【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

2021年のiPhoneレビューは、えーと、もちろん、数年ぶりにディズニーランドに戻ってくることになった。うれしいことに、iPhone 13 ProとiPhone 13は非常に良いパフォーマンスを見せてくれた。また、iPhone miniとiPhone 13 Pro Maxで行った限定的なテストでは、初めて、望遠レンズがなくても問題なければ、iPhoneをサイズの好みで簡単に選択できるようになったことがわかった。

私がこれらのiPhoneをいつもディズニーランドに持ち込む大きな理由の1つは、Apple(アップル)が主張する改善点を実際の環境で激しくテストするのに最適な場所だからだ。ディズニーランド内は暑く、ネットワーク環境は最悪で、写真やチケットのスキャン、食べ物の注文など、最近ではほとんどすべてのことに携帯電話を使わなければならず、かけたお金の分最大限楽しめるようできるだけ長く滞在することが多い。これは、人為的なバッテリー消耗や管理された写真環境を含まない、理想的な耐久テストと言えるだろう。

私の行ったテストでは、それほどではないケースもあったが、Appleの改良点のほとんどが、実際に旅先での生活の質に目に見える影響を与えてくれた。画面の明るさ、より長い望遠、そして長くなったバッテリーの持続時間は、いずれもうれしいポイントだった。

パフォーマンスとバッテリー

iPhone 13 Proのバッテリーは、園内での使用でちょうど13時間超えを記録したところで使い切った。2021年はビデオのテストが多かったため、カメラアプリが通常よりも長く画面に表示され「画面上」での使用時間が1時間強となり、システムに少し負担をかけてしまった。実際に標準的な使い方をすれば、それ以上の効果が得られると思うので、iPhone 12 Proのビデオ再生時間が1時間以上長くなったというAppleの見積もりは、おそらくかなり正確なものだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

私のテストでは、iPhone 13 Pro Maxに同じレベルの負荷を与えることは難しかったものの、iPhone 13 Proが充電を必要としたときにまだ余力があったことを考えると、iPhone 13 Pro Maxにはさらに多くのバッテリー駆動時間が期待できると言えるだろう。ただ、より大きなバッテリーで、より多くのバッテリー駆動時間が得られるというのは、大きな驚きではない。

開園一番に入園するつもりなら、午前6時くらいに充電器から外して、午後4時くらいまでには充電器を用意して、電池切れにならないように計画したほうがいいだろう。これは、厳しい環境下でカメラを多用するiPhoneにとって、全体的に悪くない稼働率だと思う。

Appleの新しいProMotionディスプレイもいい感じにアップグレードされていて、画面の明るさが増していることに気づいた。ただし、この明るさの向上は、iPhone 12 Proの画面にハイキーなコンテンツを表示した状態で並べてみて初めて実感できるものだった。ディズニーランドのアプリを起動してバーコードを読み取ると、読み取りの安定性が向上し、直射日光の下では全体的な明るさが増していることがわかる(はっきりとは言えないが)。直射日光が当たらない場所では、この違いほとんどわからないと思う。

ProMotionスクリーンの可変リフレッシュレートは、Safariをスクロールしているときに120Hzまで上昇するが、これは本当に生活の質の面ですばらしい向上だ。私はここ数年、コンピューティングのほとんどをiPad Proで行ってきたので、残念ながらこの分野には少し飽きているが、まだ経験したことのないiPhoneユーザーにとってこれは驚くべき進歩に映るだろう。Appleのシステム上で120Hzに固定されているわけではないため、写真やテキストなどの静止したコンテンツを見るとき、スクロールしないときなどは画面のリフレッシュレートを遅くすることで、バッテリー寿命を節約することができる。うれしいことに、スクロール中に大きなずれも発生せず、この切り替えの際にも、実に反応が良く、シームレスに処理されている。

新しいA15チップは、そう、2020年よりもパワフルになっている。この点が気になる人のために、以下いくつかの数字を紹介しよう。

画像クレジット:Apple

特に、バッテリー駆動時間が短くなったのではなく、むしろ長くなったという点で、非常に印象的だ。Appleデバイスのワットあたりの性能は、チップ担当部門の(あまり)知られていない偉業であり続けている。2021年のiPhoneやM1ラップトップが、単にめちゃくちゃ速いというだけでなく、充電器に接続せずとも、実際に膨大な時間使用が可能であるということだ。気になる方のために触れておくと、iPhone 13 Proには6GBのRAMが搭載されているようだ。

デザイン

画像クレジット:Matthew Panzarino

iPhoneのデザインは、相変わらずカメラと無線を中心に構成されている。カメラパッケージのセンサーとレンズをサポートするために必要なもの、そしてアンテナが5Gに対応できるようにするために必要なものが、iPhoneの現時点におけるデザインのハンドルをコントロールしており、それはごく自然なことだ。

iPhone 13 Proの背面にあるカメラアレイは、Appleが新たに搭載した3つのカメラに対応するため、より大きく、高くなっている。そう、全体で40%も大きくなり、高くなっているのだ。Appleの新しいケースには、非常に目立つ隆起がある。これは、ケースを表面に置いたときにレンズを保護するためのものだ。

他のすべての部分は、カメラと、ワイヤレス充電と無線性能の必要性を中心に作られている。しかし、Appleのつや消しガラスとスチール製の縁の外観は、2021年も宝石のような品質を維持しており、やはりすばらしい見た目のものに仕上がっている。多くの人がケースを付けずに長時間見ることはないと思うが、見ている間はイケてる携帯電話だと言えるだろう。

カメラのパッケージングを改善したことで、前面のノッチはわずかに小さくなり、動画視聴などの際の画面領域がわずかに増えたが、デベロッパーの人たちが浮いたピクセルをうまく利用する方法を見つけてくれるのを待たなければならない。

次に、カメラについて説明しよう。

カメラ

純粋に、ユーザーの選択肢や、見違えるほど画質を向上させるような改善を、Appleが毎年続けていくことはあり得ないことのように思える。にもかかわらず、カメラの品質と機能は、iPhone 11 Proから全面的に大きく飛躍しており、iPhone 12 Proからも顕著な改善が見られる。それら以前の機種を使っている人であれば、きっと気に入るであろう最高の画質を目の当たりにすることになるだろう。

カメラのパッケージと機能セットも、これまで以上にラインナップ全体で統一されている。Appleのセンサーシフト光学式手ぶれ補正システムは、すべてのモデルに搭載されており、iPhone 13 miniでさえも搭載されているのだが、このセンサーアレイの全体的なパッケージサイズを考えると、これは驚くべきことだろう。

2021年のディズニーランド内での私の経験では、どのレンズを選んでも、Appleによるカメラ改良の大きな違いを感じることができた。低照度から高倍率ズームまで、熱心な写真家の人たちにも満足してもらえる内容となっているはずだ。それと、シネマティックモードについても後で紹介しよう。

望遠

私が改善を期待していたレンズの中で、望遠レンズには実はそれほど大きな期待を寄せていなかった。しかし、このレンズの撮影範囲の広さと実用性の高さには、うれしい驚きを感じた。私は自他ともに認める望遠派で、iPhone 12 Proで撮影した写真の60%が、ワイドよりも望遠で撮影したものだ。後からトリミングしなくても、フレーミングをより綿密に選ぶことができるのが個人的に好きなのだ。

望遠レンズにナイトモードが搭載されたことで、以前のように暗闇の中でクロップしてワイドレンズに戻ることがなくなった。このように、本来の光学の望遠に加えて、ナイトモードの魔法も手に入れることができる。2年前にはまったく手が届かなかったことだが、黒の表現力が格段に向上し、手持ちでズームしても、全体的にすばらしい露出を生んでくれるようになった。

画像クレジット:Matthew Panzarino

より高いズームレベルでは、ポートレートはよりタイトにトリミングされ、ポートレートモード以外の有機的なボケ(ブラー)がより美しくなる。この新しいレンズを使えば、人物をより美しく撮影できるようになるだろう。

もしあなたがカメラ好きならわかると思うが、3倍ズームは私が愛用している105mm固定式ポートレートレンズによく似ている。このレンズのパッケージは、クロップ機能もあり、優秀な背景の分離機能もあり、そして光学品質がとにかく非常に優れている。今回、Appleは望遠で見事に成功したと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

演出のときもあるが、基本的にはパンデミック対策のため、パフォーマーとゲストとの間に距離があることが多いディズニーランドでは、より長い光学レンジも非常に便利だった。カイロ・レンが観客を盛り上げているところを、手を伸ばして撮影できたのは楽しいことだった。

広角

Appleのワイドレンズは、センサー技術全体で最大の進歩を遂げている。ƒ/1.5の大きな開口部と新しい1.9µmのピクセルサイズにより、集光力が約2倍になり、その違いがよく表れている。夜間や車内での撮影では、黒の深みやダイナミックレンジが向上し、全体的な画質が著しく向上した。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にすると、集光範囲の拡大とSmart HDR 4の改善により、黒がより濃くなり、洗いざらしのような写りにならなくなる。あえて言えば、全体的に「より自然」ということになるが、これは今回のiPhoneのカメラに共通するテーマだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にしていない状態では、より多くの光を取り込むことで画質が向上していることが一目瞭然だ。ナイトモードをオフにしなければならない状況はほとんどないと思うが、光が少ない中で動いている被写体などはそのユースケースの1つであり、この新しいセンサーとレンズの組み合わせであれば、そのような場合でも数センチの余裕を得ることができる。

センサーシフト式OIS(光学式手ブレ補正)がiPhone 13に搭載されたことは、静止画と動画の両方に大きな恩恵をもたらす。私はiPhone 12 Pro Maxの手ぶれ補正機能でいろいろ遊べたことに満足しているが、まだ手ぶれ補正機能を使ったことがない人は、この機能がもたらす、レベルアップしたシャープさに信じられないほど満足することになるだろう。

超広角

Appleの超広角カメラは、しばらくの間、嫌われてきた。新しい視点を提供してくれるものの、発売以来、オートフォーカス機能の欠如や集光性能の低さに悩まされてきた。しかし今回のカメラでは、ƒ/1.8の大口径化とオートフォーカスを実現している。集光力が92%向上したとAppleは主張しているが、かなり厳しい照明条件でテストしたところ、全体的に大幅な改善が見られた。

ディズニーランドでは通常、ワイド撮影の方法は2つに1つだ。1つはポートレート撮影時に魚眼レンズのような遠近感を出すために接近して撮影する方法、もう1つは照明やシーンの設定が特に良いときに景色を撮影する方法だ。オートフォーカスを使えば、1つ目の方法は大幅に改善され、2つ目の方法も絞りを開けることで大幅に改善される。

月明かりに照らされたTrader Sam(トレーダー・サム)を撮影した写真を見て欲しい。照明と風景がちょうどよく、思わず手に取ってしまいそうなスナップだ。iPhone 12 Proも悪くないが、両者の露出には明らかな差があるのがわかる。絞り値の改善を比較するために、どちらもナイトモードをオフにして撮影している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

この差は明らかで、Appleがこの超広角カメラを改良し続けていることに総じてかなり感心しているのだが、現時点では、このサイズの12MPセンサーがこのような広い視野を持つレンズにもたらすことができる限界に達しつつあることは明らかだと思われる。

新しいISP(画像信号プロセッサ)では、ナイトモードの撮影も改善されている。絞り値が大きくなったことで撮影可能な生の範囲が増え、ナイトモードの撮影では、明るいキャンディのような見た目が削ぎ落とされ、より深みのある有機的な感覚が得られる。

マクロ写真と動画撮影

また、iPhone 13 Proの新たな撮影機能として、2cmまで接近して撮影できるマクロモードがある。iPhone本体の超広角レンズに搭載されているだけあって、本当によくできている。

信じられないほど細かい部分まで撮影することができた。「物体の表面の質感」が見えるくらい細かく「蜂の胸部にぶら下がっている花粉」が見えるくらい細かく「露が….」、まぁこのあたりはもうなんとなくわかるはずだ。マクロアタッチメントを持ち歩かなくても、かなり接近して撮影でき、これだけで十分なのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

撮影領域の中心となる40%程度の粗い領域では、マクロ画像のシャープさと鮮明さが際立っていた。マクロモードがウルトラワイドであるため、画像の周辺部にはかなりの量のコマ収差が発生する。基本的には、レンズが非常に湾曲しているため、超球面素子の端で過剰なボケが発生する。これは、焦点距離の最小値である非常に近い距離でのみ見えるものだ。数センチの距離であれば、気がつくと思うが、おそらくトリミングするか、我慢するだろう。10cm程度の「中マクロ」であれば、あまり気にはならないかもしれない。

これは、すべてのマクロレンズの特徴である「極めて」狭い焦点距離とは別の要素だ。基本的に、最大マクロでは精密さが求められるが、それは今に始まったことではない。

ディズニーランドのスケールの大きさを考えると、マクロの使い方を積極的に模索しなければならなかったが、他の場所ではもっといろいろな使い方ができるのではないだろうか。しかし、Radiator Springs(ラジエーター・スプリングス)のボトルのきめや、Galaxy’s Edge(ギャラクシーズ・エッジ)の人工的な菌類など、クールな写真を撮ることができた。

マクロ撮影も同様に楽しいものだが、本当に活用するためには、手をかなり安定させるか三脚が必要となる。手のわずかな動きが、焦点領域に比例してカメラを大きく動かすことになるからだ。基本的に、このモードでは小さな手の動きが大きなカメラの動きに繋がってしまう。しかし、これは非常に楽しいツールであり、私はこれを使ってGrand Californian Hotel(グランド・カリフォルニア・ホテル)の庭で花びらにいる虫を追いかけるのを楽しんだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

大きなスケールから超細かなディテールまで、さまざまな写真を撮影するのに最適な方法だ。

iPhone 13 Proでは、超広角カメラがマクロ撮影のホームグラウンドとなっているが、興味深い点として、マクロ撮影の範囲に入ると、広角カメラと超広角カメラとの切り替わりが確認できるという点が挙げられる。これは、1つのカメラがオフになり、もう1つのカメラがオンになるという、画像の素早い変化として現れる。これは、照明条件やiPhoneのカメラスタックによる画像判断によってカメラが常に切り替わるにもかかわらず、他の状況ではほとんど見られなかったことだ。

通常、ユーザーはこのことにほとんど気づくことはないだろうが、公式のマクロカメラが利用できるようになったことを考えると「1倍」撮影中に対象物に急接近すると「0.5倍」モードに切り替わり、超近接撮影が可能になる。これはこれでいいのだが「マクロの距離」(約10~15cm)に入ったり出たりしてカメラが切り替わると、少しハラハラする。

このカメラ切り替えの動作についてAppleに問い合わせたところ「今秋のソフトウェアアップデートで、マクロ撮影やビデオ撮影のための近距離での撮影時にカメラの自動切り替えをオフにする新しい設定が追加される予定です」とのことだった。

これにより、マクロ域に特化した作業をしたい人にとっては、この比較的小さなクセが解消されるはずだ。

フォトグラフィックスタイルとスマートHDR 4

コンピュテーショナルフォトグラフィー(デジタル処理によって画像を生成することを前提としたイメージング技術)に対するAppleのアプローチでよく対立することの1つが、高度に処理された画像に関しては、全般的に控えめになりがちだということだ。簡単に言えば、Appleは自分たちの画像が「自然」であることを好むのだが、Google(グーグル)やSamsung(サムスン)といった競合他社の同様のシステムでは、差別化を図るためにさまざまな選択を行い「よりパンチの効いた」、時には全体的に明るい画像を作り出している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

2年前にAppleがナイトモードを導入したとき、私はこれらのアプローチを比較した。

関連記事:iPhone 11 ProとiPhone 11で夜のディズニーランドを撮りまくり

2021年、Appleが発表した新製品でも、この「自然体」というテーマに大きな変化はなかった。しかし今回「フォトグラフィックスタイル」が導入され「トーン」と「ウォーム」と呼ぶ2つのコントロールを調整することができるようになった。これらは、基本的には「ヴァイブランス」と「色温度」だ(一般的にはの話だが)。調整なしを含む5つのプリセットと、-100〜+100のスケールで調整できるプリセットの2つの設定を選ぶことができる。

私は、長期的に人々がこれらの設定を使いこなし、特定の見え方を撮影するためのおすすめの方法などが出回ることを予想している。これらのプリセットの中で私が最も気に入っているのは「ヴァイブラント」だ。オープンシャドウと中間色のポップさが好きだからだ。しかし、多くの人が「リッチコントラスト」に惹かれると思う。一般的に、コントラストが高い方が人間の目には好ましいと映りがちだからだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもサイズのスピーダーを撮影したこの写真では、シャドーとミッドトーン、そして全体の色温度に影響が出ているのがわかる。私は、これは状況に応じたフィルターというよりも、フィルムカメラでフィルムの種類を選ぶような、深い「カメラ設定」機能だと捉えている。コントラストを重視するなら「Kodak Ektachrome」、寒色系やニュートラル系なら「Fuji」、暖色系の肌色なら「Kodak Portra」、発色を重視するなら「Ultramax」といった具合だ。

この設定では、出したい色が出るようにカメラを設定することができる。この設定は、カメラアプリを閉じても保管される。これにより、カメラを開いたときにすぐ、思い通りの撮影ができるように設定されている。iOS 15では、ほとんどのカメラ設定がこのようになっている。これは、iPhoneのカメラを開くたびにリセットされていた昔と比べて、生活の質を向上させるものだろう。

なお、これらのカラー設定は画像に「埋め込まれて」おり、ポートレートモードのライティングシナリオのように後から調整することはできない。また、RAWの状態では有効ではない。これは理解できる。

また、スマートHDR 4は、フレーム内の被写体に基づいてスマートなセグメント化を行うようになったことも特筆すべき点だ。例えば、逆光で撮影されたグループ写真を撮影した場合、新しいISPでは、それぞれの被写体を個別にセグメント化し、カラープロファイル、露出、ホワイトバランスなどの調整をリアルタイムに行う。これにより、窓からの撮影や太陽の下での撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影が格段に向上した。

2021年の自撮りカメラは、あまり改善されていないように思うが、いつもどおりだ。シネマティックモードを使用することができ、自撮りモードではそれほど便利ではないものの楽しい。

シネマティックモード

これは、一般に公開されている実験機能のようなモードだ。実験に参加しようとしている人たちにとっては、最高の舞台装置となるだろう。Appleの一般的なマーケティングに反して、これはまだ映画セットでの実際のカメララックフォーカスのセットアップに取って代わるものではない。しかし、これまでカメラやレンズ、機材といった多くの扉の後ろに閉じ込められていた巨大な撮影ツールセットを、新進の映画制作者やカジュアルユーザーに開放するものとなる。

シネマティックモードでは、カメラの深度情報、加速度センサー、その他の信号を使用して、合成ボケ(ブラー)を挿入し、フレーム内の被写体を追跡して、ユーザーの要求に応じて効率的に被写体間でフォーカスを「ラック」する映像を作成する。また、驚きのフォーカストラッキング機能が搭載されており、被写体をロックして追いかける「トラッキングショット」では、人混みや手すり、水辺などの障害物があってもピントを合わせ続けることができる。初期のテストでは、このような深度を利用したトラッキング機能は非常に印象的だったが、セグメンテーションマスキングでは、被写体を背景から分離するための鮮明な境界線を定義するのに苦労し、少し物足りなさを感じてしまった。ポートレートモードが静止画で行っていることを、複雑で混乱した背景で1秒間に30回行うのは、非常に困難であることがわかった。

この機能は1080p/30fpsに固定されているが、これはその使用目的をよく表している。この機能は家族映像をデバイス上で流したり、テレビにAirPlayしたり、ウェブに掲載したりするためのものだ。セレクティブフォーカスの新しいストーリーテリングツールを使って、すばらしい作品を作ることができるであろうTikTok(テイックトック)の映像制作者の間ではかなりウケるだろうと踏んでいる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもたちが人混みの中を歩いたり、メリーゴーランドに乗ったりしているところをテスト撮影してみたが、本当に衝撃的なほど良かった。以前は、一眼レフカメラでマニュアルフォーカスのレンズを使って動画を撮影する際に、すばやく連続的にフォーカスを調整することでしか得られなかった、映画のような、夢のようなクオリティの動画が撮影できた。

これこそが、シネマティックモードを理解するための大きな鍵だと思う。このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

この機能については、今週末に詳しく紹介する予定なので、お楽しみに。とりあえず知っておいてもらいたいのは、平均的な人が明るい場所でこれを使って撮影すれば、かなり楽しくて感動的な結果が得られるということ。しかし、本格的なプロ用ツールではないということ。そして、特定の被写体にピントが合わなかったとしても、レンズの焦点範囲内であれば、編集ボタンを押して被写体をタップするだけで、後から調整することもできる。

その場で即座にいつでも撮影したい世代のための映画制作ツールとして、これは非常に魅力的なコンセプトだろう。実際、映画製作のメカニズムに費やす時間と技術的なエネルギーを減らし、ストーリーテリングの部分により多くの時間を割くことができるのだ。映画製作は、常にテクノロジーと絡み合った芸術であり、アーティストは常に新しいテクノロジーを最初に採用し、その限界に挑戦するものであるという理想の真の例の1つと言えるだろう。

最近では、私たちのほとんどが映画の言葉に慣れてしまっているので、説明するのは難しいのだが、このようなツールを手に入れることは、今後数年間に私たち一般の人たちが作るホームビデオの見た目や雰囲気を大きく前進させることになるだろう。

Appleのポートレートモードが過去6年間で大幅に改善されたように、シネマティックモードも成長し続け、改善されていくことを期待している。低照度下でのかなり雑なパフォーマンスとロックされたズームは、来年に望む改善点のうちの上位に入っているし、セグメンテーションの改善もそのうちの1つだ。リアルタイムのプレビューだけでなく、撮影後の編集モードでもこのようなスライスや調整ができるのは、Appleの技術力の高さを感じるし、今後もその進化を楽しみにしている。

評価

今回のアップデートは、1日がかりの濃厚なディズニーランドへの外出でも、あらゆる面でユーザー体験を向上させるすばらしいものとなっている。明るさと画面のリフレッシュレートが改善されたことで、ディズニーランドシステム内の操作が容易になり、日中でも案内や待ち時間などの視認性が向上している。カメラの性能が向上したことで、行列での待ち時間や高さのある場所からの撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影がしやすくなった。また、新たに追加された望遠では、最近は人混みから離れた場所にいるキャストをクローズアップして撮影することができ、ポートレートモードでなくても美しいポートレートレンズとして機能する。

全体的に、園内で携帯電話をテストした今までの経験の中で最も良いものの1つとなった。カメラを使って「すごい!」と思う瞬間が続き、自分のバイアスに疑問を感じたほどだ。上で紹介した「ナイトモード」の広角と望遠の写真のように、印象的な写真がたくさんあったので、ブラインドテストで他の人にこの2つの画像についてどう思うか聞いてみることにした。そのたびに、明らかにiPhone 13が勝っていた。本当に、全体的に画像作りが明らかに向上しているのだ。

他の部分もかなり良いものになった。A15 Bionicのパフォーマンスが大幅に向上したことで、バッテリー駆動時間に目立った影響がないばかりか、1時間も延長された。上述のパフォーマンスチャートを見れば一目瞭然かもしれないが、1日のチップの電力使用量のパフォーマンスは、まさにAppleのチップチームの最も印象的な偉業であり続けている。

2021年のiPhone 13は画質、バッテリー駆動時間、そしてありがたいことにスクリーンの改良など、この先また1年間にわたってAppleに貢献してくれるであろう強固な壁を提供してくれる、すばらしいプロダクトだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Akihito Mizukoshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。