「宇宙」のVR化を目標に、自前の衛星打ち上げを目論むSpaceVRが125万ドルを調達

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バーチャルリアリティに期待されることのひとつは、決して訪れたことのなく、また訪れることのない場所に、実際にいるような感覚を体験することだろう。その「訪れたことのない場所」のひとつは、文句なく最後のフロンティアたる「宇宙」ということになる。

SpaceVRは、宇宙のVR化を本気で実現しようと歩み始めている。高解像度の360度カメラを宇宙に配置し、VRヘッドセットを通して宇宙の素晴らしさをみんなに体験してもらおうとしているのだ。

SpaceVRの従業員は5名だが、このたびシードラウンド資金として125万ドルの資金を調達した。リードしたのはShanda Groupで、Skywood Capitalもこのラウンドに参加している。この資金はいろいろな意味で社を「高み」に押し上げることとなるのだろう。

ご存知かもしれないが、SpaceVRは昨年9月にはKickStarterキャンペーンを展開していた。これもカメラを宇宙に送り出すことが目的のキャンペーンだった。ISSから映像を地球に送ることを目的として11万ドルを超える資金を集めた。

それから数カ月が経ち、SpaceVRはより大きな夢を描くようになった。自前の衛星を打ち上げようと考えるようになったのだ。この夢の実現のためには、やはり比較的小規模な企業ともいえるSpaceXと連携することを考えた。カメラを200マイル上空まで送り届け手もらおうと考えているのだ。カメラはOverview 1と名付けられ、4K魚眼レンズを2台搭載している。そして6ヶ月の宇宙滞在期間中に衛星の周りをさまざまな角度から撮影しようというプランだ。

VR映像を手がけているChris Milkは、VRを称して「究極の共感マシン」(ultimate empathy machine)と呼んだ。SpaceVRのファウンダー兼CEOであるRyan Holmesは、宇宙空間を描くVRをを完成させることは、人間の感性にとっても非常に大きな意味を持つことになると主張している。Holmesとはチャットで話したが、彼は「オーバービューエフェクト」(Overview Effect)ということを言っていた。すなわち、地球の姿をはるか遠く(宇宙)から見る経験をした人は、「人類」というものに思いをいたすようになり、そして地球上で「大問題」として扱われることも宇宙規模から判断が下せるようになるというのだ。

「物事のプライオリティーがまったく変わることになるでしょう」とHolmesは言っていた。「より強くサステナビリティについて考えるようになるでしょう。地球上で行われている数々の無駄について、意識を巡らせることができるようになるはずです」。

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(翻訳:Maeda, H

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TechCrunch Japan

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