「ドローン黙示録」の到来を阻止するために

先週、何者かが世界の石油生産量の5%を小さなドローン集団とクルーズミサイルで破壊し、「世界の戦争という行為に新たな形態」をもたらした。このニュースはThe Independent紙が伝えた。しかも使われたのはさほど精巧なドローンではなかった。もし、いつの日か洗練された自立飛行可能なドローンの価格が下がり、少人数の反乱者やテロリストでも技術さえあれば使えるようになったところを想像してほしい。

アブカイクとクライスの石油施設が受けた攻撃がどこの何者によるものかはいまだ不明だ。ビデオや証拠となる残骸のある今回のようなケース(過去にイエメン反政府組織が使ったミサイルはシリアル番号からイラン製であることがわかっている)でさえ特定は困難を極める。市販の部品で比較的簡単に無人攻撃ドローンが作れるようになったらどうなるのか?

すでに世界は新しい軍備戦争の最中にいる。スペインのIndra(インドラ)社は対ドローンシステムを開発している。そのほか、米Raytheon(レイセイオン)社のWindshear(ウインドシア)やボーイング社のCompact Laser Weapon Systemもある。スタートアップ企業が手がけるものものあり、DedroneさらにはFortemなどがドローン対策装置を開発している。

こうした防衛策の必要性は明らかだ。小さくて武器さえ持たない商用ドローンが 英国の空港を事実上何日間も閉鎖に追い込んだことを思い出してほしい。

しかし、将来こうした防衛システムは、障害を避けながら地面を這い回る小さな無人ドローンを検出できるのだろうか?あるいは、自らを防御するカミカゼドローンを?昔ながらの軍備競争と同じく、いたちごっこは続くだろう。一方が協力な防御装置を作れば、もう一方はもっと大きくもっと速く遠くまで飛び、もっと爆薬を積んで標的に突撃するドローンを作る。あるいは、防御を数とスピードで圧倒する小型ドローン集団を作るかもしれない。防御がアップグレードすれば攻撃は革新を起こす。すべてが不定期だが確実に数年のうちにやってくる。

そんな未来はすでに保証されたも同然に思える。しかし、もっと大きな問題は、たとえ石油施設や空港、ホワイトハウスなど厳重な警戒で攻撃が困難なハードターゲットを守れたとしても、無数にある容易に攻撃できるソフトターゲットをどうやって守るかだ。無人ドローンが高速道路で特定のナンバープレートを識別して標的にし、攻撃者を追跡することができなかったら?

私はこの問題を10年以上考えているが、ひとつもいい答えが見つかっていない。わかっているのは、我々が今すぐこの問題を分析し、組織的なドローン攻撃や人目を引く暗殺、あるいは民間を標的としたドローン殺戮などの不条理なパニックや脅威に曝される「前に」、答を見つけなければいけないことだ。もし何かが起きるのを待っていれば、間違った答にたどり着くことは目に見えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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