「会社設立 freee」は全自動で会社設立に必要な書類をすべて出力できる無料ツール

freee03

会社設立の手続きは想像以上に時間がかかるものである。

例えば、会社のルールをまとめた定款をはじめとする各種書類。ネットや本を見ながら苦労して作っても、不備があれば役所に突き返される。各種書類に同じ情報を何度も記載するのも面倒。そんな非効率な起業環境を改善するツールが「会社設立 freee(フリー)」だ。わずか5分で会社設立に必要な書類が出力できることをうたう。クラウド会計ソフトのfreeeが本日、無料で公開した。

freee01

案内通りに入力するだけで、会社設立に必要な各種書類を自動で作成。一度の入力で、必要な書類や手続きに情報を再利用するので、同じ情報を何度も入力する手間もない。

freee03

freee04

役所ごとに提出すべき書類や捺印箇所を手続きの段階ごとに指示。各役所に持っていく持ち物リストも教えてくれるので、役所で再提出を命じられる憂き目を避けられそうだ。

freee05

データはすべてクラウド上に保存するので、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからも利用できる。freeeの佐々木大輔社長は、「スマホでの表示に完全対応しているので、スタバでも5分で必要な書類が作れる」と使い勝手の良さをアピールする。

そのほかに有料のオプション機能として、すでに入力した情報を転記してジャパンネット銀行の口座を開設したり、ハンコヤドットコムで会社実印を注文することが可能。官報に掲載すると1回約6万円かかる公告を年間1000円で利用できる「freee 電子公告」なども提供する。

スマホにも最適化している

スマホにも最適化している

設立したての企業を囲い込む「ゆりかご戦略」

専門知識がない人にとって、会社設立の手続きは本やネットで調べて自力でやるか、行政書士などの専門家に依頼するケースが多い。freeeが会社設立経験者500人を対象に実施した調査によれば、会社設立手続きに要した期間は平均24.2日、費用は平均11万2000円と、多くの時間とコストがかかっていた。

世界銀行が昨年10月に発表した年次報告書「Doing Business 2015」によれば、“起業環境の良さ”で日本は世界83位。この数字は「手続き数」「かかる日数」「コスト 」「最低限必要な資本金」をもとに算出したものだが、会社設立 freeeを使えば「かかる日数」と「コスト」が改善し、現在の順位を45位にまで押し上げられると、佐々木氏は言う。

freeeの佐々木大輔社長

freeeの佐々木大輔社長

「実は僕が起業した時も、法務省のサイトを見ながら定款を作って、行政書士にチェックしてもらっていました。それでも役所に提出する書類が足りなかったり、押印を忘れて受理されず、法務局を何往復かしたことも……。会社設立 freeeは起業環境を圧倒的に改善できる。日本の開業率を現状の5%から10%にできると思っています。」

会社設立 freeeを無償提供するのは、本業のクラウド会計ソフト「freee」を利用してもらうためだ。設立手続きが完了すると、自動でfreeeのアカウントが作成されるので、希望に応じて設立当初からクラウド会計ソフトを導入できる。freeeを導入しているのは、創業間もない事業者が多いというデータもあることから、いわば「ゆりかご」状態の企業を囲い込もういうことなのだろう。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。