おつり投資の「トラノコ」が楽天、東海東京FHなどから資金調達、異業種間での連携進める

買い物のおつりで投資ができる「トラノコ」を運営するTORANOTECは4月12日、楽天キャピタル東海東京フィナンシャル・ホールディングスだいこう証券ビジネスパラカ東京電力エナジーパートナーを引受先とする第三者増資を実施したと発表した。金額は非公開(2017年6月のサービスリリース時の資本金1億3100万円から、現在は7億3788万円に増えている)。

先日、20代後半で同年代の友人たちと話していたら、「資産運用は、必要なのは分かるけど、難しいよね」という話になった。トラノコは、そんな資産運用のハードルを下げてくれるサービスだ。

トラノコでは、クレジットカードや電子マネーなどを使った買い物の“おつり”を、最低5円から1円単位で資産運用にまわすことができる。このおつりは仮想的なもので、サービスであらかじめ設定した金額(100円、500円、1000円)から、実際の支払額を引いた金額を資産運用に回せるという仕組み。たとえば、設定額が100円で、10円のお菓子を買ったら90円だ。

実際の資産運用は、100%子会社のTORANOTEC投資顧問が行う。同社はユーザーのリスク特性に応じて3種類のファンドを用意。組み入れアセットも米国株式や新興国債券など多岐にわたり、気軽に分散投資ができるようになっている。トラノコの利用料金は月額300円。そのほか、投資ファンドの運用に対する信託報酬の年率0.3%、ファンドの監査費用などの手数料(年率0.1%が上限)、ファンドの組み入れ証券の売買委託手数料がファンド資産から控除される。

事業会社との連携進める

今回の資金調達ラウンドで特徴的なのは、投資家リストに多くの事業会社を含む点だ。証券会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスなどをはじめ、コインパーキングのパラカ、東京電力エナジーパートナーなど、異業種の事業会社の名前もある。

TORANOTECはこれまでにも、ANAとのコラボレーションNTT東日本との提携など、異業種とのパートナーシップを積極的に推進し、トラノコユーザーに限定で割引特典を提供するなどのメリットを打ち出してきた。今回の資金調達後も、そのようなサービス連携がさらに進むことが予想される。

TORANOTEC代表取締役のジャスティン・バロック氏は、「「事業間協力および事業連携は、フィンテックの成功には欠かせない重要な要素。資産形成を人びとの日々の生活の一部にしていく上で、様々な業種の事業会社および金融機関との連携を幅広く深めていくことが大いなる力を発揮するものと確信している」と語る。

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TechCrunch Japan

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