『グレムリン』『インナースペース』のジョー・ダンテ監督、CGの功罪について語る

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映画監督のジョー・ダンテは、1980年代に『グレムリン』『エクスプローラーズ』等の人気映画を作った人物であり、私は最近の映画の進化について彼がどう思っているかを是非とも聞きたかった。先週末、ダンテは、映画祭、Mammoth Lakes Film Festivalで、Sierra Spirit Awardの最初の受賞者になった。

映画祭の責任者、Shira Dubrovnerはダンテの選出理由について、彼の一貫した独立精神だと語った ― 彼のキャリアはインディーの世界に始まり、ハリウッドの大作を作った時でも、「彼自身の声と、感覚と、スタイル」を持っていた。

Dubrovnerは、ダンテの『インナースペース』(授賞式のプレゼンでも上映される予定)のエフェクトが過去30年以上変わらず持続していることも称賛した。そこで、ダンテにインタビューする機会を得た私は、それを最初の話題にした。

「たしかに、あのエフェクトが今も見るに耐えていることを誇りに感じている」と彼は言った。「今日では、同じ物を完全にコンピュータ生成された材料で撮影している」当時、エフェクトハウスのILM(Industrial Light and Magic)は、人体内部のミニチュア模型を作った ― ダンテはそこに使われた「長さ1マイル近いプレキシグラス」について回想していた。

あの種のエフェクトの日々は、ほぼ過去のものになったようだ。CGが取って代わったからだ。ダンテはCGについて「すばらしい」けれども欠点があると言う。「今われわれは、何もかもが偽物だと思うようになっている」。例えば、本物の人間が驚くようなスタントを演じても、観衆は「CGでしょ」と言うかもしれない。

一方で彼は、『マッドマックス 怒りのデスロード』と『スターウォーズ フォース フォースの覚醒』に言及し、CGと素朴でアニマトロニックなエフェクトとを効果的に組み合わせた映画だと評した。ダンテは、業界が物理的フィルムから離れる傾向についても同様の意見を述べた。「私はフィルムが大好きだ。私はフィルムに育てられた」と彼は言う。これは、デジタル撮影に反対だという意味ではないが、彼の考えによれば、「フィルムは今も最高の記録メディア。…私がイヤなのは、『よし、クラウドに放り込んでおけばいつでも使える』という発想だ」。

現在の映画は、1980年代のポップカルチャーから出た物事で頭がいっぱいだ ― 『グレムリン』リブートの噂さえある。ダンテはこれを「シンプルな世界観へのノスタルジア」と見ている。実際のところ、1980年代はおそらく、それが起きている時にはそうシンプルではなかった。ダンテは、当時は1950年代に対して同じような回顧をしていたと言う。「80年代は、新しい50年代」というわけだ。ダンテは旧作で最も名を知られているかもしれないが、今も映画やテレビの監督を続けている(Showtimeのアンソロジーシリーズ Maters of Horrorの2回分も)。

私は、彼の映画キャリアーの中で、監督の仕事がどう変わってきたかを尋ねた。ダンテは、「劇場映画よりテレビの監督をする人が多くなっている。なぜなら映画は数が少ないから…仕事はテレビの方が見つかるこの方が多い」。それでも彼は、「仕事はそんなに変っていないと思う」と言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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