企業秘密を盗用されたと主張するWisk AeroのArcher Aviationに対する仮差止請求を連邦判事が却下

米国時間7月22日、電動航空機のスタートアップ企業であるWisk Aero(ウィスク・エアロ)は、競合企業のArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)に対する仮差止請求を、連邦判事に却下された。これは、Archerがその主力製品の航空機「Maker(メーカー)」の開発において、Wiskの企業秘密を盗んだかどうかをめぐり継続されてきた法廷闘争で下された最新の司法判断だ。

意見書の全文はまだ発表されていないものの、William Orrick(ウィリアム・オリック)判事は、先週初めに提出した仮判決の中で、Wiskが提出した「不正使用の証拠は、仮差止を正当化するにはあまりにも不明確である」と述べた。Wiskは5月に差止命令を要求しており、これが承認されると、Archerの事業は事実上、直ちに停止することになる。

Wiskは、Archerによって盗まれ、使用されたと主張する52件の企業秘密を裁判所に提出し、差止命令を求めることで、訴訟の最終判決が出るまでArcherがそれらを使用することを防ごうとした。これは異例の要求であり、オリック判事が不正使用のより確実な証拠を必要とすることは理に適っている。

オリック判事は暫定的な判決の中で「流用の疑いのある証拠はいくつかあるが、証拠が非常に不明確であることから、Wiskは差止命令という特別な対策を受ける権利はない」と述べている。「なぜなら、それらの真価が非常に不明確であり、Wiskは不正使用に基づく回復不能な損害を十分に示すこともできていない。不正使用の確かな証拠がなければ、差止命令はArcherの事業を大きく脅かすことになるため、不利益の比較衡量はArcher側の有利となる」。

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Wiskでは、差止命令に関する裁判官の判断は、訴訟の結果とは関係がなく「少なくともArcherを免責するものではない」と述べている。

「我々は、WiskのIPが盗用されたという確かな痕跡に基づいてこの訴訟を提起しました。そして、今日までの司法手続きを通じて集められた初期の限られた証拠は、ArcherによるWiskの企業秘密の不正流用が広範囲におよび、Archerの航空機開発に浸透しているという、我々の確信を裏付けるものに他なりません」と、Wiskは続けて述べている。「本日の判決を受け、Wiskは本格的に証拠収集を開始します」。

Wiskは2019年に、Kitty Hawk(キティホーク)とBoeing(ボーイング)の合弁会社として設立されたが、その電動航空機開発の歴史はもっと前までさかのぼることができる。同社はもともと2010年にLevtという会社として設立され、後に姉妹会社のKitty Hawkと合併した。Wiskによると、同社は(Kitty Hawkとして)2016年に固定翼に12ローターを採用した機体の設計に着手したという。同社がてがけた最初の航空機である「Cora(コーラ)」は、この設計が中核となっている。

それと対照的に、Archerはこの分野では新参者だ。4月に提出されたWiskの訴状の大部分は、Archerがそのエアタクシーサービスを市場に投入する速さを根拠としている。Archerはまた、多くの元Wiskのエンジニアを採用している。その中には元社員のJing Xue(ジン・シュ)氏も含まれており、Wiskでは同氏が退社前に5000件近くのファイルをダウンロードし、それをArcherに渡したと主張している。

シュ氏は反対尋問を受けた際、現在進行中の連邦捜査を理由に、憲法修正第5条を主張し、自己負罪拒否特権を行使した。

Archerによると、Wiskは訴訟の中心的な主張であるArcherがWiskの企業秘密を受け取って使用したことを示す実質的な証拠を提出していないとのこと。Archerの副法律顧問であるEric Lentell(エリック・レンテル)氏は、Wiskの主張は「陰謀論と明らかな虚偽」に基づいていると述べている。

Archerの共同設立者であるBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドシュタイン)氏は「Archerの勢いと革新の速さを認識したWiskが、自らの成功の欠如を補うために、我々の足を引っ張ろうとして、司法および刑事司法制度を悪用し始めたことは、本件におけるWiskの行動から明らかです」と述べている。

裁判所は8月11日にスケジュール調整会議を開き、そこで裁判官が本件の次の段階について概要を説明する。裁判の日程はまだ決まっていない。

この訴訟は、米国カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に、事件番号5:21-cv-2450として提訴されている。

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画像クレジット:Youibot / Wisk Aero

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

eVTOLのArcher AviationがライバルWisk Aeroからの企業秘密流用の嫌疑対する差し止め請求に反撃

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)が、競合相手であるWisk Aero(ウィスク・エアロ)から受けている企業秘密流用の嫌疑に対して、対抗活動を強化している。2021年6月初めに、eVTOL(電動垂直離着陸機)の「Make」(メーカー)を発表したArcherは、米国時間6月23日に提出した裁判資料の中で、WiskがArcherの航空機デザインを知ったのは、その特許意匠出願の数週間前だったと主張し、Wiskのデザインを盗んだという主張を実質的に覆した。

Wiskは4月の訴訟で、自社のデザインがArcherのものとほぼ同じものであり、その類似性は、Wiskの元従業員(後にArcherに採用された)が、Wiskで作業に使っていたファイルを盗んだ結果であると主張していた。今回の新たな申請では、Archerが採用を検討していたWiskのシニアエンジニアのGeoff Long(ジェフ・ロング)氏に対して、12ローターを搭載したチルトデザインの計画を共有したのだと主張し、そしてArcherは、Wiskが特許を出願する数週間前に、ロング氏がそのArcherの計画をWiskの幹部に伝えたのだと主張している。

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まだ話についてこれているだろうか?また、Archerは、第三者に依頼してフォレンジック分析を行ったところ、Archerのシステムや、Wiskの元社員だったロング氏が所有するデバイスに、盗まれたとされる文書の証拠は一切見つからなかったとしている。

今回の申請は、ライバルのArcherによって盗まれたとWiskが主張する52のトレードシークレットの使用を、直ちに禁止するよう裁判所に要求した5月の差止命令に対抗するものだ。この要求は、Archerに壊滅的な影響を与える可能性があり、Archer自身もそのことを申請書の中で認めている。Archerは、差し止め命令が承認されると「無期限に活動停止」となり、Archerとそのパートナーやサプライヤーのネットワークに「重大な危機」が生じると主張している。

Archerは申請書の中で「Wiskの訴訟とメディアを使った攻撃は、Archerが予定している合併とそのビジネスパートナーシップを頓挫させる恐れがあり、Archerはこの訴訟に対抗するために多大な資源を振り向けざるを得ない」と述べている。さらにArcherは、差止命令が出される場合には、11億ドル(約1218億5000万円)の保証金が差し出されるべきだと要求した。裁判所がArcher側の主張を受け入れた場合にはWiskはその金額を支払わなければならない。

今回の申請を受けてWiskは、TechCrunchに以下の声明を送ってきた「Archerの今回の申請は不正確なものばかりで、同社が直面している深刻かつ広範な不正使用の訴えから目をそらそうとしているものです。今回の申請によって変わるものはありません。ArcherがWiskの知的財産を不適切に使用したことを明らかにするために、法廷で訴訟を続けることを楽しみにしています」。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地区の米国連邦地方裁判所に提訴されていて、事件番号は5:21-cv-2450である。

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

飛行モビリティWisk Aeroが特許侵害と企業秘密盗用の疑いでArcher Aviationを提訴

Kitty Hawk(キティ・ホーク)とBoeing(ボーイング)の合弁会社で、飛行モビリティを手がけるWisk Aero(ウィスク・エアロ)は、米国時間4月6日、Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)を相手取り、特許侵害と企業秘密の横領を主張する訴訟を起こした。

Wisk Aeroは訴状の中で、Archer Aviationが機密情報と知的財産の「大胆な窃盗」を行ったと主張している。この訴訟では、2021年2月にArcher Aviationが初めて発表した電動航空機のデザインが、Wisk Aeroの潜在的なデザインの1つをコピーしたものであると指摘。そのデザインは2020年1月に米国特許商標庁に提出されており、類似点があまりにも多く、偶然の一致ではないとWisk Aeroは主張している。

さらにWisk Aeroは、Archer Aviationが同社の元エンジニア10名を雇用した後に行われた捜査で、そのうちの1名が退職前に数千ものファイルを密かにダウンロードしていたことが明らかになったと主張。別のエンジニアもファイルをダウンロードしていたと訴えている。

盗まれたファイルに含まれる情報には、システム設計、テストデータ、航空機のデザインなどが含まれていると、Wisk Aeroは4月6日に投稿したブログ記事で述べている。

「訴状で説明しているとおり、Archerが公開したデザインには、Wiskの長年による実験とモデリングに基づいた広範な空力試験と評価データに関する内部知見が反映されています」と、同社はブログ記事で述べている。「航空機全体のデザインが類似していることから、航空機の推進機関、電力管理、航空電子工学、飛行制御、製造方法に関連した特徴を含む、さらに詳細な設計上の特徴を、Archerが利用していることは明らかです」。

Archer Aviationは2021年、特別買収目的会社であるAtlas Crest Investment Corp.(アトラス・クレスト・インベストメント)との合併を2月に発表し、時価総額が38億ドル(約4171億円)に達するなど、いくつかの大きな勝利を掴み取っている。同じ2月に、このカリフォルニア州パロアルトを拠点とするスタートアップ企業は、顧客および投資家としてUnited Airlines(ユナイテッド航空)から10億ドル(約1100億円)の注文を獲得している。

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Archer Aviationの広報担当者は、TechCrunchに宛てたメールで次のように述べている。「Wiskが、従業員数名の離職の原因となったビジネス上の問題から目を逸らすために、訴訟を起こすことは遺憾です。原告がこれらの問題を提起したのは1年以上前ですが、徹底的に調べた結果、Wiskの独自技術がArcheに渡ったと信じるに足る理由はありませんでした。私たちは精力的に自らを弁護するつもりです」。

また、同社の広報担当者は、次のように続けた。「当社では、政府による調査と、ある従業員に対して出された捜査令状に関連して、その従業員を休職させました。この捜査は、その従業員が当社に入社する前の行為に焦点を当てていると、我々は考えています。Archerと、当該従業員が一緒に働いていた他の3名の従業員も、この捜査に関連した召喚状を受け取っており、全員が当局に全面的に協力しています」。

この刑事捜査のニュースを受けて、Wisk Aeroの広報担当者は「Archerがこの件に関する刑事捜査を開示したことは承知しており、当社は政府に全面的に協力しています。現時点ではそれ以上のコメントはありません」と述べた。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地方裁判所に、ケースNo.5:21-cv-02450として提訴されている。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)