約2万円でプロ並の性能を楽しめる万能マイク「Rode Wireless GO」、新色と付属アクセサリーでさらに進化

オーディオ業界をリードするRode(ロード)は、移り変わりの激しいクリエイター業界のニーズに常に対応し、YouTuber、ポッドキャスター、InstagramやTik Tokなどのメディア通に多数の新製品を申し分ない価格で提供し続けている。Rode Wireless GOのマイクシステムは、その中でも最もすばらしい製品と言えるかもしれない。報道のプロが使用していたような高価なワイヤレスのマイクパックシステム相当の品質を備えた製品が、199ドル(約2万1000円)という非常に魅力的な価格で大衆向けに提供されている。設定や使用法も実に簡単だ。今回同社は、Rode Wireless GOの新バーションであるホワイトと、すでに柔軟性に優れた同オーディオデバイスにさらなる汎用性をもたらす新たなアクセサリーを発表した。

著者はWireless GOが発売されて以来のファンであり、これまでにオリジナルのブラックバージョンをさまざまな場面で使用してきた。ホワイトバージョンは、オリジナルの優れた点を損ねることなく、薄い色の服を着用した際のビデオ撮影に適したライトカラーオプションを提供する。Wireless GOに馴染みのない読者のために説明しよう。この製品はトランスミッターとレシーバー(背面には衣服に取り付けるためのクリップ付き)の2点セットで、それぞれUSB-C経由で充電が可能。防風マイクマフ、充電ケーブル、3.5mmオーディオケーブル、持ち運びケースが付属する。

トランスミッターとレシーバーは同期されているため、電源を入れるだけで簡単に使用開始できる。トランスミッターにはマイクが内蔵されており、首元に取り付ければすぐに音を拾って飛ばすことができる。レシーバーパックはデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのコールドシューマウントに簡単に取り付けできて、付属の標準オーディオケーブルをカメラのマイクインプットに接続すれば直接録音が可能だ。

Rode Wireless GOのUSB-Cポートはオーディオアウトプットとしても機能するため、USB-CヘッドセットやUSB-C-3.5mmアダプターを使用してパックから直接音声をモニタリングすることもできる。トランスミッター側には3.5mmインプットがあり、ラベリアマイク(またはその他のマイク)を接続してオーディオシステムをさらに向上させることができる。ラベリアマイクといえば、Rodeは独自のLavalier GOラペルマイクの新バージョンであるホワイトを展開しており、これも高品質のサウンドを生み出す、手頃な価格のすばらしい製品だ。以下では、GO本体からの直接の音と、トランスミッターに接続されたLavalier GOを使用したサンプルの両方を比べて聞くことができる。

Wireless GOは汎用性が高く、幅広い用途で活躍してくれる。たとえばビデオ会議に使用するために、著者のメインの仕事用MacのUSBオーディオインターフェースに接続しておく。会議の時間になり電源を入れるだけで、こちら側のこもったような低品質の音が解決し、相手はとても聴きやすくなるわけだ。外出先でもWireless GOはポッドキャスティングにうってつけのオプションだ。ワイヤレスイヤフォンやデバイスの内蔵マイクと比較してはるかに優れたサウンドを提供してくれる。その上、同様に高品質のほとんどのUSBマイクと違い同製品はきわめてポータブルである。

Rodeは今回のローンチと同時に複数のアクセサリーも発表。さらに多くの用途に対応できるようになった。たとえばThe Interview GOアダプターを使用すれば、トランスミッターを手持ち式のマイクグリップに取り付け、風音や破裂音を減らすフォームフィルターを装着させてスティックマイクに変身させることができる。つまり、通行人のカメラインタビューや、多くの報道陣が殺到する現場での取材に参加する際に持ち運ぶマイクが1つ減らせるというわけだ。

Rode Wireless GOのトランスミッターを、話し手の衣服のどこにでも簡単に取り付けることができる新しい磁石式クリップアタッチメントも用意されており、これで首元や裾に留める必要がなくなる。これはどんな服装にでも柔軟に対応できるという点で非常に革新的で、装置の写り込まないクリーンなビデオショットが撮りたい場合に活躍する。

同社のWireless GOは、他のオーディオアプリケーションで役立つ裏技も持ち備える。たとえば、ヘッドフォンセットに使用するとレイテンシフリーのワイヤレスコンバーターとして機能する。トランスミッターの3.5mmポートにインプットを接続し、ヘッドフォンセットをレシーバーに接続すれば完成だ。

どの観点から見てもまったく妥協のない、万能なマイクシステムを見つけるのは至難の技ではあるものの、Rode Wireless GOはこの価格帯で得られる比類なき完璧なマイクと言っても過言ではない。Go本体は199ドル(約2万1000円)、Lavalier GOは79ドル(約8400円)である。トランスミッター用の磁石式クリップのMagClipは19ドル(約2000円)で、手持ち式マイクアダプター、Interview GOは29ドル(約3000円)だ。

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Category:ハードウェア

Tags:Rode Rode Wireless GO ポッドキャスト

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(翻訳:Dragonfly)

約2万円でプロ並の性能を楽しめる万能マイク「Rode Wireless GO」、新色と付属アクセサリーでさらに進化

オーディオ業界をリードするRode(ロード)は、移り変わりの激しいクリエイター業界のニーズに常に対応し、YouTuber、ポッドキャスター、InstagramやTik Tokなどのメディア通に多数の新製品を申し分ない価格で提供し続けている。Rode Wireless GOのマイクシステムは、その中でも最もすばらしい製品と言えるかもしれない。報道のプロが使用していたような高価なワイヤレスのマイクパックシステム相当の品質を備えた製品が、199ドル(約2万1000円)という非常に魅力的な価格で大衆向けに提供されている。設定や使用法も実に簡単だ。今回同社は、Rode Wireless GOの新バーションであるホワイトと、すでに柔軟性に優れた同オーディオデバイスにさらなる汎用性をもたらす新たなアクセサリーを発表した。

著者はWireless GOが発売されて以来のファンであり、これまでにオリジナルのブラックバージョンをさまざまな場面で使用してきた。ホワイトバージョンは、オリジナルの優れた点を損ねることなく、薄い色の服を着用した際のビデオ撮影に適したライトカラーオプションを提供する。Wireless GOに馴染みのない読者のために説明しよう。この製品はトランスミッターとレシーバー(背面には衣服に取り付けるためのクリップ付き)の2点セットで、それぞれUSB-C経由で充電が可能。防風マイクマフ、充電ケーブル、3.5mmオーディオケーブル、持ち運びケースが付属する。

トランスミッターとレシーバーは同期されているため、電源を入れるだけで簡単に使用開始できる。トランスミッターにはマイクが内蔵されており、首元に取り付ければすぐに音を拾って飛ばすことができる。レシーバーパックはデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのコールドシューマウントに簡単に取り付けできて、付属の標準オーディオケーブルをカメラのマイクインプットに接続すれば直接録音が可能だ。

Rode Wireless GOのUSB-Cポートはオーディオアウトプットとしても機能するため、USB-CヘッドセットやUSB-C-3.5mmアダプターを使用してパックから直接音声をモニタリングすることもできる。トランスミッター側には3.5mmインプットがあり、ラベリアマイク(またはその他のマイク)を接続してオーディオシステムをさらに向上させることができる。ラベリアマイクといえば、Rodeは独自のLavalier GOラペルマイクの新バージョンであるホワイトを展開しており、これも高品質のサウンドを生み出す、手頃な価格のすばらしい製品だ。以下では、GO本体からの直接の音と、トランスミッターに接続されたLavalier GOを使用したサンプルの両方を比べて聞くことができる。

Wireless GOは汎用性が高く、幅広い用途で活躍してくれる。たとえばビデオ会議に使用するために、著者のメインの仕事用MacのUSBオーディオインターフェースに接続しておく。会議の時間になり電源を入れるだけで、こちら側のこもったような低品質の音が解決し、相手はとても聴きやすくなるわけだ。外出先でもWireless GOはポッドキャスティングにうってつけのオプションだ。ワイヤレスイヤフォンやデバイスの内蔵マイクと比較してはるかに優れたサウンドを提供してくれる。その上、同様に高品質のほとんどのUSBマイクと違い同製品はきわめてポータブルである。

Rodeは今回のローンチと同時に複数のアクセサリーも発表。さらに多くの用途に対応できるようになった。たとえばThe Interview GOアダプターを使用すれば、トランスミッターを手持ち式のマイクグリップに取り付け、風音や破裂音を減らすフォームフィルターを装着させてスティックマイクに変身させることができる。つまり、通行人のカメラインタビューや、多くの報道陣が殺到する現場での取材に参加する際に持ち運ぶマイクが1つ減らせるというわけだ。

Rode Wireless GOのトランスミッターを、話し手の衣服のどこにでも簡単に取り付けることができる新しい磁石式クリップアタッチメントも用意されており、これで首元や裾に留める必要がなくなる。これはどんな服装にでも柔軟に対応できるという点で非常に革新的で、装置の写り込まないクリーンなビデオショットが撮りたい場合に活躍する。

同社のWireless GOは、他のオーディオアプリケーションで役立つ裏技も持ち備える。たとえば、ヘッドフォンセットに使用するとレイテンシフリーのワイヤレスコンバーターとして機能する。トランスミッターの3.5mmポートにインプットを接続し、ヘッドフォンセットをレシーバーに接続すれば完成だ。

どの観点から見てもまったく妥協のない、万能なマイクシステムを見つけるのは至難の技ではあるものの、Rode Wireless GOはこの価格帯で得られる比類なき完璧なマイクと言っても過言ではない。Go本体は199ドル(約2万1000円)、Lavalier GOは79ドル(約8400円)である。トランスミッター用の磁石式クリップのMagClipは19ドル(約2000円)で、手持ち式マイクアダプター、Interview GOは29ドル(約3000円)だ。

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナウイルス蔓延の中、3月に3万人のビデオブロガーがPatreonに加入

クリエイティブな人々のビジネスは新型コロナウイルス(COVID-19)で大きな影響を受けている。そこで記録的な数のビデオブロガー、ユーチューバーがPatreonに参加し始めた。同社の発表によれば、3月の最初の3週間で3万人以上のクリエーターがこのプラットフォームと契約したという。クリエーターがパトロン(有料オーディエンス)を獲得するスピードもこれまでよりずっと早い。つまり収入の増加も早いわけだ。

世界のクリエーターは、新型コロナウイルスの流行により直接的にも間接的にも逆風にさらされてきた。ウイルスの拡大を抑えるために、ライブショーはキャンセルされ、カンファレンスやトレードショーなどのイベントも軒並み、中止ないし延期されている。クリエーターがこれまで依存していた他の収入源も弱体化している可能性がある。

悪影響を受けたクリエーターの多くがPatreonプラットフォームに加わって損失を防ごうとしている。ファンはすばやくクリエーターをフォローするようだ。

Patreonの社内資料によれば、米国、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、イタリア全体での3月に顧客は対前月比で36.2%もアップしている。資料によれば、 Patreonへの新規参加者の動向が大きく変化したのは3月の12日木曜日から13日金曜日だ。

これ以後、クリエーターはPatreonの創立以来最速でプラットフォームに参加し続けている。もうひとつ重要な点は、参加から10日以内に最初の「パトロン」を獲得するクリエーターの割合が増加していることだ。Patreonでは今回のブームがこれまで経験した中で最も強力なものだとしている。

現在、Patreonのプラットフォームは、180か国400万人以上のオーディエンスをパトロンとしており、コミュニティーに独占的なコンテンツを配信することで収入を生み出している。世界で15万人以上のアーティストがこのサービスを提供を受けている。クリエーターがこれまでにPatreonのプラットフォームを通じて得た収入は10億ドル以上だという。

しかしもちろんすべてがバラ色というわけにはいかない。Patreonの一部には新型コロナウイルス問題のために、サイトの閉鎖を余儀なくされるメンバーがいるため、解約数もわずかに増加しているという。だが、全体として解約率は今のところ安定しており、これによる減少は他のサービスが経験しているほど大きなものではない。

新型コロナウイルスの流行の影響により大幅な成長が見られたプラットフォームはPatreonだけではない。クラウドファンディングのGoFundMeなどのサイトも、中小企業のサポート、生活費、食料、医療費など個人のライフイベントへの支援を求めているためここ数週間で急成長している。

GoFundMeはこの数週間で2万2000以上の新型コロナウイルス関連の募金活動を処理し、病院、企業、およびその他の組織をサポートする寄付を4000万ドル以上集めたと発表している。同社はまた、パンデミックの影響を受けたコミュニティを支援するために150万ドルを寄付すると約束している。

TechCrunchではPatreonがクリエーター向けの少額融資ファンドを組成したことを報じている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インスタ参入のUUUM代表インタビュー:創業2期目に踏んだアクセルと、時代に合わせた変化の重要性

YouTuberを中心にクリエイターのサポート事業を行うUUUM。彼らがインスタグラム・マーケティングのレモネードを買収し、これまでの主戦場であったYouTubeを超え、Instagramの領域にも参入したというニュースは先日お伝えした通りだ。

TechCrunch JapanではUUUM代表取締役社長の鎌田和樹氏にインタビューを実施し、2017年8月の上場から約1年というタイミングでの振り返りと、今回の買収の背景を聞いた。

創業2期目に踏んだアクセル

僕が子どもだった頃と比べると、若者のコンテンツ消費のあり方は大きく変わった。昔は、テレビという画面の中には“芸能人”と呼ばれるヒーローたちがいて、テレビ局が決めた放送時間に合わせてテレビの前に座ったものだ。でも今の若者たちにとってのヒーローはYouTuberに、テレビはスマホに移り変わりつつある。そして、視聴する時間とその内容も、彼らの思い通りに選択できるようになった。

そんな時代背景を追い風に、UUUMの数字は好調だ。2015年4Q時点での所属チャンネル数は1141チャンネル。それが、2018年4Qには5877チャンネルと3年で約5倍に増えた。3ヶ月間の合計再生回数も同期間で約20億回から約95億回へと、こちらも5倍近く増えている。決算数字も順調に推移し、直近の決算期である2018年5月期の売上高は117億円、営業損益も7億1000万円の黒字となった。

UUUM代表取締役の鎌田氏はこれまでの経営を振り返り、UUUMがこの成長曲線を描けた理由として、動画という“情報量が多いフォーマット”が時代の要請とともに定着し、2015年のいわゆる“動画元年”から市場自体が急速に成長したこと、そして、有名になるための手段としてメディアに載るのではなく、自分という存在をみずからの手で発信できる環境が整ったことをあげた。

でも、いま鎌田氏が言ったのはすべて外部環境の話だ。どれだけ鎌田氏が謙虚になろうとも、スタートアップを日々取材するTechCrunch Japanは、UUUMと同じように動画という領域に着目をし、そこでビジネスを成り立たせようとした人が沢山いたこと、そしてそれに失敗した人が沢山いたことも知っている。

個人が動画をアップロードするという、ある種クリエイターの“頑張り”に大きく依存するものを、UUUMがビジネスとして成り立たせることができた理由はなんだろうか。

鎌田氏はそれについて、「UUUMがこの領域をビジネスとして成り立たせることができたのは、早い時期からYouTubeからの広告収入や企業とのタイアップなどで“動画だけによる収益基盤”を築くことができたからです。他社では、動画は作ってもその制作費とインカムがずれてしまい、結果的にオプション的なビジネスとしてコマースなどを始める例が多い。また、各事務所それぞれに1〜2人ほどはいる有名なクリエイターを、先を見越して100人、1000人という単位で増やす努力をしてきたことも要因の1つ」と語った。

動画というフォーマットが求められる時代に合わせ、その動画で稼ぐ方法を模索し、収益基盤を作る。そして、すぐに次のサイクルを見越して有力なクリエイターを戦略的に獲得する。その投資を早い時期から行ってきたことが成長の要因だと鎌田氏は言う。

UUUMが成長のために大きくアクセルを踏み込んだのは、創業から第2期目にあたる2015年5月期のことだ。この年、UUUMは売上高こそ前期の約1億6000万円から約13億円へと急速に伸ばしている。しかしその一方で当期純損益を見ると、約1800万円から約2億7000万円へと赤字幅も大きく拡大していることが分かる。

「この領域は参入障壁が低いと言われてきたが、第2期目の段階で人材獲得などに大きく投資を行い、新規参入がしにくくなる状況を作った。取引先各社との連携を重視し、今の六本木にオフィスを移したのもこの頃だ。クリエイターがUUUMで最大限活躍するためには、彼らとの関係構築も必要。そこにも時間とお金を大きく投資した。クリエイターの成長に僕らが負けていてはダメだったんです」(鎌田氏)

先を見越し、時代に合わせて変化する

これまで、メディアや登壇の場で鎌田氏が繰り返し強調してきたのは、コンテンツとそれを作るクリエイターがもっとも重要だということだ。それを考えれば、彼が早い時期から有力なクリエイターを100人、1000人単位で獲得しようとしてきたのにも納得がいく。

9月14日、これまでYouTubeを主戦場として闘ってきたUUUMがインスタグラムマーケティングのレモネードを買収し、Instagram領域にも参入すると発表したのは冒頭でもお伝えした通りだ。これまでの鎌田氏の話を聞くと、これもUUUMが時代の移り変わりに合わせて変化し、次の世代のクリエイターを惹きつけるための一手であると思えてくる。

「YouTuber」という言葉が一般化するよりずっと昔、YouTubeに動画を投稿する人たちが活動する場所は、YouTubeでしかなかった。でも、ここ最近「YouTuber」という言葉よりも「インフルエンサー」という言葉の方をよく耳にするようになったことからも分かるように、彼らが活動する領域の境界線が消えつつある。

「動画を投稿するクリエイターをメインにサポートしてきたUUUMが、静止画のInstagramをメインに活動するレモネードを買収すると聞くと、『ちょっとズレてるのでは』と思う人もいるでしょう。でも、プラットフォーム間の垣根は無くなってきている。例えば、(UUUMに所属するYouTuberの)はじめしゃちょーのTwitterアカウントのフォロワー数は日本で7位(記事執筆現在)。タイアップを検討するクライアントからの要望も、YouTubeと他のSNSを組み合わせた“立体的な“ものに変わった」(鎌田氏)

これまではYouTube内でのタイアップ案をメインに提案していたUUUMにとって、Instagramも交えた提案も可能になったことは、彼らのタイアップビジネスにとって大きなメリットなる。しかし、他社より早い段階で、そして大規模に他のプラットフォーム(SNS)へと活動領域を拡大することは、次の世代の優秀なクリエイターを累乗的に増やすことにもつながる。

レモネードがサポートするインスタグラマーは現時点で約3000人。これはUUUMがサポートするYouTubeチャンネル数である約6500チャンネルのおよそ半数にあたる数字だ。UUUMは今回の吸収合併により、その3000人のクリエイターたちと新たに関係値を築けることになる。

さらに、UUUMのクリエイターの活動領域をInstagramに、そしてその他のプラットフォームへといち早く広げることができれば、それはすなわちクリエイターにとっての“安心感”につながり、これから芽が出る新しい世代のクリエイターを惹きつける要因にもなる。

「クリエイターとして成功するまでの障壁の一つに、マネタイズできるまでの期間が長すぎて、途中で諦めてしまうというものがある。今回の買収により、UUUMのサポートがより立体的なものになることで、そのマネタイズまでのポイントをさらに短くできるかもしれない。そうすれば、個人が発信するという文化をさらに加速できる」(鎌田氏)

レモネードの買収は、UUUMにとって初めての買収だ。鎌田氏はインタビューの中で、他のプラットフォームへの拡大はInstagramに留まることはないと話した。これまでの活動から「YouTubeのUUUM」と呼ばれてきた彼らの変化が始まろうとしている。

「YouTubeのUUUM」がInstagramにも参入、インスタ・マーケティングのレモネードを5億円で買収

UUUMは9月14日、Instagram上でコンテンツを発信するインスタグラマーと、彼らとのタイアップを行いたい企業とをマッチングする「influencer One」を提供するレモネードの全株式を取得して吸収合併すると発表した。買収総額は約5億円だ。レモネード代表取締役の石橋尚也氏は合併後、UUUMの執行役員に就任する。

HIKAKINやはじめしゃちょーなど、有名YouTuberが多く所属するUUUM。同社がサポートするYouTubeチャンネル数は最新の数字で6570チャネル。うち専属契約を結ぶクリエイターは270名にのぼる。また、所属チャネルの月間再生回数は40億回(2018年8月)を突破するなど、YouTuberマネジメントの領域では圧倒的な強さを誇る。

これらの事実から「YouTubeのUUUM」とも比喩されることもある同社だが、これからはそうとも呼べなくなるかもしれない。レモネードの買収は、UUUMがYouTuberに加えてインスタグラマーのサポートに乗り出すことも意味するからだ。

現在、influencer Oneに登録するインスタグラマーの数は2800人。そこにUUUMが現在サポートを行うYouTubeチャンネル数を加えると、UUUMはこれからのべ1万人近くのクリエイターのサポートを行うことになる。

UUUM発表資料より

また、今回の買収によりUUUMがサポートするクリエイターが活躍できる場が増えることも大きなメリットの1つだ。今や、YouTuberとして成功するためにはInstagramをはじめとするSNSの活用が必須の時代。UUUMからYouTubeチャンネルの運用だけでなく、Instagramの運用についてもサポートも受けられるとなれば、さらに多くの有力クリエイターがUUUMに集まってくる。UUUMとしても、YouTube内での広告・タイアップ企画だけでなく、Instagramも絡めた提案が可能になることは大きなビジネスチャンスにつながる。

TechCrunch Japanでは、UUUM代表取締役の鎌田和樹氏に買収の背景と今後の戦略について聞き、近日中にはインタビュー記事を公開する予定だ。

動画広告市場は2020年に2000億円を突破、YouTuber市場も2022年に579億円へ——YouTube総研

 

YouTubeなどインターネットマーケティングに関するコラムやニュースの配信、トレンドや実態調査を含むマーケットリサーチを行うYouTube総研は3月2日、動画広告市場に関するレポートを公開した。

動画広告市場は2020年に2000億円を突破、5年で4倍の規模へ

サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で実施した調査によると、2017年の動画広告市場は1093億円、2020年には2,000億円を突破する勢いで成長するとされている。2015年の市場規模は506億円のため、5年で約4倍というスピードだ。

特に成長著しいスマートフォン市場。若年層のテレビ離れもあり、スマートフォンによるユーザーの動画視聴時間は引き続き増加中で、今後もこの傾向が続くと予想されている。

YouTuber市場規模は2022年に579億円へ

CA Young Labとデジタルインファクトが実施した国内YouTuber市場動向調査では、2017年の国内YouTuber市場規模を219億円と推計している。

これは「YouTube広告収入」「タイアップ広告収入」「イベント・グッズ収入」というYouTuberの3つの収益源の年間総額を集計し、市場規模として割り出したものだ。

人気YouTuberはもちろん、次々とYouTuberが生まれることによって動画コンテンツの再生回数が増加。今後もYouTube広告を軸に市場規模の拡大が見込まれていて、2019年には約2倍の400億円、2022年には約2.6倍、579億円規模に達すると予測されている。

YouTuber市場規模の拡大に合わせて、2017年8月にはYouTuberのマネジメントを手がけるUUUMがマザーズに上場。同業のVAZも総額約11.5億円の資金調達を本日発表するなど、関連するスタートアップも盛り上がってきている。

YouTuberプロダクションのVAZが21の投資家から総額約11.5億円を調達、就職支援サービスの拡大へ

インフルエンサーマーケティング事業や複数のメディア事業を展開するVAZは、2017年6月から2018年3月までの期間において、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額11億5200万円を調達したことを明らかにした。

同社にとってはシリーズCラウンドという位置付けで、合計21の投資家(事業会社、VC、個人)が参加している(投資家陣のリストは末尾に記載)。

VAZは2015年7月の創業。チャンネル登録者数が240万人を超えるヒカル氏、同じく190万人を超える禁断ボーイズなど人気YouTuberを中心に、約70人のインフルエンサーを抱えるプロダクションとなっている。昨年8月にはヒカル氏らのVALU騒動もあったが、自粛期間を経て11月に復帰した。

同社では所属するインフルエンサーのネットワークを活用したマーケティング事業やエンタメ事業を展開。並行して中卒、高卒、専門卒、大学中退などの非大卒を主な対象とした就職支援サービス「バズキャリア」(2017年6月公開)にも取り組む。

バズキャリアは各ユーザーに専属のキャリアカウンセラーが付き、チャットベースのやりとりを通じて就労支援を行うサービス。インフルエンサーの力も上手く活用して、ターゲット層へのリーチを拡大。今回調達資金を元に、事業のさらなる成長を目指すという。

以下、今回VAZのシリーズCラウンドに参加した21の投資家陣だ。

  • コロプラネクスト(既存投資家)
  • ホリプロ(既存投資家)
  • 読売テレビエンタープライズ(既存投資家)
  • 共同ピーアール
  • ドワンゴ
  • フリークアウト・ホールディングス
  • フロンティアエージェント
  • PERSOL INNOVATION FUND
  • オプトベンチャーズ
  • みずほキャピタル
  • Skyland Ventures
  • GCM
  • 恵島良太郎氏
  • 大湯俊介氏
  • 久保直之氏
  • 玄君先氏
  • 田口茂樹氏
  • 田中陽加満氏
  • 宮地俊充氏
  • 非公開の事業会社1社、個人投資家1名

YouTuber支援プラットフォームのBitStarがTBS、ABCから資金調達——マスとネットの協業進める

インフルエンサーと企業をつなぐプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastは10月2日、TBSイノベーション・パートナーズABCドリームベンチャーズが運営する各ファンドから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、関係者によると数千万円程度の模様。また同社はあわせて、社名をBitStarに変更することを発表している。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。今回の資金調達はシリーズBの追加調達に当たるという。

同社は、インフルエンサー支援プラットフォームのBitStarを手がけるほか、“マスメディアとデジタルの融合”をコンセプトとしたYouTuberプロダクション「E-DGE」を2017年7月に立ち上げ、所属YouTuberのマネジメントとコンテンツ制作を行っている。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「テレビはまだまだ主力メディアだ。プロダクション事業を拡大するに当たっては、所属するYouTuberを有名にすることが重要。メジャーなメディアであるテレビに、タレントを露出する場を用意することも、今回の資金調達の目的のひとつだ」と言う。

渡邉氏はテレビ局と組むことによるメリットを「番組宣伝へのYouTuberの出演、YouTuberを起用した広告宣伝、インフルエンサーが出演する番組を作れること」と説明する。「若者のテレビ離れと言われる中、テレビ局は若者を呼びたいし、広告も売りたい。そこでインフルエンサー出演番組を制作し、広告商品も一緒に企画するなど、(お互いに)自社だけではできない協業を進めたい、ということで今回の資本提携に至った」(渡邉氏)

「テレビ広告は、広告業界6兆円のうちの2兆円を占める。我々は、インフルエンサーのキャスティング、アサインからコンテンツ制作、広告販売まで一気通貫でできるところが強み。広告の共同商品開発をはじめ、TBS、ABCの2局と協業の仕組みを確立したい」(渡邉氏)

実はBitStarでは、9月27日にE-DGE所属のYouTuberが、10月4日深夜から放送されるテレビ東京のエンターテイメント番組「エンタX」にレギュラー出演することを発表している。番組MCには“ピコ太郎のプロデューサー”こと古坂大魔王氏らが起用され、毎週のゲストにマックスむらい氏ほか、E-DGE所属外も含めた大物YouTuberが出演する。BitStarはこの番組への取り組みでも、テレビ広告の共同販売を視野に入れているという。渡邉氏は「YouTuber番組をやりたかったテレビ局とスポンサー、そして我々の三者の意向が合致した。E-DGEの目指す“マスとデジタルの融合”を実現し、露出の場を作ってあげることができた」と話している。

渡邉氏はさらに「インフルエンサーのメディアへの露出も支援していくが、マスメディアがネットへ進出したい、という動きも支援したい」と語っている。「テレビだけでなく、出版やラジオなども含め、YouTubeでチャンネルを持ったり、ネットで番組を公開したりしたい、というメディアとの連携も進めていきたい」(渡邉氏)

YouTuberのマネジメントを手がけるUUUMがマザーズ上場へ

YouTuberなどクリエイターのマネジメント事業などを行うUUUMは7月27日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は8月30日で証券コードは3990だ。

UUUMの前身は2013年に設立されたON SALE。その後同年11月にuuumに、そして2014年の12月に現在のUUUMへと商号を変更している。代表取締役を務める鎌田和樹氏が人気YouTuberのHIKAKIN氏と出会ったことをきっかけに事業をスタートし、国内でも最大規模のYouTuberネットワークになった。現在YouTuberのマネジメントやYouTuberを軸にしたインフルエンサーマーケティングに加え、自社でアプリ開発も手がけている。2017年5月には任天堂との包括的許諾合意を発表し注目を集めた。

これまでの資金調達に関しては時期や調達額など具体的な発表は行っていないが、独立系VCのANRIやジャフコが過去に出資をしており、両VCはUUUMの大株主となっている。(ANRIが19.30%、ジャフコが17.54%を保有)

UUUMでは上場にともなって30万2000株を公募し、29万2300株を売り出す。UUUM代表取締役の鎌田和樹氏(8万8500株)、ANRI(8万8500株)、ジャフコ(3万7800株)が株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは7万7500株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月10日、ブックビルディング期間は8月14日~8月18日。価格の決定日は8月21日だ。

有価証券報告書によるとUUUMの2016年5月期(第3期)の売上高は32億9971万円、経常利益2億2172万円、当期純利益1億8591万円。2015年5月期(第2期)の売上高は13億1858万円、経常損失2億6312万円、当期純損失2億7167万円となっている。

また別途UUUMが本日発表した資料によると、2017年5月期の売上高は69億8300万円、経常利益3億5800万円、当期純利益2億5700万円となっている。

YouTuber支援プラットフォーム「BitStar」運営が3億円を資金調達——JTBとの協業で海外進出も

YouTuberをはじめとした、発信力のある個人がコンテンツをどんどん公開するようになる中、日本でもインフルエンサーマーケティングのプラットフォームやサービスを提供して、インフルエンサーを支援する動きが活発になっている。5月には集英社がインフルエンサーマーケティング事業への参入を発表しているし、6月7日にはCandeeがインフルエンサーが商品を動画で紹介するライブコマースに参入、アプリの提供を開始したばかりだ。

こうしたインフルエンサーマーケティングのプラットフォームのひとつ「BitStar」を運営するBizcastは6月19日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とする3億円の第三者割当増資の実施を発表した。また資金調達に伴い、グローバル・ブレインのパートナー、深山和彦氏が社外取締役に就任する。

Bizcastは2014年7月の設立。動画広告での収益化を図りたいYouTuberと、動画プロモーションをしたい企業とをマッチングするサービスとして、BitStarベータ版を公開したのは2015年9月のことだ。Bizcastは、シードラウンドではEast Venturesから資金を調達、2016年8月のシリーズAラウンドではコロプラから資金を調達している。

BitStarがインフルエンサーに提供するのは、企業とのマッチングを行う広告代理店機能、インフルエンサーが活躍するためのプロダクション機能、そしてコンテンツ制作を進めるメディア機能だ。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏は「我々の狙うマーケットは芸能プロで1兆円、広告業界で6兆円、コンテンツ産業は12兆円ととても大きく、しかしアナログな世界だ。BitStarは、インフルエンサーの発掘、育成、マネタイズを支えるテクノロジーが強み」と話す。

具体的に用意されているシステムには、インフルエンサー発掘では、YouTuberやInstagrammerなど成長しているインフルエンサーを自動検知してスカウトできるクローリングシステム、マネタイズ支援では、大量の企業からのオファーを効率的に実施するマッチングプラットフォームがある。また育成支援ツールとして、YouTubeチャンネルをデータに基づいて分析し、配信方法を最適化するシステムを開発中とのことだ。

これらITを活用する一方で「(タレント)インキュベーターとして、元AKBやKPOPタレントのマネジメントに携わった人材なども抱えている」と渡邉氏は言う。「テクノロジーと人の力で、さらにこの市場での成長を加速させていきたい」(渡邉氏)

BitStarでは、著名なスターインフルエンサーだけでなく、ロングテールでコンテンツを提供するインフルエンサーも押さえている。YouTuberの登録は無料とし、マッチングシステムや広告案件の提供のほか、ファンレターの住所貸しや確定申告の支援などのサービスをアラカルト式に提供している。MCN(マルチチャンネルネットワーク)やタレント事務所に所属していないYouTuberの登録も多く、YouTubeチャンネルの購読者が1000人以上のインフルエンサーが1500人以上登録し、フォロワーは延べ8000万人に到達。国内では最大級のインフルエンサーネットワークとなっているという。

YouTuberによる動画配信実績は1000本超。クライアントにはDMM.comやミクシィ、ディー・エヌ・エー、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスといったゲームのプラットフォーマーやメーカーに加え、銀座コージーコーナー、デニーズ、リクルート、ユニチャーム、エステー化学など、さまざまな業種の大手企業の名が挙がっている。

今回の資金調達によりBizcastでは、マスメディアやプロダクションとの連携により、さらにプロダクション事業、メディア事業を強化していく考えだ。また、新たなプロダクトの開発と海外展開のための投資も進めるとしている。

特に海外展開については、今回の出資ファンドに戦略的LPとして参加しているジェイティービー(JTB)とそのグループ会社とも協業を進めるとのこと。既に国内では旅行商品「エースJTB」のプロモーションにBitStar登録のインフルエンサーが採用されているそうで、今後さらに観光インバウンド領域などで、日本企業の海外プロモーション支援を協業で進めていくという。

写真左から:グローバル・ブレイン パートナーの深山和彦氏、代表取締役社長の百合本安彦氏、Bizcast代表取締役の渡邉拓氏、COOの原田直氏、CTOの山下雄太氏

SNS横断でフォロワーの属性も絞り込めるインフルエンサーのキャスティング基盤「iCON Suite」

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YouTube、Instagramなどのソーシャルプラットフォームで多くのファンを獲得し、大きな影響力を持つようになった「インフルエンサー」。YouTubeに投稿した動画の広告収入で生計を立てるYouTuberや、Instagramでリクエストに応じて商品を紹介することで収入を得るInstagrammerという名前も良く聞くようになってきたが、彼らは従来のメディアとは違うチャネルで顧客との有効な接点を見つけたい企業にとっても重要な存在となりつつある。

2015年1月にYouTubeクリエイターと広告主をマッチングさせるサービス「iCON CAST(アイコンキャスト)」を提供したTHECOO(ザクー)は8月25日、動画メディアを展開するC Channelの子会社でインフルエンサーマーケティング企業のYellow Agencyと業務提携。ソーシャルプラットフォーム横断でインフルエンサーを検索、キャスティングする「iCON Suite(アイコンスイート)」を開始した。

iCON SuiteはYouTubeに加え、InstagramやTwitter、Snapchatといったソーシャルプラットフォームに横串で対応。インフルエンサーの影響力やファンの属性(デモグラフィック情報)を機械学習と自然言語解析を用いることで分析可能にした。これにより、クライアントのニーズも高まるInstagramについても、従来利用してきたYouTube APIでは取得できなかった情報を提供。感覚ではなくデータに基づいたインフルエンサーのキャスティングを実現する。

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iCON Suiteでは、インフルエンサーをファッション・コスメ・ペット・ゲームなどのカテゴリと、ファンの性別・年代、ファン(フォロワー)数から絞り込むことが可能だ。サービス開始時は、全インフルエンサーの検索ができ、キャスティングはYellow Agency所属のインフルエンサーのみに対応する。

「iCON CAST提供から1年半、YouTuberと企業とのマッチングでは日本最大のサービスとすることができた。Google出身者の多いTHECOOでは、AdWordsの営業時代も含めて、クライアントがいかに効果を求めるものなのか、データの力がどれだけ大切かということにかけては、ノウハウがかなり蓄積されている。」とTHECOO代表の平良真人氏は語る。「iCON Suiteでは、対象をYouTubeから他のプラットフォームに広げても、実際に使っていただける企業・インフルエンサーの数で日本最大を目指したい」(平良氏)

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THECOOでは、iCON Suiteの利用企業を2016年内に100社以上、インフルエンサーではInstagramユーザーのうち5000人の利用を目標としている。また、アジアをはじめとした海外への展開も年内に予定。その際には、各国で主に使われている、日本とは異なるソーシャルプラットフォームにも対応していくという。

平良氏は「ソーシャルプラットフォーム上で、自分のアカウントできちんとファンとのコミュニケーションを取れる人をインフルエンサーと定義している」とした上で、日本ではゲームやファッション・コスメ、あるいは“やってみた”動画などに人気が偏るインフルエンサーのカテゴリについて、こう話す。「発展途上だが今後に期待できる。中国やタイでは、インフルエンサーがクルマやゴルフ、スポーツなど、自分の好きなことを突き詰めた結果、カテゴリとして成立するテーマが増えた。その結果、自動車業界やラグジュアリブランドなどにも、クライアントが増えている。誰でもインフルエンサーになれる時代だ」(平良氏)

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

YouTuberと企業を結ぶプラットフォーム「BitStar」、運営のBizcastがコロプラから資金調達——海外展開も視野に

Googleの積極的なプロモーションもあって、言葉としても定着した感のある「YouTuber」。そのYouTuberとクライアントとなる企業を繋ぐマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastが8月1日、コロプラを引受先としたシリーズAの第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、関係者の話によると億単位の調達だと見られる。

BitStarは2015年9月のリリース。YouTuberをインフルエンサーにして商品のマーケティングを行いたいクライアント企業と、動画広告での収益化を図りたいYouTuberをマッチングするプラットフォームだ。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していない、事務所無所属のYouTuberの登録が中心となっている。

UUUMやiCON CASTなどYouTuberと企業を結び付けるサービスはほかにもある。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏いわく(1)3200万チャンネル登録者とインフルエンサーのネットワーク規模が大きい、かつジャンルも多岐にわたること、(2)YouTuberとともに最適な企画を作るほか、機材貸与やファン向け施策の支援なども実施した「YouTuber寄り」な運営をしていること、(3)YouTuberごとのクリック単価や再生回数、再生数ベースの効果分析など、企業向けに効果測定のレポーティングを充実させていること——の3点がBitStarの特長だという。

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同社は7月で第3期目を迎えたが、1期から2期での売上は10倍以上(売上の金額は非公開だが、動画の単価は数万円から1000万円以上、数百万円規模が中心)に成長しているそう。クライアントは大手企業が中心で、たとえばゲームだとスクウェア・エニックスやフジテレビジョン、アプリならペロリ(MERY運営)、美容ならアルビオン、ユニチャームなどの名前が挙がる。例えば競馬好きのYouTuberが競馬ゲームの紹介とあわせて馬券を購入、実際に120万円の馬券を当てて話題になった動画などがあるそうだが、この動画を通じて約5000件のアプリダウンロードが発生。CPI(インストール単価)数十円という好調な結果を得た事例などがあるという。

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Bizcastは今回の調達をもとに新商品開発やシステム開発強化、人材拡充を含めた経営基盤の強化を進めるとしている。渡邉氏いわく、いわゆるタレントマネジメント業までは行わないものの、システムや制度面で事務所無所属のYouTuber向けの支援施策も強化するという。クライアント企業に対しては、戦略立案から企画、調査、実行、効果測定までをサポートできる体制を拡充するとしている。

また今後はアジア圏を中心にしたビジネスの拡大を進める。具体的には、国内企業のアジア向け施策のマーケティング・プロモーション支援や現地企業と現地YouTuberのマッチングなど。これに向け、グローバル戦略向けの人員体制も強化する予定だ。加えて、YouTuber以外のプラットフォームでのインフルエンサー獲得についても検討しているという。同社では今期目標について「売上で前期比5〜10倍を目指す」(渡邉氏)としている。

動画プロダクション・メディア運営の3Minuteが3億円の調達、セプテーニとは協業も

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女性特化のYouTuberプロダクションや動画メディア「MINE」を運営する3ミニッツ(3Minute)は12月16日、セプテーニと動画広告領域での資本・業務提携を締結したことを明らかにした。セプテーニのほか、複数社(社名非公開)を引受先とする第三者割当増資も実施。合計約3億円を調達している。

今回の提携を契機に、3Minuteがマネジメントするインフルエンサー(女性YouTuberなど)を素材に、両社が共同で広告クリエイティブを制作。セプテーニが広告販売していく。今後は共同での広告商品開発も進める予定だ。

このほか、動画メディア「MINE」のスマートフォンアプリ「MINE TV」もiOSおよびAndroid向けにリリース。MINEは25〜35歳の女性インスタグラマーを中心にサービスを拡大。現在MAU(月間アクティブユーザー)40万人を誇る。配信するのは自社制作のオリジナル動画が中心。月間数百本の動画を制作しており、ネイティブ広告の取り組みもスタートしているという。

YouTuberと企業をマッチングするルビー・マーケティングが8000万円の資金調達、今後はアジア展開も

ルビー・マーケティングのメンバー。手前中央が代表取締役の平良氏

ルビー・マーケティングのメンバー。手前中央が代表取締役の平良真人氏

 

YouTubeに動画をアップし、その広告収入で生計を立てる「YouTuber」。そんなYouTuberと、彼らに自社のプロダクトを紹介してもらいたい広告主をマッチングするプラットフォームが「iCON CAST」だ。このプラットフォームを提供するルビー・マーケティングが、11月24日、日本ベンチャーキャピタルおよびGenuine Startupsから第三者割当増資を実施。合計8000万円の資金調達を実施したことをあきらかにした。

ルビー・マーケティングは2014年1月の設立。ソーシャルメディアを活用したオンラインマーケティングのコンサルを行いつつ、自社プロダクトの開発を進めてきた。同社の代表取締役である平良真人氏はグーグルで日本の中小企業向けの広告営業部門を立ち上げた人物。社員は十数人だが、グーグル出身者が多い。

同社が提供するiCON CASTは、広告主が動画広告の案件を、YouTuberが自身の実績をそれぞれ公開し、案件への応募をしたりYouTuberの検索をしたりできるプラットフォームだ。日本にもYouTuberは数多くいるが、トップの数人を除いて、広告主から指名で仕事を受けるというのは難しい状況。だがiCON CASTでは、広告主がYouTuberを探すだけでなく、YouTuberの側からも案件を探せる仕組みを採用。そのため、ターゲットとするYouTuberも上位でなく中堅層が中心になっている。

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現在登録するYouTuberは約1000人。案件は当初ゲームやアプリの紹介が中心だったが、現在ではECや旅行、新作映画などその幅を広げている。また1人でなく、複数のYouTuberを起用するケースが増えてきた。人気YouTuberを1人利用すると圧倒的な数のユーザーにリーチすると考えがち。だが平良氏によると、「10万人のファンを持つ1人のYouTuber」よりも、「1万人のファンを持つ10人のYouTuber」で広告を展開する方がROIがよくなる事例もあるのだという。

「前職でGoogle AdWordsをやっていて学んだが、大手企業がビッグワードを購入してCPCを上げてでも戦う一方、中小企業は安価でコアなキーワードを買って効果を出していた。小さいが『原石』のYouTuberがいっぱいいるプラットフォーム」(平良氏)。もちろん紹介するプロダクトの性質にもよるのだろうが、ファンがそこまで多くなくとも自社のプロダクトと親和性の高いファンを持つYouTuberを複数起用すれば、より効果的なマーケティングができるという主張だ。

同社では今回の調達を契機に、YouTuberに加えて、VineやTwitter、Instagramなどで動画や写真を投稿するインフルエンサーの取り込みを進める。また、東南アジアを中心にして、海外展開を進める。実はiCON CASTに登録するYouTuberの2割は、日本以外のアジア圏で活動している人物だそうで、この人数拡大、クオリティの向上に注力する。

YouTuberと動画プロモーションをしたい企業をマッチングするBizcastの「BitStar」

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昨年から今年のスタートアップのトレンドの1つは間違いなく「動画」だろう。動画広告に動画配信サービスをはじめ、スタートアップ各社がしのぎを削る領域となっている。今回紹介するBizcastもそんな動画領域のスタートアップの1社だ。同社は9月1日、YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar」ベータ版をを公開した。

BitStarは動画広告での収益化を図りたいYouTuberと、費用対効果の高い動画広告を出したい企業をマッチングするサービス。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していないYouTuberの場合、YouTube広告だけで収益化することが難しく、タイアップ案件などを探しているケースが多いのだという。BitStarではそんな「事務所無所属」のYouTuberを中心にプラットフォームへの参加を呼びかけており、クローズドベータ版の段階から現在までに参加したYouTuberののべ視聴者数(チャンネル登録者数)は600万人だという(参加YouTuber数は非公開)。

BitStarコンセプト図

BitStarでは、これらのYouTuberに対して、企業が「○○に関する動画の作成」といった形でスポンサード案件を提示、プラットフォーム上でのマッチングを行う。なおスポンサード動画については、基本的にはYouTubeの動画説明欄、場合によっては動画内でもその旨を記載するルールだという。

YouTuberが案件にエントリーする際には、あらかじめ登録したプロフィールやYouTubeの再生回数実績などを組み合わせて、自動で企業提出用のプロフィールシートを作成する。案件の単価については、YouTuberごとの再生実績などをもとに算定している。

動画配信が遅延したり、説明欄にスポンサード案件である旨の記載が漏れていたりといったトラブルに対応するため、運営側が動画の公開や説明コメントの編集などを行う管理機能を持つのも特徴だという。なお、BitStarはあくまでマッチングのプラットフォームのみを運営しており、YouTuberのマネジメント業務などは行わないのだという。

2015年6月まで数カ月の間クローズドでサービスを提供してきたが、すでに飲食、家電、美容、ゲーム、イベント、おもちゃと幅広い領域での実績があり、1社で40件、150万再生の実績のある企業もいるのだという。

Bizcastは2014年7月の設立。シードマネーをEast Venturesから調達し(金額非公開)、ビジネス特化の動画配信サービスを提供する中でBitStarを企画した。同社では2016年4月までにプラットフォーム経由で動画500本の配信を目指す。

YouTuberキャスティングの3 MINUTE、女性向け動画メディア「MINE」ベータ版をローンチ

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LINE元代表の森川亮氏が立ち上げた女性向け動画メディア「C CHANNEL」が好調だという話は先日聞いたばかり。その森川氏の古巣であるLINEが投資ファンド「LINE Global Gateway」のほか、B Dash Venturesなどが出資する3 MINUTEも女性向けの動画メディアを展開する。同社は6月1日、「MINE by 3M」ベータ版を公開した。

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MINEでは、ファッションやライフスタイルといったテーマの女性向けの短編動画を配信していく。3 MINUTEの社内にコンテンツの制作チームを用意。配信企画から撮影、音源制作、編集までを基本的に自社で行う。月300本ペースでの動画制作と予定しており、初月100万ページビュー。MAU(月間アクティブユーザー)10万人、再生回数1000万回を目指す。

YouTuberキャスティングとメディア運営を事業の柱に

3 MINUTEは2014年11月の設立。女性YouTuberのマネジメントや動画制作を手がけてきた。同事業はすでに月間売上数千万円というところまで来ているそうで、1000本近くの動画が作られているという。

MINEでは、「YouTuberの事業でウェブ動画のノウハウがたまってきた。その検証結果を生かしていく」(代表取締役の宮地洋州氏)という。具体的な話を1つ挙げると、彼らが関わったYouTube動画の平均視聴時間は1分12秒と短い。そのため、動画は長くても3分程度に編集しているのだそうだ。

現在はベータ版として、「まずはユーザーの動向を見て今後の方向性を決めていく」(宮地氏)ということだが、将来的には動画広告や視聴データの収益化を進める予定だという。今夏にはスマートフォンアプリも提供する予定。このタイミングで本格的なビジネスを進めていく予定で、字幕付き動画の配信や、独自の動画配信プラットフォーム(動画は現在YouTubeで配信している)なども準備中だという。

UUUM、C CHANNELとは別の属性がターゲット

YouTuberのキャスティングという点ではUUUMなどがあるし、女性向けの動画メディアとしては冒頭に紹介したC CHANNELもある。どちらの事業も明確に競合が存在しているように見える。

宮地氏はまずUUUMについて「我々は女性YouTuberが中心で、ファッション系のタイアップ企画を担当することが多い。分野が違っている」と説明。C CHANNELについては、「10代〜20代の女性をターゲットにしているようだが、我々がターゲットにするのは25歳〜35歳の女性。狙っている属性が違う」とした。なによりもまず、動画メディアの市場自体がこれから作られていくものだとして、「一緒に盛り上げていきたい」と語った。

YouTuberと広告主をマッチング する「iCON CAST」、ex-Googler集団がリリース

YouTubeに動画をアップし、その広告収入で生計を立てている「YouTuber」。動画投稿だけで食べていけるクリエイターは一握りという指摘もある一方で、米国10代に影響力のある人物に関する調査では、トップ5をYouTuberが独占。若年層ではハリウッドスターの人気を凌ぐほどだと言われている。

こうした影響力を企業が見逃すはずはなく、多くのファンを抱えるYouTuberに自社商品を宣伝してもらう「YouTuber広告」が日本でも増えつつある。ただ、そのYouTuber広告で稼ぐクリエイターもごくわずか。案件が集中して単価が上がり、人気YouTuberの出演料は「1本あたり100〜400万円に上ることもある」(関係者)のだとか。

広告主からすると、自社のターゲット層と一致するファンを抱えるYouTuberを探すのは困難。前例の少ない広告がゆえにKPIの設定も難しい。だったら、とりあえず多くのファンを持つ人気YouTuberにお任せしてみよう、といった会議の様子も想像できる。

YouTuber広告の選択肢を広げる

「本来はYouTuberのポテンシャルも、クライアントのニーズも存在するにも関わらず、『出会い』の場が少ないがために、YouTuber施策の選択肢が制限されている」。こう語るのは、YouTuberと広告主をつなぐプラットフォーム「iCON CAST」を1月26日にオープンした、ルビー・マーケティング創業者の平良真人氏だ。

従来のYouTuber広告は、広告主が人気YouTuberを指名するケースが大半だったが、iCON CASTはYouTuber側で案件を探せるのが特徴。これまで声がかからなかったYouTuberのメリットはもちろんだが、広告主としても、自社商品と親和性の高いファンを持つYouTuberを起用しやすくなる。そうすれば、老若男女に愛されるYouTuberを起用するよりも、グッと限られた予算内でマーケティングが行えるというわけだ。

「僕らが狙うのは、上位だけでなく中堅層のYouTuber。現在はゲーム実況がうまくなくても、人気YouTuberにゲーム広告のオファーが来ていたりする。一方、米国は各ジャンルで得意分野を持つYouTuberが多く、数百人が100万人単位のチャンネル登録数を抱えている。日本でもジャンルに特化したYouTuberにニーズは来る。」(平良氏)

利用の流れはこうだ。YouTuberはiCON CASTに登録して、専用の管理画面で自分の得意分野(ゲームや化粧といったジャンル)のYouTuber広告案件に応募。案件を受託する場合、広告主と個別契約を締結すれば契約が成立する。

その後は、受託した案件の制作内容に沿って動画を作成。iCON CASTと広告主が動画を確認し、問題がなければ公開日に合わせてYouTubeに動画を公開する。広告主が動画の内容に納得しない場合は、1回に限り、修正作業が入ることになっている。

広告主は、専用の管理画面でYouTuber広告の詳細を決定し、案件を募集する。iCON CASTは広告主の要望と予算に応じて、YouTuberごとの特性、チャンネル登録数、動画の再生回数などを精査。広告主の案件とマッチするYouTuberをピックアップして提案する。

iCON CASTの収益源は、マッチング成立時に広告主が支払う業務委託手数料だ。広告料の20%を徴収する。なお、YouTuberがGoogleと個別に結んでいる「YouTubeパートナープログラム」経由の広告収益は、これまで通り100%得ることができる。

ルビー・マーケティングは現在、YouTuberを獲得するために、YouTuber専門のマネジメントプロダクション「MCN(マルチチャンネルネットワーク)」と交渉中。広告主についても順次、声をかけている。年内に1000人程度のYouTuber、数百社の広告主を獲得することを目指している。

社員15人のうち8割がGoogle出身

ルビー・マーケティングはもともと、GoogleやYahoo!、Facebookなどを使ったオンラインマーケティングを支援する会社として2014年1月に設立。実は平良氏をはじめ、同社社員15人のうち8割がGoogle Japan出身だ。「元Googleだから『どう』というのはありませんが、YouTubeの状況に明るいのは強みかも」(平良氏)。

平良氏はGoogleで中小企業向けの広告営業部門を立ち上げた人物。起業意識は「ゼロ」だったが、「魂がこもった中小企業の経営者」を何人も見ていくうちに、「自分のノウハウを使い、もっとスケールを持って中小企業を支援したい」と感じたのが起業のきっかけだったと振り返る。

iCON CASTのアイデアが浮かんだのは、ゲーム業界のクライアントから、海外のYouTuberを起用したゲーム実況広告の要望が出た時。その後も、別のクライアントにYouTuberの広告を提案すると、ゲーム以外の案件も決まり始めたことから事業化を決意したそうだ。