「VRでより豊かなストーリーテリングを」Baobab Studiosが2500万ドルを調達

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ユーザーを熱狂させるバーチャル・リアリティのコンテンツは沢山あるなか、結局のところ、素晴らしいコンテンツとはユーザーとの感情的なコネクションを持つコンテンツのことだ。

Baobab Studiosが目指すのは、単にVRで目新しいものを創るということではなく、VR独自の豊かなユーザー体験を利用して、ユーザーから愛される(そして嫌われる)キャラクターを生み出すことだ。

本日、Baobab StudiosはシリーズBにおいて2500万ドルを調達したことを発表した。リード投資家はHorizon Venturesで、他にもTwentieth Century Fox、Evolution Media Partners、中国のShanghai Media Group、Youku Global Media Fund、LDV Partnersも本ラウンドに参加している。同社はこれまでに合計で3100万ドルを調達している。

今回のシリーズBはVRスタジオが1回のラウンドで調達した金額としては最大級の調達金額だ。共同創業者兼CEOのMaureen Fanはこの規模の資金調達が可能になった理由として、生まれたばかりのVRプラットフォームという分野に人々の関心が集まり続けていること、そして、同社はVRのストーリーテリングという側面にフォーカスしており、VRの存在に危機感をもつハリウッドからの支持を得ることができたことが要因だと語っている。

先月Baobab Studiosに関するニュースが大きく取り上げられたことがあった。同社が開発する6分間のVRアニメ「Invasion!」が、ハリウッドの映画プロダクションRoth Kirschenbaumによって長編アニメ映画化されることが決定したためだ。

Baobab Studioは映画業界からだけでなく、VR業界からも注目を集める存在だ。

ユーザーから人気を集めるVRヘッドセットGear VRの開発元であるSamsung、そして同じく人気のあるViveを開発するHTCもBaobabに出資する企業の1つだ。先週発売されたソニーのPSVRでもBaobabは広告塔のような役割を果たしている。すべてのPSVRに付属するデモディスクで彼らのVRアニメ「Invasion!」を観ることができるようになっているのだ。また、今月開かれたデベロッパー・カンファレンスのOculus ConnectではFanが登壇し、Baobabの最新プロジェクト「Asteroids!」を発表した。

現在20名のチームを抱えるBaobao Studiosは事業の拡大にともない役員メンバーの強化を図っており、PixarとDreamworksで役員を務めたLarry Cutlerが同社のCTOに、そしてWithinのCEOであるChris Milkが顧問役に就任している。

これまで色々と言われてきたコンシューマー向けVRプラットフォームであるが、先週PlayStation VRがローンチを果たしたことで、そのほとんどがマーケットに出揃ったことになる。ハードウェアを消費者の元に届けていくことがこれから重要なのは言うまでもない。だがそれだけでなく、VR独自の強みが生きるようなコンテンツを提供し、なぜVRを買うべきなのかということを消費者に理解してもらうことが今後の最も大きな課題となるだろう。

Baobab Studiosも、それが同社をさらに成長させるための鍵になると考えている。

「ストーリーがまず重要であり、テクノロジーはそのストーリーを支える存在であると確信しています」とFanは語る。

ストーリーテリングにフォーカスするという考え方がメディア界の投資家の心を掴んだ一方で、従来のテック投資家が注目するのはBaobabが開発する「コア・テクノロジー」だ。Fanはその詳細について多くを語らなかったものの、そのテクノロジーによってVRクリエイターが「ストーリーテリングの新しい手法を試すことができるようになる」と話してくれた。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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