【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル

【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル

第5世代のiPad Airは、最新のApple製品に取り入れられているカラーを踏襲しつつ、独自のブルーを加えた5色の展開。中核モデルであるiPad Airはカラーバリエーションが最も多く、プロのクリエイターに特化した機能と性能を重視したiPad Proとは異なるテイストの製品だ。

特に先代モデルからはiPad Proのエッセンスを取り入れ、同等スペックならドルベースで150ドル安価という「手を伸ばしやすい、しかしフル機能に近いiPad」という性格を備える。MacBookがそうであるように、Proはプロフェッショナルクリエイター、Airは洗練された使い方を求めるプレミアムな一般ユーザーという位置付けが明確化されている。

そのiPad AirにとうとうApple M1チップが搭載された。登場して1年半が経過しているM1だが、いまだにモバイルコンピュータ向けとしてはパフォーマンスと省電力性の両方で圧倒的。それが中核機に降りてきたというのが、第5世代の一番の注目点ということになるのだ。

M1搭載による利点は”爆速”ではなく”創造的”なこと

M1が搭載されたことで、単にCPUが高速になるだけではなくGPUやNeural Engineが強化され、機械学習処理を取り入れた写真修正、動画編集、3Dモデリングなど、さまざまなクリエイター向けアプリの応答性と処理の正確性が高まる。機械学習の最適動作が進めば、タッチ操作やApple Pencilで自動処理できる範囲も広がり、クリエイティブな作業へのハードルが下がる。【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル

結論から言えば、iPadシリーズの中でもっとも費用対効果が高い中核モデルという性格はそのままに、最高の性能を得た本機は引き続きiPadシリーズの中でも、注釈なしに薦められる製品だ。

第4世代からの変化では、超広角のインカメラに「センターフレーム」という最新の機能が取り入れられ、5Gモデムも内蔵するなど時代に合わせたリフレッシュも行われている。たとえ第4世代モデルを安価に入手できることがあったとしても、永く使いたいならばあえて旧モデルを選ぶ理由もない。

ただし、これまであったコストパフォーマンスの高さは、Appleの戦略とは関係ないものの、円安に振れた為替トレンドにより(日本の顧客にとっては)少々、微妙な価格設定になっていることは否めない。

同じストレージ容量の11インチiPad Proと第5世代iPad Airの価格差は、米ドルベースでは150ドルなのに対し、日本円では1万4000円に過ぎない。このことでどちらを選ぶのか、悩んでいる方は多いのではないだろうか。

その答えは人それぞれだろうが、言い換えるなら為替の影響で価格が近づいた11インチiPad Proとの間で選択を悩む以外に、本機についての懸念点はほとんどない。【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル

ではiPad Airと11インチiPad Proはどのような点が異なるのだろうか。わずかにiPad Airの画面が小さい一方、カラーバリエーションが多いことは承知しているだろうが、それ以外にも以下の点が異なる。

  • Face ID(TrueDepthカメラ)ではなくTouch IDで個人認証
  • ディスプレイの最大輝度が600nitsに対して500nits
  • 超広角含めた二眼カメラ+LiDARに対しLiDAR非搭載の広角一眼のアウトカメラ
  • 縦横自在の4スピーカーに対し横画面のみでステレオとなる2スピーカー
  • 5個のマルチマイクによる指向性制御に対しデュアルマイク構成
  • Pro Motion対応120Hz表示・タッチパネルスキャンに対し60Hz
  • 外部接続端子がThunderbolt 4(40Gbps)に対しUSB 3.0(10Gbps)

このように並べてみると意外に大きな違いだ。

150ドルの価格差ならば、この違いがあったとしても、多くの人にとってiPad Airの方が適切な選択肢だと明言できたが、1万4000円の違いとなれば迷うのも無理はない。

中でも体験レベルが大きく異なってくるのは、

  • 縦横自在の4スピーカーに対し横画面のみでステレオとなる2スピーカー
  • 5個のマルチマイクによる指向性制御に対しデュアルマイク構成
  • Pro Motion対応120Hz表示・タッチパネルスキャンに対し60Hz

の3点だろうか。【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル

縦横どちらでも使うiPadの場合、どの方向でもステレオ効果が得られる点は、2世代前のiPad Proが発表された時、随分と感心したポイントだった。その後、空間オーディオ再生に対応し、なおさら4スピーカーの良さが際立つようになったと思う。

マイクに関しては高音質の録音を求めない場合でも、ビームフォーミングに役立つ。オンライン会議時に生活音や背景ノイズを遮断するキーテクノロジでもあるだけに、iPadでオンライン会議をこなしたい人にとっては悩ましい違いだろう。

ProMotionに関しては、スクロール時などの”ヌルヌル感”や指にピッタリと吸い付いたようにドラッグする対象が動く感触的な違いはあるが、一般的な利用では大きな違いは出ない。しかし、絵を描くのであればApple Pencilの追従性向上は体感できるレベルにあると思う。

【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデル個人認証に関しては、Face IDが良いのかTouch IDが良いのかは好みや使い方もある。iPhoneではマスクありの認証に対応したFace IDだが、iPadでは引き続きマスクありでのロック解除はできない。

またディスプレイの表示品質に関しても、スペック上の違いはあるものの、通常、その差を感じることはほとんどない。どちらを選んでも色再現範囲が広く、ホワイトバランスや諧調表現も的確。業界水準を大きく超える美しいディスプレイだ。

【レビュー】ついにM1搭載の第5世代iPad Air、コスパそのままに最高の性能を得たモデルなお、ベンチマーク結果などは誤差程度であり、両者の性能は”同じ”と思って差し支えないと思う。すなわち、タブレットとしても、モバイルパソコンと比較したとしても、ポータブルなコンピュータとしてはほかに比較対象のない、高性能で省電力な端末だ。

iPad Airを検討する際はこれらの違い、カラーバリエーションなどをどう考えるかだ。一方でiPad Pro以外にはライバル不在とも言い換えることができるだろう。

(本田雅一。Engadget日本版より転載)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。