「問題はFacebookそのものだ」 9カ国の議員が非難

9カ国の議会の代表者による大委員会の公聴会は、Facebookのマーク・ザッカーバーグが欠席のまま今日開催された。Facebookの創業者は“フェイクニュース”と呼ばれる民主主義への悪影響を含め、悪意のある汚い、不適当なソーシャルメディアプラットフォームの使用についての質問に答えるよう、これまでに何回も議会に召喚されたが、にべなく断ってきた。

英国のDCMS委員会はFacebookにデータ誤使用スキャンダルと選挙干渉の責任をとらせようと非難を主導してきたーそうした動きに世界各国の議員が加わった。しかし、それでもザッカーバーグは欠席した。

計9カ国の議員が、ザッカーバーグの代理人でポリシー担当副社長Richard Allanに質問をぶつけるために集まったーその質問には以下のようなものが含まれる。南米で政治に関する偽情報を広めるのにWhatsAppが使われているのをやめさせるためにFacebookは何をしているのか。スリランカでかなり炎上した反ムスリムヘイトスピーチのコンテンツの削除を、同国がプラットフォームへのアクセスを封鎖するまでなぜ拒否したのか。ベルギーにおける非ユーザーをFacebookはどうやって追跡しているのか。また、そうした行為を欧州の厳しい新ルールGDPRのもとでどう正当化するのか。プライバシーと信用のスキャンダルを抱えているFacebookが言うことを現時点で人々がなぜ信用しなければならないのか。

選ばれた議員たちは、英国、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、アイルランド、ラトビア、シンガポールの国民4億5000万人のために自由闊達に考えを述べた。彼らの口から最も多く繰り返された質問は、なぜザッカーバーグがここにいないのか、だ。

Allanは不在のボスの代理であることで居心地悪そうにみえた。そしてソーシャルメディアの反社会的、反民主的影響を統制する“正しい規制”を議員とともに模索したいと語った時など、あらゆるハンドジェスチャーを使っていた。

カナダの議員Bob Zimmerはその場を代表して、Allanが防衛の拠りどころとしていることに切り込んだ:「またしても我々はFacebookの謝罪を聞いているー‘ほら、我々を信用してください、みなさんは我々を規制しているでしょう、我々は実のところグローバルのスキームにさほど影響を与えていません’。この部屋にいる我々は4億人超の人々に関係する規制を扱っている。そこの席にCEOが座っていないというのは、この部屋にいる我々全員への攻撃であり、我々の市民への攻撃でもある」。

「[BlackBerry共同創業者の]Jim Balsilleは、我々の委員会で私が質問した時、監視資本主義に対処するためにカナダで法律を変えなければ、我々のデモクラシーは危機を迎えるのではないか、と述べた」。さらにZimmeは続けた。「彼は何の疑いもなく言った。あなたはどう思うか」ーこの発言に対し、Allanは時間を稼ぐために、「サービス利用規約が必要だ」と言い、そしてFacebookが多くの“ツール”で処理しようとしている“多くの問題を抱えるベクター”について語った。

今回の喚問は、かなり不満に満ちた曖昧な言葉で多くの時間が費やされた。というのもAllanが委員会の質問をそらし、牙を抜き、緊張をやわらげようとしたからだーAllanはNew York Timesが最近報道した“delay, deny, deflect(遅い、否定する、歪める)”戦略を何回も繰り返し、そうした態度は何回も議員に非難された。

Allanはそうではないと主張したー問題を“認めている”と主張した。しかし彼の横の空席はぶざまだった。

終わり間際には、カナダのCharlie Angusが、Allanは問題の根本的な原因から議員の目をそらそうとしていると非難し、Facebookの大風呂敷を吹き飛ばしたーAngusはその根本的原因はFacebookそのものだと鋭く定義した。

「我々がFacebookに関して抱えている問題は、責任のなさだーだから私は、我々が規制について語るとき、おそらくベストな規制は独占禁止だと言っておく」とAngusは述べた。「なぜならFacebookが嫌いな人はーWhatsAppが利用できる。しかし、WhatsAppは南米で問題を抱えている。アフリカでもだ。そして私たちは今日ここにいないマーク・ザッカーバーグに戻らざるをえないからだ」。

「私の娘たちはFacebookをやめることができる。しかし彼女たちはInstagramへと走る。しかし今やInstagramはFacebookがコントロールしている。おそらく最もシンプルな規制の形式は、Facebookを分解することだ」。

「だから我々が規制について議論するとき、あなたの友人のザッカーバーグ氏に独占禁止についてディスカッションできるか、と尋ねる気はあるだろうか」。

Allanは「我々が解決しようとしている問題にもよる」とだけ答えた。

「問題はFacebookだ」とAngusは言い返した。「我々は現在起こっていることについて語っているが、問題は社会的な議論やコミュニケーションのあらゆる形式にかかる前例のない経済コントロールだ。それがFacebookだ。これこそが我々が取り組む必要のある問題だ」。

委員会の委員長Damian Collinsはまた、Allanの質問の言葉を言い換えて混乱させようとする試みを、「私が思うに、我々はインターネットとFacebookが必ずしも同じ意味ではないと識別している」と言葉を挟むことで容赦なくやっつけたーAllanは議員が“インターネットをオフにしろ”と言っているとした(しかしAngusは実際にはこう主張した:信頼できる民主主義的な対応をFacebookから得る方法)。

会場はそれに賛同した。

公聴会の冒頭、Collinsは「そうする立場にない」と言いながら、2015年からFacebookを訴えていたスタートアップの創業者から週末にドラマチックに差し押さえた文書について、少なくとも今は公開するつもりはないと明らかにした。

しかしながらいくつかの点で、公聴会中にDCMS委員会のメンバーはこれらの文書から得た新たな詳細を“チラ見せ”した。たとえば、Facebookはデベロッパーがプラットフォーム上で広告がとれるように今までにAPIに手を加えたことがあるか、といった質問だ。

Allanはない、と答えたーそして、委員会が読んだかもしれない電子メールは、Facebookのデスクトップベースのビジネスモデルをいかにモバイルファースト時代に合わせて発展させるかについての“普通の”内部ディスカッションに伴うものだったと思わせようと試みているようにみえた。

Collinsもまた、差し押さえた文書から引っ張ってきたとわかる新たな情報ー特に2014年10月以降、Facebookエンジニアから送られた内部電子メールからだーの一部について、かなり公共の関心を引くだろうと表現した。

「Facebookのエンジニアが2014年10月に、ロシアのIPアドレスのエンティティが、フレンズAPIを通じて1日に30億のデータポイントを寄せるためにPinterestのAPIキーを使っている、と会社に報告した」と、彼は明らかにした。そしてAllanに、“当時これが外部に報告されたかどうか”を尋ねた。

Facebookの副社長は、“敵意のある訴訟当事者”経由の情報源であることを理由に、差し押さえた文書に含まれる情報は“部分的だ”とした。

Collinsは「訴訟当事者を攻撃するためだけにこの機会を活用してほしくない」と言い返した。「私はあなたに質問に答えてほしい…エンジニアから会社に報告されたとき、Facebookはどのような内部プロセスをとったのか。Facebookは外部の機関にこのことを知らせたのか。なぜなら、もしロシアのIPアドレスがプラットフォームからの膨大な量のデータを寄せていたとしたら、レポートするか、もしくはそのままにするかであり、多くの場合それは身内内にとどめ、そのことについては語らない、となる」。

Allanは「電子メールの中に含まれたあなたが見た情報は、せいぜい一部分であり、最悪の場合ミスリーディングしている」と答えた。

「信じるかどうかはさておき、ロシアによる活動があったという特定の問題については、継続中の我々の調査に基づいてあらためて回答したい」。

我々はPinterestに、PinterestのAPIキー乱用をFacebookが今までに知らせてきたかどうか問い合わせている。この記事を執筆している時点で、Pinterestからコメントはない。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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