そこらの観光案内等にはない詳細な都市情報をAPIで提供するSpatial、誰もがそこの住民なみの物知りに

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民族誌学者のLyden Foustは、企業のために世界中を旅している。一つの都市で数か月生活し、いろんなことを知り、それを彼を雇った人たちに報告する。“人びとは、研究者としてのぼくに語るよりもずっと多くのことをソーシャルメディアで語っていることに、気づいた”、とFoustは言う。そこで彼は、ジェットエンジンのソフトウェアエンジニアとして大量のデータを扱い慣れていた友だちのWill Kiesslingとパートナーし、Spatialを創った。

Spatialは“大量のソーシャルソース”からデータを拾う、とFoustは言う。それらのデータをすべて使って、ユーザーが都市を、そこの住人と同じぐらい知ってるようにする。今Spatialは30あまりのソースからデータを取り出している: Instagram, Twitter, Facebook, Flickr, Tinderなどなど。いろんなアプリ/アプリケーションも見ていく。たとえばStravaでは、人びとがどこで自転車に乗っているか、暑い日、雨の日、雪の日などにはどうしているか、などが分かる。Focusは言う: “「理解」はできないけど、それらのデータを全体として見れば、雨の日にはInstagramがどんな傾向になるか、分かる。そこから、人びとの行動も分かる”。

Foustによると、人びとをA地点からB地点へ連れて行くアプリは山ほどある、車のナビゲーションシステムもそうだし、YelpのようなWebサイトもだ〔広義の旅行サイトも〕。“その市場はエンドレスだ”、と彼は言う。だからそれ的なアプリをまた一つ作ってもしょうがない。そこでSpatialは、アプリのメーカーや自動車企業などがライセンスを買って利用するAPIだ。2016年にSpatialは、Techstars Mobility Acceleratorプログラムに参加し、そのデモデーに、Fordとの契約を発表した。

“中華料理店はどこにある?なんて質問に答えられるアプリなら、たくさんある。でも、もっといろんな条件のつく質問なら、Googleを相手に1時間を過ごさなければならない”、とFoustは言う。Spatialは何十ものソースからデータを取り出して、海の向こうに沈む夕日を見られるバーはどこか、クリスマスのライトアップがいちばん美しい地域はどこか、といった質問にも答えられる。

Spatialはデトロイトの企業だが、“テクノロジー企業が資金を調達しにくい都市だ”、とFoustは言う。そこで、サービスやアプリケーションではなく、APIで企業に直接売ることにした。今のところ、それはうまくいっているようだ。最大の顧客であるFordは、同社のお客様歴がすでに9か月にもなる。Spatialは来週、200万ドルのシードラウンドの完了を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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