アジア太平洋地域のさまざまな文化に配慮したメンタルウェルネスプログラム「MindFi」

メンタルヘルスのスタートアップMindFiはアジア太平洋地域(APAC)全体で事業を展開しているが、それぞれの市場で「文化の違いに配慮した」ケアを提供したいと考えている。そのために、従業員の福利厚生として提供しているアプリのプログラムを、宗教、ジェンダーのステレオタイプ、人種、コミュニケーションスタイル、価値観などを考慮して現地プロバイダーと共同開発していると、共同設立者兼CEOのBjorn Lee(ビョルン・リー)氏はTechCrunchに語った。

現地時間2月14日、シンガポールを拠点とする同社は、200万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドを調達したと発表した。このラウンドには、既存投資家のM Venture PartnersとGlobal Founders Capitalが参加した。エンジェル投資家には、Carousell(カルーセル)の共同創業者であるMarcus Tan(マーカス・タン)氏、CarroのCSOであるKenji Narushima(ケンジ・ナルシマ)氏、Spinの共同創業者であるDerrick Ko(デリック・コー)氏が含まれている。

MindFi(Mind Fitnessの略)は、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)の2021年夏コホートに参加した。現在、シンガポール、香港、オーストラリアを含むアジア太平洋地域で事業を展開し、16言語でサービスを提供している。同社の法人顧客には、Visa、Willis Towers Watson、Patsnapなどがある。MindFiの製品は、15の市場で35社の雇用主のもと、合計10万人の従業員にサービスを提供している。

メンタルヘルス関連のスタートアップは、米国では特にパンデミックの間に多くの資金を獲得したが、アジアの多くの地域ではまだ初期段階にある。MindFiは、この状況を変えようとしているスタートアップ企業群の1つだ。最近資金調達に成功した企業には、Intellect(同じくY Combinatorの卒業生)やThoughtfullなどがある。

MindFiアプリには、自己管理型のメンタルウェルネスプログラム、コミュニティフォーラム、グループセラピー、AIによるコーチやセラピストとのマッチングシステムが含まれている。ユーザーのプロファイルには、MindFiのデータと、睡眠、心拍数、日々の活動などのフィットネスウェアラブルの情報が集約される。

リー氏はTechCrunchに対し、今回のシード資金は、AIエンジンの開発を加速し、ウェアラブルからの生理データとMindFiのメンタルヘルスデータの統合を進め、現地の専門家と協力して主要なAPAC市場でアプリ内プログラムを作成するために使用されると述べている。同氏は、APACでは米国や欧州に比べてライセンスを持ったメンタルヘルス専門家の数が比較的少ないとしながらも、ユーザーが安心してサポートを受けられるように、同社のプログラムが多様な文化的コンテクストに適合するようにすることが重要だと語る。

M VenturesのパートナーであるMayank Parekh(マヤンク・パレック)氏は声明の中で、次のように述べている。「メンタルヘルスは、ほとんどの国で伝統的に見過ごされてきましたが、成長著しいアジア地域ではなおさらです。私たちは、現在の市場には十分なサービスが提供されていないと感じており、創業者を第一に考える投資家として、重要な問題を解決するために相互に補完し合うスキルと洞察力を持つMindFiチームと協力できることをうれしく思っています」。

画像クレジット:MindFi

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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