すべてのプラットフォームを横断する顧客メッセージングプラットフォームSuperchatが約17.9億円調達

Superchatの創業者。ミカ・ハリー氏(左)とユルマズ・キョクナル氏(右)

2021年のWhatsAppの停止事故は、今でも20億のユーザーの背筋を凍らせているが、このアプリを使って顧客と繋がっている何百万もの企業も同様だ。ご存知のように、現在ではすべてのプラットフォームを横断する全方向的なメッセージングは、そこから多くのスタートアップが誕生している新たな分野だ。

Superchatはその中でも最新となるスタートアップで、現在、必要とされている中小企業が顧客とコンタクトするための、オールインワンのメッセージングプラットフォームを開発している。一部の調査によると、顧客の78%はネガティブな体験に懲りて、企業とのやり取りにギブアップしている。そんな劣悪な顧客サービスによってヨーロッパの企業は毎年、130億ユーロ(約1兆7046億円)の売上を失っているという

Superchatはこのほど、ロンドンのVCであるBlossom CapitalがリードするシリーズAのラウンドで1560万ドル(約17億9000万円)を調達し、これに468 Capitalも参加した。これでSuperchatの調達総額は1800万ドル(約20億6000万円)になる。

Blossom CapitalのマネージングパートナーAlex Lim(アレックス・リム)氏は次のように語る。「Superchatは、中小企業に力をつけて、彼らがデジタルのチャネルをうまく利用できるようにし、最も厳しい顧客にも最良のサービスを提供できるようにします。創業者とチームは、企業が抱える彼ら独特の難関をよく理解している。中小企業の多くは今でもメールや電話を使っているが、特にパンデミック以降はデジタルへの移行が増えています」。

同社は企業の顧客との会話をWhatsAppやFacebook、Instagram、Google Business、Telegram、ウェブ上のチャット、メール、それにSMSからも取り出して、それらを企業用の単一のボックスに入れる。それによって企業は顧客に関するインサイトを得ることができ、売上アップなどに結実させる。メッセージへの返信は、チームの全員が読むことができる。

Yilmaz Köknar(ユルマズ・キョクナル)氏とMika Hally(ミカ・ハリー)氏が創業した同社は、これまで主にドイツの企業を顧客にしてきた。

「現在の顧客は、どこのどのような企業が相手でも、時間を問わずに企業とコンタクトがとれると思っています。これが、企業にとって業務運用の悪夢になり、顧客にはお粗末な体験につながります。このような方法は誰にとっても良いものではありませんが、Superchatを利用すればみんながWinになります」とキョクナル氏はいう。

この分野には、Rake、Messagebird、Smoochといった資金豊富な競合他社が多く、Superchatは苦労している。今後どんな戦いになるか、興味深い。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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