欧州のインシュアテックWefoxが4倍程度の申し込みを受け約3300億円の評価で715億円獲得

ドイツのスタートアップWefox(ウィーフォックス)が、Target GlobalがリードするシリーズCの資金調達ラウンドで6億5000万ドル(約715億円)を調達した。この資金調達ラウンドで、同社のポストマネーのバリュエーションは30億ドル(約3300億ドル)に達した。Wefoxは、家財保険、自動車保険、個人賠償責任保険などの個人保険商品に注力するデジタル保険会社だ。

「当初調達希望額をはるかに超えました。非常に迅速なプロセスとなり、実質的に4倍程度の申し込み超過になりました」と、共同創業者兼CEOのJulian Teicke(ジュリアン・テイッケ氏、写真右)は筆者に語った。

2019年12月、同社のバリュエーションは16億5000 万ドル(約1815億円)だと報じられた。そして同社は、今回の資金調達ラウンドは、史上最大のシリーズCラウンドの1つであり、より具体的には、インシュアテック企業にとって最大のシリーズCラウンドである可能性が高いと述べた。

「既存の大口投資家のほぼ全員が参加しました」とテイッケ氏は語った。OMERS Ventures、G Squared、Mountain Partners、Merian、Horizo​​ns Ventures、Eurazeo、Mubadala Capital、Salesforce Ventures、Speedinvest、CE Innovation Capital、GR Capital、Seedcampはすべて、今回のラウンドに再び参加した。新しい投資家には、FinTLV、Ace & Co、LGT、および関連するインパクト投資プラットフォームの Lightrock、Partners Group、EDBI、Jupiter、Decisive が含まれる。

「私たちは超多額の資金を調達しただけでなく、非常に短期間で資金を調達しました。すべてのコミットメントを得るのに合計4週間かかりました」と、共同創業者でCFOのFabian Wesemann(ファビアン・ベスマン氏、写真左)は筆者に話した。

Wefoxは、規模が拡大するにつれ開発を反復し、より多くの収益を生み出すことができると信じている。次のレベルに到達するには資本が必要だ。「私たちは、インターネット以前の時代には立ち往生していた5兆2000億ドル(約572兆円)の産業に取り組んでいます。私たちにとってのコア市場で業界をディスラプトする方法を見つけました」とテイッケ氏はいう。

だがWefoxは従来の保険会社と何が違うのか。同社は、消費者に直接保険を販売する会社ではない。ほとんどの保険商品は依然として代理店が販売しており、同社はこれがすぐに変わることはないと考えている。

Wefoxが自社の商品を独占的に販売する700の代理店を抱えるのはそのためだ。また、アソシエイトブローカーとも提携しており、約5000社が同社の商品を販売できる。

「業界の人々は、人間の代理店は死んだと言っているようですが、私たちは、人間の代理店がこれまで以上に重要であると考えています」とテイッケ氏は語る。

2020年だけでも、同社は1億4000万ドル(約154億円)の収益を上げた。同社グループの保険キャリアであるWefox Insuranceを見ると、2020 年に黒字となった。グループ全体では「2023 年までに利益を計上する予定です」とベスマン氏は述べた。

この急速な成長率と黒字への明確な道筋の両方が、Wefoxに野心的なロードマップがあることを示している。リヒテンシュタインでライセンスを取得したフルスタック保険会社として、Wefoxはライセンスを他の欧州諸国に持ち込むことができる。同社は現在 5カ国の市場に進出しており、近々イタリアへの拡大に取り組んでいる。

Wefoxは、新しい市場に加え損害保険、ペット保険、健康保険、生命保険などの新しい保険商品の販売を計画している。もしあなたが保険商品について考えているのであれば、Wefox がすでに取り組んでいる可能性がある。「2021年は約20の新しい保険商品を発売します」とテイッケ氏は述べる。

流通は各国で顧客と向き合う現地代理店が分散管理しているが、保険商品は集中管理されている。同社は、収益性によって商品に優先順位を付け、商品リストを上から1つずつ見ていく。

最後に、Wefoxは管理コスト削減に関して野心的な計画を立てている。同社は、共通のプロセスをアルゴリズムによって処理するべく自動化に投資してきた。現在、同社のプロセスの80%は自動で処理される。新商品を立ち上げる際にはプロセスを適応させる必要があるため、これは終わりのないプロセスとなる。

Wefoxは予防にも取り組んでいる。同社は、まず悪いことが起こるのを防ぐために、パリにAI チームを編成した。保険会社ではいつものことだが、カスタマージャーニーのすべてのレイヤーとステップを最適化して、既存の商品とは一線を画すことがすべてだ。

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画像クレジット:Wefox

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi