「太陽光発電スマホ」を実現する仏ベンチャー、NTTドコモVなどから400万ユーロ調達

太陽光発電スマートフォンが早ければ今年中に商用化されそうだ。いわゆるガラケーでは、本体に搭載した太陽電池パネルで充電するモデルが2009年頃からいくつか登場しているが、スマホとなると商用化には至っていない。2008年に創業した仏のSunpartner Technologiesは、タッチパネルに透明な太陽光発電コンポーネントを組み込んで、太陽光発電スマホを実現しようとしている。

スマホやタブレットで太陽光発電を可能にするのは、Sunpartnerが開発する「Wysips Crystal」。マイクロレンズと太陽電池で構成される、薄さ0.5mm、透明度90%のコンポーネントだ。用途としてはフル充電することよりも、いくつかの重要な機能を使える最低限のエネルギーを発電することが主要機能だと、Sunparterは説明する。「例えば10分間太陽光に直接当てれば、待受けを100分、音楽鑑賞を10分、通話を2分行える」。

Sunparterは今夏までに、Wysips Crystal技術を組み込んで生産する液晶メーカーとの提携し、2015年末から2016年初めに最初のモデルをリリースしたいという。すでに携帯電話メーカー数社とは、Wysips Crystalを組み込むことで合意。日本では2014年10月に京セラと提携し、技術的・商用的な観点から評価する取り組みを進めている。

スマホやタブレットでの太陽光発電を実現するWysips Crystalの競合となる技術には、塗布型の有機薄膜太陽電池(OPV)が挙げられるが、「透明度は50%程度でディスプレイに利用できるほどの透明度ではない」とSunpartnerは指摘する。これに対してWysips Crystalは現状で90%の透明度を確保しているので、画面の視野角度が保たれるとアピールする。

スマホ以外には、スマートウォッチやデジタルサイネージ、窓ガラスなどの分野でも2015年に商用化する予定だ。

Sunpartnerは2014年夏以降、800万ユーロ(約11億円)の増資計画を進めていて、2014年12月末には第一期となる400万ユーロ(約5.4億円)の増資を完了。出資額は非公表だが、日本からはNTTドコモ・ベンチャーズが資本参加している。2015年早々には日本に事務所を開設し、国内メーカーとの協業を進めていくそうだ。


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TechCrunch Japan

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