わずか6カ月で150万人以上集める10代向けデジタルバンキング「Step」が109億円調達、NBAステフィン・カリーらの出資も発表

Step(ステップ)はティーンをターゲットにしたデジタルバンキングサービスで、TikTokのスターであるCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏も支援している。米国時間4月27日午前、同社は1億ドル(約109億円)のシリーズCラウンドを完了したことを発表した。開業からわずか6カ月で150万人以上のユーザーを集めている。General Catalystがリードしたこの最新ラウンドは、2020年末に同社が開業後わずか2カ月で50万ユーザーを達成した時に発表したStepの5000万ドル(約54億円)のシリーズBからすぐのことだった。

最新ラウンドには、Stepの既存出資者であるCapture、Stripe、チャーリー・ダミリオ氏、The Chainsmokers、Wil Smith(ウィル・スミス)氏、Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏らのほか、新たにFranklin Templeton Investmentを迎えた。これは投資への参入を計画している兆候だ。俳優でミュージシャンのJared Leto(ジャレッド・レト)氏も参加している。Stepはさらに、NBAオールスターのStephen Curry(ステフィン・カリー)選手を出資者の1人であることを正式に発表した。これまでは知らされていなかった。Squareの幹部であるSarah Friar(サラ・フライアー)氏、Jacqueline Reses(ジャクリーン・レス)氏、およびGokul Rajaram(ゴクール・ラージャーラム)氏の出資も合わせて発表した。

この資金調達の結果、General CatalystのKyle Doherty(カイル・ドハーティ)氏がStepの取締役会に加わる。これまでにStepは1億7500万ドル(約190億円)以上を調達している。

画像クレジット:Step

CEOのCJ MacDonald(C・J・マクドナルド)氏によると、StepはシリーズBで得た資金をまだ使っていないが、追加の資金が同社の成長を加速すると信じている。

「私たちは最初の6カ月間で150万以上の新規アカウントを開設しました。1日あたり1万アカウト以上が作られており、これを何百万何千万もの世帯へと広げて、次の世代がお金に明るくなる教育を手助けできるように、やるべきことがたくさんあります」と同氏は語った。シリーズBの時点では1日あたり7000から1万アカウントが新規登録されてるとStepはいう。

「実際、この資金は必要ではありません」とマクドナルド氏は付け加えた。「ただ、市場に出る早さは極めて重要であり、成長を加速し、基盤づくりに投資することができると考えているからです」。

会社は、運用、技術、プロダクトおよびデザイン部門の雇用を計画中であり、現在の65名を2022年には2倍にしたいと考えている。

現在、Stepは、若者向けモバイルバンキングサービスという混み合った市場で競争しているが、13歳から18歳というティーンエージャーをターゲットにしているところはごくわずかだ。Stepのアプリを使って、ティーンはFDIC(連邦預金保険公社)の保証を受けている手数料無料の銀行口座と18歳になる前に信用を確立できる安全のVisaカードを利用できるようになる。アプリには友達に送金できるVenmo風の機能もある。

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Stepのこれまでの成長は、口コミ、ソーシャルメディアの利用のほか、新規登録1件につき数ドル(数百円)を支払う人気の紹介プログラムなどさまざまな要素がのおかげだ。ダミリオ氏やJosh Richards(ジョシュ・リチャーズ)氏などのソーシャルメディアインフルエンサー、さらにはStepの出資者であるJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)氏などのセレブとの提携も活用している。

同社はカリー氏の発表もこのバンキングアプリの認知度向上に役立つと信じている。3人の子どもの父親であるカリー氏が、もし自分の子ども達にStepを使わせると言えば、注目を集めるに違いない。

追加の資金は成長の加速に焦点を合わせているが、Stepは、将来既存ユーザーの年齢が上がった時のことも考えている。同社はクレジットおよび融資の市場参入も計画しており、将来の投資への参入も視野に入れている。その時は出資者のFranklin Templeton Investmentが役に立つ、とマクドナルド氏は指摘する。

「Franklin Templetonはご存知の通り世界最大級の投資会社です。そして私たちが投資や顧客の将来について考えるにつれ、Franklin Templetonのような偉大なブランドがこのラウンドに投資してくれたことは、彼らが世界をどう見ているかの証だと思っています」と同氏は語った。

Stepの資金調達は、ライバルであるCurrent (カレント)とGreenlight(グリーンライト)というファミリーをターゲットにした2社が新規ラウンドを完了したのと同じ日のことだった。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Step資金調達10代デジタルバンク

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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