“日本発東南アジア”でリワード広告を展開するYOYOが資金調達、インド進出も視野に

screenshot_369

東南アジアではプリペイド携帯電話が人気で、「AitTime」と呼ぶポイントをチャージして通話や通信を行っている。このAitTimeをリワード広告の報酬として提供するプラットフォームを提供するのがフィリピンを拠点にサービスを展開するYOYO Holdings(YOYO)だ。CEOの深田洋輔氏は、新卒でディー・エヌ・エーに入社。その後独立しYOYOを創業した。

そんなYOYOが5月29日、KLab Global(シンガポールに拠点を置き、KLabのグローバルマーケティングを担う子会社)、グリーベンチャーズおよび個人投資家を引受先とする第三者割当を実施した。金額は非公開だが、数億円程度とみられる。また今回の資金調達にあわせてKLab のフィリピン現地子会社であるKLab Cyscorpions代表取締役社長の野口太郎氏が取締役として参画。KLab CyscorpionsはYOYOに対して技術支援をするほか、オフィススペースも提供する。

東南アジアでロックスクリーン広告を展開

YOYOでは、広告閲覧者に対してAirtimeをリワードとして提供するロックスクリーン広告アプリ「PopSlide」を提供している。

PopSlideは、Android端末のロックスクリーン上にニュースやエンタメ情報、天気予報や広告を配信。これらを閲覧し、ロックスクリーンを解除すればAirtimeが提供される仕組みだ。

2014年にフィリピンでサービスを開始し、2015年2月にインドネシア、5月にベトナムと提供地域を拡大してきた。ユーザー数は、PopSlideのリリース以前から提供しているリワードプラットフォーム「Candy」とあわせて100万人超。国別で見るとインドネシアでの利用が圧倒的に多いそう。PopSlideはインドネシアとフィリピンにおいて、Google Playのライフスタイルカテゴリで長期間ランキング1位を獲得しているという。

調達を契機にインドほか複数地域に進出

YOYOでは今回の資金調達をもとに、エンジニア採用、展開中のサービス強化、他地域への展開を進める。「新興国マーケットのモバイルに適応するためにはかなり技術的な課題もあるため。まずはエンジニア採用に注力していく」(深田氏)。他地域展開で特に注力するのはインドだそう。

マネタイズについては、「売上は出ている」とする一方、「ロックスクリーン広告事業はWinner takes Allの事業。ユーザーが持っている画面を押さえることが最優先なので、現時点では利益を出すフェースではないと考えている」(深田氏)とのこと。

東南アジアのプリペイド式ケータイに注目した日本発スタートアップYOYO、グリーVやCAVから1.3億円を調達

携帯電話料金の支払いというと、多くの読者が口座引き落としをはじめとした「ポストペイド(料金後払い)」を思い浮かべるのではないだろうか。でも実は、携帯電話料金のポストペイドを採用している国は、世界全体の20%にも満たないのだという。残りの80%、つまり世界の大半はプリペイド(料金先払い)なのだ。

プリペイド式の携帯電話が最も流通している地域の1つが東南アジアだ。フィリピンでは96%、インドネシアでは98%のモバイルユーザーの端末がプリペイド式なのだという。タイでも全体の9割近い端末がプリペイド式だ。

このプリペイド式携帯電話が流通するマーケットに着目したスタートアップが、ディー・エヌ・エーを退職した2人の日本人起業家がシンガポールに設立したYOYO Holdingsだ。同社は5月21日、グリーベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ及びインキュベイトファンドを割当先とした総額約1.3億円の第三者割当増資を実施した。

YOYO Holdingsは2012年10月の設立。代表を務める深田洋輔氏とCTOの尾崎良樹氏は、いずれもディー・エヌ・エーの出身。

同社が提供するのは、プリペイド式携帯電話の通信料金を”報酬”としたリワードプラットフォーム「Candy」だ。Android、iOS向けのアプリをダウンロードして会員登録し、その後アンケートに回答したり、指定されたアプリをダウンロードすることでポイントが蓄積されていく。貯まったポイントは、プリペイドのポイントとして携帯電話にチャージすることができる。

3月にフィリピンでベータ版をローンチ。7月に正式版に開始した。現在、インドネシアとタイにサービスを拡大しており、ユーザーは10代後半から20代を中心に25万人にのぼる。

同社では今回の資金調達で、人材拡充やインフラ増強、マーケティング強化を図る。開発はフィリピン・マニラで行うとのことだが、人材に関しては、日本やフィリピンなど幅広く採用するとしている。また、スマートフォンアプリを使った新事業も展開する予定だ。