UPSとドイツのWingcopterが共同で配達用多目的ドローンを開発

宅配大手のUPSがドイツのWingcopter(ウイングコプター)と共に、新しいタイプの配達用ドローンを開発している。米国でも世界でも今はロジスティクス企業のドローンによる配送が増えているが、新型機はその方面の需要を狙っている。Wingcopterはすでに電動の垂直離着陸機(eVTOL)を設計しており、最大航続距離約120kmで、許容最大風速は70mで最大約240km/hでフライトさせることができる。

Wingcopterは、UPSのドローンデリバリ子会社Flight Forwardと提携する。昨年の7月にできたこの子会社が、UPSの商用ドローンデリバリ事業を担当する。2019年10月にFlight ForwardはFAA(連邦航空局)から、荷物配達用ドローン専門の航空会社として認可を得ている。

Wingcopterはすでに、ドローンの商用利用のデモを終えており、例えば2020年始めに製薬企業Merckとのデモで、同社の自動操縦eVTOLによる小型荷物のドイツ国内Merk事業所間の配送に成功した。また、UNICEFなどの救援団体とのパートナーシップにより、僻地に医薬品や救命器具などを運んだ経験もある。

このコラボレーションには、Wingcopterの航空機を米国における商用配送に使用する認可を得る目的もある。認可が下りれば、今後両社はこの垂直離着陸タイプの多様な機種を開発して、いろんなニーズに応えていくだろう。ヘルスケアやホスピタリティ、小売業など、想定される需要分野は少なくない。

Wingcopterの主な利点は、ホバーリングや垂直離陸から低ノイズの前進飛行に切り替えができることだ。そのため人口過密地帯での利用に適している。同社のティルトローターの設計は、この垂直飛行と水平飛行をスムーズに切り替えられるだけでなく、雨や強風といった悪天候下でも安定飛行できるという利点もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドイツでトラックに代わるドローンによる社内輸送の試行を実施

ドローンのスタートアップであるWingcopterは、提携先である製薬会社のMerck(メルク)およびフランクフルト応用科学大学と共同で、新しいドローン輸送サービスの運用テストを完了した。物理的に離れた社内施設間で小型貨物を運ぶ際に、トラックやその他の路上輸送に代えてドローンを使うことの利点を示すことが目的だ。今回の初フライトでは、ドイツのゲルンスハイムにあるメルクの研究施設から約25km離れたダルムシュタットの本社まで顔料サンプルを運んだ。

この試行にはいくつもの重要な意味がある。現地は比較的密集した都市部にあり、送電線、鉄道、道路などの上を飛行しなければならない。またこの実験では、継続的な視界を確保せずに実施されたが、有視界飛行は現在ほとんどの商用ドローン輸送テストで必須だ。提携各社はこれが世界中で行われている同様のパイロットプロジェクトの参考事例になることを望んでいる。

今後、同プロジェクトはさらに輸送テストを重ね、実験結果をまとめて3月に報告する予定だ。トラックに代えてドローンを使用することは、時間(1日が1時間になることもある)、排出ガス、さらには重くて燃料を食う大型トラックを空で戻す無駄を省くこともできるなどのメリットがある。

WingcopterのCEOであるTom Plümmer(トム・プルマー)氏はプレスリリースで、さまざまな利用場面でのドローン配送の利点を「繰り返し実演」してきたことを強調し、救急救命医療品を遠隔地に届けたことにも言及した。米国では、Alphabet傘下のWingがFedExとの提携で実施した試験、UPSがMatternetと共同配送した例などがあるが、今回の商用試験は一般消費者の賛同を必要としない点で、短期的にはチャンスが大きいかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook