイアホンはBluetoothでスマートフォンに接続して使うことできるが、4GBのストレージを内蔵しているので音楽をアップロードして単体で使うこともできる。それだけでもアスリートには魅力的だが、The Dashには心拍、酸素負荷、エネルギー消費を計測するモニタを内蔵している。

再生、停止と音量調節は接続したスマートフォンからできる他、イアフォンの表面のタッチセンサーによってコントロール可能だ。

Dashの開発元のBragiはドイツのミュンヘンに本拠を置くスタートアップだ。BragiはAPIを公開し、救急隊員などの緊急対応や外国語での会話の補助、一般的な補聴器などのアプリを募って幅広い応用を狙っている。

現在The DashはKickstarterで26万ドルの目標に対して25万ドル以上を集めている。今後支援者がデバイスを入手しようとすれば199ドルからとなる。プロモーションのとおりに機能するなら、The Dashは多くのデバイスとセンサーをひとつのパッケージにまとめた便利さから大いに支持されるだろう。

出荷予定日は2014年10月となっており、実際に機能するかどうか知るためにはだいぶ待たなければならない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Bionymのウェアラブル製品ではユーザ本人の体(心臓の鼓動)が認証情報だ

ウェアラブルハードウェアの新しいコンセプトで注目を集めているトロントのBionymの製品Nymiは、心臓の鼓動の波形(heartwave)でユーザを認証する。その波形はその人と密接に結びついているので、盗まれることも失うこともありえないから、これまでにない強力なセキュリティ対策になりえる。今ではパスワード生成器という専用機もあるが、いったん作られたパスワードはふつうのパスワード同様、安全ではない。〔関連ビデオ。〕

トロントの同社本社でBionymのCEOで協同ファウンダのKarl Martinに会った。かなり狭い一つの部屋で技術者チームと一般社員が一緒に仕事をしている。しかしチームは急速に成長しており、近くもっと広い場所に引っ越す予定だ。でも、ハンダごてを握って最新の回路基板をテストしている連中と、電話でパートナーと打ち合わせなどをしている一般社員が一緒にいる光景は、なかなかおもしろい。

同社が最初の予約受付キャンペーンをしたのは9月だが、Martinはその後の進捗について説明してくれた。どうやら、万事順調なようだ。設計の最終決定はまだ遠い先のようだが、約1年前にMartinと協同ファウンダのFoteini Agrafiotiが作った最初のプロトタイプに比べると相当前進している。Martinが心に描くNymiの未来はとても明確で、その中には、着けている人が着けていることに/を気づかない/忘れる、という長期的目標もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


おむつ交換のタイミングを教えるウェアラブルデバイスをスペインのスタートアップが開発

今出回っているセンサ駆動のウェアラブル(着脱型)デバイスは、スポーツやフィットネスなどのために自分の体のデータを拾うものが多い。しかもそれらは、必要に迫られてというより、むしろデータを楽しむためだ。でも、人間がセンサを身につけることには、きわめて実用的な用途がたくさんある。ここでご紹介するのも、ある現実的な問題を解決するためのウェアラブルセンサ製品だ。

バルセロナのSiempreSecos(英語ではAlwaysDry)が作ったシリコン製の尿センサは、赤ちゃんのおむつや、失禁症で悩む高齢者のために使用する。従来、おむつのチェックには、不便さや当人の不快感が伴いがちだった。

何度でも繰り返し使えるシリコン製の水分センサをおむつに付け、介護者は、自分の腕に着ける腕輪や目覚まし時計型の警報装置で、おむつが濡れたことを知る。

同社によると、“868MHzの電波を独自の通信プロトコルで使用し、きわめて低電力で双方向通信を可能にしている。センサの電池交換はできないが1年はもつ。腕輪(ブレスレット)のli-pol電池はmicroUSBで充電できる。警報装置はソケットに差し込んで使う”、ということだ。

SiempreSecosの重点市場の一つが、介護施設だ。このデバイスを使うと、認知症などの患者に、あまり深く関わらずにおむつ交換を対応できる。複数の患者をモニタするためには、PC用のアラートプログラムを使用する。

また、家庭で赤ちゃんや高齢者のおしっこをモニタするためには、おむつ替えのタイミングを振動で知らせるブレスレットを使う。ブレスレットは、おむつの“湿度”を表示する。

お値段は、家庭で単品で使う場合は35ユーロ、施設用のプロフェッショナルモデルの10個セットが520ユーロだ。

同社は昨年、研究開発に4万ユーロを投資し、加えて25000ユーロの融資も受けた。しかし生産と流通を本格化するために同社は今、クラウドファンディングのサイトIndiegogoで資金を募集している(目標額2万ユーロ)。ただしこの場合、目標額に満たなくても、同社は資金を受け取ることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))