「タブレット時代」を予感させたFotopedia、8月10日でサービスを終了

6年ほど前、Appleのアプリケーション部門のCTOを務めていたJean-Marie HullotがFotopediaのサービスを開始した。大型のフォトブック(coffee table book)を眺める楽しみをiPad(のちにはiPhoneにも対応した)上で実現しようとするサービスだった。旅行関連ということで世界中の写真を掲載し、利用者は増え、広告との連携もなかなかうまくいっていた。2012年後半には写真閲覧回数が30億を超えた。しかしそこからの次なる発展を成し遂げることができなかったようだ。

Fotopediaはアプリケーションおよびウェブを含むサービス全体を8月10日に停止する旨をアナウンスしている。サービスで利用してきた写真やデータは一切が廃棄されることとなる。

簡にして要な公式アナウンスによれば、Fotopedia運営メンバーたちは展開しようとしてきたサービスに対する需要は間違いなくあるのだと感じているとのこと。しかしそれに関連したビジネスモデルの構築ができなかったとのことだ。

Skypeでインタビューを試みたところ、FotopediaのCEOであるJean-Marie Hullotは、プロダクトに対する興味関心はおおいにあり、また熱心な利用者も多く存在するのだと主張している。「ただ、利益をあげる方法がみつからなかったのです」と話してくれた。

当初、アプリケーションは有料でリリースされていた。そして広告モデルにシフトしたという歴史をもっている。アプリケーションは2000万ダウンロードを数えるなど、多くの人の注目を集めたが、しかし「InstagramやTwitterほどの広がりを見せるまでにはいたりませんでした」とのこと。また、利用者は世界各地に存在したものの、広告出稿社はさほどの広がりをもつには至らず、世界規模に広がった大勢の利用者を活用したマネタイズを行うことができなかったようだ。そうこうするうちに、広告収入も減っていき、そしてサービス拡大の望みも絶たれることとなってしまったわけだ。

ちなみに、Fotopediaは2011年のCrunchiesでベストタブレットアプリケーション賞を獲得している。10以上もの国でローカライズ版を(Fotopediaはそれぞれを「マガジン」と呼んでいた)出していた。またFotopedia Reporterという、Fotopediaの画像を使って特定地域のイベント関連コンテンツなどを作成するサービスの提供も行なっていた。

CrunchBaseを見ると、Fotopediaはこの7月に行われたシリーズAも含め、これまでに1270万ドルの資金を調達している。出資したのはRon ConwaySoftTechIgnition Partners およびCreative Commonsのファウンダー兼MIT Media LabのディレクターであるJoi Itoなどだ。

Hullot曰く、今後のことを考えながら、しばらくは休養する予定なのだとのことだった。

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(翻訳:Maeda, H


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TechCrunch Japan

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