いまビッグテックの評価額はあまりにも大きくて、驚くことさえ忘れてしまう

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TechCrunch は、公開市場には力を注いではいない。注目しているのはスタートアップだ。しかし、公開テック企業たちは、時に、より広い範囲のテクノロジー市場がどのように機能しているかに関する、興味深い洞察を提供することができる。だから私たちは、すでにIPOにたどり着いた「元」スタートアップたちにも、MVA(最小実行可能注意)と呼べる程度の注意を向けている。

そこで、ビッグテックたちの登場だ。米国では、その名前はよく知られている。Facebook(フェイスブック)、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)だ。そして、2021年第1四半期の市場にスタートアップたちの成長が熱かったことを示す一連の結果の中で、ビッグテックたちも 同様に驚異的な結果を残した。彼らの結果に関する私たちの報告はここここで読むことができるが、それはストーリーのほんの一部に過ぎない。

ご存知の通り、ビッグテックの業績は良好だった ── まあここしばらくはずっとそうだったのだが ── しかし、いつものような決算の数字が氾濫する中で、ビッグテックの最近の業績がいかに評価額に衝撃的な貢献しているのかということが忘れられていた。

Microsoftの2020年3月の株価は、1株あたり135ドル(約1万4800円)程度まで下落した。それが今は252ドル(約2万7500円)の価値があり、さらに上昇へ向かっている。同様にAlphabetは1株あたり1070ドル(約11万7000円)程度まで下がったが、現在、検索の巨人は1株あたり2410ドル(約26万3400円)の価値となっている。

巨大な株価評価の結果として、現在Appleが2.21兆ドル(約241兆6億円)、Microsoftは1.88兆ドル(約205兆5000億円)、Amazonは1.76兆ドル(約192兆4000億円)、Alphabetは1.60兆ドル(約174兆9000億円)、Facebookは0.93兆ドル(約101兆6000億円)の価値がある。5社を合わせると8.4兆ドル(約918兆1000億円)くらいだ。

2017の7月を振り返ってみよう、私はそのとき、彼らの総計額が3兆ドルに達したことを書いている。それが2018年半ばには4兆ドルになって 、そして、その後3年かそこらで、それは再び倍以上になったのだ。

何故だろう?

Yahoo FinanceのMyles Udland(マイルス・ウランド)記者は、そのパズルの一部について先週記事を書いている。ウランド記者の記事より:

そして、ほぼすべての収益のストーリーがこの同じ筋に従っているようにみえるが、データもまたこれが私たちの単なる想像ではないことを裏付けている。これまでの企業の収益はこうした期待値から大きく外れては来なかった。

木曜日(米国時間4月29日)に発表されたRefinitivからのデータは、企業が推定値を打ち破った割合を示したが、木曜日の朝までに判明した結果が、期待を上回った規模は記録的なものだったのだ。

つまり各社の収益は、巷の予測をより頻繁に、そしてより大きな差をつけて、これまで以上に裏切っているというのだろうか?そうだとすれば、最近の株式市場評価に対する懸念は減るものと思われる。そしてそれは、なぜスタートアップたちがヨーロッパ同様に、最近米国でも多額の資金を調達できたのか、なぜ非公開市場の投資家がフィンテックスタートアップに多くの資金を注いでいるのかの理由を説明するのに役立つ。そしてそれがおそらく、Zomatoが公開に向かい、私たちがロビンフッドの公開を心待ちにしている理由だ。

これはまるで、市場に参加している企業たちが、絶好調であるかのような現象だ。ただし、終わらないビジネスサイクルはないし、永遠に続くブームもないことは忘れないように。

インシュアテックの状況

さて、フィンテックの資金調達に関するThe Exchangeの最近の記事や、先々週のインシュアテックスタートアップラウンドに関するまとめ記事に加えて、より大きなフィンテック業界の一部として眺めることができる、インシュアテックのスタートアップニッチに関していくつかのメモをお届けしよう。

今回私たちは、Accel(アクセル)のJohn Locke(ジョン・ロック)氏から、最近さらに増資を行ったThe Zebra(ゼブラ)への投資と、インシュアテック業界についての話を聞いた。

私たちはZebraのようなインシュアテックマーケットプレイスが、2020年非常に多くの資金を調達できた理由を質問した。ロック氏によれば、それは「保険会社たちが[…]ついに市場を受け入れ、市場と統合された消費者体験をデザインする意思がある」こと「比較ショッピング」をおこなう消費者が増えたこと、そして成長と収益の質の組み合わせによるものだという。

ロック氏によると、Zebraは「売上は1億2000万ドル(約131億2000万円)以上で、100%以上の成長を続けています」とのことだ。つまり、その気になれば、いつでも公開できるということだ。

しかし、その点についていえば、公開保険会社のなかには株式市場で弱みを見せているものもいくつかあった。ロック氏はそれを懸念しているだろうか?彼は中立から前向きな姿勢であり、彼の会社は「市場のすべての企業がうまく行くとは考えていないが、それでも『インシュアテック』が、今後10年間は既存勢力から市場シェアを奪い続けるだろうと考えている」という。もっともな意見だ。

そしてAccelは、他社同様に、この分野でさらに多くの取引を検討している。ロック氏は、2021年のインシュアテック投資のベンチャー市場は、2020年よりも「間違いなく積極的です」と語った。

その他のことなど

最後に、私たちが取り上げて来なかったことに関するいくつかのメモを:

  • まず、Productboard(プロダクトボード)が7200万ドル(約78億7000万円)のシリーズCを終了した。なによりまず、それは巨大なラウンドだ。第2に、ご想像通り、その取引を主導したのはTigerだ。第3に、この製品管理ソフトウェア会社(Productboard)は現在、約4000の顧客を擁している。それは大きな数だ。この会社を「これから2年以内にIPOを行う会社リスト」に追加しておいて欲しい。
  • 中国の自転車シェアリングスタートアップHello(ハロー)が米国で公開される。米国時間5月3日に、またこの話題に戻るつもりだが、そのF-1申請書類はここにある。2020年の売上高は9億2630万ドル(約1012億4000万円)となり、売上総利益は1億960万ドル(約119億8000万円)になった、これにより、これまでの累積純損失は1億737万ドル(約189億9000万円)となった。びっくりだ。
  • 先週はDarktrace(ダークトレース)が公開された。私がその会社を知っているのは、私が好きなF1チームのスポンサーだからだが、ついに英国上場企業として私たちの世界にも登場した。そして、Deliveroo(デリバルー)が成功したあと、Darktraceの上場の驚異的な成功によって、英国は1週間前よりもさらに魅力的な上場場所になる可能性がある。
  • そして。ついにドローン配達時代やってくるのだろうか?英国で上場しているベンチャーキャピタルグループDraper Espritが、Manna(マンナ)の2500万ドルのラウンドを主導した。Mannaはアイルランドで無人ドローンを使った食事配達を行おうとしている。「Mannaは、より環境に配慮し、より静かで、より安全で、かつより迅速な配送サービスを貪欲に追求しています」とUKTNが書いている

長く奇妙な1週間だった。さて最後にThe Exchange執筆チームの2人目のメンバーであるAnna Heim(アンナ・ハイム)記者のフォローをお願いしておきたい。オーケー!ではまた来週!

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険株価

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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