「民泊物件.com」が正式ローンチ、旅館業法の規制緩和が追い風に

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スペースエージェントは民泊可能物件のみを掲載するポータルサイト「民泊物件.com」を本日正式リリースした。民泊物件.comは民泊事業を運営したい人向けに、不動産会社や不動産オーナーが民泊の許可を出している物件のみを掲載している。物件情報と共にその物件で民泊運営をした場合の見込収益も算出して提示しているのがこのサービスの特長だ。3月からユーザーの事前受付を開始し、限定的にサービスを提供してきたが、本日の正式リリースから誰でも民泊物件.comで物件探しができる。今回スペースエージェント代表取締役の出光宗一郎氏に話を聞いた。

民泊物件.comの目標は健全な民泊事業の運営をサポートすることと出光氏は話す。Airbnbなどの民泊サービスの普及により、一般の住居を宿泊場所として提供する民泊が普及してきた。だが、旅行客と近隣住民とのトラブルや不動産オーナーと民泊事業者間のトラブルも起き、民泊事業への不信感を持っている人もいる。例えば、見知らぬ旅行客が共同住宅に出入りすることで周辺住民に不安を与えてしまう場合もあるだろう。また、不動産オーナーの許可を得ずに民泊運営を行う事業者もいてトラブルの元になっている。スペースエージェントでは民泊事業者が物件を探す段階から、民泊運営に適した物件にアクセスできるようにすることでそういったトラブルを未然に防ぎたい考えだ。

今年4月には旅館業法が緩和され、民泊事業が始めやすくなった。規制緩和の内容は大きく2点ある。1つは延べ床面積に関してだ。これまで旅館業法は、簡易宿所の客室の延床面積は33平方メートル以上と規定していたが、改正後は宿泊者数が10人未満の場合、1人当たり3.3平方メートル以上の面積で営業が可能になった。2つ目は、フロントの設置義務に関する規制緩和だ。これまで義務だったフロントの設置は、改正後、フロントに代替する機能を有する設備を設けること、その他善良の風俗の保持を図るための措置を講じること、事故が発生したときやその他の緊急時における迅速な対応のための体制を整備していることを満たせば、フロント設置は望ましいが義務ではなくなった。つまり33平米に満たない、例えばマンションのワンルームでもフロントに相当する宿泊者管理ができれば、簡易宿所と申請し、貸し出すことができるようになった。ワンルームなら、初期投資も少なく個人でも民泊事業に参入しやすい。

詳細

物件詳細画面

規制緩和前の3月から民泊物件.comは事前登録を開始し、 登録者数は2000名を超えたと出光氏は言う。民泊物件.comでは常時70から100件程度の物件を掲載していて、これまでに述べ1000件以上の物件掲載があったそうだ。1物件あたり平均で4.2件の問い合わせがあり、高い需要が見られると出光氏は言う。

これまで民泊物件.comは事前登録者に対しサービスの全機能を無償で提供してきたが、今日の正式リリースから980円の有料プランを設置する。民泊物件の閲覧や問い合わせ、民泊の想定収入の表示といった基本機能は今後も無料で利用できるが、プレミアムプランではそれに加えユーザーは物件の詳細住所を表示したり、非公開物件の優先配信を受けたりすることができるという。

出光氏は、現状は転貸物件(不動産会社から物件を賃貸し、民泊事業を運営するための物件)のみを掲載しているが、今後は民泊に適した売買物件や居抜き物件の情報も掲載する予定だという。また、簡易宿所申請のための司法書士の紹介や、清掃及び問い合わせ対応といった民泊事業の運用代行サービスなどを紹介していく体制を整えていく計画だと話す。最終的に「物件探しから、リフォーム、簡易宿所としての申請、民泊運用代行まで、民泊事業主の民泊運営に関するすべてのことが完結できるサービスにしてきたい」と出光氏は話す。

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TechCrunch Japan

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