アップルは検索広告で中国での売上増を狙う

Apple(アップル)の検索広告は米国では5年前に始まったが、今週から中国本土でも始まる。

Apple Search Adsと呼ばれるこの機能は、App Storeにおけるユーザーのキーワード検索に基づいて開発者が広告枠に入札できるというもので、Google(グーグル)の検索広告と同じ仕組みだ。JPMorganの推計によると、Appleの年間広告収入は2025年に110億ドル(約1兆2200億円)を超えるというが、検索広告事業が占める割合はわからない。

国際的なアプリの中国進出をサポートしているAppInChinaの発行者であるRich Bishop(リッチ・ビショップ)氏によると「中国における検索広告の立ち上げが遅れたのは、中国では広告事業に対して政府の規制があるためです。Appleはそれを迂回する方法を見つけたようですが、決済を外貨で行なうことと、検索タブの広告は提供できないという制限があります」という。

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Appleは、ユーザーがアプリによるデータトラッキングをオフにできるようにするなど、パーソナライズされた広告を抑制していますが、この動きは、第三者のデータに依存して広告を配信しているFacebook(フェイスブック)などのビジネスモデルを揺るがすことは必至だ。

これまで、中国はAppleにとって重要な市場だが、Huawei(ファーウェイ)といった地元企業の台頭により、iPhoneは同国におけるステータスシンボルとしての輝きを失いつつある。しかし、第1四半期には、Huaweiの売上が低迷したことやiPhone 12ファミリーの発売により、Appleのスマートフォン出荷台数は回復している。中国のApp Storeも、Appleにとって重要な収入源だ。

中国本土のユーザーに対して広告をターゲティングしたい開発者は、5ページのガイドラインでAppleが示している資格要件を満たさなければならない。広告主が取得する必要のある業界固有のライセンスが大量にあるため、AppInChinaのブログ記事では、外国企業が中国本土で広告を直接出稿することは実質的に不可能と述べている。

中国で検索広告に入札するには、政府の承認をすべて得ている地元のパートナーを見つける必要がある。

例えば中国に品物を輸入するアプリの要件は、インターネット上の付加価値事業を行なうための一般的なライセンスだけでなく、貿易や関税に関するさまざまな政府機関への登録が必要だ。AppInChinaによると、アプリを中国でリリースするだけでも、Appleはそういった許可を申請しなければならないかもしれない。以前のゲームアプリの取り締まりの例にも見られるように、Appleは今後も中国政府のルールを強制し続けるのだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Apple中国広告

画像クレジット:Miguel Candela/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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