ZendeskがSurveyMonkeyの買収計画を中止、自社投資家が拒絶

Zendesk(ゼンデスク)は米国時間2月25日、SurveyMonkey(サーベイモンキー)の親会社であるMomentive(モメンティブ)を41億ドル(約4740億円)で買収する案について、株主が拒否したため手を引くと発表した。この発表は、同社がプライベート・エクイティ・ファンドによる170億ドル(約2兆円)の買収提案を拒絶してから、わずか2週間後のことだった。

公式には、同社は次のように発表している。「Zendesk, Inc.は本日、Zendesk、Milky Way Acquisition Corp.(ミルキーウェイ・アクイジション・コープ)、および Momentive Global Inc.(モメンティブ・グローバル・インク)との間で合意および計画していた合併案について、2022年2月25日に開催された株主総会において、Zendeskの普通株式を発行する提案の採択に向けた株主の承認が得られなかったため、これを打ち切ったことを発表しました」。

SurveyMonkeyを含むMomentiveの事業は、Zendeskの中核であるカスタマーサービスをより広い顧客体験市場に押し出す手段になると考えていたCEO兼創業者のMikkel Svane(ミッケル・スヴァーン)氏にとって、これは厳しい打撃とならざるを得なかった。それでも同氏は、株主投票の結果を発表したブログ記事の中で、できる限り前向きな態度を示している。

「Momentiveの買収は、カスタマーインテリジェンスの未来を提供する当社の能力を加速させる方法として計画しました。この買収を進めることはありませんが、お客様がデータからより多くの価値を引き出せるよう、これまでと同様に支援することをお約束します」と、同氏は記している。

続けて同氏は、同社が今後も中核顧客にとって理に適った形でプラットフォームを拡張する製品の開発に挑戦し続けると述べている。これは買収する代わりに自社で構築することを意味しており、おそらく、高額な価格設定や顧客経験に対する戦略の転換を好まない株主にとって、より受け入れやすいアプローチとなるだろう。

Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)は今月初め、投資家、特に同社株の3%を保有するJana Partners(ジャナ・パートナーズ)と5%を保有するJanus Henderson(ジャナス・ヘンダーソン)投資信託が、この買収とそれが同社にもたらす方向性に不満を持っていると報じていた。最終的には、積極的行動主義の投資家が勝ったようだ。

Momentiveの方では、Zander Laurie(ザンダー・ローリー)CEOが平静を装い「Zendeskの株主が買収承認に賛成しなかったことは残念ですが、私たちは今後の戦略に自信を持っています」と、声明で述べている。おそらく、新しい買い手を探すか、現在の製品ポートフォリオで単独でやっていく方法を見つけるのだろう。

いずれにせよ、この買収が見送られたことで、両社は今後、どのように進めていくかを決めなければならない。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Zendeskがカスタマーサービス機能向上のためAIオートメーションスタートアップCleverlyを買収

カスタマーサービスの機能をさらに充実させようとしているZendeskは米国時間8月26日、アーリーステージのAIスタートアップであるCleverlyの買収を発表した。

金額などの条件は非公開で、Cleverlyの資金の規模についてもこれまで完全には明らかにされていない。2019年に創業したCleverlyの拠点はポルトガルのリスボンで、同社のサイトによるとEUの研究・イノベーションプログラムであるHorizon 2020から資金提供を受けている。

TechCrunchが2021年1月に掲載したリスボンのスタートアップシーンを紹介する記事の中で、Indico Capital PartnersのパートナーであるStephan Morais(ステファン・モライス)氏がこの地域で最も注目するディープテック企業の1つとしてCleverlyを取り上げた。

関連記事:新型コロナに対抗する投資家たち、ポルトガル投資家にインタビュー(前編)

Cleverlyの製品プラットフォームでは、寄せられたサービスリクエストに自動でタグ付けしてワークフローを分類するトリアージ機能など、AIを活用した機能が提供されている。また、同社がAIによる人間の強化と呼んでいる、カスタマーサービス担当者が問い合わせに対して適切な回答をするのに役立つ支援機能もある。同社のテクノロジーはすでにZendeskの他Salesforceとも統合されている。

ZendeskがCleverlyを買収する理由について、Zendeskの製品担当EVPであるShawna Wolverton(シャウナ・ウルバートン)氏はTechCrunchへのメールで、両社はカスタマーサービスの将来について同じようなビジョンを持っていると記した。

同氏は「CleverlyとZendeskはAIを民主化したいと考えています。両社は企業にデータサイエンティストがいなくてもすぐにAIの活用を始められる実用的なアプリケーションを開発できます」と述べている。

ウルバートン氏は、AIはカスタマーエクスペリエンスのチームが優れたカスタマーサービスを提供するのに役立つという。同氏は、インテリジェントなソフトウェアによって人とAIが緊密に連携し、次世代の優れたカスタマーエクスペリエンスが広く実現するだろうと期待する。

同氏によれば、Cleverlyのチーム全員を2021年8月30日からZendeskに迎えるという。Cleverlyの創業者であるChristina Fonseca(クリスティーナ・フォンセカ)氏は製品担当VPに、Pedro Coelho(ペドロ・コエーリョ)氏は機械学習の主任エンジニアリングリードになる。

Zendeskにはすでに顧客との対話の自動化、サービス担当者の生産性向上、業務の効率アップにAIを活用する機能がある。例えばAnswer Botは顧客の問い合わせに対する答えをZendeskのナレッジベースから引き出すチャットボットだ。ZendeskのContent CuesはAIを利用して自動でサポートチケットを検討することに加え、ユーザーの利便性を高めるためにヘルプセンターのコンテンツをアップデートした方がよいカ所を見つけることもできる。

ウルバートン氏は「Cleverlyと協力することで我々は重要なインサイトを自動化し手作業をさらに減らしワークフローを改善して、サポートチーム全体をもっとハッピーに、もっと生産的にする幅広い機能を提供できるようになるでしょう。我々のチームが動き始めたらさらにニュースをお知らせできると思います」と述べた。

Zendeskの2021年のビジネスは好調で、業績発表によれば第2四半期の売上は前年同期比29%増の3億1820万ドル(約349億7000万円)だった。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Kaori Koyama)