アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

Audi(アウディ)はドイツ時間2月9日、新型電気自動車「e-tron GT quattro(イートロンGTクワトロ)」と、その高性能バージョンである「RS e-tron GT quattro」を発表した。このドイツの自動車メーカーにとって、両車はその拡大を続けている電気自動車ラインアップにおけるフラッグシップであり、初のSUVやクロスオーバーではないモデルだ。

アウディ e-tron GTとRSは、2018年に発表されたSUV「e-tron」と翌年の「e-tron Sportback(イートロン・スポーツバック)」に続く、(米国市場では)3台目と4台目の電気自動車だ。さらに5番目のモデルとして、もう1つのSUV「Q4 e-tron」の導入が予定されている。これらのe-tronモデルはすべて、2025年までに30台以上の電気自動車とプラグインハイブリッド車を発売するというアウディの計画の一環である。

「このクルマは古典的なGTの、新しい、非常に進歩的な解釈です」と、アウディデザインの責任者であるMarc Lichte(マルク・リヒテ)氏は、9日のプレゼンテーションで語った。「それは、スーパースポーツカーのようなプロポーションと、実際に4人が乗れる使い勝手の良さを併せ持つということです。そして、それはまったく新しいものです」。

画像クレジット:Audi

2021年春に量産が始まり、今夏には米国市場に投入されるe-tron GTは、スポーティなパッケージにパフォーマンスとラグジュアリーが詰め込まれている。ベース車のe-tron GTは、前後に1基ずつ搭載された2つのモーターが合計で350kW(476ps)、オーバーブースト時は390kW(530ps)に相当する出力を発生し、93.4kWhのバッテリーで487km(欧州のWLTP基準)の距離を走行できる。

一方、RS e-tron GTはエントリーレベルのGTと同じフロントモーターを装備するが、後輪側にはより強力なモーターが搭載され、それらの組み合わせによって合計最高出力440kW(598ps)、オーバーブースト時は475kW(646ps)を発揮。その結果、RS e-tron GTはゼロから100km/hまで3.3秒で加速し、最高速度は250km/hに達すると同社は述べている。WLTP基準の航続距離は472kmとなる。

この両車は、Porsche Taycan(ポルシェ・タイカン)と同じ800Vの高電圧システムを採用しており、バッテリー残量5%から80%まで22分30秒で充電できるという。これは業界で最も速い充電速度の1つだ。

e-tron GTは、ポルシェと800Vの充電システムを共有しているだけではない。同じVWグループに属するアウディとポルシェは、e-tron GTとタイカンを共同開発した。この2モデルは、シャシーや「J1」と呼ばれるEV専用プラットフォームも共通だ。

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e-tron GTの車内には、12.3インチの「Audiバーチャルコックピット」と呼ばれるデジタルインストルメントクラスター(メーターパネル)と、10.1インチのタッチスクリーンが標準装備されており、音楽やナビゲーションのほか、充電ステーションの検索といった電気自動車に特化した機能を、これを使って操作できる。オーナーは追加料金を払ってヘッドアップディスプレイを装備することも可能だ。

レザーフリーのインテリアは多くのリサイクル素材が使われており、「Dinamica」と呼ばれる人工スウェードが標準だが、オプションでナッパレザーも選択できる。

すべてのパフォーマンスとラグジュアリーは価格に反映される。2月中に予約受付が始まる欧州での価格は、e-tron GTが9万9800ユーロ(約1270万円)から、RS e-tron GTは13万8200ユーロ(約1750万円)からとなっている。米国ではe-tron GTのベースグレードが9万9900ドル(約1050万円)で、その上級トリム仕様が10万7100ドル(約1120万円)、RS e-tron GTは13万9900ドル(約1460万円)から。オプションを追加していけばこの価格よりさらに高くなるわけだが、ハイビームの照射を自動で配光するマトリクスLEDヘッドライトは、米国仕様では選ぶことができない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AudiVW電気自動車

画像クレジット:Audi eventVW(スクリーンショット)

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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