「コンテクスト」に応じてホームスクリーンを自動的に切り替えるAviateが公開βに

Andreessen Horowitzの支援するAviateが公開ベータとなった。Aviateとは増える一方のモバイルアプリケーションと付き合っていくための、より良いインタフェースを提供しようとするものだ。夏にアルファ版をリリースして以来、この新しいAndroid版ランチャーを試してみた利用者は7万名にのぼる。ちなみに、このアルファテストに参加した利用者に対してはベータ版の案内が送られている模様だ。アルファ登録を行っていなかった人に対しても、システム側の準備ができ次第、徐々に対応を進めていくとのこと。

また、バイラル効果を狙って、友人に配布できる招待コードも発行している(TechCrunchに提供された「TechCrunch」も利用できるかもしれない)。

7月にも紹介記事を掲載しているが、まだご存知ない方のために再度説明をしておこう。Aviateというのは、新しいタイプのAndroid向けランチャーだ。現在リリースされているほとんどのランチャーは、「カスタマイズ」機能を競っているような面もある。しかしAviateでは現在の「コンテクスト」に応じてホームスクリーンの構成を変更するようになっている。現在地や移動ステータス、ないし直近のアクティビティに基いて自動的にホームスクリーンを最適なものにしてくれるのだ。

たとえば、いま仕事場にいるとしよう。すると優先的に表示されるのは、各種ビジネスアプリケーション群ということになる。あるいは旅行中であるとしよう。するとワンタッチでアクセスできるところにはGoogle Mapsなどのナビゲーション系アプリケーションや、近くのレストランやバーなどのホットスポットを探すのに便利なYelpなどということになる。また、レストランを訪れたとするとFoursquareで簡単にチェックインすることができ、またワンタッチでレビューツールを起動することもできる。さらにはカメラやZagat、Foodspotting、OpenTableなどのアプリケーションも使いやすい場所に表示されるようになる。家に戻ってくればホーム画面は「ナイトタイム」モードとなり、カレンダーやスケジュールが表示される。また夜の読書タイム用にKindleなども表示されるようになる。

今回のベータ版で、アプリケーションの起動方法や、アプリケーションからの情報を表示する機能が新しくなった。情報を表示する仕方はウィジェットと同様の感じではあるが、あくまでも必要なときに表示するために「コンテクスト」を判断して表示する点が新しい。

「Aviateの提供を開始した当時は、それぞれにアプリケーションを、利用頻度の高い場面で表示するという機能を提供していました。たとえば、レストランにいるときにはFoodspottingやOpenTableといったアプリケーションを表示するようにしていました」と、共同ファウンダーのMark Daissは説明する。「しかし単純にアプリケーションを表示するというのではまだまだ不十分でした。アプリケーションからの情報をホームスクリーンに表示することで、一層便利なツールとなったのです。

画面に表示される内容は、まずAviate側で自動的に判断される。しかし設定画面から、より詳細な設定を行ってカスタマイズすることもできる。また、利用者のデータに基いて、アプリケーションのレコメンデーションなども行っていきたい考えなのだそうだ。まだまだ開発中の機能なのだそうだが、確かにそれはマネタイズの方法として有効なものとなるかもしれない。

尚、今回のバージョンから、Androidの標準ウィジェットを使った画面カスタマイズにも対応するようになった。ウィジェットは好きな画面に配置することができ、かなり自由度が増したといえよう。

ここまで説明しているように、現在地や現在のアクティビティなどの「コンテクスト」に応じてホーム画面を表示するのが主要機能だ。しかし利用頻度の高いアプリケーションに簡単にアクセスしたり、あるいはインストール済みアプリケーションをアルファベット順に表示したりすることもできる。これはいずれの画面からも呼び出して利用できるようになっている。

Aviateはジャンルとしては「ランチャー」に属するものであるが、これまでのものとは全く違った世界を見せてくれるものだ。他のランチャー系ツールのように「自由なカスタマイズ」をウリにするものとは異なる。インストールしたアプリケーションを、必要なときに簡単に利用するためのインタフェースを提供しようとしているのだ。あえて言えばFacebook Homeに似た面もある。ただし、Facebook Homeはスマートフォンを簡単に利用できるようにするというよりは、Facebookへのアクセスを簡単にするという機能を提供するものだ(もちろんFacebookの目的なそこにこそあったわけだ))。Aviateもまたスマートフォンのインタフェース部分に手を加えるものだが、何がなんでもFacebookに繋ごうとしない点で、いってみればより汎用的なツールであると言えるかもしれない。

あるいは、Googleのサービスと切り離されたGoogle Nowのようなものとも言えるのかもしれない。但し、Google Nowのように必要な時だけAviateを呼び出して使うということはできない。ランチャー自体を入れ替えて使わなければならないのだ。当然、通常のウィジェットやスタンドアロンのアプリケーションとしての使い方もできない点には注意が必要だ。

「まだ開発は始まったばかりというような段階です」と共同ファウンダーのPaul Montoy-Wilsonは述べる。「必要なときに適切なアプリケーションを間髪入れずに利用できるようにしたいと考えているのです。スワイプする必要などなく利用できるランチャーというのがあるべき姿ではないかと思うのです。立ち上げたら目の前に必要なものが揃っているというのが理想の姿です。その理想に向けて、まだまだ開発を行っている段階です」。

本サービスを展開しているのは、パロアルトのThumbsUp Labsで、元Google社員により立ち上げられた。これまでにHighland Capital、Andreessen Horowitzなどから180万ドルの資金を調達している。Aviateの登録はこちらから行うことができる。

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(翻訳:Maeda, H