気泡緩衝材をウールに置き換えることを目指すWoolaが3.2億円のシード資金を調達

毎年約550億個の小包が気泡緩衝材(いわゆる「プチプチ」「エアキャップ」etc.)とともに出荷されている。プラスチック製の気泡緩衝材は化石燃料に依存しており、プラスチック製のパッケージの98%は使い捨てにされる。こうしたプラスチックが環境へ与える悪影響は想像できるだろう。

Woola(ウーラ)の創業者は、オンラインのeコマースストアを運営していたときに、このパッケージングの問題を直接目にした。持続可能でスケーラブルな保護パッケージに選択肢がなかったことは、やがてウール(羊毛)の再発見へとつながった。これは、弾力性に富み温度と湿度を調整してくれる手つかずの資源だったのだ。

その結果、気泡緩衝材の代わりに、余った羊毛を使用する彼らのスタートアップが誕生した。彼らのウールベースのパッケージは、エンドユーザーによる再利用、転用、返送が可能だ。最終的な目的はソリューションを「閉ループ」にして廃棄されるものがないようにすることである。

Woolaはエストニアに生産施設を開設し、2020年12月に最初の製品を発売した。ウール製の封筒が、市場に出た最初の製品だった。現在製品は、英国、フランス、ドイツへ拡大している。2022年1月に発売される次の製品は、飲料会社を対象としている。

彼らはこのたび、Future Venturesが主導する250万ユーロ(約3億2000万円)のシードラウンドを行った。ラウンドにはさらに、Veriff(ベリフ)のCEOのKaarel Kotkas(カーレル・コトカス)氏、Veriffの共同創業者のJaner Gorohhov(ジェイナー・ゴロコフ)氏、VeriffのVPのKristinaLilleõis(クリスティーナ・リリワー)氏、Near Future Summit(ニア・フューチャー・サミット)の創業者のZem Joaquin(ゼム・ホアキン)氏、ブルーボトルコーヒー会長のBryan Meehan(ブライアン・ミーハン)氏が投資家として参加している。Woolaのこれまでの投資家には、Pipedrive(パイプドライブ)、Bolt(ボルト)、エンジェルファンドのLemonade Stand(レモネードスタンド)の共同創設者たちが含まれている。

WoolsのCEOで共同創業者のAnna-Liisa Palatu(アンナ=リサ・パラトゥ)氏は「気泡緩衝材は、何年もの間包装業界を支配してきましたが、その減少は避けられません」という。「この気泡緩衝材業界が駄目な理由は2つあります。1つは化石燃料への依存、そしてもう1つは使い捨てという発想です。パッケージングをより持続可能なものにするために、この両者を取り除く必要があるのです」。Jevgeni Sirai(ジェフゲニー・シライ)氏とKatrin Kabun(カトリン・カブーン)氏が共同創業者として加わっている。

Future VenturesのSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏は、次のようにコメントしている「eコマースが隆盛を誇る中で、使い捨てのプラスチックパッケージは手に負えないものになっています。Woolaは、それをすべて、これまでは燃やしたり埋めたりされていたスクラップウールを使った美しい封筒へと置き換えることができるのです。世界は、より健康的な未来のために、石油化学経済に代わる持続可能な手段を必要としているのです」。

羊毛は手つかずの資源だ。ヨーロッパでは現在年間20万トン以上の羊毛が廃棄されている。Woolaによると、これは世界の気泡緩衝材需要の120%を満たすのに十分な量だという。

スタートアップの競合相手は、Ranpak(ランパック)やS-Packaging(Sパッケージング)が提供するリサイクルペーパー製の気泡緩衝材などだ。

画像クレジット:Woola team

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)