「PUBG」の韓国KRAFTONがMENA地域に初投資、モバイルゲームパブリッシャーTamatemの約12.5億円調達を主導

ヨルダンを拠点とするモバイルゲームパブリッシャーのTamatemは、人気バトルロイヤルゲーム「PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG)」を開発した韓国のゲーム開発会社KRAFTON(クラフトン)が主導するシリーズBで1100万ドル(約12億5000万円)を調達したことを発表した。KRAFTONにとっては、中東・北アフリカ(MENA)で初の投資となる。このラウンドには、Venture Souq、Endeavor Catalyst、および既存の投資家も参加した。

今回のシリーズBラウンドにより、Tamatemの累計調達額は1700万ドル(約19億3000万円)を超え、評価額は約8000万ドル(約91億円)になると、Tamatemの創業者兼CEOであるHussam Hammo(フッサム・ハモ)氏はTechCrunchに語った。

Tamatemは、アラビア語のユーザーに適したゲームを取得した後、文化に合わせてローカライズし、配信している。

「ユーザーは、ある言語から別の言語に翻訳されただけではなく、自分のために作られたゲームだと感じる必要があります。Tamatemは、ゲームをエンドユーザーにとって文化的に適切なものにします」とハモ氏は語る。「親しみやすく楽しいモバイルゲームの需要はかつてないほど高まっており、当社の使命は、この地域のみなさまに最高のゲーム体験を提供することです」。

Tamatemは今回の資金調達により、アラビア語圏の市場に、より人気の高いタイトルを含むさまざまなゲームを提供することで、取り組みを強化していく。同社はさらなる拡大のために、サウジアラビアで現地の人材を雇用する予定だ。Tamatemのユーザーの約70%を占めるサウジアラビアでは、ゲーム業界が活況を呈しているとハモ氏は指摘している。

「この地域のモバイルゲーム業界は、大きく動いています。当社は、過去の成功体験を糧に、より多くの経験と気概を持って前進しています。MENA地域におけるモバイルゲームの大きな可能性を考えると、当社がしていることは氷山の一角であり、より多くの人々がこの業界と地域に投資してくれるたびに、私はいつも非常に感激します」とハモ氏は語った。

同社は、市場の成長と成熟を促すためにゲームアカデミーを立ち上げ、業界でのトレーニング、教育、雇用の促進を行う予定だ。

Tamatemは2013年以降、4本の主要なゲームを含む50以上のゲームを公開している。「VIP Baloot」「VIP Jalsat」「Fashion Queen」「Clash of Empire」が最も知られるタイトルだ。同社はポートフォリオ全体で1億2千万以上のダウンロード数を誇り、トップゲームでは350万人のデイリーアクティブユーザー(DAU)を抱えている。

同社の従業員数は現在75名で、今後6カ月間で2倍の規模に拡大する予定であるとハモ氏は述べている。

Tamatemは、今後もグローバルに事業を拡大し、世界中のあらゆる人材を採用していく予定だ。

「当社は米国、インド、エジプト、サウジアラビア、ドイツ、ハンガリー、ヨルダンに従業員を抱えています。2020年、サウジアラビアとエジプトにオフィスを開設しましたが、今後もさまざまな国に地域オフィスを開設する予定です」とハモ氏は語る。

KRAFTONのコーポレートデベロップメント(インドおよびMENA地域)担当であるAnuj Tandon(アヌジ・タンドン)氏は次のように述べている。「当社はMENA地域に大きな可能性を見出しており、Tamatemのような数多くのタイトルを配信しているパブリッシャーとともに、この地で投資の旅を始められたことをうれしく思います。我々はMENA地域にコミットしており、メディア・エンタテインメント分野全体に、より多くの投資をしていきたいと考えています。今回の投資は、スタートアップエコシステムへのコミットメントを強化する当社の取り組みと一致しています。今回の投資は、この地域における多くの投資の始まりに過ぎません。『PUBG:NEW STATE』をはじめとするさまざまなゲームのMENAユーザーに最高の体験を提供することに注力し続ける中で、現地の状況を深く理解しているTamatemとのコラボレーションは非常に有益なものとなるでしょう」。

画像クレジット:Tamatem

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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