よくぞここまで来たGoogleの自動走行車プロジェクト―発端は75年前のNY万博のGM館だった

Googleはこの数年で自動走行車テクノロジーを大きく前進させた。今週は自動走行車にジャーナリストを乗せてマウンテンビュー付近を走らせるプロジェクトを始めている。同時にGoogleは自動走行車の開発の歴史と最近の進歩についての非常に詳しい情報を公開した。この技術的進歩と膨大なテストの成果に「よくぞここまで来たものだ」と私は大いに感銘を受けた。

Googleによれば、自動走行車のコンセプトは1939年のニューヨーク万博でGMが提供したFuturama館にさかのぼるという。Google自身がSebastian Thrunをリーダーとして自動走行車プロジェクトを開始したのは2009年だった。

当初の目的は比較的限定(といっても巨大だが)されたもので、高速道路だけを対象としていた。それが昨年あたりから、複雑な道路標識を解読し歩行者や自転車の安全を守らねばならない混雑した市街地を安全に走ることに拡大された。

このためには視覚認識の高度化、道路上で起こりうるあらゆる事態をあらかじめ予測するソフトウェア・モデルの開発が必要になった。

しかし、さすがのGoogleをもってしても、市街地を安全に走行するソフトウェア・モデルの開発にはなみなみならぬ困難が伴った。 Googleによればマウンテンビュー市内の道路を毎週1本ずつ新たに走行範囲に加えていったという。しかし実用化にはもっと複雑な市街地の道路、州や自治体ごとに異なる交通法規や運転者の習慣、マナーなどに対応していかねばならない。Googleは「今後信号のない4方向一時停止の交差点、レーンチェンジ、合流などでは、手による合図、頭の動き、アイコンタクトなど人間の社会的行動の解析が必要になる」としている。

Googleの自動走行車はすでにある意味人間以上の能力を獲得している。たとえば、この5年間の路上走行実験での事故率は文字通りゼロだ。衝突その他の事故を一度たりとも起こしていない。Googlカーはレーザー、レーダー、方向センサー、位置センサーが常に周囲360度をモニタしている。こうした情報は車載コンピュータで即座に処理され、正確性、重要性が判断され、車を取り囲む周囲の状況の詳細なモデルがリアルタイムで作成される。どんな情報が収集され、どう処理され、その結果どのような行動が必要だと決定されるのか、自動走行車の意思決定プロセスが下に図解されている。

自動走行車プロジェクトの最終目標はどんな状況にも100%の正確さで対処でき、 交通事故全体の93%を占めているとされる人間のミスによる事故をゼロにすることにある。現在までにGoogle自動走行車は70万マイル(112万キロ)を無事故で走ることに成功している。車両自体は改造を施したレクサスのSUVだ。

自動走行車がわれわれ一般人の日常に広く使われるようになるのはまだ時間がかかるようだ。Googleは自動車メーカーと量産について話し合いを始めており、限定製造の開始の時期をおおむね6年後と考えている。市販はしばらく先のこととはいえ、75年前の万博の夢想からすれば自動走行車はもうすぐ手の届く現実になりつつある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+