【コラム】注意、会社はあなたを見張っている

新しい1年の始まりに、みんなに役立つことを教えよう。

ITが十分に確立されておらず、会社の構築とともに方針が急速に進化しているスタートアップで働く場合、雇用主が迅速に動いて物事を実行し、後から許可を取ろうとしてしまうリスクが普段よりも高くなる。これはほぼ直感的に理解できるだろう。通常、創業初期のスタートアップは落ち着きなく、猛烈なスピードで動いているものだ。これは合法か?もちろんそうではないが、スタートアップ業界には、会社が成功しなければ許可など無意味なことだという考えも多く存在するようだ。また、会社が一流の急成長企業のスピードで成長しているなら、十分な資金があり弁護士もいるので、後で解決することもできるだろう。

この記事は、スタートアップの従業員数人(みんなが知っているであろう企業だが、名前を明かさないことを希望した)との会話がきっかけで生まれた。会社名を特定するのに十分な裏付け情報を得ることはできなかった(がんばって聞き出すので、ご心配なく)。ここでは、やる気満々で2022年を迎えたみなさんに、いくつか毎年恒例のお知らせを。

会社でのSlack(スラック)では、話の内容に気をつけよう。DMはプライベートなものだと思っているかもしれないが、企業の管理者がSlackインスタンスで送信されたすべてのDMをエクスポートできることをご存じだろうか?もちろん、データのエクスポートについては法律があるが、DMで違法なことや非道徳的なことを話すと、上司がDMのコピーを見せてそれについて説明する羽目になるだろう。過ちを重ねても意味がない。疑った仕事熱心なIT部長が細かく調べることを決めると、雇用主を訴える場合もあるかもしれない。しかし個人的なトークは個人的なチャンネルに、仕事のトークは仕事のチャンネルと区別すれば簡単に避けられる。もちろん、あなたのテキストはプライベートにできかもしれないが、少なくともそれらにアクセスすることは難しくなる。そして、特にこだわりがあるなら、メッセージが一定時間を過ぎると消えるSignal(シグナル)Telegram(テレグラム)もある。

上司は会社の機器を監視することができる。契約書には、会社が提供する備品の使用や使用不可について条項があることが多い。その一部は明確だが(「違法なことをしてはならない」)、一部はもっと曖昧だ。それは仕方がない。契約書をよく読むこと。あなたの会社が、あなたがコンピュータ上で何をしているか監視することが許可されると謳っているかもしれない。法に認められているようには思えないが、多くの労働契約に遠回しに記載されている。AIツールがますます強力になり、追跡されても全然構わないという契約書に署名する世界では、ソフトウェアを作成する多数の企業(AktivTrakActiveOpsVeratio他多数)があなたを監視し、雇用主はこれらをあなたのコンピュータにインストールしてさまざまなレベルのステルス行為を行い、あなたの許可を得ることができる。

AktivTrakは9000を超える組織で使用されており、そのツールは「いつ、誰により、何がやりとりされたかについて理解を深め、同時にコンプライアンスの確保を助けるための知見を提供するための、ユーザーアクティビティおよびセキュリティイベント詳細ログの参照」のために使用できると主張している。みなさんはどうだか知らないが、私はもう安全に感じている(スクリーンショット:AktivTrak website)

人事部はあなたの味方ではない。あなたの会社の人事部門はフレンドリーで、よく手を貸してくれて、親切かもしれない。全力で職場の問題解決を手伝ってくれるかもしれない。しかし彼らはあなたの味方ではない。人事部は会社のために働いているのだ。会社の利益を守るためにそこにいる。あなたの利益と会社の利益が対立すれば、人事部門で働く人は、いくらフレンドリーでも、生活費を稼ぐ必要があるし、あなたが辞めた後、解雇された後、異動した後も彼らの上司と良好な労働関係を維持する必要がある。James Altucher(ジェームズ・オルタッハー)氏が自身のコラム「いずれ、あなたは解雇される」で指摘している通り。

会社への忠誠の義務はない。特に米国では、多くが「随意」雇用であり、すなわちいつでも、いかなる理由でも一時解雇される可能性があり、会社が機会を与える限り雇用されたままになり、最終収益に貢献する。特にスタートアップでは、これは変わりやすい分野である。なぜなら目的と目標は取締役会ごとに代わる可能性があるからだ。ある月は、エンジニアリング部門は会社にとって最も必要不可欠な存在である。しかし銀行口座の金額と資金調達環境はすぐに変わり、翌月にはすべてが変わってしまう可能性がある。特に状況が困難になると、指導的立場にある人にとってKPIを基に運営し、成長と顧客獲得のみに焦点を置くことが魅力的になるかもしれない。その場合、エンジニアリングは短期的にみると重要性が低く、突然広告費と販売活動が最優先事項になる。しっかりした長期的ビジョンを持った偉大なるリーダーたちが急な変化を起こさざるを得なくなる可能性がある。プロの世界の忠誠心は、雇用主のみに恩恵を与える神話である。あなたをやめさせる必要があればそうする。リクルーターが声をかけてきたら、電話をとってその市場でのあなたの値段を確認しよう。

辞めてはならない。マネージャーや人事部門の誰かが経験則であなたに自らの意思でやめさせようとしても、抵抗するのが最善策だ。やめてはいけない!多くのメカニズムが(一部の州では、失業手当を含めて)、あなたが一時解雇された場合にのみ適用される。もし辞めたら、特に会社を訴えないと約束した合意書に同意した場合は、将来的に選択肢を大きく弱めることになる。

人事部はあなたのSlack DMメッセージまたはEメールを、あなたに対して使用しただろうか?現在私は数社のスタートアップの多数の従業員とお話ししている。みなさんのご意見もお聞かせいただきたい。お問い合わせ先:tc@kamps.org

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。