「生物的なコンピュータービジョン・システム」Chronocamが1500万ドルを調達

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私たちは視界に入ってくるものすべてに注目するわけではない:ほとんどの場合、継続して変化しているものに私たちの目は注目するのだ。

パリを拠点とするChronocamはこのコンセプトをコンピューター・ビジョンの分野に適用し、自動運転者向けに最適化された新しいカメラ技術を開発している。

本日、ChronocamはシリーズBで1500万ドルを調達したことを発表した。リード投資家はIntel Capitalで、その他にもRobert Bosch Venture Capital、iBionex、GmbH、360 Capital、CEAi、Renault Groupも本ラウンドに参加している。前回行われたシードラウンドでは85万ドルを調達している。

インテルは長い間コンピュータ・ビジョン分野に力を入れてきた。先月、インテルは低消費電力のVPUの開発などで有名なMovidiusを買収したことを発表している。また、インテルのRealSenseチームは自動運転車、ドローン、VRシステム向けのセンサーの開発で大きな成果をあげている。

コンピューター・ビジョンの分野で今増えつつあるのが、画像処理をクラウドで行うのではなく、デバイス上で完結させるというというアプローチだ。これによってデータ処理のスピードをできる限り速くしようという狙いがある。Chronocamはこのデバイス上で完結する画像処理に強い。同社のシステムが必要とするデータの量は標準的なカメラ・システムに比べて約20倍も少ないからだ。

同社のカメラに取り込まれた画像はピクセル単位で分析される。デバイスに取り込まれた情報のうち、その大部分は重要な情報ではなく、そこに変化が加わることで初めてその情報の重要度が増すのだ。自動運転車を例にすると、カメラに写り込む空の広さや明るさ、色などの情報が重要なわけではなく、そこに嵐が突然現れたり、ひょうが降ってきたという情報こそが重要なのだ。

「コンピューター・ビジョン分野で一般的に採用されているアプローチは、新世代のビジョン・システムに適したものではありません」と共同創業者兼CEOのLuca Verreは語る。「例えば、自動運転車がより広範な状況下でも走行するためには、より速度のはやいセンシング・システムが必要です。IoTを例にすれば、消費電力量の限界、要求される帯域幅、センサー・ネットワーク内での統合といった様々な理由によって、現存するビジョン・テクノロジーは非実用的で、非効率的なものになりつつあると言えます」。

Chronocamは同社のビジョン・テクノロジーによって実用可能なシステムを完成させ、来年のリリースを目指している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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