アップルが日本を含む170以上の国でApple Podcastサブスクリプションを開始、J-WAVEのチャンネルも

Apple(アップル)は米国時間6月15日、日本も含む170以上の国と地域で「Apple Podcast サブスクリプション」の提供を開始したと発表した2021年春に初めて発表されたこのサブスクリプションは、リスナーがお気に入りのポッドキャストの追加特典を有料で楽しめるというもので、広告なしでの聴取や、新エピソードの先取り聴取、ボーナスコンテンツや独占配信など、ポッドキャスト制作者はファンがお金を払ってでも利用したいと思うようなさまざまな特典を提供できる。また、2021年7月からポッドキャスト制作者が厳選した番組を集めた「チャンネル」と呼ばれる機能も導入される。これは例えば、クリエイターが共通のテーマを持つ番組を集めて独自のタイトルやアートワークを付けたり、無料と有料のコンテンツを別々に提供したりすることが可能だ。

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この新しいサブスクリプション機能は、当初5月に提供開始の予定だったが、6月に延期するとアップルからクリエイターにメールで通知されていた。これは、エピソードの遅延やアナリティクスの不具合など、バックエンドに発生したいくつかの問題がサービスに影響を与えたためと思われる。

アップルによると、ローンチ時には数千のサブスクリプションとチャンネルが用意され、毎週追加されていく見込みだという。

リスナーが番組のサブスクリプションを購入すると、デザインが一新されたApple Podcastアプリで自動的に番組がフォローされる。番組ページには「Subscriber Edition」のラベルが表示され、プレミアムな体験ができるかどうかを簡単に判別できる。

アプリの「今すぐ聴く」タブには、チャンネルを含む有料コンテンツにアクセスするための新しい行が追加される。

このアプリでは、番組ページや検索でチャンネルを見つけたり「今すぐ聴く」タブや「ブラウズ」タブでおすすめの番組を閲覧したり、Messages(メッセージ)やMail(メール)などのアプリで友人とチャンネルを共有したりすることができる。

アップルがポッドキャスト市場への投資を遅らせたことで、ライバル企業はポッドキャストのリスナーを増やすための先手を打つことができた。例えば、春にアップルがサブスクリプションを発表した時点で、ある業界レポートは、Spotify(スポティファイ)のポッドキャストリスナー数が、2021年に初めてアップルのリスナー数を上回るだろうと予想していた。

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このような激しい競争にもかかわらず、アップルはその膨大なインストールベースがクリエイターを引き寄せることに賭けている。これらのクリエイターは、サブスクリプションベースのiOSアプリと同様に、1年目はサブスクリプション収入の30%、2年目以降は15%を手数料としてアップルに支払うことに同意しなければならない。それに比べ、Spotifyでは、プログラムが軌道に乗るまでの2年間は収益から差し引くことはせず、その後も5%の手数料を取るだけだ。

サブスクリプション開始時のラインナップを見ると、多くのクリエイターやスタジオが、アップルの足元にはより多くの収益が得られる価値があると考えているようだ。

サブスクリプションを早くから採用したのは、Lemonada Media(レモナダ・メディア)、Luminary(ルミナリー)、Realm(レルム)、Wondery(ワンダリー)などの有名企業や、CNN、NPR、The Washington Post(ワシントン・ポスト)、Sony Music Entertainment(ソニー・ミュージックエンタテインメント)などのメディアやエンタテインメント系ブランドだ。

その他の参加しているスタジオは、Audio Up(オーディオ・アップ)、Betches Media(ベッチズ・メディア)、Blue Wire(ブルー・ワイヤー)、Campside Media(キャンプサイド・メディア)、Imperative Entertainment(インペラティブ・エンタテインメント)、Lantigua Williams & Co.(ランティグア・ウィリアムズ)、Magnificent Noise(マグニフィセント・ノイズ)、The Moth(ザ・​マス)、Neon Hum Media(ネオン・ハム・メディア)、Three Uncanny Four(スリー・アンカニー・フォー)、Audacy(オーダシー)のCadence13(ケイデンス13)とRamble(ランブル)、Barstool Sports(バーストゥール・スポーツ)、Jake Brennan(ジェイク・ブレナン)氏のDouble Elvis(ダブル・エルヴィス)、Headgum(ヘッドガム​)、iHeartMedia(アイハートメディア)のThe Black Effect(ザ・ブラック・イフェクト)、Big Money Players(ビッグ・マネー・プレイヤーズ)、Grim & Mild(グリム&マイルド)、Seneca Women(セネカ・ウィメン)、Shondaland(ションダランド)、Relay FM(リレイFM)、Tenderfoot TV(テンダーフットTV)、Radiotopia from PRX(ラジオトピア・フロム PRX)、Pushkin Industries(プーシキン・インダストリーズ)、QCODE(キューコード)などがある。

画像クレジット:Apple

ニュースカテゴリーでは、The Athletic(ジ・アスレチック)、Fox News(フォックス・ニュース)、Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)、Bloomberg Media(ブルームバーグ・メディア)、Politico(ポリティコ)、Vox Media(ヴォックス・メディア)の他、ABC News(ABCニュース)、Axios(アクシオス)、Billboard(ビルボード)、Bravo(ブラボー)、CNBC、CNN、Crooked Media(クルックド・メディア)、Dateline、Entertainment Weekly(デイトライン・エンタテインメント・ウィークリー)、Futuro Media(フトゥーロ・メディア)、The Hollywood Reporter(ハリウッド・リポーター)、LAist Studios(ライスト・スタジオズ)、National Geographic(ナショナルジオグラフィック)、MSNBC、NBC News(NBCニュース)、NBC Sports(NBCスポーツ)、New York Magazine(ニューヨーク・マガジン)、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)、SiriusXM(シリウスXM)、SB Nation(SBネイション)、Southern Living(サザン・リビング)、The Verge(ザ・ヴァージ)、TODAY(トゥデイ)、VICE(ヴァイス)、Vogue(ヴォーグ)、WBURなどの新聞、雑誌、放送局、デジタルパブリッシャーのチャンネルもある。

子ども向けのポッドキャストは、GBH、Gen-Z Media(ジェンズィー・メディア)、Pinna(ピナ)、Wonkybot Studios(ウォンキーボット・スタジオズ)、PRXのTRAX(トラックス)などから配信されている。

アップルは独立系のクリエイターがサブスクリプションを提供していることも紹介しており、Adriana Lozada(アドリアナ・ロザダ)氏の「Birthful(バースフル)」、Beth Silvers(ベス・シルバース)氏と Sarah Stewart Holland(サラ・スチュワート・ホランド)氏の「Pantsuit Politics(パンツスーツ・ポリティクス)」、Glynn Washington(グリン・ワシントン)氏の「Snap Judgment(スナップ・ジャッジメント)」、Martina Abrams Ilunga(マルティナ・エイブラム・イルンガ)氏の「You Had Me At Black(ユー・ハッド・ミー・アット・ブラック)」などが掲載されている。

国際的なサブスクリプションやチャンネルも提供されており、オーストラリアのABC、LiSTNR(リスナー)、SBS、ブラジルのAbrace Podcasts(アブレース・ポッドキャスト)、カナダのCANADALAND(カナダランド)、Frequency Podcast Network(フリークェンシー・ポッドキャスト・ネットワーク)、デンマークのGoLittle(ゴーリトル)、フランスのEurope 1(ヨーロッパ1)、Louie Media(ルーイ・メディア)、Radio France(ラジオ・フランス)、ドイツのDer Spiegel(デル・シュピーゲル)、Podimo(ポディモ)、ZEIT ONLINE(ツァイト・オンライン)、イタリアのIl Sole 24 Ore(イル・ソーレ24オレ)、Storielibere.fm(ストリエリベレfm)、日本のJ-WAVE、韓国のBrainrich(ブレインリッチ)、ロシアのlibo/libo(リボ / リボ)、アラブ首長国連邦のFinyal Media(フィンヤル・メディア)、英国のBroccoli Productions(ブロッコリ・プロダクションズ)、Content Is Queen(コンテント・イズ・クイーン)、Guardian(ガーディアン)、Immediate Media(イミディエト・メディア)などがある。

サブスクリプション料金は月額0.49ドル(約54円)からだが、人気のある番組は月額2.99ドル(約329円)「Luminary」のように月額4.99ドル(約548円)のチャンネルもある。価格の目安になるだろう。Apple Card(アップル・カード)のユーザーは、サブスクリプション料金の3%がキャッシュバックされ、Apple Wallet(アップル・ウォレット)で確認できる。

サブスクリプションに加入するとiPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TV、CarPlay、HomePod、HomePod miniなどのアップル製デバイスで聴くことができる。

サブスクリプションは、Apple Podcastアプリのデザイン変更と同時に発表された。このアプリには使い勝手に関する多くの不満が寄せられており、ユーザーの中にはサードパーティ製のアプリを探す人も少なくなかった。アップルはユーザーからのフィードバックに応え、iOS 14.6のアップデートでいくつかの問題に対処している。その他の「ライブラリ」タブのアップデートは、今後のリリースで予定されており、おそらくiOS 14.7で行われるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleポッドキャストサブスクリプションiOS

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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