リンクのつながり(スレッド)はアートだ作品だ、と主張するSimCityのWill Wrightがその制作アプリを発表

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SimCityの作者Will Wrightが、THREDという新しいアプリを発表した。ただしそれは、ゲームではない。

Wrightの説明によるとそれは、“World Wide Web”(全世界的蜘蛛の巣)と呼ばれるものを、まさしく全世界的な蜘蛛の巣としてブラウズするためのツールだ。THREDでは、Web上のいろんなコンテンツ(ゲーム、写真、位置情報、etc., etc.)の断片をリンクで縫い合わせてスレッドを作り、それをCover Flowのように閲覧する。

各スレッドは、その中にいろんな写真や位置情報などがあり、それらがさらにほかのスレッドにリンクしているので、「不思議の国のアリス」に登場するウサギの巣穴(rabbit hole)の入り口のようなものになる。オリジナルの作者以外のユーザも新たにリンクを加えることができるから、無限に近いつながりが形成され、まさしく‘全世界的な蜘蛛の巣’になる。

Wrightは曰く、“そんなスレッド集合は、その人の人間としての表現そのもの(アート作品)であり、しかも共有できるデータだ。それを、ぼくのような赤の他人がスマートフォンから閲覧できる。共有によって、自分のスレッドがほかの人のスレッドにもリンクする。そうやってWebのような構造を主にモバイル上で再創造し、モバイルデバイスから簡単にアクセスできるようにする”。

Wrightは創造力と想像力がとても豊かな人で、また彼が作るゲームには軽妙なユーモアが山盛りだった(WiFiルータを“FBI監視装置”と呼んだり)。彼自身が作ったスレッドをいくつか見せてもらったが、それらは現実のできごとを素材とする漫画本みたいなものだった。THREDのツールは完備しており、Wrightはそれによって作られるものを、“人生絵巻”(”graphic novel” of your life)のようなものだ、と言う。

彼は曰く、“自分が撮った写真や、行ったことのある場所などは、どれも外から見えるものだが、それらを素材にして絵巻物を作る。そしてそれらが人の頭の中にいろんな思いを喚起して、探究や共有を誘う。そんな触発的な関係の形成が、ストーリーの軸になる”。

Wright自身は、Simで、Webのコンテンツが作るコミュニティというものを体験した。Simはいわば、その後人気が出て成功したあらゆるフランチャイズの元祖中の元祖だ。そしてWrightの説では、プレーヤーの時間の大半はそのゲームに費やされていない。だいたい、ゲームに費やす時間1時間につき、3〜4時間はコミュニティと対話している。そこで、みんながカスタムコンテンツを作ったり、それらを共有したりしている。〔下図は複数の写真をリンクして作ったストーリー。〕

THRED mona lisa

コミュニティをゼロから作ろうとすると、時間もかかるし、努力が徒労に終ることもある。Wrightによると、THREDの新規ユーザは、これにやる価値があると納得するまで1分ぐらいかかるそうだ。つまりTHREDにはコンテンツをWebやソーシャルなチャネルでシェアする方法がいくつもあり、新しいユーザを惹きつけ、彼らに、自分もやってみよう、と思わせる力がある。そんな体験のことを彼は、FTUEと呼んでいる(“ファトゥーイー”と発音する)。

“それに要する時間は5分だ”、と彼は言う。

Wrightによると、THREDのチームにはツールの使い方を説明するためのコンテンツを作るスタッフもいる。ただしアプリそのものは軽くして、ほんの数タップで簡単にストーリーを作れるようにしたい。たとえば自分が撮った写真をスクロールバックしたり、カレンダー上に配置したり、写真の集まりでストーリーを表す機能などがある。

“インターネットを、Webを、ブラウズすることは今やエンタテイメントの一種だから、テレビなどそのほかのエンタテイメントが食われ始めている。しかしもっと強力なエンタテイメントにするためには、コンテンツ相互のお互いの接続性をもっと濃密にして永続的なものにする必要がある”、と彼は語っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa