その場でFacebook友達申請の「気まずい時間」をなくす連絡帳交換アプリ「ぴっ」

初対面の人とその場でFacebookの連絡先を交換するのって、意外と面倒じゃないですか? Facecbookに名前を入力して、検索結果一覧からアカウントを探すアレだ。実はFacebookの公式アプリには、QRコードを使って友達申請できる日本独自の機能「マイQRコード」がある。でも、実際に使おうとするとスマホのカメラを立ち上げるのに時間がかかったりして、結局は気まずい時間が流れることになる。Wantedlyが12月17日にリリースした連絡帳交換アプリ「ぴっ」は、こうした「誰のためにもならない時間」を軽減するものだ。

アプリをインストールしたユーザーはまず、プロフィールを送信したい相手に自分のスマホを渡して、電話番号を入力してもらう。(もしくは自分で電話番号を聞いて入力する)。その上で、相手に送りたい連絡先(氏名と電話番号、メールアドレス)またはFacebookアカウントを選び、SMS経由で送信できる。Facebookアカウントを送りたい場合は、Wantedlyに登録する必要がある。

メッセージはクラウド電話APIサービス「Twilio」を介して届くため、Facebookアカウントのみを送信する場合は、自分の電話番号が相手に伝わることはない。アプリに入力した相手の電話番号も保存されない仕組みになっている。

スマホで電話番号やSNSのアカウントを交換するアプリとしては、「iam(アイアム)」やリクルートが手がける「Profee(プロフィー)」などがある。これらのアプリはFacebook以外にもTwitterやLINEなどのSNSのアカウントを交換できるが、お互いが同じアプリをインストールすることが前提だった。これに対して「ぴっ」は、Wantedlyに登録する必要はあるものの、自分がアプリをインストールしていれば、誰とでも相手の端末を問わずに連絡先を送れるのが特徴だ。

実際に自分も、イベントや懇親会で会った人とその場でFacebookの連絡先を交換する時があるんだけど、名前を入力するのが面倒だし、意外と似た名前の人がいたりして、探すのに一苦労することがある。「あ、増田の『ます』は利益の『えき』じゃなくて増える方です」「出てこない? すみません、ローマ字で探してみてもらえますか……」みたいな感じだ。アプリで相手に電話番号を入力してもらうのは嫌がられそうだけど、それは自分が信頼してもらえるかどうかの問題なのかもしれない。

津田塾大初の未踏クリエーター、Wantedly新卒1年目が開発


アプリを手がけたのは、Wantedly新卒1年目の平田淳さん。彼女は幼少期から、父親の仕事の影響でMacが自宅にある環境で育ち、インターネットに興味を持ったことから津田塾大学の情報科学科へ進学。そこでプログラムを学び、中高生向けにIT教育を行う「Life is Tech」でメンターを務めるようになり、だんだんとプロダクトづくりに没頭していった。

在学中には、同大で初めて情報処理推進機構(IPA)の「未踏IT人材発掘・育成事業」に採択。企業から就職活動中の学生にオファーをする「逆求人就職支援システム」を開発した。大学生は就活中に興味のある会社説明会に参加するが、もしも企業の方からスカウトが来れば、自分を客観的に見たり、選択肢になかった業界に興味を持つきっかけになると考えたからだ。

彼女自身、リクルートから内定を得ていたが、Life is Techで講演したWantedly創業者の仲暁子さんと出会い、「大企業よりもスタートアップで何でも経験するほうが学べることが多い」と決意。リクルート内定を辞退し、未踏プロジェクトが終わる6月にWantedlyに入社した。

「ぴっ」には昨年まで就活生だった彼女ならではの思いが盛り込まれていると話す。「就活を始める大学生は、企業の人事から見られるという理由で、Facebookアカウントを作り始めたり、昔からやっている人は金髪時代の投稿を消したりします。そのうち、会社説明会で会った就活生同士がFacebookでつながるんですが、ほとんどの人は共通の友だちがいないので、なかなか相手を探せないんです。そんな場面で使ってもらえれば」。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。