これまでの検索は終り、モバイルで新たなスタートを切る

編集部注:本稿のライター、 David Seniorは、Lowdownappのファウンダー・CEO。

Yahooが始めたとき、それはウェブの新しいサイトの階層化されたディレクトリーにすぎなかった ― 「今日のクールなサイト!」というのが実際のところだった。しかし、ウェブの成長はそんなやり方で最新状態を保つことをたちまち不可能にした。数が指数関数的に増えるにつれ、〈今日〉のクールなサイトは、1時間、1分、あるいは1秒のサイトにならざるを得なくなった。

すぐにディレクトリーでは不足になり、検索がやってきた。AltaVista(若い読者は親に聞くこと)等のサイトは、ページに出現する重要なテキストの出現回数に応じてサイトをランクづけした。これはたちまち悪玉SEO第一波の餌食になった ― テキストを詰め込んだページが検索結果の上位に来た。

そしてGoogleは、科学論文における「引用の原則」 ― 多く引用されているものほど重要であるはず ― を採用した。そしてGoogleの質の高い検索結果は初期のウェブを席巻した。その後の歴史はご存じの通りだ。モバイル ― 特にモバイルの近代を迎えるまでは。

今われわれはスマートフォンで殆どの時間をブラウザーではなくアプリで過ごしている。ComScoreの2014年5月モバイルアプリレポートによると、米国ユーザーは60%の時間をモバイルに費し(2013年は50%)、その85%はアプリの中にいることがわかった。

人々はモバイルでも検索する ― しかしComScoreのデータを見ると、任意の月にモバイルでGoogle検索を利用しているのは米国ユーザーの約半分にすぎない。それはモバイルでGoogleが使いにくいからか? もちろん違う。それは、たとえ位置情報があったとしても、Googleの検索エンジンはわれわれが聞くような質問の答を知らないからだ。次の打ち合わせで会う人物の経歴は? 次の打ち合わせまでの時間は? どんなメモを書いてあったか? 最後に会ったのはいつか? 何時に出発しなければならないか? 近くに評判のいいレストランはあるか? あるいは、もしかしたら、このFacebookで集めたイベントには他に誰が来るのか? どうすればわかるのか?

これらは、狭くて奥の深い検索テーマだ。それぞれの答を得るためには山ほど検索しなければならない。しかしアプリはその情報を知っている。これから会う人のことを知りたい? LinkedInを見ればよい ― そしてその会社の詳細は、DueDil等のサイトで見つかる。打ち合わせの場所や所要時間? もちろんマップアプリだ。そこで話す内容は? もちろんあなたのDropboxアカウントに本管された書類の中だ。

現代のスマートフォンに基づく世界において、ウェブ検索をすることは、まるで〈今日のサイト〉を見ているように時代遅れなものに感じる。

代わりに大挙してやってくるのが、ソーシャルグラフ ― ビジネスであれパーソナルであれ ― を利用して、われわれが今まさに必要としている物事に合わせた検索結果をもたらしてくれるスマートアプリだ。

それは検索の新しい形態であり、その出現は遅すぎた。ウェブページのランキングを決める最良の方法が「引用」方式であることが、今になってみれば誰にでもわかるように、今ある山ほどのアプリへの答が、もっとアプリを増やすことではないことはすぐに明らかになるだろう。それは、すべてを取りまとめる単独のアプリ ― われわれの忙しい生活のゲシュタルト的ビューを与えてくれるアプリだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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