「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指すJobRainbowが5000万円を調達

後列一番左がJobRainbow代表取締役、星賢人氏

五反田駅から歩いて数分の場所にあるfreeeの本社は7月8日、日曜日なのにもかかわらずとても賑わっていた。日本最大の規模を誇るLGBTフレンドリー企業の合同説明会、「Real JobRainbow」が開催されていたからだ。

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティの総称のひとつだ。

2016年創業のスタートアップJobRainbowが運営する同説明会ではスターバックス、LUSH、そしてfreeeを含む約10社の参加企業が名を連ね、訪れた約150名の就職・転職希望者たちに対し「自分らしく」「自然体」で働ける職場環境が整っていることを約束した。

2016年創業のJobRainbowは「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指し、合同説明会のReal JobRainbow、求人サイト「ichoose」、企業口コミサイト「JobRainbow」、研修・コンサルティング事業などを展開している。

そんな同社が7月10日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする、5000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。今回の資金調達により、プロダクト開発・セールスチームの強化、及び企業向けコンサルティング事業の強化を実施し、年間約70万人存在すると言われているLGBTの就活生・転職希望者が自身のセクシュアリティに関わらず、「自分らしく働ける職場」に出会える社会を目指すという。

同社の代表取締役、星賢人氏は13人に1人(約7.6%)、日本の人口に換算するとおよそ950万人がLGBTに該当すると説明。

星氏は、東京大学大学院に在学中、起業し、孫正義育英財団正財団生として選抜されるとともに、Forbes 30 under 30 in Asiaに日本人唯一、社会起業家部門で選出されている。自身もゲイとしてこれまでいじめや差別を経験し、人生に絶望したこともあったという。

同氏は「求職時に、困難を感じていない人が6%なのに対して、LGBだと44%、トランスジェンダーの方だと70%の方が困難を感じていると答えている」と問題を指摘した。

「職場でカミングアウトしたいと思っている方は約半数いるが、実際にできている方は4%しかいないということが博報堂などによる調査によってわかっている。背景として、7割の方が職場で差別的言動を経験しているということがある」(星氏)

企業側には「人材不足の中、理解がないことで知らず知らずのうちにLGBTの方が離職してしまう」ことがあったり、「理解があるのにも関わらず、それを当事者に伝え切れていない。雇用がしたくても受け入れ方を知らない」といった課題があるのだと同氏は説明する。

そのソリューションとして、今では同社のメインサービスとなっており、当時は世界初であったというLGBTのための求人サイト、ichooseを2017年にリリース。性別関係なく働くことができ、かつ「服装髪型が自由」「トイレや更衣室に配慮」「福利厚生が同性パートナーにも適応される」など自分にあった求人に応募できるのが同サービスの特徴だ。エントリーシートに求職者が自由にセクシュアリティを記入できるほか、入社後の配慮項目を事前に登録することで、求職者と企業とのより良いマッチングをサポートする。同サービスのユーザー数は累計で約35万人、MAU(monthly active user)はおよそ7万5千人にも及ぶという。

星氏は「現在、年間で言うとLGBTの求職者は約67.5万人いることがわかっている」と市場規模に関して説明した。「人材の市場規模的に言うと、人材サービス産業はおよそ8兆円なので、だいたい7.6%と考えると6000億円。その中で我々が狙うべきなのは求人広告市場と人材紹介事業なので、そこで言うとおよそ1000億円が我々のビジネスのポテンシャルとして存在している部分だと考えている」と語った。

今後、出資をもとにプロダクトを磨くため、エンジニアやデザイナーを増員し、2025年までに認知度を100%近くまで高め、売上高は300億円規模を目指しているという。

また、星氏はTechCrunchで紹介しているようなベンチャーやスタートアップなど若い中・小規模の企業は「理解や柔軟性」があり、「特に受け入れ土壌がある」と述べた。

Real JobRainbowでブースを出し、ichooseにも求人を掲載しているfreeeでダイバーシティ推進室 室長を務める吉村美音氏は「freeeを含むスモールビジネスやスタートアップの会社は、様々な施策を行う上で小回りがきく。自由に働ける環境を整えることができるのはスモールビジネスやスタートアップの強みだと考えている」と語った。

写真右がfreeeダイバーシティ推進室 室長、吉村美音氏

投稿者:

TechCrunch Japan

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