「酒粕」廃棄素材によるクラフトジン生産や再生型蒸留所を手がけるエシカル・スピリッツが1.4億円調達

「循環経済を実現する蒸留プラットフォーム」をモットーに、「酒粕」廃棄素材を使用したクラフトジンの生産や、再生型蒸留所を運営する蒸留スタートアップ「エシカル・スピリッツ」は6月16日、第三者割当増資として1億4000万円超の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Beyond Next Ventures。

エシカル・スピリッツは2020年3月、日本酒生産工程の最後に生成され本来は廃棄される素材「酒粕」を再蒸留して、クラフトジンを生産・販売。その利益から酒米を酒粕提供元の蔵元に提供し、再度そこから日本酒を生産するという世界初の循環型「エシカル・ジン・プロジェクト」を始動した。

その第1弾のエシカル・ジン「LAST」を同社は「飲む香水」としており、至高のアロマを実現したフレーバード・ジンになっているという。LASTシリーズは生産方法のみならず、ウイスキー業界で最も権威のある品評会WWAのジン部門「World Gin Awards 2021」において、国別の最高賞や、権威ある品評会のひとつ「The Gin Masters」ではゴールドとシルバーを受賞している。なお同シリーズは公式オンラインショップでも購入できる。

また2021年1月には、エシカル生産・消費に特化した世界初の再生型蒸留所「東京リバーサイド蒸溜所」を東京蔵前に建設(7月上旬グランドオープン予定)。東京都で3カ所目となるスピリッツ製造免許を取得した企業となり、蒸留所内には自社で運営するクラフトジンに特化したバーもオープンした。

調達した資金は、新たな再生型蒸留所の建設と海外販路の拡大に主に投資する予定。また現在はベーススピリッツの蒸留をパートナー会社と連携して実施し、自社の蒸溜所でそのベーススピリッツを使用したジンを含むスピリッツを蒸留しているが、今後は「酒粕そのものをベーススピリッツに変える」最新型の設備を導入する。これにより、従来自社でベーススピリッツの生産が難しかった中小規模の酒蔵との連携が可能となり、全国1400の日本酒蔵すべての酒粕がベーススピリッツの対象となる。

他にも、国立森林総合研究所の研究成果を基にした民間事業者としては初となる、「木の酒の蒸溜所」の立ち上げ、「木のお酒『WoodSpirits』」の製品化・販売にも挑んでいる。さらに、国際的なスピリッツ市場のハブである英国に2021年中での拠点開設を目指し、その後にドイツやスペインなどへの展開も予定しているという。

エシカル・スピリッツは、「Crafting the New Luxury」(新たな嗜好価値を象る)をミッションに掲げ、世界をリードするサステイナブルなスピリッツブランドを目指すとしている。

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カテゴリー:フードテック
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TechCrunch Japan

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