【レビュー】電動自転車VanMoof X3、ハイテクだが手頃な値段であらゆる人を信奉者にしてしまう

自転車レーンでそよ風に吹かれながら電動自転車をこぎつつ、新たに手に入れた自由についてあれこれ思いを巡らす。こんな経験をするまでは、過去10年の間に生まれた最高の消費者向けテクノロジーのいくつかに対してと同様、筆者は自分に電動自転車が必要だとは思っていなかった。

Nintendo Switchを購入する前は、簡単にバックパックに収納してしまえるこのキャンディーのような色をしたゲームコンソールが、長時間のフライトをこんなにも楽しいものにしてくれるとは想像だにしなかった。電動自転車、特にこの 電動自転車VanMoof X3についても、まったく同じように感じている。

筆者はオレゴン州はポートランド市に住んでいる。ここは自転車レーンが多く設けられていて、ネイキッドバイクライドイベントが開催される町。ポートランド市に引っ越して来た当初は、筆者も自転車に乗ってあちこち足を伸ばしたものだが、時間の経過とともに自転車に乗る機会が減っていった。というのも、週末のキャンプ旅行のために購入した自動車が、徐々に毎日の用事をこなすのに使われるようになっていったからだ。

引っ越してから数年後、ある慢性疾患の診断を受け、突如として自分が何をできるか、どこまでなら安全に行けるのか自信がなくなってしまった。その後筆者が自転車に乗るのは、すばらしい天気に恵まれた日に限られるようになり、シーズン中に数えるほどの日数になってしまった。そんな時、もっと自転車に乗れたら、本当に楽しいだろうに!と考えため息をついたものだ。

X3に試乗してみるまで、筆者は短い距離でも自転車に乗らずに自動車を使用する言い訳を見つけたものだ。往きは良くても疲れてしまって、自転車で家に帰って来られなくなったらどうする?雨が降り始めたら?職場についた時、汗だくでは困るのでは?電動自転車は、こうした心配の大部分を一気に解消してくれる。

気温が35℃以上あったとしても、X3は快適な乗り心地で筆者をさっと職場まで連れて行ってくれる。急な嵐がきてもスピードで乗り切れる。一日を汗だくの状態で始めるのが嫌なら、すてきなすてきな電動機能に頼ることで、汗の一滴もかかずにオフィスへ到着することも可能だ。

そして、これはぜひ強調したいのだが、自転車で風を切って進むこと(自分に適した労力を使って)、これは本当に、本当に楽しい。あなたがまだ電動自転車に乗ったことがないのなら、是非実地で試してもらいたい。というのも、かすかな電動音を感じながら、快適にすいすい進むこの感覚を言葉で伝えることは難しいからだ。

VanMoofの誇るハイテク自転車のペア、X3および同系統でやや大型のS3は、もちろん市場に出回っている唯一の選択肢というわけではない。その利点の一部はどの電動自転車にも当てはまるものだ。しかし、だからといってVanMoofがありふれた存在であるかというと、そうではない。VanMoof X3は、ある種の乗り手(私自身を含む)にパーフェクトにマッチする非常に特殊な外観、感触、機能を備えている。しかし、電動自転車をこれから購入予定の方々は、さまざまな側面を検討したいと考えておられるだろう。そこで、以下に詳しく特徴を掘り下げてみようと思う。

数値ディスプレイにはバッテリー寿命、スピード、その他の重要な情報が表示される

外見

筆者はVanMoof S3ではなくX3(写真では形状がやや奇抜に見える)に試乗した。これは、好みでそうしたというよりも、筆者の身長が162.5センチメートルであるからだ。X3は、身長が150~195.5センチメートルの人向けで、身長が172.5センチメートル以上の人向けのS3よりも少し小型でデザインもやや変わっている。X3のタイヤはS3の28インチと異なり24インチで、フロント部にバンジーコード付きの台座があり、どのように使うのかは定かではないが、何かしら運べるようになっている(別売りのバスケットを購入してフロント部に取り付けても素敵だと思われる)。

他の電動自転車と同様、X3は一般の公道用自転車や通勤用自転車と比べると、ずっと重たい。公表されている重量は約21kgで、仮にそれを遠くまで運ばなければならない場合、その重さは大変なものに感じられるだろう。筆者はオレゴン州ポートランド市の一軒家に住んでいて、X3に乗るために玄関からほんのわずかな距離を運ばなければならなかったが、まったく問題はなかった。

筆者はブルックリン市でエレベーターの無い建物の5階に住んでいた事があるが、X3を抱えて階段を上り下りすることは不可能だったろうと思う。充電のためにX3(または他の電動自転車)を一階に保管することができない場合は、この製品はあなたには適さないかもしれない。(あとから説明するが、写真では、チェーンの上部に、オプションの外付けバッテリーパックを装着できる小さな台座があるのに注意して欲しい。この台座は取り外し可能)。

紙の上で見た場合、筆者にはS3の方が好ましいと感じるが、実際には、駐車中でも誰かが乗っている場合でも、X3が不格好というようなことはまったくない。キュートで、未来的でありながら目立たず、多くの称賛を得ている。筆者の妻は、その外見を「デス・スターっぽい」と表現していて、その意味するところを筆者が完全に理解しているわけでないにしても、彼女は間違ってはいない。通勤途中、清掃トラックの運転手がトラックの窓を下げて「その自転車、とっても格好いいね!」と声をかけてくれた。どうもありがとう!

VanMoofの現行の電動自転車はマットペイントでコーティングされていて、クラシックでセクシーなマットブラック、または心地よい陽気なマットライトブルーのどちらかを選ぶことができる。以前のバージョンでは光沢のあるコーティングだったが、マットの方が傷がつきにくいと思われる。爆弾の破壊力に完全に耐えられるというほどではないにしても、ペイントはかなりしっかりしているように見える。ハンドルバーになぜか小さなキズがついていてペイントが剥げているがどうしてそれがついたのかはまったくわからない(フクロウのせい?)。

ちょっと重要だと思うのは、VanMoof X3やS3が電動自転車のようには見えないということだ。フレームから醜い膨らみが突き出ているということもないし、トップチューブとダウンチューブは厚みがあるが均一で、その厚みもそう気になるほどではない。

電子部品はフレーム内に収納されており、ドライブトレーンも収納され密閉されている。トップチューブに埋め込まれたLED指標ディスプレイがあるが、これはほぼ乗っている人からしか見えない。電動自転車であることを大声で喧伝しているかのような外見の電動自転車を探しているわけでなければ、VanMoofはベストの1台ではなくとも、ベストチョイスの1つだ。外見がすばらしい電動自転車というだけではなく、自転車として見てもすばしいのだから。

乗り心地

VanMoof X3は見栄えの良い自転車だ、ということはおわかりいただけたと思う。しかし、乗り心地の方はどうだろう?筆者は自信を持って、次のようにお伝えすることができる。通勤のために初めてX3に乗ってから20回目になるまで、X3はすばらしく楽しい時間を提供してくれるということを。

電動自転車が初体験の筆者には、ちょっと躊躇する気持ちもあった。電気の助けを借りたら、自転車に乗ることのすばらしさが安っぽいものになってしまうのではないか?シフトチェンジを自動でしてくれる自転車を自分は本当に欲しいのだろうか?しかし、ふたを開けてみれば、そのような心配はまったくいらなかったことがわかった。

VanMoof X3(とその兄弟のS3)は乗り手がペダルをこいでいるのを電気でサポートしてくれる。つまり、乗り手は自分の力でペダルをこいでいるのだが、電気の力も同時に借りてとても楽に少ない労力でより速く進むことができるのだ。X3のハンドルバーの右側には、ターボブーストボタンがついていて、米国では、通常のなめらかな電気アシスタンスを超えた強力なブーストを1時間に20分まで得ることができる。

乗り手は必要なアシスタンスのレベルを選ぶことができる。VanMoofアプリ(後で説明する)を使って、または実際のボタンを使って、必要なパワーアシストのレベルを0から4まで選ぶ事ができるのだ。0は電気によるアシストはまったくなく、乗り手がまったくの自力でペダルをこいている状態(これはよろしくない)で、4では、まったく汗さえかかない、労力のいらない楽な状態になる。

筆者がX3を試乗していた時は、ちょっとペダルを重くしてエクササイズしたい気分の時には「2」を使い、朝コワーキングスペースへ急いでいる時は「4」、それ以外の、例えば週末にブランチに行く、というような時には「3」にしていた。ペダルアシスタンスのレベルを選べるというのは大変大きな利点で、これによって自転車をフレキシブルにさまざまな場面に合わせて調整できる。

どのモードであっても、ターボブーストボタンは強力なサポート機能である。これによって急な坂はあたかも平面のようになるし、クルマの運転手が周囲に気を配っているか定かでないような混んだ交差点を横切る時など、ずっと安全に渡れる気がする。X3は、危険を避けた安全な街乗りにはもってこいの、楽しくすばらしい電動自転車である。

自動電気シフトに慣れるのにはやや時間がかかるが、それは本当にスムーズである。冷蔵庫やランプ、バイブレーターに、ナンセンスで無駄な「スマート」ハイテクが搭載されるまでは、それらが完璧に機能していたものだが、筆者は最初それと同じように、この電気を使った技術が邪魔に感じられるほど頻繁に不具合を起こすのでは、と予想していた。

長期間にわたって調査した結果、筆者はX3は今までにないほどスムーズでシームレスであるということができる。たまにペダルを踏み込む際スムーズでなかったり、ギアが瞬時に機能しなかったりするが、それはごく稀である。アプリを使って自転車が上下に移動するタイミングをカスタマイズすることもできるのだが、自分にピッタリあった自転車が手に入るのだから、それを試してみる価値は十分にある。

他には特筆すべきことは?米国におけるX3の最大アシスト速度は20 mph(時速32km)であるが、ヨーロッパでは15.5 mph(時速25km)に制限されている。米国で許可されているこの速度はすばらしく、X3で20mphまで速度を上げ維持するのは造作のないことだ。通常の自転車でそんなことをしようとするなら、筆者が所有する小回りのきくロードバイクですら、大腿四頭筋を痛めてしまいかねない。

それ以外にも、シートは非常に心地よく、乗り心地も快適にまっすぐでナチュラルである。X3にしばらく乗っていたせいで、筆者の愛すべきビアンキに戻るのが大変で、慣れ親しんでいたはずの快適な感覚を取り戻したいと切に願う羽目になった。

未来型テイルライト

価格

VanMoof X3はすべてを考慮するとすばらしい価格である。この会社は価格をいじくり回す変わった癖があるのだが、2020年に設計変更が行われ、大幅な価格の下落(3398ドル[約37万5000円]から一時は1998ドル[約22万円]に設定された)があって以降、X3は大変お買い得感のある値段がつけられている。現在の値段は2298ドル(日本では税込27万5000円)で以前の価格より300ドル(約3万3000円)高いが、それでもフル機能を備えた電動自転車を2000ドル(約22万円)程で手に入れたいと考えている人にとってはよい取引である。

この金額は、VanMoofの気の利いた付加機能がついていない、通常の新しい自転車を買う場合と比べてもそれほど大きく違わない金額である。ハイエンドの自転車を購入しようとしている場合には、この金額はさらにずっと低いものに感じられるはずだ。そして現実的な側面で言えば、電動自転車を購入するということは、従来の自転車の代りということではなく、車や公共交通機関など、目的地へ移動するのにお金を払うものに今ほど頼らなくても済むようになるということである(米国で2000ドル[約22万円]以下の自転車を探す場合は、Rad Power BikesおよびCharge でよいオプションを探して欲しい)。

VanMoofの価格設定は、高品質で機能豊富なハイエンド電動自転車に比べると、はるかに低額である。しかし同社の製品は、見栄えの点でも機能の点でもそれらのハイエンド製品に太刀打ちできている。しかし、VanMoofがすでに世に出ている自転車の価格をひそかにいじくりまわしているのはいただけない。狙いを定めて購入しようとした矢先に値段が吊り上がる、などということになったら最悪である。

この件について同社はもっと透明性ある対応をし、今後予定されている価格変更日についての情報を開示すべきである。自転車の世代交代もあるようで、現在購入できるX3は2020年のX3とは異なる可能性がある。これらは紛らわしいので、ウェブサイトにはっきりした情報を掲載するべきである。

VanMoofアプリのアプリ内ライドトラッキングとサマリースタッツ

航続距離

電動自転車(またはeと名のつくものすべて)で最も考慮しなければならない事の1つが航続距離である。VanMoofによると、X3の航続距離は「フルパワー」で走った場合は37マイル(約60km)、エコノミーモードでは最大93マイル(約150km)となる。93マイルまで行けたなら、ペダルアシスタンスをまったく使わないで走行していた可能性もあるので、その場合は、93マイルという数値を気にする必要はないだろう。最も低い37マイルという見積もりだが、これは、4番目のパワーアシストモードで走り頻繁にターボブーストを使用する人にとってはちょっと甘めの見積もりかもしれない。筆者の経験(通常モード3か4で、たまに2、ターボボタンは軽く使用)からいくと、35~45マイル(約56~72km)が順当なところだろう。

航続距離は問題ないと感じる。X3を週のうちほとんど毎日使用しても、充電は煩わしく感じるほど頻繁にしなくてもよい。筆者の場合、毎日短距離(通常2~2.5マイル[約3~4km])を走行し、たまに長距離(10~20マイル[約16~32km))も走行する。X3やS3を使用してもっと長距離を通勤する人の場合はもう少し頻繁に充電することになる。そうであっても、家から遠く離れたところに来ているのに、バッテリーがあがってしまうのではないかと心配するようなことには決してならないだろう。仮にそのような状況になったとしても、自転車なのでペダルをこぐことはできる(ただペダルがとても重いだけである)。ほとんどの人は一晩かけて充電を行うと思うが、必要なら4時間でバッテリーをフルの状態にすることができる。

注意すべきなのは、壁取付け型充電器を直接自転車につないで充電する点である。X3を1階で充電したり保管したりできない場合、自転車を抱えてコンセントのあるところまで運ばなければならない。取り外しできるバッテリーがない点が、エレベータのない建物や小さなアパートに住んでいる人にとってのVanMoof自転車のネックになるかもしれない。しかし適切な保管場所がある人には、迷うことなくお薦めできる自転車だ。

内蔵バッテリーによる航続距離もほどんどの場合十分だが、VanMoofでは、X3とS3向けに別売りの外付けバッテリーパックを発売したところだ。バッテリーは下の写真にあるように、小さな台座にはめ込むことができ、試乗用の自転車に取り付けられている。これによりX3の航続距離を大幅に伸ばすことができる。VanMoof はこのPowerBankアクセサリーを348ドル(約3万8000円)で販売している。このバッテリパックは小さくはないし、重さは約2.7kgある。しかしVanMoofによると、これにより28~62マイル(約45~100km)も航続距離が伸びるそうである。この上限値に到達する人はほとんどいないだろうが、下限の値であっても元の航続距離のほぼ2倍になっている。

VanMoofの外付けPowerBank

PowerBankは大きく、かなりかさばっている。ひどく不格好というわけではないが、そのためにX3は間違いなく電動自転車に見える。超ハンサムな電動自転車、Cowboyの取り外し可能バッテリーのようなエレガントさは無いが、それでも問題になるレベルではない。VanMoofの他の点はパーフェクトだがもう少し航続距離が必要だ、という場合、ある程度のお金は払わなければならないが、このオプションがあるのはありがたい。

技術的特徴

VanMoofのX3とS3の付加技術は、その他の電動自転車からX3とS3を大きく際立たせている。X3の価格は、信用ができ、見栄えのよい電動自転車の価格としては納得のいくものだが、それに加えうれしいのは、小技の効いた電動自転車を手に入れることができる点だ。

  • 数値ディスプレイ:自転車のトップチューブには、メタルディスプレイに組み込まれたLEDライトが、速度、バッテリー寿命、その他の役立つ情報を表示してくれる。これはキラー機能で、本当にいかしている!
  • アラーム:あなたの自転車に危険を及ぼしかねない相手には「文字通りうなる」アラームを発動することができる。アラームは強烈でかなり音が大きい。
  • キックロック:小さなフィジカルボタンをキックすると後輪にロックをかけることができる。自転車泥棒がいるような町に住んでいる場合、泥棒はトラックにひょいと自転車を投げ込んでしまうだろうから、キックロックがあればセキュリティは万全、というわけではないけれども(筆者は小型のクリプトナイトロックを使用していたが、これは効果を発揮した)。
  • iOSのFind My:iOSを使用している人の場合は自分の自転車がどこにあるか簡単に追跡することができる。しっかり自転車にロックをかけておけばこれは必要ないかもしれないが、すばらしい機能である。

VanMoofはiOSの「Find My」アプリに対応している

  • ライト:VanMoof X3は、フロントにもバックにも優秀な内蔵ライトがついている。
  • アプリ:驚くべきことに、このアプリは大変優れものである。細々したこと(ベルの音量、アラームのオン・オフ、設定の変更)をカスタマイズでき、走行状況などの情報を表示することもできる。また、最も基本的な、自転車をこぐ、ロックを解除する、電気アシスタンスのレベルを変更するといったことは、自転車をアプリに接続していないくても実行できる。接続がうまくいかないことが時たまあったが(そのほとんどはAndroidで)、問題を解決するのは簡単で、そのために自動で走行記録が取れないことはあっものの、自転車の使用に支障をきたすことはなかった。またこのアプリを使って自転車がどこにあるかを追跡することもできる。VanMoofは、この機能とアラームシステムおよび盗難復旧チームを組み合わせることで、自転車をなくした人々が自転車を取り戻せるよう支援することができると宣伝している。

全体として、X3がすばらしいのは、その技術的機能がただの凝った機能ではなく、実用的でユーザー体験を大幅に向上させてくれるものである点だ。そして、これらはオプションである。アプリを使わなくても、パワーアシスタンスに助けられながら自転車に乗ることができる。普通のロックを使いアラームシステムをスキップする選択もできるし、実際のボタンコードを使って手動でこれを無効化することもできる。このボタンを使ってパワーアシスタンスモードを変更することもできる。これは優れた機能で、これにより電動自転車を自分の使いたいように使うことが可能になる。個人的には、インターネット、スマートフォン、アプリに接続が必要な電気自動車は購入するつもりはない。そういったものはトラブルの元だからである。

その他の考慮事項

  • 配送と組み立て:VanMoof X3およびS3は大きなボックスに入って郵送されてくる。組み立てはいたって簡単である。ただし1カ所だけ難しいところがあり、VanMoofのサブレディットを検索して(つまり、この箇所につまづいたのは筆者1人ではないということ!)これに小一時間ほど費やす羽目になった。
  • 追加サポート:VanMoofは自転車を正常な状態に保ち、持ち主が自転車を所有し続けることができるよう、3つの有料プランを提供している。3年間のメンテナンスプランは348ドル(約2万6000円)、3年間の盗難復旧プランは398ドル(約3万円)、またはこれらを組み合わせたプランは690ドル(約5万3000円)となっている(以下のVanMoofによる内訳)。

  • メンテナンス:VanMoofの自転車を購入する際、最も考慮すべきなのはどこに住んでいるかだろう。筆者は長期間にわたりX3が信用に足るか試乗していたわけだが、問題はほとんど起こらず、これには驚くほどであった。ブレーキパッドが擦れてしまったため、ある時点で前輪の中心を再設定しなければならなかったが、アプリの接続問題がたまに起こることを除き、この出来事以外の問題は起きなかった。もちろん、経年劣化はどの自転車にも起こるだろうから、そのモデルをよく知っているプロにチューンナップしてもらうのは良いことである。

VanMoofはアムステルダム、ロンドン、パリ、ベルリン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、東京に本格的な店舗を構えている。この本格的な店舗以外にも、同社は同社自転車の整備のために大規模なサービスセンターおよび「認定ワークショップ」のネットワークを構築しているので、お近くにサービスショップかあるか確認するようにしよう。個人的には、2000ドル(約22万円)以上の投資とX3に備わった多くの技術的要素をパーフェクトな状態に保つことができるよう、VanMoofの店舗または少なくともサービスセンターの近くにいることが望ましいと考える。誰も修理のために、自転車を送り返したいとは思わないだろう。特にそれが重く技術的に複雑な要素を持った自転車ならなおさらのことである。

X3を試してみるまでは、筆者は電動自転車についてそれほど考えることがなかったし、電動自転車がそもそも誰を対象としたものだかよく知らなかった。数年前に初めて、筆者よりずっと自転車に熱心な親しい友人が、長い散歩に飼い犬(とってもいい女の子である)を連れて行くのに電動自転車を購入した時に、VanMoofの社名を耳にした。一緒にファーマーズマーケット(農産物の直売所)に行き、彼女のVanMoofをすばらしいと褒めたものの、これほど多くのテクノロジーを内部に備えた自転車が、時間が経過しても信頼に足るものであるのか、懐疑的だった。

自転車とは機械的でシンプルなものである。それこそが自転車のすばらしいところである!電動自転車は自転車に乗ることのすばらしいシンプルさを、ハイテクであるなにかに本当に置き換えることができるのだろうか?結果としてわかったのは、それは可能だ、ということである。VanMoof X3を試してみてそれが信用に足るものであることを確認し、その機能が日々の使用の中でどのように維持されるかを理解してみると、筆者は自分が以前懐疑心を抱いていたことを後悔するほどである。

筆者は、VanMoof X3を試している間どんなにか電動自転車、特にこの電動自転車が生活の細々したところを良い方向へと変えてくれたかを、十分言い尽くせないように感じている。自転車にもっと乗ること(そして電気自動車はより多くの人が自転車に乗るような流れを作っている)は、筆者をより幸せに、より健康にしてくれる。自転車にもっと乗ることで、運動不足になりがちなパンデミックの時期から抜け出し、周囲の世界との結び付きを感じさせてくれる新しい習慣を身に付けることができた。自分の住む町を新鮮な目で見、一度も足を踏み入れたことのない新しい近隣地域を訪れ、当たり前に思っていた小さな物事を大切に感じることができている。筆者が電動自転車について後悔していることがあるとすれば、それはどうしてもっと早く電動自転車に乗ってみなかったのか、ということだけである。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動自転車VanMoofレビュー

画像クレジット:電動自転車、VanMoof、レビュー

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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