Googleが日頃のお返しに$2MをWikipediaに寄付

Googleは長年、そのほかの多くの企業と同じく、コンテンツをWikipediaに依存している。そこで今度は、GoogleとGoogle.orgがお返しをする番だ。

Googleのチャリティー部門Google.orgの代表Jacquelline Fullerが今日、Wikimedia Endowmentへの200万ドルの寄付を発表した。別途110万ドルの寄付が、Wikimedia Foundationへ行く。それはGoogleの社員たちの意思で、GoogleからWikipediaへ直接寄付が行われるようになったためだ。Wikimedia FoundationはWikipediaを支える非営利団体、Endowmentはファンド(基金)だ。

Wikimedia Foundationがブログに書いている: “GoogleとWikimediaは多様なユーザーの役に立ちまたその多様性を反映しているインターネットにおいてそれぞれ、ユニークな役割を演じている。われわれは今後もGoogleとの協働関係を維持し、世界中のコミュニティとの密接なコラボレーションを継続していきたい”。

GoogleとWikipediaは、寄付による関係にとどまらず、Project Tigerの拡張でも協力している。それは、Wikipediaをより多言語化する企画だ。そのパイロット事業では、12のインド語群言語で書かれた、各地域に関連するコンテンツの量を増やした。今後はさらに、10の言語に対応する予定だ。

“編集者を支援して情報や知識の量を増やしていくだけでなく、Wikipediaを今後の何世代にもわたって支持し支援して、未来の人たちが十分有益に利用できる状態を維持する努力も重要だ”、とFullerはブログ記事で言っている。

3月にGoogle傘下のYouTubeは、Wikipediaからの情報をもとに、陰謀的なビデオと闘うことを決めた。そのときWikimediaの事務局長Katherine Maherは、Wikipediaを利用する企業がそのお返しをするとよいのだが、と述べた。

そのときMaherはこう言った: “世界中の人たちにWikipediaを利用し、共有し、加筆し、リミックスしてほしい。それと同時に、Wikimediaのコンテンツを利用する企業には持続可能性のためにお返しをしてほしい”。

GoogleはこれまでWikimediaに累計で750万ドルあまりを寄付している。たとえば2010年にはWikimedia Foundationに200万ドルを助成した。しかしGoogleがWikimedia Endowmentに寄付するのは、これが初めてである。この基金は、Wikimediaの長期的な成功を支えている。

Wikimedia Foundationにお返しをしているのは、Googleだけではない。昨年晩くにはAmazonが、Alexaの情報アシスト能力がWikipediaに相当依存していることを認めてWikimedia Endowmentに100万ドルを寄付した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon、Wikimediaに100万ドルを寄付

今年3月、本誌はWikimediaにこんな質問をした、 「Wikipediaを利用している企業はお返しをしているか?」。答えは、一応イエス、ただしひとつの例外を除いて。「Apple、Facebook、Microsoft、およびGoogleはそれぞれ、従業員からの寄付に上乗せする形でおよそ5万ドルを寄付している。一方、Amazonはそのリスト上のどこにも見つからない」

しかし本日、オンライン小売の巨人は、見落としともいえるこの問題に目を向け、Wikipediaの運営母体であるWikimedia Endowmentに100万ドルを寄付すると発表した。同社によると、同オンライン百科事典はAlexaの成功に著しく貢献しており、AIアシスタントの持つ知識の大部分を支える基盤となっている。

「Alexaは質問に答えるために何百という情報源を活用しており、Wikipediaもその一つだ」とAmazonがTechCrunchに宛てた声明で言った。「AlexaチームはWikipediaおよびWikimedia Foundationと同じようなビジョンを共有している:全世界で簡単に知識を共有できるようにすることだ」

Wikipediaを「何百もの情報源」の一つとするのは、Alexaや多くのライバルたちにとっての同サイトの重要性を軽視しているようにも思えるが、Amazonの巨大な金庫から寄付を得たことは、非営利団体であるWikimediaにとって重要な意味を持つ。

さらにAmazonは、新たなスキル「Alexa、Wikipediaに寄付して」を使って、ユーザーも募金に参加することを望んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Wikipediaを利用している企業たちはそのことに報いているのか?

企業は情報をソースとしてのWikipediaに大きく依存しているが、それは必ずしも双方向ではない。

Wikipediaの情報を使って、陰謀論ビデオと戦おうというYouTubeの計画は各方面からの反対を巻き起こした ―― 驚くべきことにWIkimedia自身からも懸念の声は挙がった。どうやらGoogleは、今月初めにこの計画をSXSWで発表する前に、Wikimedia財団に対してこの計画について何も知らせていなかったようなのだ。あーあ。

WikimediaのエグゼクティブディレクターKatherine Maherはこれに対し、クラウドソースで作り上げられた情報は真に自由利用が可能だが、まあ、もしそれを利用する企業が少しでもお返しをしてくれるなら嬉しい、と冷静に繰り返した。

「Wikipediaのコンテンツは、誰でも自由に使えるようにライセンスされています」とMaherは書いている。「それが、どんな人でも自由な知識を分かち合えるという、私たちのミッションの一部なのです。世界中の人々がWikipediaを使い、共有し、追加し、リミックスすることを願っています。同時に、私たちは、WIkimesiaのコンテンツを使用する企業が、持続可能性の精神の下に、何らかの寄付を行うことを奨励しています」。

もちろん、GoogleがWikipediaの貢献者や編集者たちの、一連の仕事を利用したのは、今回が初めてではない。最近は、このサイトに蓄積された、一般人の編集による豊富な知識は、良くも悪くも、多くの広く使われるサービスのバックボーンになっている。特にスマートアシスタントたちによる利用が目立つ。AlexaやSiriに英国の女王は誰かと聞いてみよう。どちらもこの情報を同じ場所から引き出して来るだろう。

先週の初め、Wikimediaの歳入担当者Lisa Gruwellは、TechCrunchに対して、このような使い方は、正式な関係を通して行われているものではないと語った。ほとんどの企業は、多かれ少なかれAPIにアクセスして、その幅広い知識を活用している。もちろんそれは手軽で、Wikimediaのフェアユースルールの中では何の問題もない。しかしMaherの発言と同様に、歳入担当者も一方的な関係にある種の懸念を表明した。

「私たちのコンテンツは利用されるために存在しています」とGruwell。「それは自由にライセンスされていますが、目的をもって自由にライセンスされているのです。同時に、それは環境のようなものです。それは使われるためのものですが、搾取(exploited)されるためのものではありません。私たちは、コンテンツを使って何らかの返礼を行ってくれる人たちを、本当に必要としています、それが私たちが奨励しているものです。一部の人だけにアクセスを許す有料の壁はありません。私たちはデータに対しては請求を行いません。もし余裕があるならば、私たちは寄付をお願いします、しかし、もし余裕がなくても、変らず利用することができます。それは私たちが読者に皆さまと結んでいる社会的契約のようなものです」。

もちろん「搾取」(Exploitation)というのは、Wikipediaのようなものの性格を考えると難しい表現である。NPR(National Public Radio:公共ラジオ局)やPBS(Public Broadcasting Service:公共放送サービス)のように、誰に対しても自由に提供されるサービスだが、Wikipediaは存続するために慈善寄付に依存している。スマートアシスタントたちは確かにその情報ベースを活用するという点では、適用されるルールに従っているが、その現在の使われ方では最終的にWIkipediaへ及ぼす影響は限定的なものとなる。

主に音声を利用するAlexaの様なものの場合、Wikipediaが引用されているとしても、元となる情報素材への直接の関係はない。つまり、ユーザーは元になるソース(WikipediaのDNAである重要な部分)を直接見ることはできない。また、Wikimediaからの寄付情報も前面にも中心にも出ることはない。

「まるで『ロラックスおじさんの秘密の種』(Dr. Seuss’ The Lorax)のようだと言いたいわけではありませんが」とGruwell。「もし何かを使いすぎて、それに対して何も返さないなら、害をなすこともあるでしょう。AlexaとSiriの場合、私たちのコンテンツは仲介されているわけです。Wikipediaが上手くいくのは、みなさんがそれに貢献することができ、それを編集することができるからです。そして私たちがお願いするのは年に一度ですが、みなさんは寄付を行うこともできます。みなさんが、私たちの持つ情報を、私たちからではなくSiriやAlexaのようなものを通して得ているときには、編集者として何かを返す機会は失われていますし、活動に貢献したり、寄付したりという機会も失われているのです」。

財団に対する支援の大半は、平均10ドルを支出する600万人のユーザーから寄せられたものである。Gruwellによれば、企業からの支援 (各種財団からのものを除く)は、同財団に対する寄付金の約4%を占めている。もちろん、匿名の巨額資金提供者の一部が、これらの企業と直接関係している可能性もあるが、企業からの寄付のリストには少々驚かされる。

2017-2018会計年度の数字は次の通りである:

  1. Google(100万ドル以上)
  2. Humble Bundle (45万6000ドル)
  3. Craigslist財団(25万ドル)
  4. Cards Against Humanity (3万5000ドル)

Gruwellによれば、最近のYouTubeを巡る騒ぎにもかかわらず「大手の大手インターネット企業上位5社のうち、Googleとの関係は遥かに良いものです。彼らが私たちの組織に貢献している点と、一般的に私たちと協力するやり方の両方で。多くの場合に、彼らは私たちに接触し、私たちと協力していると言うことができます。私たちは彼らとパートナーシップを結んでいます。私はそれは他のものと比べて、確かに良い関係だと思っています」。

他の大きな企業も、マッチングドネーション(集まった寄付金に企業が上乗せして寄付を行うこと)を使って貢献している。Apple、Facebook、Microsoft、そして(ここでも)Googleはそれぞれ、従業員からの寄付に上乗せする形でおよそ5万ドルを寄付している。一方、Amazonはそのリスト上のどこにも見つからない。

政界のあらゆる団体が互いに「偽のニュース」を叫んでいるこの時代に、情報源の引用と事実の確認はますます重要になっている。最も注目されているトピックであっても中立性を維持しようとしているため、その両者(引用と確認)は長い間、Wikipediaの基本的な特性だった。

「インターネット上のあらゆるプラットフォームと同様に、私たちは懸念していますし、時には悪い連中と向き合うことになるかも知れません」とGruwellは言う。「そうした懸念は事実です。私たちは、悪意ある貢献を検出するための機械学習ツールといったツールを構築しようとする過程で、多くのことに対処しました。私たちのコミュニティでは、そうしたツールが特定のページを見張っています」。

スマートアシスタントとして、YouTubeなどはますます日々の生活の一部となっている。そしてWikimediaがその中で果す役割はますます重要になっているのだ。そして「寄付のなる木」は存在しないことに留意したい。

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(翻訳:Sako)

YouTubeは陰謀論退治にWikipediaを使う――Wikimedia財団では計画を知らなかった

YouTubeには「飛行機雲は有害な薬品を散布している」や「月面着陸は捏造」といったたぐいの陰謀論が横行している。YouTubeではこういう陰謀論を退治する機能を準備していることを発表した。陰謀論がアップされた場合、それに関連するWikipediaの記事にリンクするというもので、ひとつの努力には違いないが、あまり優れたアイデアとは思えなかった。

この記事も含めて、YouTubeのプランに対する批判は要するに「有害なコンテンツを除去する責任をボランティアによって運営されるサードパーティーの組織に転嫁しようとしているのではないか?」というものだ。しかし今日(米国時間3/14)明らかになったところではそのサードパーティーは責任を転嫁されようとしていること自体知らなかったようだ。

Wikimedia Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、Katherine Maherは、 YouTubeの計画はWikipediaの組織とは関係なく、「YouTubeが独自に行う」ものだとツイートした。その後、Wikimediaは公式声明で、「われわれは事前の告知を受けていなかった」と述べた。

わかりません。われわれとは独立にYouTubeが独自に行うものです。

もっともWikimedia側ではコンテンツが有害な陰謀論を追放し、正確な知識を広めるために役立てられることをおおむね歓迎している。しかしYouTubeがこの計画をSXSWで発表する前になんらかの接触があってもよかったと考えているようだ。

もしかするとYouTubeが事前に連絡できなかったのはイルミナティに口止めされていたのかもしれない。飛行機雲の件でか、月着陸の件でか定かでないが…

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Wikipedia、途上国向け無料アクセスプログラムを終了へ

Wikipedia Zeroのスタートから6年、Wikimedia Foundationはプログラムを終息させようとしている。2012年に発表された同プログラムは、携帯電話キャアーと提携することによって、通信料金が障壁となっている途上国でもWikipediaの無限の情報を利用できるように、通信コストを免除しようとする試みだった。

Wikimedia Foundationによると、これまでに同プログラムは72カ国で97の提携キャリアーを通じて8億人以上に無料アクセスを提供してきた。しかし「北米・ヨーロッパ以外でのWikipediaの認知度の低さ」がプログラム終了を決定する主要因だったと同財団は言っている。モバイルデータ料金の変化も要因の一つだ —— Wikimediaによると、Wikipedia Zeroプログラムへの関心と利用回数は2016年以来急激に下がっている。

このため、今年は新しい提携は行われず、既存契約分も期限がくれば終了する。一方で、同財団は途上国を支援する別の方法を探っており、さまざまな国々でWikipediaのミッションの認知度を高めるためのキャンペーンも行っている。ブログ記事には、イラクとナイジェリアで進めている提携事業について書かれている。

「ここでの成功によって、今後の提携のアイデアがいくつか生まれた。これからはわれわれの調査結果やWikipedia Zeroプログラムから得た経験を生かして、パートナーとの共同作業を進めていきたい」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Wikipediaが、企業等から報酬を得て宣伝的記事を書いていた、数百名の悪質エディタのアカウントを停止

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Wikipediaのコンテンツはボランティアが書いているが、ときには、それが仇(あだ)となることがある。今朝(米国時間9/1)同団体は、Wikipediaの英語バージョンのボランティアエディタ381名のユーザアカウントを停止した、と発表した。彼らの容疑は、“特定のグループや企業等に有利な記述を報酬をもらって書いていたこと”だ。たとえば彼らは、この、ユーザが自由にエディットできる百科事典に宣伝記事を書き、そのことで報酬を得ていたことを、隠していた。

この件に関するエディタコミュニティのディスカッションによると、彼らいわゆる‘靴下人形(sockpuppet)’たちは、かなり前から跋扈していた。怪しげな行為に対する調査は7月に始まり、4月から8月までのエディットを調べた。ちなみにこの調査活動のことを、最初に見つかった靴下人形のアカウントにちなみ、”Orangemoody”と愛称している。しかしそれらのエディットの内容は、報酬を得るエディットが相当前から行われていることを、示唆していた。

それらの記事は、企業や企業人、アーチスト関連のものが多くて、偏った情報や誤報、出典が明記されていない…あるいは根拠のない…材料、著作権侵犯らしきもの、などがほとんどだ。Wikipediaの上位団体Wikimediaのブログが今朝、そう説明している。

これらの靴下人形たちが独自に作った210の記事も、削除された。しかし210は、‘それらのすべて’ではないようだ。

ディスカッションのページでは、“このリストは完全ではない。時間的制約があったため、調査の網にかからなかった靴下人形記事もまだ相当あると思われる”、と説明されている。

 

このpaid advocacy(報酬を伴う好意記事)と呼ばれる記事やエディットにWikipediaが直面したのは、これが初めてではない。Wikipediaはもちろん、不偏不党で正確で信頼に足るリソースを目指しているが、2013年の10月には、同団体のボランティアたちが、コンサルティング企業Wiki-PRと結びつきのある数百のアカウントをブロックした。そのときWikipediaはその企業に、業務停止を命ずる書簡を送った。同社は、“Googleの検索結果でトップに来るような記事タイトルを作ってあげる”、と宣伝していたのだ。

Wikipediaによると、同社との結びつきのある300のアカウントを停止した。一方Wiki-PRの方は、その仕事に関わっていたのはわずか45名だ、と主張した

今回停止したアカウントは381だから、前回の300よりは多い。また今回の件でおもしろいのは、ここでもやはり、記事のタイトルや主題が問題になっていることだ(後述)。またこれらの新しい靴下人形たちは、報酬をもらって記事の内容を操作したり新しい記事をポストしただけでなく、月額30ドルで、顧客の記事が削除されないように守る、というサービスを提供していた。

“拒否された草稿や、ときには削除された記事から、‘見込み客’を見つけて接近することが、彼ら靴下人形たちの最新の営業テクニックのひとつだった”、とディスカッションページで説明されている。“記事を‘保護する’ことも、彼らの重要な収入源になった。そのために靴下たちは、わざと、ページの削除をリクエストするのだ”。

この悪事に企業がからんでいたのか、その点をWikipediaは明らかにしていないが、しかしその注記によると、靴下たちが行ったエディットはどれもよく似ているので、一定の指揮下にあるグループがやったことに違いない、ということだ。

問題は記事の編集に報酬が伴ったこと自体ではなく、その場合のガイドラインに従っていないことだ。たとえば多くの博物館、美術館、大学などは、職員の企業等との結びつきを事前に情報公開しなければならないし、また顧客のためのページをメンテしているPR企業は、Wikipediaの、報酬を伴うエディティングのガイドラインサインしなければならない。 Wiki-PRのスキャンダルを契機に作られたガイドラインは、企業やそこの人間に関する記述をエディットするときは倫理的に振る舞うべし、と規定している。

またPR企業等は、記事の主題(企業名等)との関わりを情報公開し、変更に関しエディタたちと協働しなければならない。今回アカウントを停止されたグループは、何も情報公開しなかった。それが目下の、より大きな問題だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WikipediaなどWikimedia FoundationのサイトがデフォルトでHTTPSを採用…政府機関による検閲などを抑止へ

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【抄訳】
Wikipediaなどの重要なwikiプロジェクトをホストしているWikimedia Foundationが今朝(米国時間6/12)、今後はすべてのサイトのトラフィックをHTTPSにより暗号化する、と発表した。同団体によると、これにより各国の政府などがユーザトラフィックをモニタすることが困難になり、またISPがWikipediaなどの記事を検閲することも難しくなる。

同団体は2013年に、サイトのアカウントを持つログインユーザのトラフィックに関してはHTTPSを実装したが、そのとき、中国やイランなどトラフィックのHTTPS化が難しい国に関しては、ログインユーザに対しても従来どおりのアクセスを認めた。

しかし今日のWikimedia Foundation(WF)の報告では、同団体はHTTP Strict Transport Security(HSTS)を使用して、トラフィックをHTTPS破りから保護する、と言っている。

同団体はネットワークのインフラストラクチャの弱い国でも、レイテンシなどの問題がなるべく起こらぬよう、HTTPSの構成等に細心の配慮を講じているが、しかし事務局長のLila Tretikovが以前インタビューで語ったように、まさにこのインフラの格差という問題こそが、これまで暗号化によるユーザ保護をためらってきた原因だ。したがって実際に起きる影響を、今後も見守っていく必要がある。

今日WFが発表した談話によると、“中国ではここ数週間、中国語WikipediaはHTTPとHTTPSの両方で、多くのユーザにとってアクセス不能になっている。しかし、香港や台湾など一部の、アクセスできているユーザにとっては、HTTPSがセキュリティの向上に資すると思われる。また、中国でも英語版Wikipediaにはアクセスできるので、英語版の利用に関しては、ユーザはHTTPSのセキュリティ効果に浴することができる”、ということだ。

ユーザがトラフィックのHTTPS化をオプトアウトする方法は、2013年のときと違って提供されていないが、そのために政府等がユーザのWikipediaアクセスを妨害することがより困難になるはずだ、とWFは言っている。

また同団体は、ブラウザプラグインHTTPS EverywhereによるHTTPS化を、4年前からサポートしてきたことにも触れている。またユーザが大手の検索エンジンからリダイレクトされてWFのサイトにアクセスした場合も、HTTPSをサポートしていた。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa