WordPress.comが社内コミュニケーションツールのP2をリリース

Automatticの1部門であるWordPress.comが「P2」という新しいプロダクトをリリースした。これは非公開グループの内部コミュニケーションを向上させることを目的としたプロダクトだ。リモートで業務をしているAutomatticは、何年にもわたって社内でP2を使って非同期でコミュニケーションをとってきた。P2は長期間共有する投稿やオンボーディング用のドキュメントなどずっと利用される重要な書類を置いておく場所だ。

P2はWordPress上に構築されている。チームメンバー間で考えを共有するというコンセプトに基づいて大幅にカスタマイズされた、チーム向けWordPressのように思える。今や多くの企業が複数の社内コミュニケーションツールを利用している。P2はそうしたツールの一部を置き換えるものになるかもしれないが、コミュニケーションツールを完全に刷新することを目指しているわけではない。

例えばP2はSlackの競合ではない。リアルタイムのチャットには利用できないからだ。しかしP2を重要な通知の共有に使うことはできる。イントラネットのポータルに置いておくような通知のことだ。

画像クレジット:WordPress.com

P2は長期にわたるプロジェクトにも使うことができる。またチーム専用のP2を作ることもできる。この場合、P2はFacebookのWorkplaceやMicrosoftのYammerの直接の競合になる。非同期コミュニケーションの効果を上げるために、P2にはシンプルなWordPressのブログより便利な機能がいくつかある。

例えば、同僚に「@」付きのメンションで通知を送ったり、投稿をフォローして最新情報を受け取ったりすることができる。チェックリストの作成、PDF書類の埋め込み、重要なポストをホームページの最上部に固定、自分が離れていた間の情報のフォローといった機能もある。新規の投稿やコメント、自分宛のメンションを見るための専用メニューもある。

理論的には従来のWordPressのバックエンドにもアクセスできるものの、P2を離れなくても新規投稿を書いたり既存の投稿を編集したりコメントを付けたりすることができる。新しいブロックエディタで見出しやリスト、埋め込みのビデオやメディアを追加して視覚的に編集することができるようになっている。SquarespaceのエディタやNotionにちょっと似ているもので、参照している、あるいはコメントを付けようとしているコンテンツのすぐ横にある新しいエディタを活用するのは大いに理にかなっている。

常に参照できるコンテンツとして、特定の公開日を設けずコメントを付けられないドキュメントを作成する機能もある。このようなドキュメントはカテゴリーで整理され、全社で簡単に共有できる。社内のポリシーやガイドライン、重要な連絡先情報などのドキュメントに利用できるものだ。この種のドキュメントの管理にはGoogleドキュメントやGoogle Driveの共有フォルダを利用している企業が多い。P2はそうした共有フォルダの代替として情報の主要なリポジトリになる可能性がある。

デフォルトではP2のサイトは非公開だが、自社プロダクトの最新情報をクライアントと共有したい場合や、P2を公開イベントに利用したい場合は、サイトを公開することができる。

WordPressのエコシステムをよく知っている人なら、P2というWordPressのテーマをご存じかもしれない。米国時間8月6日に発表されたP2は新しいプロダクトで、以前のP2のアイデアをさらに推し進めたものだ。Automatticはこのコンセプトをイテレーションし、同社の1300人の従業員で912個もの社内P2サイトを利用してきた。

WordPress.comはP2インスタンスをホストして提供する。誰でもP2を無料で作成し、他の人を招待できる。WordPress.comは将来的には有料サブスクリプションで高度な機能を提供する計画だ。つまり、P2をSaaSプロダクトにしようとしている。その一方で、セルフホスティング可能なオープンソース版も引き続き提供される予定だ。

筆者はP2インスタンスをいくつか立てて使ってみた。デフォルトではWordPressの複雑さが隠されていて良いというのが全体の印象だ。目的が明確なすっきりとしたプロダクトで、全社的なメールとSlackの中で行方不明になりがちな通知の間を埋める存在として特に有効だろう。

画像クレジット:WordPress.com

画像クレジット:Dylan Gillis / Unsplash

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Facebook、Workplaceの有料ユーザーが200万人に達したと発表

Slackが株式公開し、今や8万5000社、1000万人のアクティブユーザーが日々、Slackで従業員同士のコミュニケーションを促進している中、Facebookは2月28日、自社のサービスのWorkplaceに関する最新の数字を発表した。Workplaceはエンタープライズに特化したプラットフォームで、Facebookはこのサービスの有料ユーザーが200万人に達したとしている。この人数には、非営利団体と教育機関が無料で使えるWorkplace for Goodの利用者は含まれておらず、この無料ユーザーを加えれば「もっと膨大な」人数になると同社は言うが、具体的な人数は公表していない。

Workplaceの利用料金は、最も低価格なもので、1ユーザー、1カ月につき3ドルで、従業員数が5000人を超える企業にはその都度価格が設定される。Workplaceは2016年10月にスタートし、2017年10月から有料サービスを開始している。

フラッグシップであるFacebookは20億人以上の月間アクティブユーザーを擁する大規模なサービスだが、同社はWorkplaceを大規模なエンタープライズ向けのツールとしてかねてよりプッシュしている。同社によれば現在、150社以上で、それぞれ1社あたり1万人以上のユーザーがWorkplaceを利用しているという。

Workplaceを利用している企業には、従業員数が世界最大のWalmart(ウォルマート)のほか、Nestle(ネスレ)、Vodafone(ボーダフォン)、GSK、Telefonica(テレフォニカ)、AstraZeneca(アストラゼネカ)、Delta Airlines(デルタ・エアライン)などがある。

このような数値で成長を語るのはFacebookの戦略である。Slackが測定している数字とはかなり異なるので、比較することも、Slackの方がはるかに大きいと主張することも難しい。ただ同時に、Workplaceがエンタープライズユーザーの分野で成功していることも明らかになっている。SlackやTeamsなどこの分野における競合企業も、エンタープライズでの成功を狙っている。エンタープライズは利益の上がるセグメントだ。大きな経常収益を生み出すことに加え、いったんサービスの利用を開始すればなかなか解約しないケースが多い。

Workplaceはここ数年、Facebookの基本的な機能だけでなく、Workplaceが直接競合する他のエンタープライズ向けコミュニケーションサービスの機能も、Workplaceのプラットフォームに追加しようと努力してきた。多くの重要なアプリとの連携も実現してきたが、Slackで連携できるサービスの数にはまだほど遠い。

公開されている数字はWorkplaceユーザーの総数ではないが、Facebookが広告ベースのコンシューマーサービスとはまったく別の収入源としてこの製品を推進し続けていることを示す数字でもある。

2018年末にFacebookは、3年前にMicrosoftからFacebookに移った(すなわちエンタープライズソフトウェアをよく理解している)Karandeep Anand氏をWorkplaceの新しいトップに任命した。Karandeep氏はJulien Codorniou氏とともに製品の技術開発にあたり、Codorniou氏は販売、顧客対応、事業開発を担当する。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Facebookが密かにスクリーン共有機能付きのデスクトップチャットアプリをローンチ

TechCrunchは、Facebookがスクリーン共有機能をもつ公式デスクトップチャットアプリ(PCとMac向け)を密かに立ち上げていたことを発見した。これまで多くのユーザーたちが待ち望んでいたものだ。現段階では、この機能はWorkplaceの中でのみ利用可能だ。WorkplaceとはSlackやその他のビジネスアプリと競合している、Facebookのエンタープライズコラボレーションソフトウェアである(いつか一般向けMessengerアプリのデスクトップ版が登場し、スクリーン共有を行えるようになったなら、喜ぶ人は沢山いることだろう)。

現在Workplace1万4000社以上の企業が利用しており、ユーザー1人あたり1ドルから3ドルを支払っている。最近ではWal-Martがサインアップした。このスクリーン共有機能は、SkypeやWebExといった、使い難い企業向けスクリーン共有アプリに比べて、より多くの顧客を引きつけそのシェアを奪うことができるだろう。競合他社がパズルのピースを提供しているだけなのに対して、Facebookはスピード感のある開発スタイルを使って、オールインワンのコラボレーションアプリでオフィスを制圧しようとしていることは明らかだ。

Facebookがデスクトップソフトウェアに再参戦

TechCrunchは、Workplaceのヘルプセクションに埋もれる形で、PCならびにMac向けのWorkplace Chatデスクトップアプリへのリンクがあることに気が付いた。このアプリを使えば紛れやすいブラウザのタブを使うこと無く、簡単に他の従業員たちと終日メッセージを交換することができる。

FacebookのWorkplace広報担当者Vanessa Chanは、TechCrunchの問い合わせに対してデスクトップアプリの提供開始を認め、次のように語った。「これは顧客の皆さまから最も広く求められていた機能の1つでした。それが開発の理由です。デスクトップアプリケーションはまだベータ版でして、より広範なリリースに先立ち、製品を改善するためのフィードバックを提供していただけるWorkplaceカスタマーの皆さまにお使いいただいております」。

デスクトップアプリケーションは、Workplace Chatの専用Webサイト(Messenger.comをモデルにしているサイト)と同様に動作する。大きなダッシュボード上では、全ての会話記録、テキスト検索、そして今や普通の機能である、写真、ビデオ、音声クリップ、絵文字、GIF、そしてWebカムの共有が提供される。他のウィンドウの上に表示されるデスクトップ通知を設定することもできるので、メッセージを見逃すこともない。

Workplace Chatは、カジュアルなゲームプラットフォームであるFacebook Gameroomを除けば、Facebook唯一のデスクトップソフトウェアである。 Facebookは、2012年にWindows向けMessengerアプリを提供しようとしたことはあるものの、2014年にはそれを中止している。それ以来、それっぽいものながら、サードパーティによる偽のデスクトップアプリケーションの数が急増している。Messengerチームは、これまではデスクトップ機能やウェブ機能ではなく、モバイル機能に主眼を置いて来た。しかし現在は、13億人の月間ユーザーを抱えているため、成長を続けるためにデスクトップソフトウェアの探究を行っている可能性は高い。

何でも共有。あなたのスクリーンも

Facebookにとって全く新しいのはスクリーン共有だ。Facebookがテキストからビジュアルなコミュニケーションに進化するにつれて、あなたが見ているものを他の人びとに見せることができるようにすることが、ビデオチャットの重要な補完機能となるだろう。Slackはデビュー4年目のこの5月に、やっとスクリーン共有機能を追加したが、Workplaceはそのデビューから1年も待たずにそれを提供することとなった。

現在スクリーン共有は、Workplace Chatデスクトップアプリケーションと、Webの両方で利用できるようになっている。フルスクリーンを共有するだけではなく、実行中の特定のデスクトップアプリを選んで共有することも可能だ。これは秘匿性の高い仕事のデータや通信などをうっかり晒してしまい、当惑することを防ぐためには重要な仕組みである。たとえば、ExcelやWebブラウザのみを共有することはできるが、Slackや電子メールクライアントを共有することはできない。

スクリーン共有において、このレベルのプライバシーを確​​立することは重要である。なぜならこれはFacebookによって作られたオフィスソフトウェアを利用する顧客たちの、最大の懸念事項の1つなのだ。これが、Facebookがあなたの通常のソーシャルネットワークプロファイルをWorkplaceには直接統合することはせずに、それらを完全に別々に保つことを選択した理由だ。ニュースフィードとインスタントメッセージが仕事に役立つからといって、あなたの上司に自分のソーシャル活動を見て欲しいわけではないからだ。

要するに、新しいデスクトップソフトウェアは、ChromeやFirefoxの中に紛れてしまいそうな場合に、Workplaceをコンピューター上のお好みの場所に置くことができる仕掛けなのだ。Facebookは、慣れ親しんだデザインと目立つ専用のデスクトップアプリを組み合わせることで、同社が可能にしたいと望んでいる常時コラボレーションを促進することができる。

Workplaceは、従来のホワイトカラー従業員同士のみならず、企業内の全員が上から下までコミュニケーションを取れるように設計されている。これが幅広いアクセスポイントの提供が重要な理由なのだ。ほとんどのエンタープライズソフトウェアは不格好で不便だと考えられているが、Workplaceはそのアイデアを覆そうとするものだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Facebookのエンタープライズ版SNS「Workplace」、日本でも正式にサービス開始

Facebookと言えばもともとユーザーが個人、プライベートで使うSNSだが、テック業界のユーザーを中心にして、Facebookページやグループ、メッセンジャーを仕事で使うケースも増えているのではないだろうか。僕も取材の調整をはじめとして、ビジネスの場面でもFacebookを使うことが増えている。

Facebook自身もそんなユーザーのニーズをくみ取っているようで、2016年10月からエンタープライズ版SNSである「Workplace for Facebook(Workplace)」を提供している。海外では、Starbucks Corporation(スターバックス)やBooking.comをはじめとして1万4000社がサービスを導入。日本でも2016年春頃から先行してエウレカやfreeeなど一部の企業が先行的にサービスを導入していたが、これまでにコロプラやビズリーチなど300社が導入しているという。TechCrunchでは、4月に開催されたFacebookの技術カンファレンス「F8」で発表されたWorkplaceのアップデートについても紹介しているが、いよいよ日本でも正式にサービスが始まった。

Facebookを踏襲した「Workplace」の画面イメージ

WorkplaceはFacebookをベースにしたエンタープライズ版のSNSだ。見慣れたFacebookのUIUXを踏襲しつつ、セキュリティを強化。モバイルでの利用(メッセンジャー含む)ももちろん可能だ。Facebookを利用していなくてもWorkplaceだけを利用することができる。エンタープライズ版らしく、カスタマーサポートや管理者向けの分析機能も提供する。前述のF8で発表されていたが、チャットボットを利用して承認フローなどを作ることもできる。また、ユーザーが所属する会社内でのコミュニケーションを想定しているが、「会社間グループ」を作ることで、ビジネスパートナーなど他社のユーザーともグループを作ることもできる。一方で、広告や友人・家族の投稿、ゲームのアクティビティなど仕事に関係のないであろう情報は表示されない。

「Workplace」の機能について

企業ごとにさまざまな利用方法があるというが(僕が聞いたある国内企業は、Slackで即時性の高い内容を共有し、全社・所属部門全体へのアナウンスなどでWorkplaceを活用しているということだった)、面白い事例だと思ったのはスターバックス。同社ではすでに世界2000以上の店長、店舗スタッフ、経営幹部がWorkplaceに参加。CEOのメッセージも動画でリアルタイムに発信する(そしてFacebook同様、リアルタイム動画に「いいね!」などリアクションがついたりする)といったグループ全体へのアナウンスにも利用。また、あるスタッフが新しいドリンクの楽しみ方をWorkplace上で共有。それが各国に広がって、結果として公式メニューに取りこむというようなことも起こっているそうだ。

5月17日に開催された説明会では、Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域責任者のNakul Patel(ナクル・パテル)氏が、Workplaceについて(1)FAMILIAR:使い慣れたFacebookのプラットフォームを採用していること、(2)MOBILE FIRST:PCを使わなくても、モバイルだけで利用できること、(3)HEART OF THE BUSINESS:ビジネス上クリティカルな告知などもできる、ビジネスの中心となるサービスであること、(4)SEPARATE&SECURE:プライベートと切り分けられており、なおかつセキュアなプロダクトであること——の4点を強みとして挙げた上で、Facebook CEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の「Workplaceを利用することは単にツールを導入するというよりむしろ、ビジネスを運営することに近いと考える」という言葉を紹介した。またフェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏も、「Facebookのカルチャー、働き方そのものを具現化したツール」だと説明する。

Workplaceの価格は、基本機能のみを提供する「スタンダードプラン」は無料。「プレミアムプラン」は1000人までがアクティブユーザーあたり3ドル、それ以降の9000人までは同2ドル。それ以上のユーザーに関しては同1ドルとなっている。ただし9月30日までは無料でプレミアムプランの利用が可能となっている。

フェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏(左)、Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域責任者のNakul Patel氏(右)

Facebookは間もなくエンタープライズ市場の難しさに気づくだろう

The silhouette of an attendee is seen looking at a smartphone ahead of the global launch event of "Workplace" at the Facebook Inc. offices in London, U.K., on Monday, Oct. 10, 2016. Workplace is meant to help employees collaborate with one another on products, listen to their bosses speak on Facebook Live and post updates on their work in the News Feed. Photographer: Jason Alden/Bloomberg

FacebookはWorkplace(旧Facebook at Work)のリリースで、今週正式にエンタープライズ市場へ参入した。コンシューマー向けツールとしてのFacebookの成功は言うまでもないが、異なるニーズを持つエンタープライズ市場は別世界だ。

対象となった1000社にWorkdplaceを無料提供したベータテストの結果、特に社内SNSに関して、エンタープライズが求めるものはコンシューマーとは全く異なることがわかった。Facebookが目指していたのは、既存のコンシューマー向けサービスとの親和性だった。つまりプライベートでFacebookを使っていれば、職場でWorkplaceにもすぐ慣れることができるという考えだ。この戦略は間違いではないものの、リリースのタイミングがあまりにも遅かった。

しかしBOXのCEO Aaron Levieは違った見方をしている。Workplaceのリリースについてのブログポストを読むと、彼はこのサービスに秘められた可能性に本心から期待しているようだった。「FacebookのWorkplaceがリリースされれば、企業や開発者は、私たちがプライベートな連絡や人との繋がりで日頃使うようになった手段を、職場でも有効活用できるようになる」と彼は綴っている。

ちょっとおかしいのは、オンラインソーシャルツールを職場で利用するというエンタープライズ2.0の考え方は、10年ほど前からすでに存在しており、YammerやJive、Confluenceといったソフトは”エンタープライズ用Facebook”として売り出されていたのだ。それでもFacebookはこれまで何の動きも見せなかった。

もしかしたらFacebookはSlackの成功に圧倒されていたのかもしれない。Slackのこれまでの調達資金は5億ドルで、バリュエーションは40億ドルに達しており、ようやくエンタープライズ2.0のゴールを達成するサービスになると思われていた。しかしFacebook以上に上手くその役を担える企業が存在するだろうか?

エンタープライズ版のFacebookをつくるというアイディアは机上では素晴らしいものに見えるが、コンシューマー向けとエンタープライズ向け製品の間には大きな違いがある。というのも、エンタープライズはコンシューマーとは全く違ったニーズを持っているのだ。

Dow Brook Advisory Servicesでアナリストを務めるLawrence Hawesは、エンタープライズ向けソーシャルサービスの動向を追っており、2015年1月のFacebook at Work発表の際に、Facebookはエンタープライズ市場で苦しむことになるかもしれないと話していた。以下が当時の彼の見方だ。

Facebookは、購買担当者の信頼を得るために、安全性や信頼性などをエンタープライズレベルまで引き上げなければならず、さらに、フリーミアムモデルに頼りきるのではなく、ボリュームに基いた課金モデルへ移行しなければいけないとHawesは話していた。そもそもどれも難しい問題である上、既存プレイヤーがいる市場では、これらのアドバイスを実現するのは困難を極める。

しかし、TechCrunch記者のIngrid Lundenが月曜日に報じていた通り、Facebookは自分たちの問題を理解しているようで、これまで利用してこなかったMAU(月間アクティブユーザー数に基づく課金システム)の採用を含め、問題解決に向けて動いていることが当初の発表から伺える。さらにローンチ直後の目を引く契約について、以下のように発表している。

初期段階からWorkplaceのユーザーとなった企業として、3万6000人の従業員を抱えるTelenor、10万人のRoyal Bank of Scotlandなどがある。そして今日、Danone(従業員10万人)、Starbucks(23万8000人)、そしてBooking.com(1万3000人)などの企業がユーザーに加わったことを新たに発表した。

しかし、Facebookは今後もこの調子で顧客数を増やしていかなければならず、SaaSの運営はコンシューマー向けSNSの運営とは事情が違う。Saasには顧客を1番において彼らのニーズを聞くという、もっと高いレベルでの顧客中心の考え方が必要とされるが、これまでFacebookはコンシューマーとも上手く関係を構築できていない。

エンタープライズ向けFacebook自体は確かに的を射たアイディアではあるものの、Facebookがエンタープライズの要望に応えつつ、SaaSベンダーとしてやっていけるかという点についてはまだ疑問が残る。これはWorkplaceが成功しないということではなく、Facebookは今後慣れない顧客のニーズに応えるため忙しくなるということだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インターネットの使いすぎがティーンの学校バーンアウトを導く…フィンランドの研究が結論

teens

あなたのいまいましい子どもたちはコンピューターを離れて庭仕事の手伝いでもすべきである、という説の最終的決定的な証拠を、ヘルシンキ大学の心理学科の研究者たちが見つけた。インターネットの使いすぎ、ほとんど中毒のような使い方は、ティーンの学校バーンアウト(school burnout, 学校燃え尽き症候群)をもたらす、というのだ。

使いすぎの詳しい定義はないが、それは見れば分かるだろう。研究者たちは、こう書いている:

この研究が示唆しているのは、デジタル中毒と学校バーンアウトの問題に取り組むべきもっとも重要な段階が13歳から15歳までの時期であることだ。青少年の心の健康を支え、インターネットの過度の使用を防ぐためのもっとも効果的な方法は、学校への関心を高め、児童生徒の学習意欲を増進し、学校バーンアウトを防止することである。

青年期後期における抑うつ的症状と学校バーンアウトは、男子よりも女子に多く見受けられる。過度なインターネット利用による被害は、女子よりも男子が深刻である。

学校バーンアウトの定義は、学校へ行く意欲や学校で勉強する意欲の欠如、である。

この研究は、数千人の児童生徒のインターネット利用と心理学的問題を調べたMind the Gapプロジェクトに関連している。その結論は重い: “これらの結果は、青少年における過度なインターネット利用が、学校バーンアウトとその後の抑うつ的症状の原因でありうることを示している”。…このプロジェクトの研究者Katariina Salmela-Aroは、そう述べている。

結局のところ、子どものインターネットへの過剰接触を防ぐのは親の責任だ。しかし残念ながら具体的な指針は乏しく、この研究もその点では貧しい。しかしながらインターネット利用と抑うつ的症状の直接的な因果関係を示したことは決定的であり、小さな家族のためには数日おきにプラグを抜き、目の前にスクリーンのない時間を確保してあげるべき、とあらためて自覚させてくれる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))