「初めてECサイトを開設した」ショップが全体の57%、メルカリ内にECショップを作成できるメルカリShopsが本格提供開始

メルカリShopsが本格提供開始。写真はソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏

メルカリ傘下のソウゾウは、フリマアプリ「メルカリ」(Android版iOS版)内に簡単にEコマースサイトが作成できる「メルカリShops」の本格提供を開始した。スマートフォンだけでショップを開設して、個人でも自由に商品を簡単に販売できるのが特徴だとしている。メルカリ独自の配送サービス「らくらくメルカリ便」などにも対応し、メルカリで出品するように商品が販売できる。

初期費用や月額利用料などの固定費は不要で、販売ごとに10%の販売手数料が必要となる。ただし、12月31日までは、販売手数料を無料とするキャンペーンを実施する。同社の代表取締役CEOである石川佑樹氏は、「月間2000万人以上が使うメルカリのユーザーに商品を届けられる」とアピールする。

メルカリShopsは、7月28日からプレオープンとして先行登録者向けにサービスを提供。農家、飲食店、アパレル、雑貨など、様々な商品を扱うショップが登録されており、「初めてECサイトを開設した」というショップが全体の57%に達し、EC初出店にもかかわらず月商1000万円を超えたショップもあるという。

先行登録者の商品カテゴリ。幅広いジャンルで登録された

先行登録者の商品カテゴリ。幅広いジャンルで登録された

出店者の一例

出店者の一例

全体の約6割が地方から一都三県、愛知、大阪の都市部への発送で、地方の産業活性にも貢献できるている、と石川氏は強調する。ソウゾウでは、地方自治体と連携することで、EC化が困難な事業者への支援も提供していく考えだという。

ソウゾウが連携の取り組みを行っている自治体

ソウゾウが連携の取り組みを行っている自治体

正式オープンでは、誰でもメルカリShopsでの出店が可能になった。出品ができるカテゴリーも拡大し、新たに酒類の取り扱いも可能になった。こうした販売に許認可が必要な商品の場合、メルカリShops登録時に証明書の提出が必要になっているという。

先行登録者からの声。メルカリでの出品の延長線にある操作性で簡単だったという声や、すぐに売れたという声が寄せられたという

先行登録者からの声。メルカリでの出品の延長線にある操作性で簡単だったという声や、すぐに売れたという声が寄せられたという

実際の出店者もゲストに登場。左は熊本県の果実農家でハナウタカジツを運営する片山さん。メルカリShopsでは3日で20万円を売り上げたという。中央は岐阜県のトマト農家で丸かじり農園を運営する石垣さん夫妻。6日で約10万円、1カ月で170人が購入したそうだ

実際の出店者もゲストに登場。左は熊本県の果実農家でハナウタカジツを運営する片山さん。メルカリShopsでは3日で20万円を売り上げたという。中央は岐阜県のトマト農家で丸かじり農園を運営する石垣さん夫妻。6日で約10万円、1カ月で170人が購入したそうだ

発表会にはお笑いコンビ・チョコレートプラネットも登場してメルカリShopsを解説。実際にコント内で使われたという一点物の小道具を販売していた(発表会中に売り切れ)

発表会にはお笑いコンビ・チョコレートプラネットも登場してメルカリShopsを開設。実際にコント内で使われたという一点物の小道具を販売していた(発表会中に売り切れ)

新たにらくらくメルカリ便にも対応した点も大きい。全国一律料金での発送が可能で、宛名書きも不要。匿名での配送が可能なため、個人でショップを開設しても気軽に販売が可能となっている。利用者側にはフォロー機能を提供し、気に入ったショップをフォローすれば、出品時に通知が届くようになる。

本格提供で追加された機能

本格提供で追加された機能

今後アップデートで追加予定の機能

今後アップデートで追加予定の機能

今後はさらに、送り状を一括発行するなど、大口個数でも対応できるようにするほか、クール便を使うことで生鮮食品の販売も可能にする計画だ。また、メルカリアプリだけでなく、ショップのウェブページを作成する機能や、一括での商品登録などをPC経由で行う機能も提供する予定。

キャンペーンでは、売上金10万円まで販売手数料を無料にすることで、ショップの開設を促したい考え。12月31日までに購入と発送通知が行われた取引が対象で、1回の決済が10万1円を超えた場合は対象外。売上金入金の際の振込手数料は必要だが、固定費は掛からないため、安価にECサイトを運営できる。

キャンペーンの概要

キャンペーンの概要

利用者側には、異なるショップで購入するたびに還元率が上がり、最大50%を還元するポイント還元キャンペーンも実施。1回あたり1000ポイント、合計4000ポイントまで還元される。

こうした取り組みによって、EC化に二の足を踏んでいた中小個店、個人の副業などのニーズを取り込み、8.08%という低い日本のEC化率を高めていくことを目標とする。もともと、コロナ禍でオフラインの店舗の厳しい現状を目の当たりにしたことがきっかけだったというメルカリShops。店舗のEC化に対するニーズは高まっているが、それが難しいという人も多く、そうした課題に対して「簡単に作れて売れる」という点を強みとして利用促進を図る。

東京・渋谷のセンター街にあるシャッター店舗に、メルカリShops出展店舗のイラストを掲載する「3D店舗」を設置。店舗の様子が分かるとともに、記載されたQRコードから購入も可能になるそうだ

東京・渋谷のセンター街にあるシャッター店舗に、メルカリShops出展店舗のイラストを掲載する「3D店舗」を設置。店舗の様子が分かるとともに、記載されたQRコードから購入も可能になるそうだ

フリマアプリとしてメルカリは今後も提供し、個人が不要品などを販売する場を想定しているが、メルカリShopsは、事業者としてネットショップを構築したいという人に向けたサービスで、在庫の登録も可能になっており、そうした事業者にとって便利な機能を随時追加していく計画。

石川氏は、プレオープン期間中にも様々な要望を貰い、想定以上の反響を得ているという。要望の多さから需要の大きさを実感しているというが、「テストのために試しに開設した」という人も想定以上に多く、そうした利用者が定着し、新規開設も増えるようにサービスを強化していく考えだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。