ヤフー、ZOZOをグループ企業に迎え「一緒にインターネットの未来を作っていきたい」

9月12日、Yahoo! JAPAN(ヤフージャパン)はファッションECサイトを運営するZOZO(ゾゾ)に対しTOB(take-over bid:株式公開買付け)を実施、ZOZO株式の過半数を取得し、子会社化を目指すと発表。そしてTOBを前提に、資本業務提携契約を締結した。

投資額は約4千億円。ヤフー代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏は当日の記者会見で、ZOZOとの資本業務提携を通じ、ヤフーは広告事業に加えイーコマースも「大きな事業の柱にしていく」と話した。

「ZOZO社をグループ企業に迎え、一緒になってインターネットの未来を作っていきたい」(川邊氏)。

川邊氏が今回の資本業務提携のポイントの1つに挙げたのが、ZOZOTOWNのECモール初出店だ。ヤフーはこの秋、「PayPayモール」というYahoo! ショッピングとは異なる新たなプレミアムモールを立ち上げる予定であり、そのファッションカテゴリにZOZOTOWNが入る前提の契約をしているそうだ。

新たにZOZO代表取締役社長兼CEOに就任した澤田宏太郎氏は「アパレル業界をこれまで以上に盛り上げられることにわくわくしている」と話す。自身の特徴を「リアリスト」、「ニュートラル」、「安定感」という3つの単語で表現し、「前澤(ZOZOファウンダー前澤友作氏)とは真逆」と説明した。だが「ただのつまらない会社になる気は毛頭ない」。ZOZOはこれまで通り「やんちゃな大人だ」(澤田氏)。

退任した前澤氏いわく、同氏は2023年の月旅行の前にも1度、月に行く予定がある。そのためのトレーニングなどが必要なことも、退任した理由の1つだという。「僕は感性に基づく経営手法をとっておりました。澤田新社長はその感性的な経営とは真逆の経営手法をとっていただける。経営の考え方、体制が抜本的に変わるべきタイミングだったと思います。そうしたタイミングでヤフー社とのご縁に恵まれ、澤田社長が率いる新体制でZOZO社が新しいスタートをきれることを、僕は心から応援したいと思っております」(前澤氏)

上場1年未満のメルカリがトヨタやソニーが名を連ねる国内ブランドランキングにランクイン

企業のブランディングを専門とするインターブランドジャパンは2月14日、「Best Japan Brands 2019」として日本企業のブランドランキングを発表した。インターブランドジャパンは、1974年に英国・ロンドンで設立されたブランディング専門会社の日本法人。企業のブランド価値を金銭的価値に置き換える独自の測定方法でランキングを作成している。この測定方法は、ISO(国際標準化機構)に認定されているものだ。

世界ランキングに日本企業は8社がランクイン

2018年に発表された「Best Global Brands 2018 Rankings」では1位から順に、Apple、Google、Amazon、Microsoft、Coca Colaとなっている。FaceBookは9位だがGAFA勢の勢いとMicrosoftの底堅さを感じるランキングだった。

インターブランドジャパンが発表した「Best Japan Brands 2019」は、海外売上比率が30%以上の「Japan’s Best Global Brands Top 40」、30%未満の「Japan’s Best Domestic Brands Top 40」の2つに分かれる。なお、企業名=ブランド名ではないため、企業の海外売上比率が30%満たない場合でも、ブランドとして海外売上比率が30%以上の場合はグローバル 、その逆の場合はドメスティックとなる。対象となるのは、財務状況が一般公開されている企業。調査期間は、2017年11月~2018年11月の1年間となっており、各社の第3四半期(2018年10~12月期)の業績は反映されていない。

インターブランドジャパンの代表取締役兼CEOの並木将仁氏

Japan’s Best Global Brands Top 40は1位から、TOYOTA(トヨタ自動車)、HONDA(本田技研工業)、NISSAN(日産自動車)、Canon(キヤノン)、SONY(ソニー)、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)、Panasonic(パナソニック)、UNIQLO(ユニクロ)、Nintendo(任天堂)、SUBARUと続く。自動車メーカーがトップ3を独占したかたちだ。TOYOTAは11年連続でブランド1位となったほか、前年比プラス6%のブランド価値向上となった。3位のNISSANは、2018年11月に発生した金融商品取引法違反による元CEOのカルロス・ゴーン氏の逮捕が、来年以降どう影響してくるのか注目だ。

Japan’s Best Global Brands Top 40

上位40位でブランド価値成長が前年比で著しかったのは、15位のShiseido(資生堂)のプラス30%、Suzuki(スズキ自動車)のプラス23%、25位のYamaha(ヤマハ)のプラス20%、9位のNintendo(任天堂)のプラス19%、8位のUNIQLO(ユニクロ)のプラス19%となる。Nintendoは2017年度の連結海外売上高比率が75.3%で、企業価値は6億9600万ドルと試算。Nintendo Switchの引き続いての超大ヒットが貢献したと考えられる。

Japan’s Best Domestic Brands Top 40(10位まで)

Japan’s Best Domestic Brands Top 40では、NTT DOCOMO(NTTドコモ)、SoftBank(ソフトバンク)、au(KDDI)と大手キャリアがトップ3を占めたた。4位以降は、Recruit(リクルート)、Rakuten(楽天)、Suntory(サントリー)、Asahi(アサヒビール)、Kirin(麒麟麦酒)、nissin(日清食品)、Japan Airlines(日本航空)と続く。

ドメスティックの上位40位でブランド価値成長が前年比で著しかったのは、25位のZOZOTOWN(ZOZO)のプラス38%、KOSÉ (コーセー)のプラス27%、7位のAsahiのプラス25%、29位のMatsumotokiyoshi(マツモトキヨシ)のプラス21%、33位のNitori(ニトリ)のプラス21%。前述のように直近の10~12月期の業績は考慮されていないため、ミキハウスやオンワードホールディングス、ユナイテッドアローズなどが次々と撤退したZOZOTOWNが来年どうなるのか、前澤社長の手腕に注目が集まるところだ。

ドメスティックブランドでは、40位に滑り込みでMercari(メルカリ)が初ランクインしたのも注目。先日の2018年7~12月期の連結決算の発表では、純損益44億7500万円の赤字を発表した同社だが、国内に限って言えば営業利益44億円と力強い。上場から1年に満たない企業がランクインするのは珍しい出来事だ。

メルカリの小泉文明取締役社長兼COO

発表会の後半では、そのメルカリの小泉文明取締役社長兼COOが登壇。まず小泉氏は、メリカリは2019年2月1日で6周年を迎えたことに触れ、米国を足がかりに世界戦略を継続することを明言。「今後は米国以外の地域への展開、国を超えたマーケットプレイスを構築したい」と語った。現状、米国で苦戦を強いられているが、流通総額8700万ドルと前年比(YoY)では70%近く伸びており、先日の決算発表会でも流通総額が1億ドルに近づけば黒字化も見えてくる」と発言していた。なお、米国ではサービスのUI、ブランドロゴも変えるなど米国向けにローカライズして戦っている。小泉氏は、「メリカリを世界的ブランドに育てて、将来的にはベストグローバルランキングへのランクインを目指したい」と力強く語った。

国内については、1200万人超のアクティブユーザーがおり、40~50代やシニアの利用者も伸びている。そして、上場したマザーズ市場ではトップ3に安定して入っているとのこと。また、日本の隠れ資産(1年以上使われていないもの)は合計37兆円、国民1人あたり28万円という試算があり、メルカリは国内でまだ3倍ほどのポテンシャルがあるとコメント。最近では、新しい商品を買うときにメルカリを見て価格感を掴む人が増えているとのことで、自動車やブランド品などのように中古品を買うことによるネガティブな印象が薄まっていることを紹介した。

通常は上場セレモニーの際に5回打つ鐘を、メルカリ小泉氏は3回、インターブランドジャパン並木氏は2回鳴らした。

最後に2月13日に始まったばかりの子会社のメルペイのサービスについて触れ、「当初はiOSのみの対応となるが、メルカリ内の売上金を、銀行口座への振り込みだけでなくそのまま街中で電子マネーとして使える」と利便性を強調。PayPayやLINE PAY、Origami Payなど先行するモバイル決済サービスはキャンペーンが合戦で殴り合いの攻防を続けているが、ここにメルカリが参入するのか、独自路線を進むのかも気になるところだ。

ZOZO前澤氏「#dearMoon」プロジェクトで日本ベンチャーを含む“宇宙業界全体を盛り上げたい”

イーロン・マスク氏率いるSpaceXのBig Falcon Rocket(BFR)で月の周回飛行をする初の民間人となる、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO代表取締役社長の前澤友作氏。10月9日、日本外国特派員協会で開催された記者会見にて同氏は最大8名の世界的なアーティストたちを月旅行へと招待するというアート・プロジェクト「#dearMoon」に関して記者たちの質問に答えた。同プロジェクトは「1週間かけて月と地球を周回飛行し、月と丸い地球を見て受けたインスピレーションをもとに作品を創作してもらおう」というものだ。

具体的な情報は解禁されなかったものの、同氏はこの前代未聞のプロジェクトに対する熱い想いを約1時間にわたり語った。

招待するアーティストたちに関して、「ミュージシャンだけではなくて、画家さんだったり映画監督だったりファッションデザイナーであったり……まだ分野はしっかりと決めていない。だが、僕の夢は“世界平和”なので、“世界を自分のクリエーションによって何らかの形で良くしたい”という想いの強い方を探して声をかけたいと思う」と前澤氏は話した。「自分がその方の作品が好きというのも大事だ」(前澤氏)

現段階では誰を招待するかはまだ白紙の状態で、声かけなどの活動も始めていないという。ちなみに、交際中の女優・剛力彩芽さんも「私も行きたいな」と話しているそうだ。剛力さんの参加に関して、前澤氏は「(今回のプロジェクトでは)それぞれのアーティストがそれぞれの役割を担っている。彼女にもし何らかの役割やミッションがあって、それを全ての乗員たちが受け入れてくれるのであれば、彼女にも行くチャンスはあるのではないかと思う」と説明した。

#dearMoonによる本人およびZOZOの知名度アップに関して、前澤氏は「バスキアの前澤と世界で知られていたが、月のバスキアにアップデートされた。ZOZOという我々のブランドを広げる大きなきっかけにもなる。(このチャンスを)うまく使っていきたい」と述べた。「ZOZO SUITSなどは海外でも面白いと言われている。良いスタートをきれているんではないか」(前澤氏)

また、同氏は「宇宙業界全体を盛り上げたい」とも話した。「日本にもたくさんある宇宙に関連するベンチャー企業のみなさまに会う機会も最近増えてきた。僕がこういう形で(月の周回飛行に)行くことになるので、どうか僕をうまく使ってビジネスを盛り上げてもらって構わない。みんなでうまく盛り上げていきたい」(前澤氏)