サイバーセキュリティのスタートアップZeroFoxが約1590億円のSPAC取引で株式公開へ

ソーシャルメディア上で発見されたリスクの検出を支援する企業向け脅威情報サイバーセキュリティのスタートアップ企業ZeroFox(ゼロフォックス)は、白紙委任会社L&F Acquisition(L&Fアクイジション)との合併を通して株式公開企業となる計画を発表した。

この取引の一環として、2013年の創業以来1億5400万ドル(約175億円)以上の資金を調達してきたメリーランド州のZeroFoxは、米国最大のデータ漏洩対応サービスのプロバイダーであると主張する消費者プライバシープラットフォームであるIDXを買収する予定だ。

同社の技術は、詐欺や悪意のあるリンク、アカウントの乗っ取りといった脅威から組織を守ることを目的としたAI搭載サービスの「ZeroFox」プラットフォームと融合し「顧客の外部サイバー脅威とリスクのライフサイクル全般」に対応するサイバーセキュリティプロバイダーとなる予定だ。

「ZeroFoxは2013年の設立以来、『デジタル・エブリシング』の世界への変革によって引き起こされる新たなセキュリティの課題に取り組む企業を支援してきました。この急速なデジタル変革により、企業は攻撃者に狙われやすくなり、業界史上最高の侵害率を記録する結果となりました。境界ファイアウォールと内部エンドポイントエージェントだけでは企業の資産と顧客を守ることができないため、外部サイバーセキュリティは最高情報セキュリティ責任者にとってトップ3の優先事項であり、重要なセキュリティ技術スタックの一部でなければならないと考えています」と、同社の最高経営責任者であるJames Foster(ジェームズ・フォスター)氏は述べている。

買収完了後、統合会社はZeroFox Holdings(ゼロフォックス・ホールディングス)と改名され、650人以上の従業員と約2000人の顧客を持つことになる。同社はティッカーシンボル「ZFOX」で上場され、統合企業の予想株式価値は約14億ドル(約1590億円)となる見込みだ。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Akihito Mizukoshi)

サイバーセキュリティのZeroFoxがダークウェブ脅威インテリジェンスのVigilanteを買収

企業がソーシャルメディアやデジタルチャンネルに潜むリスクを検知するのをサポートするサイバーセキュリティのスタートアップZeroFox(ゼロフォックス)が、ダークウェブ脅威インテリジェンス会社のVigilante(ヴィジランテ)を買収したと発表した。

物議を醸している犯罪レポーティングアプリと勘違いしないで欲しいのだが、Vigilanteはサイバー攻撃から組織を守るのに役立つ情報を仕入れるためにダークウェブを調査している。買収取引の条件は明らかにされなかったが「業界で最も堅牢な」ダークウェブインテリジェンスソリューションを構築するために、ZeroFoxが専門家とアナリストで構成されるVigilanteのグローバルチームを引き継ぐ。

Vigilanteの数十年前に開発されたダークウェブ監視ツールをベースに、共同のソリューションは危険にさらされたクレデンシャルとボットネットにかかるリスクインテリジェンス、感染して脆弱なホストに関するネットワークインテリジェンス、そして脅威アクターとセキュリティ侵害インジケーター(IoC)についてのインテリジェンスを提供するために2社のデータセットを組み合わせる。ZeroFoxのAI処理能力を取り込んだプロダクトはまた、ボットネット曝露モニタリング、脅威モニタリング、そして特定の顧客向けの調査と脅威アクターエンゲージメントや資産回復のインシデントレスポンスも提供する。

「別の方法ではアクセスできないデータセット、研究者や専門家で構成されるチーム、ZeroFoxのスケールと人工知能の組み合わせで、説得力あるダークウェブインテリジェンスサービスを提供します」とVigilanteの共同創業者Mike Kirschner(マイク・キルシュナー)氏は述べた。

これまでよりも広範に組織をサポートすると2社がうたう今回の買収は、ダークウェブでの犯罪行為が激増している中でのものだ。こうした傾向は最近の調査で明らかになっている。パンデミックによってサイバー犯罪が増加し、2020年の情報漏洩件数は2019年から141%増の370億件超となり、ランサムウェアは100%増えた、とRisk Based Securityは情報漏洩に関する年次レポートで指摘した。

「ダークウェブと地下犯罪組織は現代の脅威インテリジェンスプログラムの重要な要件です」とZeroFoxのCEOであるJames C. Foster(ジェームズ・C・フォスター)氏は述べた。「当社の顧客は違法な経済活動について、そしてボットがどのように攻撃しているのか、あるいは顧客のクレデンシャルやクレジットカード、個人を特定できる情報、その他の情報が違法な経済活動の中で取引され得るのかについて把握する手法を必要としていて、また新たな戦術や搾取、脆弱性を理解する必要もあります」。

フォスター氏はVigilanteの買収により、顧客の情報を保護するのに役立つダークウェブインテリジェンス収集能力の「スケールと網羅性」が増す、と話した。

ZeroFoxは2020年2月、Intel CapitalがリードしたシリーズDラウンドで7400万ドル(約82億円)を調達し、この資金をグローバルでの事業拡大とプロダクト戦略を加速させるのに使うと発表している。この発表の前の2017年に同社は Redline Capital ManagementとSilver Lake WatermanがリードしたシリーズCで4000万ドル(約44億円)を調達した

関連記事
独立記念日を狙うKaseyaのハッキング、ランサムウェアで何百もの企業に被害
45カ国と契約を結ぶNSOのスパイウェアによるハッキングと現実世界における暴力の関連性がマッピングで明らかに
【コラム】「脳の多様性」を活用してサイバーセキュリティのスキルギャップを解消する

カテゴリー:セキュリティ
タグ:ZeroFoxダークウェブ買収

画像クレジット:Dmetsov / Getty Images

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi