【コラム】アニメーター、ライター、デザイナーに朗報、活気ある米国のゲーム業界にはチャンスが溢れている

編集注:本稿の著者Josh Vesely(オシュ・ヴェセリー)氏は、Randstadのエンタープライズソリューショングループのシニアバイスプレジデント。

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世界中の企業が新型コロナウイルスのパンデミックによって壊滅的な影響を受ける中、1180億ドル(約13兆円)規模のゲーム産業は影響を回避するどころかむしろ成長を遂げることができた。米国の消費者の55%がロックダウン中にエンターテインメントやストレス発散、気晴らし、外部との繋がりを求めてゲームに飛びついたからだ。

その結果、ゲームの売上は世界全体で20%増加し、2020年だけで約2万人の雇用が創出された。調査会社のIBISWorldによると、この傾向が勢いを失うことはしばらくないようで、過去半世紀の間に見られた前年比成長率に引き続き、2021年も継続的に成長を遂げる見込みだという。

ゲーム業界や次の大ヒット商品を開発中の企業で就職したいと考えている人にとっては朗報である。ゲーム開発やデザインスキルを持つ人の失業率はすでにゼロに近く、この分野に参入するチャンスはこれまでになく高いのである。

ゲーム業界に特化したデジタルコミュニティであるGamesmith(ゲームスミス)では、現在5750件以上の求人情報が掲載されており、中でもデザイン、エンジニアリング、アニメーションなどの職種が上位を占めている。つまりこれまでゲーム業界でのキャリアを考えたことがなく、自分のスキルセットが通用しないと思っていたとしても、拡大し続けるこの雇用市場ではありとあらゆる種類のバックグラウンドを持つ従業員が必要とされており、ゲーム以外への興味がこの分野でのキャリアにつながることになるかもしれない。

特にAutodesk MayaやAdobe Photoshopなどのデジタルアートツールを使いこなせる人など、何らかのアートスキルがある人にとって有望なキャリアパスは「アニメーション」だ。アニメーターはゲーム会社やスタジオで没入感のある風景や都市の構築、特定のキャラクターのモデリング、ユーザーインターフェースやナビゲーションコンポーネントのデザインなど、さまざまな仕事を行うことができる。最近の調査によると、アニメーション業界のほとんどの分野で前年比2〜3%の成長率というから、ここにも大きな成長が見られる。Gamesmithによると30歳の女性アーティストやアニメーターの平均年収は9万ドル(約980万円)弱だという。

文章力やウィットに富んだ会話に自信があるなら、ライターの仕事に応募してみてはどうだろう。「Grand Theft Auto(グランド・セフト・オート)」シリーズの背景で聞こえる乱暴な叫び声から「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のような大作アドベンチャーの長いセリフまで、あらゆるものを書くのがライターの仕事である。採用担当者たちはストーリー作りやキャラクターへの理解に長けたライターを求めているため、プロのライターでなくてもゲームパブリッシャーが求めるものと共通するような自分の売りを強調すると良いかもしれない。

ゲーム業界で最も重要な分野の1つであり、急成長中の分野でもあるのがゲーム体験そのものの開発とデザインだ。ニューイングランド工科大学によると、これらの職種の雇用市場は2016年から2026年の間に9.3%成長すると予測されており、この分野にはレベルデザイナーからリードデザイナー、開発者まで幅広い職種が存在する。

Gamesmithの計算によると、こういった仕事は募集人員の16%を占めているにもかかわらず、応募数は全体の5%に過ぎないという。この仕事に就くためには少なくともコンピュータサイエンスの学位とプログラミングの基礎を理解している必要があるが、勉強の苦労に見合った報酬を得ることができる。Gamesmithの推定では28歳の男性エンジニアの平均給与は10万ドル(約1090万円)を超えている。

ゲームを制作するための前述のような技術を持ち合わせていなくても、この業界に参入するための入り口は他にもたくさんある。どんなに優れたゲームでも人々に知ってもらえなければ成功することはできない。最新作が消費者に購入され、記事にしてもらえるようにするための重要な役割を担うのがマーケティングおよびプロモーションチームである。またコミュニケーション能力が高く、問題解決を得意とする人なら、企業は常にカスタマーサービス担当者を必要としている。

30代前半から半ばの白人男性だけが働く業界というイメージが強いゲーム業界の企業は現在、あらゆる分野において多様化を図り、そのイメージから脱却しようと試みている。Gamesmithの調査によると、現在ゲーム業界の従業員の74%が男性で、64%が白人であるという。

しかしそれも変わりつつある。2020年の時点で多様性に取り組むためにある程度の資金を投入したスタジオはわずか24%だというが、その内96%のスタジオが少なくとも中程度の成果と企業文化の改善があったと報告している。急速な変化とは言い難いものの、ゲーム業界がより多様な人材を得ることができれば、単にオフィスに公平性をもたらすだけでなく、将来的に優れたゲームを作ることができるようになり、またゲームをプレイする人々と同じような人々が働く業界にすることができるという考えが認識し始められている。

「多様性はきれい事ではありません。ゲーム業界が成長し、繁栄し、この国で毎日ゲームをプレイする何千万人もの人々を本当に反映させるために多様性は必要不可欠です」と英国を拠点とするゲーム団体UkieのCEOであるJo Twist(ジョー・ツイスト)氏は話す。「さまざまな文化、ライフスタイル、経験を活かした多様な業界は、プレイヤーの想像力をかきたてる、よりクリエイティブで包括的なゲームを生み出し、この業界を前進させてくれることでしょう」。

ゲーム業界の多様化が進む中、この分野では新たなチャンスが次々と生まれている。ここで重要なのは、ゲーム業界におけるキャリアには幅広い可能性があり、自分ではそう思っていなくても自分のスキルがゲーム会社が必要としている役割のどれかに当てはまるかもしれないということだ。熱心なゲーマーであれば、ゲーム機の電源を入れただけではゲームに勝てないということを知っているだろう。だからこそ自分のスキルを磨き、経験を積み、夢にまで見た業界への就職をどうか目指して欲しい。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:コラム求人クリエイターゲームソーシャルゲーム

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(文:Josh Vesely、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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