「機械学習+クラウドソーシング」(人間)のDefinedCrowd創業者がTechCrunch Tokyoに登壇

daniela

11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催するTechCrunch Tokyo 2016への登壇者を、また1人ご紹介したい。「機械学習+クラウドソーシング」というシアトル拠点のスタートアップ企業DefinedCrowdの共同創業者でCEOのDaniela Braga(ダニエラ・ブラガ)博士だ。

ソフトウェアに関わる人であれば「ガーベージ・イン、ガーベージ・アウト」(ゴミを入れたら、ゴミしか出てこない)という冗談のような警句をご存じかもしれない。コンピューターは手順に従って正確に処理するだけなので、どんなに賢いプログラムであっても入力データがゴミだと、そこから得られる結果や知見もまたゴミにすぎないということだ。データ量が増えたことで機械学習を含むデータサイエンスの適用分野が広がっているが、まずゴミでないデータをどう集めるのかというのも課題だ。

こうした問題意識からスタートしているのがシアトルベースのスタートアップ企業、DefinedCrowdだ。

例えば多くのテキストデータに対して意味的な注釈をつけるような処理だとか、画像や動画にタグを付ける処理、音声データとテキストデータの適合性チェックといった、まだまだ人間がやったほうが正確な処理だけをクラウドソース上の協力者を使って処理することができる。ちょうどAmazon Mechanical Turkがコンピューターの処理フローの中に人間のマイクロタスクを挟めるようにしたのと同じで、DefinedCrowdはクラウドソーシングをデータ処理の一部に組み込んで結びつけようとしている。

もし今後モバイルアプリにおいてVUI(音声UI)やチャットUIが広く使われていくことになるのだとしたら、これは興味深い狙いだ。デバイスに向かって人間が話す言葉を理解したり、何らかの洞察を得るという市場に広がりが感じられるからだ。

DefinedCrowdはまだ出来たてのスタートアップだが、この9月にはSony Innovation Fund、Amazon Alexa Fund、Microsoft Accelerator Seattleなどから合計110万ドル(約1.1億円)の資金調達をしている。ブラガ博士は音声合成で博士号を取得した音声関連技術の専門家で、MicrosoftではWindows 10向けのCortanaの基本技術を構築した人物だ。

TechCrunch読者なら説明不要かもしれないが、Amazon Alexaというのは声でAmazonの注文をしたり音楽をかけたりできる、あの日本未発売の黒いタワー型のスピーカー「Amazon Echo」に搭載されている音声エージェントの名前だ。米Amazonは約100億円を投じて、この音声エージェントの可能性を広げるスタートアップ企業への投資を2015年に開始している。DefinedCrowdは、Alexa Fundのポートフォリオ企業の1社だから、ブラガ博士はCortanaやAlexaといった音声系サービスが開こうとしている未来について語るのには最適の人物だと思う。自然言語処理や機械学習、音声関連技術の現在と、今後の見通しについて語っていただければと考えている。

ブラガ博士のセッションは、ちょっと遅めの時間、11月17日木曜日の18時開始を予定している。なお、割引適用の前売りチケット販売は10月末いっぱいで終了となるので、来場を検討していた人は月が変わる前に購入いただければと思う。

投稿者:

TechCrunch Japan

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