たった5分、たった一人で物流倉庫と配送網、検品体制を構築できる「minikura+」とは?

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誰もが手軽にロジスティックシステムを構築できるシェアリング特化型の物流プラットフォーム「minikura+」

ダンボール1箱から預けられ、ウェブ上で出庫や物品管理ができるクラウド型倉庫(ストレージ)サービス「minikura」で知られる寺田倉庫が、またまた新しいサービスを始めた。今回発表されたのは、シェアリング特化型の物流プラットフォーム「minikura+」だ。

minikuraには、衣類や書籍、フィギュアなどをダンボールに詰めて送るだけで各種アイテムを撮影・カタログ化してくれる「minikura MONO」や、さらに衣類のクリーニングまで任せられる「minikuraクリーニングパック」、minikura MONOで預けたアイテムをウェブ上で選択すればスーツケースに詰めて空港などに送り届けてくれる「minikura teburaTRAVEL」などユニークなサービスがある。minikuraに預けたアイテムを、そのままYahoo!オークションに出品・配送することもできる。

寺田倉庫はこのminikuraのシステムをオープンAPI化。現在では、ファッションレンタルサービスの「airCloset 」や紳士服のAOKIが手がけるスーツ&スタイリングの月額利用サービス「suitsbox」、収納サービスの「サマリーポケット」のバックエンドシステムとして機能している。各運営会社は倉庫や物流網、運送や倉庫管理に関わる従業員を独自に持つ必要はなく、商品だけを用意すればすぐにサービスを始められる。アイテムの入庫、検品、撮影、収納、出庫といった一連の作業をクラウドから指示できるのも強みだ。

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ファッションレンタルサービスの「airCloset」もminikuraのAPIを活用している

minikura+はこのAPIをさらに進化させたサービス。レンタル、EC、CtoCなどを物流面から幅広くサポートできるプラットフォームに仕上がっている。特徴はなんといってもサービスローンチまでのスピード。5分程度の登録をウェブ上で済ませるだけで、誰もがいつでも全国にまたがるロジスティックシステムを構築できるのだ。すでにアパレル大手などがレンタルサービスやお試しサービスのバックエンドとして導入を検討しているという。

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minikura+の仕組み。事業会社の負担を最小限に抑えてサービスを運営可能

気になる料金は、基本的な物流システムを利用できるベーシックプランの場合なら初期費用は無料。アイテムの入庫料金は1点25円からで、複数枚撮影130円、採寸150円などのオプションも付けられる。出庫費用は1アイテム55円から。そのほか配送料がかかる。

現在は衣類のみに限られるが、検品や撮影、クリーニングなどのシェアリング機能を利用する場合は月額7万円で、戻り検品作業費用が1点140円から、
クリーニング料金が1点430円。さらに、minikura+の一連のクラウド物流システムを自社サービスに完全に取り込みたい場合は初期費用10万円でMINIKURA APIの利用が可能となる。

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シェアリング機能を使えば、試着やレンタルなどのサービスも容易に構築できる

寺田倉庫のMINIKURAチームでリーダーを務める柴田可那子氏は、「minikura+を物流のAWSとして成長させたい。1分、1秒が大事な、動きの速いスタートアップ企業のためにウェブ上でいつでもすぐに使えるサービスを目指した」と語る。現在は神奈川県にある倉庫が拠点だが、将来的には拠点倉庫を全国各地に設けて、首都圏でも地方でも均一なサービスを提供したいそうだ。「全国的に見ると稼働率の低い倉庫がたくさんあり、それらを活用していきたい」とクラウド物流のリージョン構想も明かしてくれた。「現在は衣類のみですが、カメラのシェアリングサービスでも使いたいといった要望もいただいており、今後の業務拡大に向けて精密機材の保管に適した倉庫など、倉庫のバリエーションも広げていきたい」とのこと。

現在は一社に一任している配送業務についても、「ヤマト運輸、佐川急便など大手運送会社が所有するトラックの台数は全国的に見るとたった十数%。残りは各地の地元の運送会社が所有しています。今後そういった運送会社と組めるようになれば、よりきめ細かいロジスティックサービスを提供できる」(柴田リーダー)とも。Amazonやメルカリなどの隆盛で大手配送業者の業務量は逼迫しているが、今後配送業者を複数から選べるようになれば、配送の確実性・速達性も高まるだろう。

寺田倉庫は、前述のairClosetやサマリーポケットのほか、自動運転を研究している名古屋大学発の物流AIべンチャーであるオプティマインドに出資するなど、スタートアップへの投資も盛んだ。「配送業務を効率化するにはドライバーの育成が重要です。同じエリアをベテランと新人のドライバーが担当した場合、新人だと2、3倍の時間がかかることもあります。オプティマインドは、ベテランドライバーの知見などをAI化した自動運転技術を研究している」と、同社に出資した理由を教えてくれた。

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ベテランドライバーの経験値をAI化して物流の最適化を目指すオプティマインド

寺田倉庫が推し進める一歩進んだクラウド物流。minikura+を活用した新サービスの登場が待ちどおしい。

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TechCrunch Japan

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