アメリカYahooデータ漏えいで起訴されたカナダのハッカーが有罪を認める

2014年に起きた大規模なアメリカYahooのデータ漏えい事件に関与したとして起訴されていたカナダ国籍のハッカーが有罪答弁を行ったことが明らかになった。このハッカーはロシア情報機関の職員に雇われてYahooのデータベースに侵入し、5億件のアカウント情報を不法に得ていた。被告人は22歳のカザフスタン生まれのカナダ人で、Karim Baratovといい、アメリカYahooへのハッキングで逮捕された唯一の人物だ。関与が明らかとされる他の3人はロシアにおり、アメリカの連邦裁判所に姿を現すつもりはまったくないようだ。

検察側発表によれば、関与している他の3人のうち2人はFSB〔ロシア連邦保安庁〕に勤務するロシアのスパイだったとされる。もう1人は、ロシア人ハッカーのAlexsey Belanだ。検察側はFSB職員のDmitry DokuchaevとIgor Sushchinがハッキングを画策し、 Baratovを雇ったとしている。カリフォルニア州北部地区連邦検事局が発表した資料によれば、事件はこのようなものだったようだ。

共謀容疑に対する Baratovの有罪答弁から判断すると、同人の役割はFSBが関心を抱く人物のウェブメール・アカウントのハッキングにあった。Baratovはアカウントのパスワードを取得して金銭と引き換えにDokuchaevに引き渡した。〔カナダで逮捕された〕Dokuchaevの合衆国への引き渡し請求においても明らかにされているとおり、SushchinとBelanの2人もYahooのネットワークへの侵入に関与し、Yahooアカウントへのアクセスを得ていた。〔ロシア情報機関は〕Google、Yandex(ロシアのサービス)など多数のウェブメール・アカウントへのアクセスも必要と考えており、 Dokuchaevはこうした任務もBaratovに与えていた。

Baratovの証言によれば、彼はロシア語のウェブサイトにハッキングの求職広告を掲載していたという。連邦保安庁からの契約を得るとBaratovは正当なメールサービス管理者になりすまして被害者にメールを送りつける「スピア・フィッシング」の手法で騙し、パスワードを入手していた。

Baratovは コンピューター不正行為防止法違反共謀容疑1件および加重個人情報窃盗容疑8件について有罪を認めている。

画像: Justin Sullivan/Getty Images

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ZOZOTOWN用の採寸ボディースーツをスタートトゥデイが無料配布(ただし送料はかかる)

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは11月22日、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を無料配布すると発表した。初回無料、同一ユーザーの2回目以降の購入は3000円(税込)で予約申込が可能。ただし配送には、「送料自由」の試験導入結果を受けて11月1日より変更された「一律200円」の送料がかかる。発表当日の22日より予約受付を開始し、11月末ごろから順次配布される。

ZOZOSUITは、上下セットで着用し、スマートフォンをかざすことで体の寸法を瞬時に採寸できる、伸縮センサー内蔵の採寸ボディースーツ。スマートフォンとBluetooth通信で接続することで、寸法を計測し、データをZOZOTOWNアプリに保存することができる。スタートトゥデイが、ニュージーランドのソフトセンサー開発企業StretchSenseと共同で開発したという(StretchSenseには2016年6月にスタートトゥデイが出資を行っている)。

採寸データはZOZOTOWN、および同日発表され、11月末ごろスタート予定のプライベートブランド「ZOZO」での活用を予定。スタートトゥデイでは、計測した体型データの活用で、ファッションECの課題である「サイズの不安」を解消すべく、さらに商品検索機能やレコメンド機能の充実を図るとしている。なお、ZOZOで提供されるアイテムの購入には、ZOZOSUITでの事前の計測が必須となるようだ。

Slackの日本語版が本日ローンチ、日本語サポートにも対応

TechCrunch Japanの読者の中には、すでに活用しているという人も多いであろうチャットツール「Slack」。少し意外かもしれないが、本日より日本語版の提供を開始した。

Slackはチームの共有作業をサポートするためのビジネスコラボレーションツール。世界600万人以上のユーザーが日常的に活用しており、5万以上のチームが有料プランを導入している。9月にはソフトバンクの孫氏が率いるビジョン・ファンドをリードVCとして、2億5000万ドルを調達したことも注目を集めた。

Slackには日本のユーザーも多く、ARR(年間経常収益)はアジア太平洋地域で第1位、世界でも第3位となっている。これまでも日本語で利用することはできたが、今回より日本語でのサポートを導入。加えてUIの内容を日本語に翻訳するほか、日本人ユーザーの特性を踏まえてローカライズしたという。

周りでは日本語サポートがなかったり、メニューやヘルプページが英語だったりするために敷居を感じて別のツールを使っているという声も実際に聞いたことがあった。日本語への対応は新たな層のユーザーを獲得するチャンスになるかもしれない。

日本語版の提供にあたってSlackのCEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールド氏は「2014年の創立以来、Slackは日本市場で驚くべき有機的成長を遂げてきました。事実として日本はSlackにとって世界第3位の市場規模となっています。日本語版Slackをリリースすることで、より多くの人にSlackを利用してもらえることを大変うれしく思います。また、今後も革新的な日本企業と提携していけることを楽しみにしています。」とコメントしている。

なお同じく共同創業者でCTOのカル・ヘンダーソン氏は本日開催中のTechCrunch Tokyo 2017に登壇していて、こちらのセッションの様子も後日レポートする予定だ。

AppleがiOS 11.1.2をリリース、iPhone Xの寒さ対策を迅速に完了

AppleがiOS 11.1.2の提供を開始した。数週間で二度目のマイナーアップデートだ。今度のアップデートの目的はただ一つ、iPhone Xを温かい場所から急に寒い場所に移動すると、タッチ入力が一時的に無反応になる、という問題への対処だ。たとえば冬のカナダに住んでる人が、急に家の外へ出たような場合。

ほかにもこのアップデートは、iPhone Xで撮ったLive Photosやビデオで像が歪む、という問題にも対処しているらしい。アップデートは、Settingsアプリから今すぐにでもできる。

iPhone Xでタッチが無反応という報告を寄せたユーザーたちは、外気温が華氏50度(摂氏10度)以下だった場合、と言っている。一部のタッチが不感症になるから、連続タイピングなどが困難になる。またアプリを開いたり、何かのインタフェイス成分をタップしたときも、症状は出る。

iPhone XのOLEDディスプレイは、タッチ入力システムの完全な新規設計が必要だった。それに関して、温度の変動に対する試験もやるべきだったのではないか、との声もある。原因が何であれ、Appleが約束したとおり、問題はソフトウェアの簡単な手直しだけで素早く解決した。アップデートが完了したら、そのことをご自分で確認してみよう。

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GoogleのCloud Spannerデータベースがマルチリージョンをサポート、年間ダウンタイム累計5分未満を約束

Googleのグローバルな分散データベースCloud Spannerが今日(米国時間11/14)アップデートされ、マルチリージョン(複数リージョン)がサポートされた。データベースを複数のリージョンにまたがって複製しても、レイテンシーは増えず、良好なパフォーマンスが保証されるという。また、サービス水準合意(Service Level Agreement, SLA, サービス品質保証)も、顧客が満足すると思われる方向へ改定された。

上記後者(新SLA)によると、Cloud Spannerデータベースは99.999%(five nines)の可用性が保証される。Cloud SpannerのプロダクトマネージャーDeepti Srivastavaによると、これは年間のダウンタイムに換算すると5分未満となる。

“システムの可用性と効率を高める改造を行ったので、サービスにそのことが反映されると期待される”、と彼女は述べる。なお、Cloud Spannerは、このようにサービスとして提供される前には、AdWordsなどGoogle内部のプロダクトで使われていた。今でもそうだから、GoogleにとってAdWordsがダウンしたら直接、売上に響く。だからまずGoogleにとって、それはダウンタイムがあってはならない。今では同社の人気サービスの多くが、Cloud Spannerを使っている。

“それは、Googleが動かしているミッションクリティカルなアプリケーションの最前線でテストされている”、とSrivastavaは説明する。

しかしこれまでは、複数リージョンにまたがるサポートが欠けていたので、Cloud Spannerを一箇所に置くことしかできなかった。それが、今日のマルチリージョンサポートの発表で変わった。ユーザー企業は、データベースをエンドユーザーに近いところに置けるようになる。それにより当然、レイテンシーが減り、応答性が良くなるだろう。

Cloud Spannerは今年の初めにベータで提供されたが、それはまるでマジックのように思えた。それは、SQLデータベースのようなトランザクションの一貫性と、NoSQLデータベースのスケーラビリティを兼備している。この両者が揃うことは稀であり、今日ではEvernoteやMarketoなどもCloud Spannerを利用している。

Googleは、Cloud Spannerの導入はわずか4クリックで完了、と謳っているが、既存のデータベースを移行する場合はそう簡単ではないだろう。Srivastavaによると、それはシステムのタイプ次第だ、という。まったく新しいアプリケーションのために新たに導入するのは簡単だが、Cloud Spannerを使うために既存のデータベースシステムのアーキテクチャを変えなければならない場合は、それなりの時間がかかるだろう、と彼女は語る。

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iOS 11.2でワイヤレス充電が速くなる。7.5W Qiに対応

iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xはいずれもワイヤレス充電に対応し、Qi規格を採用している。これは新しいiPhoneが世の中にある何百という充電器を利用できることを意味している。しかし今のiPhoneのQiによる充電は5Wというワイヤレス充電の最低速に制限されている。現在AppleはiOS 11.2を準備中だ。このアップデートで7.5W充電に対応するらしい、とMacRumorsは 指摘する

充電するたびにプラグを差し込むのがいやな人にとってワイヤレス充電は実にありがたい。しかし画期的な機能というわけではなく、充電器はコンセントに差し込む必要がある。しかも充電器に載せなくてはいけないから、厳密にはワイヤレスではない。

それでも、端末を持つたびにケーブルが邪魔になって困るという人は、デスクや枕元にワイヤレス充電器が欲しいかもしれない。新型iPhoneが発表になったとき、Appleは5Wによる充電のみ当面対応すると言っていた。

Appleは現在iOS 11.2をベータテスターとテスト中で、このアップデートがワイヤレス充電の速度制限を解除するという。5Wのワイヤレス充電というのは、だいたいiPhoneについてくる充電アクセサリーを使うのと似たような速さだ。

MacRumorsがiOS 11.2で7.5W充電器と5W充電器をテストしたところ、アップデート後7.5W充電器は43%速くなった。

これは心強い結果で、現在のワイヤレス充電よりも便利になる。現在Appleは直営ストアでMophieとBelkinの充電器を売っている。いずれも7.5W充電に対応している。Amazonには10Wや15Wに対応している充電器もある。今のところ使い道はないが、来年のiPhoneでワイヤレス充電が改善されるかもしれない。

そしてケーブルの好きな人は、10/12WのiPad用充電器がiPhoneに今すぐ使えることをお忘れなく。別途購入する必要はあるが、その違いは大きい

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バイオ技術による人工蜘蛛の糸の開発に挑戦するBolt ThreadsがシリーズDで$106Mの巨額を調達

私たちの五感の蜘蛛の巣が、大物を捕らえたかな? SECの提出書類によると、微生物を利用して人工蜘蛛の糸を作っているバイオテク企業Bolt Threadsが、シリーズDの資金調達で1億600万ドルという巨額を調達しているようだ。

Bolt Threadsは、蜘蛛の糸を作るという野心的な取り組みを初めて本誌に語って以来、めざましい成長を遂げた。英語でspider silk(蜘蛛の絹)と呼ばれるその素材は、テフロンよりも強く雲よりも柔らかくて、しかも自然界に大量に存在する。

たしかに、蜘蛛の巣を大量生産してそれを人間が着る、なんて話はあまりふつうではないし、過去にも何度か挑戦する人はいたが、みな失敗している。しかしBolt Threadsは、その不可能から黄金を紡いで、今年初めには最初の本物の衣料製品、314ドルのネクタイを作ることに成功した。

同社はその後PatagoniaやStella McCartneyなどとパートナーし、Best Made Companyを買収、9000万ドルを調達してそのシリコンバレーにおけるビジネスを成長させた。

今度また新たにほぼ1億ドルを獲得したことにより、うまく行けば同社の蜘蛛パワーは倍加することだろう。その申請書類によると、同社はこれまで、前からの投資家Foundation CapitalとFormation 8から約5700万ドルを調達できている。

最終的に全額を調達できれば、Bolt Threadsの調達総額は1億9600万ドルになる。

今Formation 8とFoundation Capital、そしてBolt Threadsにコメントを求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしたい。

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排泄予知デバイスの「DFree」が新たに5億円を調達、フランスへの海外進出も

排泄予知ウェアラブルデバイス「DFree」を開発するトリプル・ダブリュー・ジャパン(以下、TripleW)は11月6日、ニッセイ・キャピタルと鴻海ベンチャー投資のパートナーファンドである「2020」から総額5億円の資金調達を実施したと発表した。

同社は2018年度中に10億規模のシリーズBを予定しているが、今回はそれに先立つプレシリーズBとして、既存株主からの機動的な資金調達として行った。なお、今回の資金調達は第三者割当増資ではなく、新株予約権の発行によるものである。

TripleWは、介護の現場で利用される排泄予知ウェアラブルデバイスのDFreeの開発・販売を行う日本のスタートアップだ。

介護施設などの現場では、例えば3時間おきにトイレに連れて行くようなかたちで排泄ケアが行なわれているそうだ。それだけでも大きな労力だが、当然その人によってはその定時誘導のタイミングで上手く排泄ができなかったり、逆に被介護者自身が不安になって必要以上にナースコールを鳴らしてしまうというような問題がある。

DFreeはそのような問題を解決するために生まれたデバイスだ。DFreeは、古くから妊娠診断などでも利用されていた超音波で膀胱の膨張度を計測。それによって排尿のタイミングが近いのか、そうでないのかを判断する。デバイスが排尿を予知すれば、それをBluetoothを通して介護士がもつスマートフォンなどに通知するという仕組みだ。

介護の現場ではたびたび人材不足だと言われているが、時間のかかる排泄ケアをより効率化することで現場の負担を解消することを目指す。

ちなみに、国もこの排泄ケアの重要性を認識している。厚生労働省は2017年10月に「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂し、新たに6分野13項目が重点分野として定めた。そして、その中の「排泄支援」の分野において「ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器」という項目が新たに追加されている。

DFreeは2017年春から介護施設向けへの販売を開始。これまでに150の施設に導入され、フランスでもパイロット導入が始まっているという。同社はデバイス単体を販売するのではなくログ記録システムまで含めたパッケージとして提供し、月額料金は1台あたり1万円からだ。

同社は今回の資金調達により、これまでの介護施設向けのビジネスに加えて在宅介護での利用を想定したC向けビジネスの実証実験に力を入れる。また、前述したようにフランスを含むヨーロッパ地域への海外進出にも注力していくそうだ。アメリカではなくヨーロッパを選んだのは、日本と同じように介護保険制度が整っているという理由からだという。

また、超音波を利用して内臓を調べるというDFreeの技術を腸にも適用することで、これまでの「排尿予知」に加えて排便予知サービスも実現可能だ。同社はその研究開発にも力を入れていく。

これまでに同社は2016年2月に1.2億円同年5月には5億円の資金調達をそれぞれ実施している。

リファラル採用支援「Refcome」提供元が約2億円調達――1年で登録社員数10倍、アルバイトにも活用

リファラル採用を支援するクラウドサービス「Refcome(リフカム)」を提供するリフカム(Combinatorから社名変更)は11月6日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ及び既存株主のDraperNexus、Beenext、ANRIを引受先とした第三者割当増資により総額約2億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金で現在伸びているアルバイト領域への展開に力を入れていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化、さらには新サービスの開発にも取り組んでいく。なおリフカムは2016年10月にも伊藤忠テクノロジーベンチャーズを除く3社から5000万円を調達している。

1年間で登録社員数が10倍、アルバイト・派遣領域で利用が拡大

Refcomeは2016年7月にリリースされたリファラル採用を活性化させるクラウドサービス。人事と現場の社員双方の負荷を減らし、リファラル採用に取り組みやすい環境をサポートすることがウリだ。具体的には人事担当者が社員へ募集内容を周知できる機能や協力してくれた社員を把握できる機能、社員が友人に会社の紹介をしやすい機能などを備える。

2016年10月時点で2700人だった登録社員数は1年間で10倍越えの3万人に増え、月次の売上高も15倍へと成長した。リフカム代表取締役の清水巧氏の話では、この1年でIT企業だけでなく飲食チェーンやアパレル、不動産など導入企業の幅が広がったという。合わせてわずか10%だったアルバイトや派遣での利用比率が1年間で40%に増えるなど、正社員以外の利用も増えたそうだ。

アルバイトや派遣の採用でRefcomeの利用が増えてきた理由はどこにあるのだろうか? その背景のひとつには「離職率の問題」があると清水氏は話す。

「ある飲食店では採用したアルバイトの3人に1人が入社から2週間以内に辞めてしまうということがあった。その1人を採用するのにも求人媒体を使うと7〜8万円かかるということもあり、そもそも辞めない人をなるべく安く採用したいというニーズが強くなっている。リファラル採用の場合は友人が社内にいるため社内になじみやすいこともあり、問い合わせが増えてきた」(清水氏)

アルバイトの募集においても、たとえば「友人紹介キャンペーン」など、これまでもリファラル採用的な施策は行われていた。ただ時代の変化とともにほとんどの人がSNSを使うようになり「リファラル採用」という概念や、それを支援する仕組みも整い始めている。「おそらく5年前では少し早かった。外部環境が追いついてきてちょうどいいタイミングになってきている」という清水氏の話も頷ける。

従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動

清水氏にこの1年の変化についてもう少し詳しく話を聞くと「従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動させて提案できるようになったこと」と「事例が増えてナレッジが蓄積されてきた結果、提案できる施策が増えたこと」がサービスの成長につながっているという。

リフカムは2017年4月、アンケート結果を基に社員のエンゲージメントを可視化できる「Refcome Engage(リフカムエンゲージ)」をリリースした。リリース時にも話があったが、リファラル採用がうまくいくかどうかは、従業員のエンゲージメントが大きく影響するのだという。

たとえばある飲食チェーンではリファラル採用に協力的な店舗と非協力的な店舗があり、双方で従業員のエンゲージメントを測定したところ、協力的な店舗はエンゲージメントも高いという結果が出たそうだ。そこでまずはRefcomeの導入企業を中心にRefcome Engageを提案。双方のツールは連動しているため、エンゲージメントの測定結果からリファラル採用の施策設計までをシームレスに行えるようにした。

また1年以上をかけて様々な企業のリファラル採用をサポートする中で、ナレッジが蓄積されより効果的な提案ができるようになったきている。

「たとえば100名規模のITベンチャーで人事から全社的に人材紹介の依頼をしても効果が薄い一方で、事業部長など現場のトップから依頼をするようにしただけでうまく機能するようになった事例がある。規模や業種によっても最適な手法は異なるため、フォローアップする体制を強化してきた」(清水氏)

清水氏が前職のSansan時代にカスタマーサクセス部門に携わっていた経験もあり、リフカムでは初期からカスタマーサクセス(CS)に力を入れていてきた。年間の解約率は10%未満とのことで、現在もCSドリブンで新たな機能や施策が生まれているという。

採用から組織作りまでを一気通貫するHRサービスへ

今回の資金調達を踏まえて、リフカムではアルバイト採用領域を中心にIT業界以外への展開をさらに進めていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化も引き続き進めていく。

そしてその先には新たなサービスや機能を加えることで、リファラル採用システムを超えて組織作りまでをサポートするシステムへ拡張することを構想しているという。

「リファラル採用を推進していると中には今すぐ転職することは考えていない人もいる。そのようなタレントをデータベース化できるものなど、さらに川下のサービスも作っていく。もともと『採用を仲間集めに』をミッションに、リファラル採用を通じて良い会社を作るサポートをすることが目的。RefcomeやRefcome Engageに新サービスも加えることで組織作りまでを一気通貫でできるようにすることで、ミッションの達成を目指したい」(清水氏)

Apple,iOS 11.1で絵文字を追加。便利なジェスチャーの復活と追加も!

新しい絵文字が出た。それ以上何か聞く必要ある?Appleはつい先ほどiOSのアップデートを公開した。iOS 11.1はiOS 11で最初の機能追加を伴うアップデート(feature update)だ。いくつか新しいものが追加されたが、まずは新しい絵文字から。

すでにAppleは新しい絵文字の一部をプレビュー公開していたが誰もが使えるわけではなかった。魔法使い、妖精、人魚、吸血鬼などの神話上の生物が入っている。ロッククライミングやカーリングといった新しい活動の絵文字もある。

冬に間に合わせるかのように、手袋、スカーフ、トレンチコートなど新しい衣類も見つかった。新しい動物たちや新しい表情も増えた。爆発する頭は私のお気に入りになるかもしれない。

Appleは全部で70種類の新しい絵文字を加え、これでiOSはUnicode 10.0準拠になる。蜂のようにデザイン変更された絵文字もある。

例によって、動物や物を除き、それぞれの絵文字には性別や肌の色によって数多くのバリエーションがある。また今回初めて性的に中立のキャラクターが加わった。

このアップデートには適用率を高める大きな効果がある。多くの人は新しい絵文字を使いたくてiOSをアップデートするからだ。こと絵文字に関してみんな遅れを取りたくないようだ。

別のニュース。Appleは殆どの人がおそらく使っていないであろう細かい機能を復活させた。再び、画面の左端を強押しすると現在のアプリが中断してアプリスイッチャーが出てくるようになった。新たなジェスチャーも追加された。左端を強押ししてスワイプすると、直接次のアプリに移動する。この方がホームボタンをダブルタップするよりずっと効率的だ。

そして、iOSにはバグ修正とセキュリティーアップデートもたくさん入っている。中でも重要なのはKRACK脆弱性が修正されたことだ。すでにiOS 11を使っている人は、このバージョンの方が以前よりよいので今すぐアップデートするべきだ。バッテリー寿命も改善するかもしれない。

iPhoneをアップデートする前にはiCloudかiTuneにバックアップするのをお忘れなく。それから、設定アプリを開き、一般、ソフトウェアアップデートをタップすればよい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Ryloの360°カメラは手ブレを追放した優れもの――ファイルは標準フォーマットで保存

先週Ryloのファウンダーにインタビューするまでこのプロダクトにはいささか懐疑的だった。テクノロジー的には面白い製品であっても360°カメラというのはすでにマーケットに多数登場している上に、正直に言えば、野心的なユーチューバーを除けば、われわれは日頃あまり利用していない。360°全周ビデオカメラというのはたまに使われるだけのきわものではないかと思っていた。

しかしベイ・エリアのスタートアップの新しい製品はこれまでのものとかなり違っていた。ファウンダーはInstagram元社員( Alex Karpenko、Chris Cunningham)で、 標準的フォーマットに360°ビデオを録画する新しいテクノロジーを開発した。社名と同じRyloカメラは画角208°の広角レンズ2基で4Kで360°ビデオを撮影する。しかしこのカメラのいちばん優れた機能は360°ビデオを日頃われわれが使っている標準的フォーマットの変換できることだろう。これは1080p、アスペクト比16:4の表示となる。

また走ったり、サイクリングしたり、その他どんなに激しい動きをしようと、Ryloのソフトウェアは手ブレを大幅に軽減する。このスタビライザーのデモを見て私は強い印象を受けた。短いデモだったが、安定効果はメカニカルなジンバルに近かった。

また編集能力も強力だ。ソフトウェアにはモーショントラッキング機能がビルトインされておりフレーム内の特定の対象を選んでトラッキングすることができる。しかもこれはポストプロダクション〔撮影後の後処理〕で実行できる。今のところトラッキング機能は完全ではない。指定した対象とカメラの間を何かが横切るとトラッキングを失ってしまうことがある。しかし全体として撮影者の製作意図をよく伝えるカメラのパンを実現してくれると思う。

その他ソフトウェアには前後のカメラの映像を左右に並べて表示するスプリット・スクリーンやタイムラプス撮影など各種の便利な機能がある。タイムラプスは最大16倍速がサポートされる。当初発表されるモデルはiOSデバイスと接続するモデルだが、Android互換も「近くサポートされる」ということだ。このカメラにはBluetoothではサポートされておらず、テザリングにはmicroUSBケーブルが必要だ。2017年後半の製品でBluetoothがないというのは問題だが、もともとこのカメラはポストプロダクションを経て公開することを前提としているのでストリーミングについては優先順位が低かったのだろう。

ハードウェアとしてのデザインはしっかりしているが、これは元Appleのデザイナー、Jonathan Denby(iPhone 5C、iPhone 6s Plusの開発を担当した)によるものだ。360°ビデオを撮る際に撮影者自身が写り込まいないようにするためセルフィースティック方式のハンドルが同梱される。

カメラは固定焦点で光学ズーム機能はない。また低照度の環境ではやや画質に難が出る。しかしRyloの最初の製品であることを考えれば全体的に上出来だ。同社は356万ドルのシード投資に加えてAccessとSequoiaがリードしたシリーズAラウンドで1100万ドルを調達しており、十分な資金を用意しているようだ。

Ryloカメラは現在予約受け付け中だが、499ドルとかなりの価格だ。撮影用ハンドル、16GBのmicroSDカード、USBケーブルなどが同梱される。出荷は11月中旬以降になる予定だ。

〔日本版〕Ryloサイトにスタビライザーのオン/オフを比較できる動画がアップされている。このカメラはスマートフォン(iOSデバイス)に接続して専用アプリから再生、編集する。カメラ本体にはデイスプレイは備えていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ロボアドバイザー「THEO」を提供するお金のデザイン、NTTドコモなどから7.8億円調達

AIを活用した資産運用サービスの「THEO」を提供するお金のデザインは10月31日、NTTドコモ第一生命保険、大垣共立銀行グループのOKBキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額7.8億円を調達したと発表した。

独自のアルゴリズムに基づき、それぞれのユーザーに最適な資産運用を提案する「ロボアドバイザー」が近年注目を集めている。お金のデザインが提供する「THEO」もその1つ。ユーザーの年齢や金融資産などのデータをもとに、約6000種類以上のETF(上場投資信託)の中から最適な組み合わせを提案し、実際に運用まで行うというサービスだ。

スマホから手続きが完了する、1万円から資産運用ができる、運用報酬も年率1%〜で低コストといった手軽さが特徴で、20〜30代の若年層からの支持を集めている。

今回の資金調達で注目すべきなのは、投資家リストにNTTドコモの名前が加わっている点だ。2017年7月に実施した新生銀行からの5億円の資金調達など、これまでは金融機関との関係を深めてきたイメージの強いお金のデザイン。その分、同社がNTTドコモからの出資を受けた意図は気になるところだ。

実は、NTTドコモが2017年4月に発表した中期経営計画「beyond宣言」にそのヒントは隠されている。

beyond宣言のなかでも特に注目を集めたのは、今後同社がFintech分野に注力していくという部分。これまでにも取り組んできた決済や送金の分野以外にも、投資やレンディングの分野にも注力するとしている。また、投資分野に関しては「ロボアドバイザー」という言葉が明記された。

NTTドコモはこの中期経営計画を進めるにあたり、ロボアドバイザー活用におけるパートナーとしてお金のデザインを選んだわけだが、残念ながらその具体的な共同案についてはまだ分からない。お金のデザイン代表取締役の中村仁氏からも明確な答えは得られなかった。でも、これが”スタートアップ×大企業”という歓迎されるべき取り組みの1つであることは確かであり、今後も両社の取り組みには注目していきたいところだ。

トヨタ、従来型ガソリン車を2040年代までに廃止へ

トヨタはガソリンまたはディーゼルエンジンのみで走る車を2040年代までにゼロにしようとしている。これは2050年までにCO2排出を90%(2010年比較)削減する同社の目標に沿ったものだ。今日2017年東京モーターショウで行われた同社主催の記者会見で、トヨタの安全技術責任者である伊勢清貴専務役員は、これが同社の見込んでいるガソリンおよびディーゼル車の生産終了時期だと語った。

このスケジュールは一部他社が言及した目標時期に近く、フランス、英国などの国で設定された禁止目標とも一致する。中国も内燃機関のみで走る車両の終了時期を決める計画を発表してる。

これは、トヨタが2040年以降電気自動車だけを販売するという意味ではない ―― 同社は純粋な電気自動車の開発にかけては最も動きの遅い自動車メーカーの1つであり、燃料電池車やハイブリッド車など駆動装置の選択肢を広げることで世界各国の市場ニーズに答えるのが最善の戦略だとくりかえし発言してきた。

内燃機関は2040年以降もハイブリッドエンジンで使用されることになるが、同社の積極的な排出目標とハイブリッド駆動技術の進歩を踏まえると、それ以降に純粋な内燃機関駆動方式を使用するのは筋が通らない、と伊勢氏は言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ポケモンGO、ハロウィンイベントに新ポケモンが登場、キャンディーも2倍に

ほんの数日前、ポケモンGOに新しいポケモンがハロウィンにあわせて登場間近という記事を書いた ―― そしてなんと! Nianticが正式に認めた。

最初の第3世代ポケモンは明日、アメリカ西海岸時刻10月20日正午から登場する。

ただし、当初の認識通り、第3世代のコレクション「全部」を一度に見ることはない。来るのは薄気味悪いゴーストタイプだけだ。これまでに確認できたのは(リーク画像またはNianticのブログ記事より)Sableye、Duskull、Banette、Dusclopsの4種類。

第3世代全体では100種類以上の新種ポケモンがいるので、今回登場したのはごく一部だ ―― Nianticによると残りの第3世代は12月以降「段階的」に登場する。

ちなみに明日は11月2日まで続くハロウィンイベントもスタートする。イベントには以下の特典がある:

  • 新しい帽子をかぶったピカチュー:ハットピカチュー。これはサンタハット・ピカチュー、アッシュハット・ピカチュー、パーティーハット・ピカチューに続く「短期間だけ現れるスペシャル・ピカチュー」の一員だ。
  • Gastly、Misdraavus、Cuboneなど、そのほかのゴーストタイプのポケモンがふだんより多く発生する。
  • アバターに使えるミミッキュ・ハット
  • 移動、キャッチ、孵化のキャンディー倍増。相棒ポケモンもキャンディーを倍速で見つける。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スタートトゥデイがファッションアプリ「IQON」運営のVASILYを子会社化

スタートトゥデイは10月19日、ファッションコーディネートアプリ「IQON」などを提供するVASILYの全株式を取得し、完全子会社化することを明らかにした。金額やスキームは非公開。

VASILYの主力サービスであるIQONは、提携する200以上のECサイトのファッションアイテムを、ユーザーが自由に組み合わせてコーディネートを作成、共有できるアプリ。当初はウェブサイトのみだったが、モバイルアプリでも展開してユーザー数が拡大。現在IQONには250万件以上のコーディネートが登録されていて、ユーザは気に入ったものをお気に入り登録や購入できる。

2017年3月にTechCrunchではVASILY代表取締役の金山裕樹氏を取材している。その時点で月間アクティブユーザーは200万人を超えていて、同年1月には売上最高値を記録するなど一定の評価を得ているという話だった。

また3月に第2弾のサービスとして、人気インスタグラマーと提携した「SNAP by IQON」もリリースしている。SNAPは自社開発のディープラーニングによる画像解析エンジンを活用して、インスタグラマーのコーディネートに似たアイテムを購入できるアプリ。金山氏は「IQONよりも広がるのではないかと期待している」とも話していた。

VASILYは「ZOZOTOWN」や「WEAR」を提供するスタートトゥデイグループに参画することで「これまで培ってきたテクノロジーとスタートトゥデイグループの持つファッションに関 する資産やデータを融合させ、両社のミッションを実現する事業展開に挑戦してまいります」とコメントしている。

VASILYはCEOの金山氏、CTOの今村雅幸氏がヤフーを経て2008年に創業。その後2011年に伊藤忠テクノロジーベンチャーズとGMO VenturePartnersから1.4億円、2013年にその2社とグロービス・キャピタル・パートナーズから3億円、2014年にKDDIから10億円以上の資金を調達していた。

次世代パーソナルモビリティ開発のWHILLがMistletoeと資本提携、スマートモビリティ社会の実現に向けて協業

次世代パーソナルモビリティを開発するWHILLは10月19日、孫泰蔵氏が代表を務めるMistletoeと資本提携を行ったことを明かした。金額は非公開。WHILLでは調達した資金を研究開発およびマーケティング強化に用いるほか、未来のスマートモビリティ社会の実現に向けてMistletoeと協業していくという。

昨年のラウンドで約20億円、累計では約30億円を調達していてハードウェアスタートアップの中でも注目度の高いWHILL。日産自動車出身のCEOの杉江理氏を始め、ソニー、トヨタグループ、オリンパスなどメーカー出身のエンジニアを中心とするチームで、TechCrunch Tokyo 2012のスタートアップバトルの優勝者でもある。

同社では2014年9月より「WHILL Model A」、2016年7月よりWHILL Model Aの仕様を一部改良した「WHILL Model M」の一般販売を開始。そして2017年4月には普及価格版の「WHILL Model C」を発表し、より広範なユーザーに同社のプロダクトを提供していく方針を示していた。

提携したMistletoeは「人口増加や過疎化における人々の移動の問題」を重点課題と捉え、スマートモビリティ社会を実現させる技術を持つスタートアップの支援を行っている。今後は両社のノウハウを持ち寄って、スマートモビリティ社会の構築を見据えた市場創造を目指していく。

またWHILLはパナソニックと共同開発しているロボティクスモビリティ「WHILL NEXT」とWHILL Model Cを10月27日から開催される「東京モーターショー2017」に出展することを発表。会場では活用事例として、早稲田大学とNTTの共同研究による運転支援システムの一例を展示する。このシステムはWHILL Model Cに試乗する来場者の走行データにもとづき、「技能」「心理」の2つの側面から運転を支援するものだという。

Verizon、45億ドルでYahoo買収完了――AOL含めメディア事業はOathに統合

VerizonのアメリカYahoo買収が正式なものとなった。先週、Yahooの株主は買収を承認していたが、Verizonは今日(米国時間6/12)、Yahooの買収手続きを完了したと発表した。Verizonは既存AOLと買収したYahooの資産をOathというグループに統合する。Oathにはメディア・ブランドが(TechCrunchを含め)50社前後含まれる。ユーザー総数は世界で10億人に上る。Oathの責任者には現AOLのCEO、ティム・アームストロング(Tim Armstrong)が就任する。

予想されていたとおり、長年YahooのCEOを務めてきたマリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)は辞任した。メイヤーは最近 2300万ドルの「ゴールデン・パラシュート」ボーナスを受け取っている。

マリッサ自身のコメントはTumblrのこの投稿を参照。簡単にいえばこのメモはこの5年間の成果の自慢だが―残念ながら―行間を読めばこの期間Yahooがいかに困難な状況に置かれていたかが分かる。

いずれにせよこの買収完了はインターネットの記念碑的な存在であった独立企業の終焉を告げるものだ。Yahooはもっとも歴史あるインターネット企業であり、西部の荒野のような混乱状態だったインターネットに秩序をもたらし検索事業を現在のような重要なビジネスとした会社だった。しかしGoogleの登場とともにYahooは後退し、自己改革の試みが何度も行われたが、そのつど非常に高価な失敗となった。結局、いまわれわれが眼前にしているような他の大企業グループの傘下に入るという結果となったわけだ。

Yahooの買収はオンライン・メディアにおける集中化のトレンドを象徴するものでもある。Verizonのような巨大企業は多数のメディアブランドのオーディエンスを一箇所にまとめて規模の経済をフルに利用しようとしている。広告経済でGoogleやFacebookのような強力なライバルに対抗していくには規模が重要となってくる。

Oathを管轄する,Verizonのメディアおよびテレマティクス担当プレジデント、Marni Waldenは、「〔Yahoo買収の〕完了はわれわれがグローバルなデジタルメディア企業としての地位を確立する上で重要な一歩だ。今やVerizonとOathの資産にはVRからAI、5GからIoT、パートナーおよび独自のコンテンツが含まれる。これらはグローバルなオーディエンスを獲得するすばらしい手段となるだろう」」と声明で述べた

キャリヤの伝統的ビジネスは衰退ぎみであり、それを補う努力に懸命だ。とはいえばVerizonは現在でも紛れもなく巨大企業だ。社員は16万1000人、2016年の売上は1260億ドル、モバイルビジネスでは1億1390のリテール・コネクションを持っている。

われわれが先週書いたとおり、今回のYahooとAOLの統合ではマーケティングや管理業務を中心に15%の人員カットが行われる。今日の発表ではこの点についての言及がなかったが、TechCrunchでは引き続き取材していく。

またマリッサ・メイヤーとともに退任する幹部のリストもまだ発表されていない。われわれが得た情報ではメイヤーにきわめて近かったYahooの上級副社長、Adam
Cahanも辞任し、CISO〔最高情報セキュリティー責任者〕のBob LordもYahooを去る。ただLordは問題の大規模な情報漏えいが起きた時点では責任者ではなかった。この情報漏えいによりVerizonはYahooの買収額を数億ドル減額したという。

AOL/Oathの広報担当者は他の退任者について明かすことは避け、Oathのグローバルな役割を強調するに留まった。

特に意外の感はないが、これに先立って、David Filo、Eddy Hartenstein、Richard Hill、Marissa Mayer、Jane Shaw、Jeffrey Smith、Maynard Webb Jr.はYahooの取締役をすでに辞任している

新組織に残る人材については、Jared Grusdがニュース部門(yahoo.comaol.com、 HuffPost、Yahoo Newsなど)、Geoff Reissがスポーツ部門、David Karpがピープルおよびコミュニティー部門(Tumblr、Polyvore、Cabana、Yahoo Answers、Yahoo View、Kanvas)、Andy Serwerがファイナンス・メディア(Yahoo Finance、Autoblog)、Michael LaGuardiaがファイナンス・プロダクト、Ned DesmondがTechCrunchとEngadgetをそれぞれ担当する。 【略】

Oathは単に統合されたメディアブランドというだけでなく、こうしたメディアを支える広告テクノロジーもOathに統合される。おそらくOne byAOLBrightRollのマーケティング、広告テクノロジーに力が注がれ、モバイルからビデオ、検索、ネーティブ、プログラムなど広告の全分野をカバーすることを目指すのだろう。

さらに取材中。

〔日本版〕ティム・アームストロングのメモは原文に掲載。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ヤフー前社長の井上雅博氏が60歳で逝去——米国で交通事故

ヤフーは4月29日、前代表取締役社長である井上雅博氏が4月25日(日本時間26日)、米カリフォルニア州での交通事故により逝去したと発表した。60歳だった。

井上氏は1979年に東京理科大学理学部数学科を卒業。同年ソード電算機システムに入社。1987年にはソフトバンク総合研究所に移り、1992年よりソフトバンクに入社した。1996年にはソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏とともに米Yahooとの合弁会社・ヤフー株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。国内最大のとなるポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を立ち上げ、2012年6月に同社を退任した。

ヤフーでは「こここに生前のご厚誼を深く感謝するとともに、謹んでお知らせ申し上げます」としている。通夜び葬儀、お別れの会の予定は現在決まっておらず、詳細が決まり次第お知らせするとしている。

“Oath: A Verizon Company”という名称の長所と短所を考える

コーポレート・アイデンティティ!もちろん皆が大好きだ。いや、しかし、良いものに出会うことは難しい。どうやら“Oath: A Verizon Company.”(Oathは「宣誓」といった意味)という名前で行くらしい。すでに別の記事も投稿されているが、ここでは私はグループにフォーカスし、気が付いたことを述べたい(この別の記事“Yahoo + AOL = Oath”では、VerizonによるYahooの買収と、それに伴ってVerizonの子会社AOLとのブランド統合がOathという名前で行われることが書かれている、なおTechCrunchはAOLの子会社であるので、以下の記事もその視点からのものになる)。

長所:

  • これは、他のいくつかの企業のアイデンティティとは異なり、実際の言葉だ。
  • もし「カルトのためのTinder」に方向転換するなら良いブランドだ(Tinderは米国で有名な出会い系アプリ)。
  • フォントがきれいだ(ジオメトリック・サンセリフでは悪くなりようがない)し、私たちの青は、Facebook、Google、そしてTwitterのいずれの青とも異なっている。
  • 今のところグラデーションがない。

短所/その他:

  • Oathというのは誓いを立てる行為の別名だ。古代の Oath は極めて興味深いものだ。あなたはキリストを十字架に磔(はりつけ)にするときに用いられた釘を示す、”by god’s hook”、略して”gadzook”という言葉を知っているだろうか?それは、沢山のカラフルなOathのひとつだ。
  • “Take the Oath”(「宣誓せよ」)という表現は、基本的に恐ろしいキャッチフレーズのように響く。しかし、企業が押し付けがましい広告やトラッキング(失礼)、そして独占的なやりかたで収益を生み出そうとするとき、顧客に対して攻撃的な印象を与えかねない。例えば”Take the Oath and like it”(「宣誓し、それを愛せ」)といった具合に。
  • コロン(:)はあるものの、実際には何も宣誓されていない。何を約束するかを、私たちが決めかねているように響く。「これが私たちからあなたへの永遠の誓いです:『誓いは後からやってきます』」。
  • “taking the oath”という内部でのやり取りは、自殺協定もしくは、少なくとも何らかの流血を想起させる。私は公式な「忠誠の誓い」(Oath of allegiance)のためにこれを書く:

Weave a circle round Tim thrice, (Timの周りを3度回り)
And click your mouse with holy dread(神聖な怖れでそのマウスをクリックせよ)
For he on revenue hath fed, (彼の得る収入のために)
And drunk the MAUs of Yahoo sites.(そして飲み込むYahooサイトのMAUのために)

  • どうやらoath.comを登録し忘れているようだ。  (日本時間4月4日13:00現在)
  • “oaf”(無骨、のろま)のようにも響くし、あるアクセントを持つ人たちは実際にそのように発音する。残念ながら無骨者たちは、一般に思慮深いと思われていない。私たちが悪いわけではないだけに尚更残念だ。
  • 人びとが嘘を言わないようにと、裁判中表面的に誓約が行われる。また就任の際には、一般に「宣誓の下にあることを忘れないように」と念押しされる。いくつかの理由から、本当によい関係とはならない。「宣誓の下」であることは、新たな”A-o-hell”(AOL hell:AOLの使いにくさを揶揄した表現)なのかもしれない。
  • OAuthジョーク

まあ、もっと酷いものになる可能性だってあった。思いを巡らせてみれば、オンラインにあるものは、ほぼ全てが酷い名前を持っている。”Yahoo!”に慣れることができたのだから、”Oath”に慣れることだってできる。あるいは”Oath:”、もしくは”Oath: A Verizon Company”に。これがどのようになるものか、全く明快ではない。

(訳注:途中に引用された詩はSamuel Taylor Coleridge. (1772–1834)の、Kubla Khanのパロディ。なおTimはAOLのCEOであるTim Armstrongを指していると思われる)。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Yahooを襲ったハッカーは‘勃起不全の治療薬’で検索している検索結果を金銭目的で操作した

今日(米国時間3/15)司法省が提出した起訴状によると、5億人のユーザーが被害者になった2014年のYahooハックの犯人とされているハッカーの一人が、金銭目的で検索結果を操作した。

Alexsey Belanはeコマースの詐欺や悪質なハッキングで何度も告発された人物だが、2013年にはロシアに逃げおおせていた…それは彼がヨーロッパで逮捕され本国(アメリカ)へ送還される前のことだった。彼に帰せられている罪は、共犯者たちのそれに比べると、人の弱みにつけ込むような性質が強かったようだ。、

彼の手口のひとつは、Yahooの検索エンジンのサーバーの一部を操作して、“erectile dysfunction medications”(勃起不全の治療薬)で検索した人(もちろんこんな医学専門用語ではない検索もある)をネット上の薬屋さんへ回し、その紹介料金をもらう、というものだった。その犯行を無名のクラウドコンピューティングサービスを利用して行い、その結果そのクラウドサービスは、知らない間に、Yahooとその薬屋さんの間(あいだ)を仲介していたことになる。

これにより犯人たちによるYahooデータへのアクセスは、余録をもたらしたとも言えそうだ。つまりメールやハッシュされているパスワード、そしてごくふつうのデータに紛れ込んでいるセキュリティ関連の質問などが盗まれたことが、明らかになる前に、もっと深いレベルで不法妨害行為が起きていたのだ。もしもBolanが特定の市場を密接にモニタし、そこに検索結果を植え込んだのなら、それこそが、大量のデータをハックしたことから彼や彼のクライアントが得られる最高の利得だっただろう。

二週間前にはYahooのSECへの提出文書が、このハックに関する新事実を明かしている。すなわちそれは、その侵入によって“プロプライエタリなコード”(私権を有するコード)が露出したことだ。何のコードか? どうやって‘盗まれた’のか? Yahooは今、このハックに関するありのままの情報を‘大量出血’しているから、この問への答えもまもなく得られるだろう。

情報開示: VerizonはAolのオーナーであり、AOLは本誌TechCrunchのオーナーである。そのVerizonは、Yahooを買収しようとしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))